成長ホルモンを過剰摂取するとどうなる?過量投与の副作用・症状を解説 | SBC整形外科クリニック

成長ホルモンを過剰摂取するとどうなる?過量投与の副作用・症状を解説

「成長ホルモンは多く打った方が身長が伸びる?」
「間違えて多めに注射したらどうなる?」
「成長ホルモンを過剰に摂取すると危険?」

子どもの低身長治療について調べていると、
成長ホルモンは量を増やすほど効果が高くなるのではないか
と考える方もいるかもしれません。

成長ホルモンの量について疑問を持つ子どものイメージ

結論からいうと、
成長ホルモンは多ければ多いほどよいものではありません。

成長ホルモン製剤は、対象となる病気・使用する製剤・体重などに応じて投与量が定められている
処方箋医薬品
です。自己判断で投与量や回数を増やすことはできません。

まず知っておきたいポイント
✓ 成長ホルモンは飲む薬ではなく、基本的に注射で投与します
✓ 多く投与すれば、その分だけ身長が伸びるわけではありません
✓ 過量投与では血糖値が一時的に下がり、その後上昇することがあります
✓ 浮腫・頭痛・悪心・関節痛・耐糖能低下などの副作用があります
✓ 長期間の過量投与では先端巨大症様の症状が現れることがあります
✓ 投与量は疾患・製剤・体重などによって異なります
✓ 誤って多く注射した場合は自己判断せず、処方元の医療機関へ連絡します

成長ホルモンを過剰に投与するとどうなる?

一般的には「成長ホルモンの過剰摂取」と検索されることがありますが、成長ホルモン製剤は注射で使用するため、医学的には
「過量投与」「過剰投与」
と表現する方が適切です。

成長ホルモンは飲んでも同じ効果が得られる薬ではありません。
成長ホルモンはたんぱく質で、経口摂取すると消化管で分解されます。現在、有効性が認められている主な投与方法は注射です。

現在のソマトロピン製剤の電子添文には、
過量投与によって最初に血糖値が低下し、その後に血糖値が上昇することがある
と記載されています。

また、長期間にわたって過量投与した場合には、
先端巨大症にみられるような症状が現れる可能性
があります。

成長ホルモン治療で考えられる副作用・症状

成長ホルモン治療に使用するペン型注射器のイメージ

成長ホルモン製剤には、過量投与の場合だけではなく、適正量を使用している場合にも起こり得る副作用があります。

分類 症状・変化の例
血糖 耐糖能低下、血糖値上昇、糖尿病など
水分・むくみ 浮腫など
神経症状 頭痛、しびれ、手根管症候群など
頭蓋内圧亢進に伴う症状 視覚異常、頭痛、悪心、嘔吐など
筋肉・関節 関節痛、下肢痛、筋肉痛、四肢痛など
甲状腺 甲状腺機能低下症が現れたり、もともとの異常が明らかになったりすることがあります
注射部位 疼痛、発赤、硬結など


「適正量なら絶対に副作用が起こらない」という意味ではありません。


治療中は身長だけでなく、血液検査や体調の変化なども確認しながら継続します。

成長ホルモンを多く打つほど身長も伸びる?

「2倍投与すれば2倍身長が伸びる」という関係ではありません。

成長ホルモン治療の効果は、投与量だけで決まるものではありません。

治療効果に関係する主な要素
・低身長の原因となる疾患
・現在の年齢
・治療開始時の身長
・骨年齢・骨端線の状態
・思春期の進み具合
・治療前の成長速度
・体重
・治療への反応
・治療を継続できた期間

効果を高めるために自己判断で量を増やすのではなく、
治療効果と安全性の両方を確認しながら、医師が適切な量を設定すること
が重要です。

成長ホルモンが多すぎる病気|先端巨大症・巨人症とは?

子どもの身長を確認するイメージ

成長ホルモンが身体の中で病的に過剰分泌される病気として、
下垂体性成長ホルモン分泌亢進症
があります。

多くは下垂体にできる腫瘍などによって成長ホルモンが過剰に分泌されて起こります。

特徴
下垂体性巨人症 骨が成長している時期にGHが過剰となり、著しい身長の伸びなどがみられます
先端巨大症
(アクロメガリー)
手足・下顎・鼻・口唇などが徐々に大きくなるなどの特徴がみられます

そのほか、頭痛、視力・視野障害、多汗、高血圧、糖尿病、関節痛、手のしびれなどを伴う場合があります。

「長期間の薬の過量投与」と「下垂体の病気によるGH過剰」は同じ原因ではありません。
添付文書で「長期の過量投与により先端巨大症の症状が認められることがある」とされている一方、病気としての先端巨大症・巨人症は、主に下垂体からGHが過剰分泌されることで起こります。

成長ホルモンを間違えて多く注射したらどうする?

自宅で自己注射を行っていると、
「設定を間違えたかもしれない」「いつもの量より多く打ってしまった」
ということが起こる可能性があります。

間違えて投与した場合
1.追加で注射しない
2.薬剤名を確認する
3.本来の投与量と、実際に投与したと思われる量を確認する
4.注射した日時を確認する
5.処方を受けている医療機関へ連絡する

次回の量を自分で減らす、投与日を変更するなどの調整は自己判断では行わないでください。

意識状態の変化、強い頭痛、繰り返す嘔吐、視覚の異常など明らかな体調変化がある場合は、通常の問い合わせを待たず速やかに医療機関を受診してください。

子どもの成長ホルモン投与量はどうやって決まる?

