「牛乳を毎日飲ませれば子どもの身長は伸びる?」「1日何杯飲めばいい?」「牛乳が嫌いな子は背が伸びにくい?」
子どもの身長が気になると、昔から「背が伸びる」といわれている牛乳を積極的に飲ませた方がよいのか迷う方もいるでしょう。
結論からいうと、牛乳を多く飲んだ分だけ、子どもの最終身長が高くなるわけではありません。
最初に結論|牛乳と子どもの身長
牛乳は成長に必要な栄養を含みますが、飲む量に比例して身長が伸びるわけではありません。
牛乳には、カルシウム・たんぱく質など、成長期の骨や身体づくりに必要な栄養素が含まれています。
ただし、子どもの身長には遺伝・ホルモン・思春期・骨の成熟状態なども関係します。牛乳だけに頼らず、食事全体と成長の経過を確認することが重要です。
また、牛乳が苦手だったり、乳糖不耐症や牛乳アレルギーがあったりする場合でも、他の食品から必要な栄養を補う方法があります。
この記事では、牛乳が身長に与える影響、1日に飲む量の考え方、年齢別のカルシウム推奨量、飲みすぎへの注意点、牛乳が飲めない場合の食事について解説します。
この記事でわかること
牛乳は、子どもの正常な成長を支える栄養素を摂取できる食品の一つです。
特にカルシウムとたんぱく質を比較的手軽に摂れるため、成長期の食事に取り入れることには栄養上のメリットがあります。
ただし、牛乳と身長の関係を調べた研究では、乳製品の摂取と成長の関連がみられるものがある一方、研究によって結果が異なります。
現時点では「毎日牛乳を何杯飲めば、最終身長が何cm高くなる」といえるものではありません。
カルシウムは骨の石灰化に必要なミネラルです。骨の健康を保ち、正常な骨格形成を支える役割があります。
一方、身長が伸びるためには、成長期の骨にある「骨端線(こったんせん)」で軟骨細胞が増殖・成熟し、骨へと置き換わる仕組みが関わります。
骨の長さ方向への成長には、成長ホルモンなどの働きや、思春期の進行、十分な栄養状態などが関係しています。
そのため、カルシウムを必要量以上に摂れば、骨端線がさらに長く伸びるという単純な関係ではありません。
成長期の子どもは、牛乳を飲んでいなくても自然に身長が伸びます。
特に思春期には成長スパートがあり、短期間で身長が大きく伸びる場合があります。
そのため、牛乳を飲み始めてから身長が伸びたとしても、その変化が牛乳だけによるものとは判断できません。
牛乳と身長についての誤解
牛乳を飲めば必ず背が伸びる?
牛乳は栄養を補う食品ですが、最終身長が高くなる効果を保証するものではありません。
多く飲めば飲むほど伸びる?
摂取量に比例して身長が高くなるわけではありません。
牛乳を飲めないと背が低くなる?
他の食品から必要なエネルギーや栄養素を摂取することもできます。
「身長を伸ばすなら牛乳は1日2杯」「成長期には毎日500mL必要」といった情報を見かけることがあります。
しかし、身長を伸ばすことを目的に、一律に牛乳を何杯飲むべきかという医学的な基準はありません。
年齢や性別、学校給食での牛乳の有無、ほかの乳製品や食品からどの程度カルシウムを摂っているかによって、牛乳から補う必要性は異なります。
文部科学省の食品成分データに基づくと、普通牛乳100gには約110mgのカルシウム、約3.3gのたんぱく質が含まれています。
コップ1杯を約200gとすると、次のように計算できます。
普通牛乳 約200g(コップ1杯の目安)
カルシウム
約220mg
たんぱく質
約6.6g
牛乳200gは、カルシウムとたんぱく質を一緒に摂れる食品の一例です。
ただし、1日のカルシウムを牛乳だけで摂取しなければならないわけではありません。
学校給食で牛乳が提供される場合、その分も1日のカルシウム摂取量に含めて考えます。
例えば、給食で牛乳を飲み、家庭でもヨーグルトや小魚などを食べている場合、さらに大量の牛乳を追加する必要があるとは限りません。
まずは1日の食事全体で、どのような栄養をどの程度摂っているかを確認しましょう。
牛乳500mL程度を飲むことだけで、成長期に必要な栄養がすべて満たされるわけではありません。
必要なカルシウムの量は年齢や性別によって異なります。また、牛乳には鉄やビタミンDなど、ほかの食品と組み合わせて補いたい栄養素もあります。
牛乳だけで栄養を確保しようとするのではなく、主食・主菜・副菜などを組み合わせることが基本です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、カルシウムの推奨量は年齢・性別ごとに設定されています。
