「肩全体ではなく、前側だけが痛い」
「買い物袋や荷物を持つと肩の前がズキッとする」
「腕を前に上げると、いつも同じ場所が痛む」
このような肩前方の痛みでは、肩の前を通る上腕二頭筋長頭腱(じょうわんにとうきんちょうとうけん)などが症状に関係していることがあります。
ただし、肩の前側には上腕二頭筋長頭腱だけでなく、腱板・関節包など複数の組織があります。
そのため、「肩の前が痛い=上腕二頭筋長頭腱炎」とは判断できません。
荷物を持つ、腕を前へ上げる、肘を曲げて物を支えると肩前方が痛む場合には、上腕二頭筋長頭腱周囲も確認します。
ただし、腱板障害や五十肩などでも同じような動作で痛むことがあります。
この症状は受診した方がいい?整形外科の受診目安を確認する →
一口に「肩」といっても、肩関節の周囲には骨・腱・筋肉・関節包など多くの組織があります。
肩前方には、
などがあります。
そのため、「肩の前側」という痛みの位置は重要な手掛かりですが、それだけで病名を決めることはできません。
どの動作で痛むのか、肩全体がどこまで動くか、筋力低下・夜間痛・しびれ・外傷歴がないかなどを組み合わせて評価します。
同じ「肩の前側の痛み」でも、症状の組み合わせによって確認するポイントが変わります。
上腕二頭筋は、いわゆる「力こぶ」をつくる筋肉です。
上腕二頭筋には長頭と短頭があり、このうち長頭の腱は上腕骨の前方にある溝を通り、肩関節へ向かいます。
この上腕二頭筋長頭腱に負担や変性、部分的な損傷、不安定性などが生じると、肩前方の痛みにつながることがあります。
上腕二頭筋長頭腱が症状に関係している場合、
などで肩前方に痛みが出ることがあります。
ただし、これらの動作では腱板などほかの肩組織にも負荷が加わります。
「買い物袋を持つと痛い」「腕を前に上げると痛い」だけでは、上腕二頭筋長頭腱が原因とは判断できません。
上腕二頭筋長頭腱が通る肩前方に圧痛がみられる場合があります。
診察では、どこを押すと普段の痛みが再現されるかも確認します。
ただし、局所の圧痛だけで上腕二頭筋長頭腱障害と診断するわけではありません。
上腕二頭筋長頭腱の病変は、腱板損傷など別の肩疾患と一緒にみられることがあります。
また、腱には炎症だけでなく変性・部分断裂・不安定性などさまざまな変化が起こります。
そのため、肩前方の痛みを自己判断で「二頭筋腱炎」と決めつけないことが重要です。
肩を動かしながら上腕骨頭を安定させる腱板を傷めた場合にも、腕を上げる・物を持つ動作で痛みが出ることがあります。
腱板障害では、
などがみられることがあります。
上腕二頭筋長頭腱の病変と腱板病変が同時に存在する場合もあります。
特に「痛い」よりも腕に力が入らない・上げた腕を保ちにくいことが気になる方は、 肩に力が入らない・腕が落ちる|腱板損傷? をご覧ください。
五十肩(肩関節周囲炎)でも、肩前方を含むさまざまな場所に痛みを感じる場合があります。
特に、
など、肩全体の動かしにくさが徐々に目立ってきた場合には五十肩も確認します。
詳しくは、 五十肩(肩関節周囲炎) をご覧ください。
肩前方の痛みに、
などが伴う場合には、肩関節の不安定性や関節内の組織についても確認します。
過去に脱臼があり、肩が抜けそうな症状を繰り返す方は、 反復性肩関節脱臼 をご覧ください。
それまで問題なかったのに突然強い肩痛が出て、夜眠れない、少し動かすだけでも激しく痛む場合には、石灰沈着性腱板炎なども確認します。
詳しくは、 突然肩が激痛で動かせない|石灰沈着性腱板炎? をご覧ください。
肩前方だけではなく、首から肩・腕・手指まで痛みやしびれが広がる場合には、頚椎から出る神経への影響も確認します。
特に、
場合には、肩関節だけに原因を限定しません。
詳しくは、 頚椎症性神経根症 をご覧ください。
肩前方痛には症状の重なりが多いため、一つの動作だけで正確に見分けることはできません。
上腕二頭筋長頭腱を評価する身体診察には、腕を前へ上げた状態で抵抗を加える検査などがあります。
ただし、個々の身体テストだけで上腕二頭筋長頭腱の病変を正確に診断することには限界があります。
痛む位置、複数の身体所見、可動域・筋力、必要な画像所見などを合わせて評価します。
以前から繰り返していた肩痛ではなく、物を持つなどの動作をきっかけに突然強く痛んだ場合には、急性の腱損傷についても確認します。
上腕二頭筋長頭腱が肩側で断裂すると、
などの変化がみられる場合があります。
上腕二頭筋長頭腱断裂では、腱板など別の肩病変を伴う場合もあります。
痛みが一時的に軽くなっても、急な内出血や上腕の形の変化がある場合には整形外科で確認しましょう。
一時的な軽い痛みで、負荷を減らすことで明らかに改善している場合には経過をみられることもあります。
一方、次のような場合には整形外科への相談をご検討ください。
また、肩・腕の痛みに胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗、吐き気、強い体調不良などを伴う場合は、肩関節だけの問題とは限りません。
このような場合には通常の整形外科予約を待たず、救急医療を検討してください。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、肩の前側の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「荷物を持つと肩の前だけ痛い」「腕を前へ上げると同じ場所が痛む」という段階でもご相談いただけます。