元記事では、特定の疾患について
「○mg/kg/週」と計算し、1日の投与量まで具体的に算出
していました。

しかし現在は、成長ホルモン製剤にも複数の種類があり、対象となる疾患によって用法・用量も異なります。

投与量を決める際に関係するもの
・対象となる疾患
・使用する成長ホルモン製剤
・体重
・年齢・骨年齢
・治療への反応
・IGF-1などの検査結果
・副作用や身体の状態

インターネット上の計算式を使って、ご家庭で投与量を決めたり変更したりすることはできません。

糖尿病・腎臓病があると成長ホルモン治療はできない?

元記事では、
「糖尿病の患者には成長ホルモンを投与できない」「腎臓・心臓に病気がある場合は治療できないことがある」
とかなり一括りに説明していました。

現在は、疾患名だけで一律に「治療できない」と説明するのは適切ではありません。
使用する製剤の電子添文、低身長の原因疾患、基礎疾患の状態などを確認して医師が判断します。

例えば現在のソマトロピン製剤では、成長ホルモンによってインスリン感受性が低下し、血糖値が上昇することがあるため、
血糖値やHbA1cなどを定期的に確認する
よう定められている製剤があります。

また、慢性腎不全に伴う低身長そのものが成長ホルモン治療の適応となる製剤もあります。基礎疾患がある場合は、主治医へ必ず伝えたうえで治療の可否を判断します。

成長ホルモン治療中は「身長だけ」を見ればいい?

治療の目的は身長の伸びを確認することですが、安全に治療を継続するためには、
身長以外の項目も定期的に確認
します。

治療中に確認する項目の例
✓ 身長・成長速度
✓ 体重
✓ IGF-1
✓ 血糖・HbA1c
✓ 甲状腺機能
✓ 骨年齢・骨端線
✓ 頭痛・視覚異常などの症状
✓ 関節痛・脚の痛み・歩き方の変化
✓ 注射部位の状態

検査項目や検査頻度は、使用する製剤や治療内容、患者さんの状態によって異なります。

成長ホルモンについてあわせて知りたいこと

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成長ホルモンの過剰投与についてよくある質問

▼ Q. 成長ホルモンを過剰に摂取するとどうなりますか?
成長ホルモン製剤は注射で使用します。過量投与では、最初に血糖値が低下し、その後に上昇することがあります。また長期間の過量投与では、先端巨大症にみられるような症状が現れる可能性があります。

▼ Q. 成長ホルモンを多く注射すれば、その分身長も伸びますか?
いいえ。投与量と身長の伸びが単純に比例するわけではありません。必要以上の量を使用すると副作用のリスクを高める可能性があります。

▼ Q. 1回だけ多く注射してしまったら危険ですか?
実際の影響は製剤や投与量、体重などによって異なります。自己判断で次回量を調整せず、薬剤名・本来の量・実際に投与した量・日時を確認して、処方元の医療機関へ連絡してください。

▼ Q. 成長ホルモン治療には副作用がありますか?
あります。製剤によって異なりますが、浮腫、頭痛、関節痛・筋肉痛、注射部位反応、耐糖能低下、甲状腺機能への影響などが報告されています。

▼ Q. 成長ホルモンを多く使うと先端巨大症になりますか?
ソマトロピンの電子添文では、長期の過量投与によって先端巨大症の症状がみられることがあるとされています。ただし、病気としての先端巨大症は主に下垂体から成長ホルモンが病的に過剰分泌されることで起こるもので、原因は区別して考える必要があります。

▼ Q. 成長ホルモンは飲んでも効果がありますか?
現在、成長ホルモンを飲むことで注射と同じ治療効果を得る方法は認められていません。成長ホルモンはたんぱく質のため、経口摂取すると消化管で分解されます。

▼ Q. 糖尿病があると成長ホルモン治療は絶対にできませんか?
一律には言えません。使用する製剤や治療する疾患によって注意事項が異なります。成長ホルモンにはインスリン感受性を低下させる作用があるため、血糖値やHbA1cなどを確認しながら治療を判断します。

▼ Q. 成長ホルモンの量は家庭で計算できますか?
医師の処方量を変更することはできません。製剤・対象疾患・体重などによって用法・用量が異なるため、インターネット上の計算式を使って自己判断で増減しないでください。

まとめ|成長ホルモンは「多いほど伸びる」治療ではありません

✓ 成長ホルモン製剤は注射で投与する処方箋医薬品
✓ 必要以上に投与しても効果が単純に増えるわけではない
✓ 過量投与では血糖低下後に血糖上昇が起こることがある
✓ 浮腫・頭痛・関節痛・耐糖能低下などの副作用がある
✓ 長期間の過量投与では先端巨大症様の症状が現れることがある
✓ 投与量は疾患・製剤・体重などに応じて医師が決定する
✓ 間違えて多く投与した場合は自己判断で調整しない

成長ホルモン治療では、
「より多く投与すること」ではなく「必要な量を適切に使用すること」
が重要です。

治療中に気になる症状がある場合や、投与量を間違えた可能性がある場合は、ご自身で量を調整せず処方元の医療機関へご相談ください。

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監修医情報

SBC整形外科クリニック
西新宿本院院長

沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
SBC整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック SBC整形外科クリニック 西新宿本院
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師
医師紹介
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura
【所属学会】
  • 日本整形外科学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本四肢再建・創外固定学会
【経歴】
  • 2017年
    Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
  • 2018年
    東北大学医学部医学科 卒業
  • -
    湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
  • -
    スカイ整形外科クリニック
  • 2020年
    いわき市医療センター 整形外科
  • 2021年
    竹田綜合病院 整形外科
  • 2022年
    山形市立病院済生館 整形外科
    いしがみ整形外科クリニック
    西新宿整形外科クリニック
  • 2025年
    SBC整形外科クリニック 西新宿本院