小学生・中学生・高校生では、身体の成長に応じて必要量が異なるため、確認しておきましょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」カルシウムの推奨量
ここを間違えないでください
表の数値は、牛乳だけで摂る量ではありません。食事・飲料などから摂るカルシウム全体の推奨量です。
12〜14歳男子のカルシウム推奨量は、1日1,000mgです。
牛乳200gに含まれるカルシウムを約220mgとすると、牛乳だけで1,000mgを摂るには約4.5杯分に相当します。
しかし、だからといって毎日牛乳を約5杯飲ませる必要はありません。
ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、野菜など、さまざまな食品からカルシウムを摂ることができます。
カルシウムは骨の健康に必要ですが、必要量以上の摂取が身長をさらに高くするとはいえません。
特にサプリメントなどで大量に摂取することは、栄養バランスの偏りや健康への影響を考える必要があります。
食事から摂るカルシウム量が心配な場合は、サプリを自己判断で追加するより、普段の食事内容を整理し、必要に応じて小児科や管理栄養士などへ相談しましょう。
牛乳を飲まない子どもでも、他の食品からカルシウムやたんぱく質を摂ることができます。
ただし、同じ食品群でも種類や量によって栄養価は異なるため、食事全体を組み合わせて考えることが大切です。
カルシウムを含む主な食品
乳製品
ヨーグルト・チーズなど
牛乳が飲みにくい場合でも、乳製品の種類によっては取り入れられることがあります。ただし、牛乳アレルギーがある場合は自己判断で使用しないでください。
魚介類
しらす・骨ごと食べられる小魚など
食べられる骨の部分にもカルシウムが含まれています。年齢に応じて骨の硬さや誤嚥に注意しましょう。
大豆製品
木綿豆腐・厚揚げなど
豆腐類は製造方法によってカルシウム量が異なります。
野菜類
小松菜・チンゲンサイなど
カルシウムに加え、食物繊維やその他のビタミン・ミネラルなども摂取できます。
牛乳と豆乳は、含まれている栄養素の種類や量が異なる飲み物です。
一般的な普通牛乳100gにはカルシウム約110mgが含まれますが、無調整豆乳は100g当たり約15mgで、牛乳より少なくなっています。
ただし、カルシウムを添加した豆乳なども販売されているため、商品によって成分は異なります。
豆乳に替える場合は、たんぱく質だけでなく、カルシウムなどが食事全体で不足していないかも確認しましょう。
関連記事:身長を伸ばすには豆乳を飲むといいの?牛乳との違い →
成長期の骨や身体の健康は、カルシウムだけで支えられているわけではありません。
たんぱく質は身体の組織の材料になり、ビタミンDはカルシウムやリンの吸収に関わります。また、鉄や亜鉛なども正常な身体の働きに必要です。
そのため、牛乳に特定のサプリメントを追加すれば身長が高くなるというものではなく、必要な栄養素を不足なく摂ることが基本となります。
関連記事:骨端線を伸ばす食べ物はある?成長期に必要な栄養素 →
牛乳は栄養を摂れる食品ですが、子どもに大量に飲ませることが望ましいとは限りません。
牛乳の量だけでなく、お子様の食事量や体質、牛乳を飲んだあとの体調も確認しましょう。
牛乳を大量に飲むことで満腹になり、ほかの食品を食べる量が減ってしまう場合があります。
例えば、次のような場合は食生活全体の見直しが必要です。
牛乳を何杯飲んだかだけでなく、主食・主菜・副菜などから必要な栄養が摂れているか確認しましょう。
牛乳を飲んだあとにお腹が張る、腹痛や下痢が起こる場合、乳糖不耐症が関係している可能性があります。
乳糖不耐症は、牛乳などに含まれる乳糖を十分に分解できないことで消化器症状が起こる状態です。
症状の程度には個人差があります。牛乳を飲めない場合でも、体質に合った食品から栄養を補う方法があります。
乳糖不耐症は、乳糖を消化する働きに関係する状態です。
一方、牛乳アレルギーは、牛乳に含まれるたんぱく質などに対して免疫系が反応して起こります。
乳糖不耐症
乳糖の消化・吸収に関わり、主に腹痛、腹部膨満、下痢などがみられます。
牛乳アレルギー
免疫反応によるもので、皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状などが現れる場合があります。