痛む位置、肩の可動域・筋力、仕事・スポーツでの負荷などを確認し、必要な検査・治療を医師が判断します。
西新宿本院の一般整形外科を予約する 横浜駅前院の一般整形外科を予約する診察では「荷物を持つと痛い」という一つの症状だけで、上腕二頭筋長頭腱の病気と判断することはありません。
主に、
などを確認します。
腕を前・横へ上げる動作、肩を回す動作、自分で動かした場合と他者に動かしてもらった場合の可動域などを確認します。
腱板障害が疑われる場合には肩周囲の筋力、神経症状が疑われる場合には腕・手の感覚や筋力なども必要に応じて評価します。
肩前方の圧痛や、上腕二頭筋長頭腱へ負荷がかかる動作で普段の症状が再現されるかなどを確認することがあります。
ただし、一つの身体テストが陽性だからという理由だけで上腕二頭筋長頭腱障害と診断するわけではありません。
肩の骨・関節の状態、石灰沈着、外傷後の骨折などを確認する必要がある場合には、レントゲン検査を検討します。
一方、上腕二頭筋長頭腱や腱板などの腱そのものは、レントゲンだけでは十分に評価できません。
超音波(エコー)検査では、上腕二頭筋長頭腱や腱板、滑液包など、比較的体表に近い軟部組織を確認する際に使用することがあります。
肩を動かしながら腱の動き・位置関係を観察できることも特徴です。
レントゲンは骨・関節、エコーは表在性の腱などの軟部組織を評価する際に役立ちます。
肩関節内や深部をさらに詳しく確認する必要がある場合には、MRIなど別の画像検査を検討することがあります。
西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。追加検査が必要と医師が判断した場合には、撮影可能な医療機関への紹介を検討します。
エコー検査について詳しくは、 整形外科のエコー検査とは?レントゲン・MRIとの違い をご覧ください。
肩前方痛があるからといって、全員に同じ治療を行うわけではありません。
症状や診察結果に応じて、
などを検討します。
荷物を持つたびに同じ場所が痛む場合は、「動かせるから問題ない」と同じ負荷を繰り返すのではなく、一度負荷を調整してください。
仕事で完全に荷物を避けることが難しい場合には、重量・持ち方・回数・どの角度で痛むかなども診察時に伝えると参考になります。
肩の前が痛いからといって、上腕二頭筋の筋力不足が原因とは限りません。
原因が分からない段階で、ダンベルカールなど痛みを再現する強い負荷を繰り返すと症状が悪化する場合があります。
SBC整形外科クリニックでは、医師がリハビリの適応を判断した場合、理学療法士による運動器リハビリテーションを行っています。
詳しくは、 SBC整形外科クリニックのリハビリテーション科 をご覧ください。
上腕二頭筋長頭腱が通る周囲の圧痛は手掛かりの一つですが、それだけでは判断できません。腱板などほかの肩疾患を伴う場合もあるため、可動域・筋力・複数の身体所見などを合わせて評価します。
必ずしもそうではありません。荷物を持つ動作では上腕二頭筋だけでなく、腱板など肩を安定させる複数の組織が働きます。症状が出る動作だけでは原因を特定できません。
五十肩でも腕を上げる際に痛みますが、上腕二頭筋長頭腱や腱板などの病態でも同じ動作で痛むことがあります。五十肩では肩全体の可動域制限が診断の手掛かりになります。
上腕二頭筋長頭腱は、超音波検査で評価されることがある組織です。ただし、病変の位置・種類によってはエコーだけでは十分に評価できないため、症状に応じてMRIなど別の検査を検討します。
原因や痛みの強さによって異なります。肩をまったく動かさないことが適切とは限りませんが、痛みを我慢して強い筋トレやストレッチを繰り返すこともおすすめできません。症状が続く場合は整形外科で原因と適切な負荷を確認してください。
「肩の前側だけが痛い」という情報は、原因を考えるうえで重要な手掛かりです。
しかし、肩前方には複数の組織があるため、痛む場所や一つの動作だけでは原因を判断できません。
荷物を持つ・腕を前へ上げるたびに同じ痛みを繰り返す場合や、肩の動かしにくさ・筋力低下を伴う場合には、整形外科で一度状態を確認しましょう。
「痛い」よりも腕に力が入らない・上げた腕を保てない方は、 肩に力が入らない・腕が落ちる|腱板損傷? をご覧ください。
肩全体が硬く、着替えや背中へ手を回す動作も難しい方は、 五十肩(肩関節周囲炎) をご覧ください。
外傷がないのに突然激痛が出て肩をほとんど動かせない方は、 突然肩が激痛で動かせない|石灰沈着性腱板炎? をご覧ください。
首から腕・手指まで痛みやしびれが広がる方は、 頚椎症性神経根症 をご覧ください。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、肩の前側の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「二頭筋の腱なのか分からない」「荷物を持つと肩の前だけ痛む」という段階でもご相談いただけます。
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