「腕を胸の前へ横切らせると肩が痛い」「右手で左肩を触ろうとすると、右肩が痛む」と感じることはありませんか。
腕を胸の前から反対側へ動かす動作は、肩関節の「水平内転」と呼ばれます。この動きでは肩関節だけでなく鎖骨や肩甲骨も連動するため、肩周辺に症状があると痛みが出ることがあります。
先に結論
反対側の肩を触る動作で痛むだけでは、原因となる病気は決まりません。 肩のてっぺんが痛む場合は肩鎖関節周囲、肩から上腕外側まで痛む場合は腱板など、痛む場所やほかの症状によって確認するポイントが変わります。肩全体の硬さ、筋力低下、しびれ、外傷歴なども合わせて評価することが重要です。
この肩の痛みは受診した方がいい?整形外科の受診目安を見る →
右腕で左肩を触るように、腕を胸の前から反対側へ動かす動作を「水平内転」といいます。
このときは上腕骨だけが動くのではなく、肩甲骨や鎖骨も連動します。そのため、肩関節や肩鎖関節など肩周辺の組織に症状があると、普段感じている痛みがこの動作で出ることがあります。
ただし、水平内転で痛むこと自体は特定の病気だけにみられる症状ではありません。実際の診察では、どこが痛むか、ほかの方向にも動かしにくいか、筋力低下やしびれがないかなどを組み合わせて原因を考えます。
原因を考えるうえで重要なのは、「この動作で痛い」という情報に加えて「どこが痛いか」を具体的にすることです。
症状の中心が今回の記事と違う方へ
転倒して肩を打ったあとから強く痛む方は、 転倒後の肩痛・腕が上がらない場合 をご覧ください。
外傷がないのに突然激しく痛み、肩をほとんど動かせない方は、 突然の激しい肩痛・石灰沈着性腱板炎について も参考にしてください。
医療機関では、腕を身体の反対側へ動かした際の痛みを診察の参考にすることがあります。しかし、一つの身体テストだけで病名を決めることはできません。
自宅で「何度やっても痛いか」を確認したり、反対の手で腕をさらに胸へ強く引き寄せたりする必要はありません。
痛みを我慢して強くストレッチしない
肩の痛みは原因や症状の時期によって対応が異なります。日常生活で自然に痛みが出た場合は、「どの動作で」「肩のどこが」痛むのかを覚えておき、診察時に伝えるだけでも重要な情報になります。
軽い痛みで、負担となった運動や作業を減らすことで明らかに改善している場合には、経過をみられることもあります。
一方、次のような状態では整形外科で原因を確認することをご検討ください。
転倒して肩を直接打った、スポーツ中に肩からぶつかった、交通事故後から痛むなど、明確な外傷をきっかけに症状が始まった場合は、使いすぎによる痛みとは分けて考えます。
肩や鎖骨の大きな腫れ・変形、腕をほとんど動かせないほどの強い痛み、手や指の強いしびれや動かしにくさがある場合は、長く自己判断で様子を見ず医療機関へ相談してください。
手が白い・青紫色・冷たいなど血流の異常が疑われる場合
強い外傷後に手の色がおかしい、冷たい、感覚が大きく低下しているなどの症状がある場合は、通常の外来受診を待たず、救急医療を含め速やかな評価が必要です。
繰り返す肩の痛みは、病名が分からない段階でも相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、肩の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。「肩鎖関節なのか、腱板なのか分からない」という段階で病名を決める必要はありません。痛む位置・肩の動き・筋力・外傷歴などから必要な検査や治療を医師が判断します。
西新宿本院の整形外科保険診療を予約する 横浜駅前院の整形外科保険診療を予約する診察では、腕を胸の前へ横切らせる動作だけを見るのではありません。痛む場所、症状が始まった経緯、ほかの方向への動き、筋力、首や手の症状などを総合的に確認します。
肩のてっぺん、前側、外側など痛みの中心を確認します。必要に応じて腕を上げる、前へ伸ばす、身体の反対側へ動かす、肩を回すといった動作で症状がどのように変化するかを診ます。
自分の力でどこまで肩を動かせるかだけではなく、必要に応じて他者が動かした場合の可動域や筋力なども確認します。肩全体が硬いのか、痛みのため動かしにくいのか、明らかな筋力低下があるのかによって考える原因が変わります。
骨・関節の状態や外傷後の骨折などを確認する必要がある場合には、症状や診察所見に応じてX線検査を検討します。
画像上に変化があっても、それだけで現在の痛みの原因とは判断しません。症状や身体診察と合わせて評価します。
腱板や滑液包など、X線では詳しく確認しにくい軟部組織を評価する必要がある場合には、超音波(エコー)検査を検討することがあります。
エコー・X線・MRIはそれぞれ確認しやすい組織が異なります。
整形外科のエコー検査で何が分かる?X線・MRIとの違いを見る →
さらに詳しい画像評価が必要と医師が判断した場合は、MRIなどに対応できる医療機関への紹介を検討します。SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。
「腕を胸の前へ横切らせると痛い」という症状だけで治療方法が決まるわけではありません。
原因や症状の程度に応じて、痛みを誘発しているスポーツ・筋力トレーニング・仕事などの負荷調整、薬物療法などを検討します。
リハビリテーションについても全員に必要なわけではありません。医師が適応を判断した場合には、肩関節・肩甲骨の動き、筋力、日常生活やスポーツでの身体の使い方などを確認しながら進めます。
SBC整形外科クリニックのリハビリテーションについて見る →
肩のてっぺんや鎖骨の外側端に痛みが集中している場合は、肩鎖関節周囲を確認します。ただし、この動作だけで肩鎖関節が原因とは判断できません。痛む位置やほかの動作、肩の可動域、筋力などを合わせて評価します。
受診できます。腕を上げられることだけで肩の病気を否定することはできません。特定の動作で痛みを繰り返す、仕事やスポーツに支障がある、筋力低下など別の症状がある場合は整形外科で相談できます。
原因によって適切な対応が異なるため、強く伸ばせば改善するとは限りません。痛みを我慢して腕を反対側へ引っ張るストレッチは避け、症状が続く場合は状態を確認してください。
負荷を減らすことで明らかに改善している軽い痛みであれば経過をみられる場合もあります。一方、トレーニングを再開するたび同じ場所が痛む、以前と比べて力が入りにくい、日常生活でも痛むようになった場合は整形外科で状態を確認できます。
反対側へ動かすときだけではなく、腕を上げる、背中へ手を回すなど複数の方向で肩の動きが制限されている場合は、五十肩など肩関節全体の可動域が低下する状態も確認します。症状だけで病名を決めず、肩全体の動きを評価することが重要です。
病名が分からない状態で受診して構いません。 「どの動作で」「肩のどこが」痛むのかを伝えることが、原因を考える重要な手掛かりになります。
SBCメディカルグループ 整形外科部門統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本成長学会
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。症状や治療方法は患者様の状態によって異なります。診断や治療については医師の診察を受けてください。