牛乳アレルギーがある場合、乳糖を除去した牛乳であっても、牛乳たんぱく質が含まれていれば安全とは限りません。
アレルギーが疑われる場合は小児科へ
牛乳を飲んだあとにじんましん、繰り返す嘔吐などがある場合は、小児科などにご相談ください。息苦しさ、意識の異常など重いアレルギー症状がある場合は救急対応が必要です。
牛乳が飲めないという理由だけで身長が伸びなくなると決めつけず、必要な栄養をほかの食品から確保できるか考えましょう。
「寝る前にホットミルクを飲むと成長ホルモンが出て、身長が伸びる」という情報を見かけることがあります。
しかし、寝る前に牛乳を飲めば成長ホルモンの分泌が増え、最終身長が高くなるという方法は確立されていません。
牛乳を飲む時刻よりも、年齢に応じた睡眠時間を確保し、生活リズムを整えることが大切です。
また、夜間に牛乳を飲んだ場合は、むし歯予防のためにも就寝前の歯磨きなどの口腔ケアを忘れないようにしましょう。
適度な運動は骨や筋肉の健康、体力づくりなどに重要です。
ただし、牛乳を飲んでジャンプすれば背が高くなる、ストレッチをすれば骨そのものが長く伸びるという効果は確立されていません。
運動は、特定の身長の伸ばし方としてではなく、成長期の健康的な生活習慣の一部として取り入れましょう。
「毎日牛乳を飲んでいるのに、以前ほど身長が伸びなくなった」と感じる場合は、牛乳の量を増やす前に、実際の成長の経過を確認することが重要です。
身長が伸びない原因はカルシウム不足だけではありません。体質や遺伝、思春期の進行、ホルモン、骨の成熟状態、慢性的な病気などが関係する場合もあります。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重の推移を確認するグラフです。
学校の健康診断結果や母子健康手帳などをもとに、過去の身長を記録してみましょう。
成長曲線では、現在の身長が同年齢の平均より低いかどうかだけでなく、過去と比べて伸び方が変化していないかを確認します。
日本小児内分泌学会では、同性・同年齢の基準で−2SD以下を低身長の目安の一つとしています。
ただし、−2SDより高い場合でも、成長曲線上の位置が継続して下がっている場合には確認が必要です。
年間成長速度は、おおむね1年間で身長が何cm伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前の身長:140cm
現在の身長:145cm
1年間に伸びた身長
5cm/年
ただし、年間5cm伸びたという数字だけで、正常か異常かを判断できるわけではありません。
年齢や思春期の進行状況によって成長速度は変化するため、過去の成長記録と合わせて確認します。
同じ年齢でも、骨の成熟や思春期が進む時期には個人差があります。
骨年齢は、骨格の成熟状態を示す指標です。一般的に手や手首のレントゲン画像などを参考に評価します。
骨年齢だけで最終身長を確定することはできませんが、成長曲線や年間成長速度などと合わせることで、今後の成長を考える参考になります。
牛乳の量を増やす前に確認
1.過去2〜3年間の身長の記録
2.年間成長速度の変化
3.体重や食事量の変化
4.思春期の進行状況
身長が気になる場合は、成長障害や病気が心配なのか、将来身長の目安を知りたいのかによって、適した相談先が異なります。
次のような場合は、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を検討しましょう。
これらの変化には、栄養状態のほか、成長ホルモンや甲状腺ホルモンに関係する病気、慢性疾患などが関係する場合があります。
牛乳を追加するだけで、こうした原因を確認することはできません。
「今の身長は平均に近いけれど、あと何cmくらい伸びるのか知りたい」「骨の成熟状態を確認したい」という場合は、身長予測という方法もあります。
当院では、お子様の成長記録や骨年齢などを参考に、将来身長の目安を予測する身長予測シミュレーションをご案内しています。
目的別|身長の相談先
成長障害や病気が心配
小児科・小児内分泌科で必要な医学的評価を相談する。
将来身長の目安を具体的に知りたい
成長曲線や骨年齢などを参考にする身長予測を検討する。
まず当院で相談できることを知りたい
平日限定の小児低身長無料カウンセリングを利用する。
「牛乳や食事の栄養は十分?」「最近身長の伸びが少なくなった気がする」と心配な方の中には、検査が必要なのか分からない方もいるでしょう。
当院では、平日限定の小児低身長無料カウンセリングと、将来身長の目安を確認する身長予測シミュレーションをご案内しています。
まずは相談したい方へ
料金:無料
実施日:平日限定
身長についてのお悩みや、当院の身長予測シミュレーションの内容などをご相談いただけます。
小児低身長の無料カウンセリングをWEB予約する →※無料カウンセリングではレントゲン・採血などの検査は行いません。成長障害や栄養欠乏症の確定診断を目的とするものではありません。
牛乳を飲む量やカルシウムの摂取量だけで、将来身長を予測することはできません。
今後の成長を考える際には、現在の身長、ご両親の身長、これまでの成長曲線、骨の成熟状態などを参考にする方法があります。
当院では、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、身長予測シミュレーションを行っています。
お子様の成長記録やご両親の身長、手のレントゲンによる骨年齢などを参考に、将来身長の目安を予測します。
身長予測シミュレーション
15,270円(税込)
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
所要時間の目安
約30分
予約
完全予約制
実施院
西新宿本院・横浜駅前院
身長予測シミュレーションは自由診療です。予測結果は将来身長の目安であり、最終身長を確定・保証するものではありません。
また、病的な低身長の診断や成長ホルモン治療の適応判定を目的とした専門検査とは異なります。
お子様の将来身長が気になる方へ
牛乳の量だけでは分からない、お子様自身の成長曲線と骨年齢を確認してみませんか。
6〜18歳対象/15,270円(税込)/完全予約制
毎日牛乳を飲むことで最終身長が何cm高くなるかを予測することはできません。牛乳はカルシウムやたんぱく質などを補える食品ですが、身長には遺伝・ホルモン・思春期などさまざまな要因が関係します。
身長を伸ばすために1日2杯必要という決まりはありません。年齢・性別ごとのカルシウム推奨量と、給食・乳製品・小魚などを含めた1日の食事内容を確認しましょう。
豆乳を食事の一部として取り入れることはできます。ただし、一般的な豆乳は普通牛乳よりカルシウムが少ないため、ほかの食品からの摂取も考える必要があります。牛乳アレルギーなどで除去している場合は、小児科などへ相談してください。
寝る前に牛乳を飲むことで、成長ホルモンの分泌が増え、最終身長が高くなるという方法は確立されていません。牛乳を飲む時刻にこだわるより、年齢に合った睡眠時間や生活リズムを確保しましょう。
牛乳の量を増やす前に、過去の身長を成長曲線に記録し、年間成長速度を確認しましょう。成長曲線上の位置が継続して下がる、身長の伸びが明らかに少ないなどの場合は、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価をご検討ください。
牛乳は、カルシウムやたんぱく質などを手軽に摂取できる食品です。
しかし、飲む量に比例して子どもの最終身長が高くなるわけではありません。
この記事の結論
「牛乳を何杯飲ませるか」だけでなく、お子様が必要な栄養を摂り、どのように成長しているかを確認することが大切です。
身長の伸びが明らかに少ない場合には、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討しましょう。
一方で、将来身長の目安を知りたい場合には、成長曲線や骨年齢などを参考にする身長予測シミュレーションも選択肢の一つです。
牛乳と豆乳の栄養の違いが気になる方へ
成長期の骨と栄養の関係を知りたい方へ
カルシウムや亜鉛などのサプリメントが気になる方へ
食事とあわせて睡眠習慣も見直したい方へ
SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。内科・救急科・整形外科などでの診療経験を経て、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として、一般整形外科や小児低身長に関する診療に携わっています。
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会、日本小児内分泌学会、日本成長学会に所属しています。
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