「亜鉛を摂ると子どもの身長が伸びる?」「亜鉛が足りないと背が低くなる?」「成長期には亜鉛サプリを飲ませたほうがいい?」
子どもの身長が気になると、骨の成長に必要といわれる栄養素や、食事で補える成分について調べる方もいるでしょう。
亜鉛は、タンパク質やDNAの合成などに関わる必須ミネラルであり、子どもの正常な成長に欠かせません。
ただし、亜鉛をたくさん摂れば、それだけ身長が高くなるというわけではありません。
最初に結論|子どもの身長と亜鉛
亜鉛は成長に必要。しかし、多く摂れば背が伸びるわけではありません。
亜鉛不足によって成長が妨げられている場合、不足を適切に補うことで正常な成長を支えられる可能性があります。
一方、すでに必要な亜鉛を摂れている子どもに追加しても、最終身長がさらに高くなるという科学的根拠はありません。
日本小児内分泌学会も、亜鉛などの栄養素が不足していない子どもについて、サプリメントの追加摂取による成長促進を裏づける科学的データはないと説明しています。
この記事では、亜鉛と身長の関係、亜鉛不足のサイン、年齢別の必要量、亜鉛を多く含む食品、サプリメントの注意点について解説します。
さらに、食事を見直しても身長の伸びが心配な場合に、何を確認し、どこへ相談すればよいかも紹介します。
この記事でわかること
亜鉛は、子どもの身体が正常に成長するために必要なミネラルの一つです。
体内では、タンパク質やDNAの合成、細胞分裂、免疫機能、味覚など、さまざまな働きに関係しています。
子どもの身長が伸びるためには骨の成長が必要ですが、その過程でも多くの栄養素が使われています。
子どもの長い骨には、骨端線(こったんせん)と呼ばれる成長部分があります。
骨端線では軟骨細胞が増殖・成熟し、骨組織に置き換わることで骨が長さ方向に伸びていきます。
亜鉛は、身体の組織をつくるためのさまざまな反応に関わるため、成長期に不足しないことが重要です。
ただし、亜鉛を多く摂るほど骨端線の働きが強くなり、骨が長くなるという関係が証明されているわけではありません。
亜鉛が不足すると、食欲や身体の組織の形成などに影響し、子どもの成長が妨げられることがあります。
不足が確認された場合、適切な栄養補給や必要な治療によって、成長に不利な状態を改善することが重要です。
ただし、亜鉛を補えば必ず何cm伸びるというものではなく、成長への影響は不足の程度や期間、ほかの要因によって異なります。
亜鉛と身長の関係を比較
亜鉛が不足している場合
不足が成長に影響している可能性があり、原因に合わせて適切に補うことが重要です。
必要な対応:不足の原因確認・食事改善・必要に応じた治療
亜鉛が十分に足りている場合
さらに亜鉛を追加しても、最終身長が高くなるという効果は確立されていません。
必要な対応:生活全体と成長曲線・年間成長速度の確認
すでに必要な量の亜鉛を摂れている子どもが、身長を高くする目的で追加の亜鉛サプリメントを飲んでも、その効果は確立されていません。
子どもの身長には、遺伝的要因、思春期が始まる時期、ホルモン、骨の成熟状態、栄養や健康状態など、複数の要素が関係します。
「身長が伸びない=亜鉛不足」と決めつけないことが大切です。
関連記事:サプリを飲むと子どもの身長は伸びる?栄養素と効果を解説 →
亜鉛は重要な栄養素ですが、子ども全員が不足しているわけではありません。
不足が疑われるかどうかは、食事内容だけでなく、体調や成長の経過などを合わせて確認する必要があります。
亜鉛不足では、次のような症状がみられることがあります。
食欲の低下
食べる量が少なくなることがあります。
味覚の変化
味を感じにくい、味の感じ方が以前と違う場合があります。
皮膚症状・傷の治りにくさ
皮膚炎など、皮膚の健康に影響することがあります。
成長への影響
不足の程度や期間によっては、正常な発育が妨げられることがあります。
その他の変化
脱毛や免疫機能への影響などが現れる場合もあります。
ただし、これらの症状は亜鉛不足以外の原因でも起こります。
症状だけで亜鉛不足と診断したり、自己判断で大量の亜鉛を摂取したりすることは避けましょう。
食べられる食品が極端に限られている場合や、食事量そのものが少ない場合には、亜鉛を含む栄養素が不足する可能性があります。
例えば、次のような状況では栄養状態の確認が重要です。
一方で、スポーツをしていることや、加工食品を食べる機会があることだけで、亜鉛不足と判断することはできません。
食欲低下、偏食、体重の増えにくさ、成長の遅れなどが気になる場合は、小児科などで相談しましょう。
診察では、食生活や症状、身体所見、成長の経過などを確認し、必要に応じて血液検査などが検討されます。
亜鉛不足を自己判断しない
食欲が少ない、身長の伸びが悪いといった症状だけで亜鉛不足と決めつけることはできません。症状が続く場合は小児科などで原因を確認しましょう。
亜鉛の必要量は、年齢や性別によって異なります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、次のように1日当たりの亜鉛の推奨量が設定されています。
単位:mg/日。出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
推奨量の意味に注意
表の数字は「サプリで追加する量」ではありません。食事や飲料などから摂る量を含めた、1日全体の摂取量の目安です。
そのようなことはありません。
亜鉛の推奨量は年齢・性別によって異なり、すべての子どもに1日15mgを必要量として推奨するものではありません。
特に、小学校低学年の子どもに成人向けの亜鉛サプリメントを追加すると、必要量より多く摂取してしまうおそれがあります。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳未満の亜鉛について耐容上限量は設定されていません。
これは、どれだけ摂っても安全という意味ではありません。 耐容上限量を設定するための十分なデータが得られていないことによるものです。
子どもに亜鉛サプリメントを使用する場合は、年齢や食事内容、ほかのサプリメントとの重複などを確認し、必要に応じて医師・薬剤師に相談しましょう。
亜鉛は、肉や魚介類などに比較的多く含まれています。
成長期の子どもが毎日の食事で亜鉛を摂る際は、特定の食品だけに偏らず、普段の献立に取り入れやすい食材を組み合わせることが大切です。
亜鉛を含む主な食品
肉類
牛肉・豚肉・鶏肉・レバーなど
タンパク質も摂取でき、日常の主菜に取り入れやすい食品です。
魚介類
牡蠣・ホタテ・カニ・魚など
牡蠣は亜鉛を多く含む代表的な食品です。子どもには十分に加熱して提供しましょう。
卵・乳製品
卵・チーズ・牛乳・ヨーグルトなど
朝食や間食などにも組み合わせやすい食品です。
大豆製品・種実類
納豆・豆腐・高野豆腐・ナッツ類など
主菜や副菜などに取り入れられます。ナッツ類は年齢に応じて窒息・誤嚥のリスクにも注意が必要です。
亜鉛の摂取だけを目的とするのではなく、主食・主菜・副菜などを組み合わせてみましょう。
朝食の例
ごはん・納豆・卵料理・野菜・果物など
昼食の例
ごはん・肉や魚のおかず・野菜の副菜など
夕食の例
ごはん・牛肉や魚のおかず・豆腐や野菜の副菜など
間食の例
ヨーグルト・チーズなどを、食事量や年齢に応じて組み合わせる
実際に必要な食品の量は、お子様の年齢・体格・活動量などによって変わります。献立例は一例であり、この組み合わせだけで栄養がすべて満たされるという意味ではありません。
穀物や豆類などに含まれるフィチン酸は、亜鉛の吸収に影響することが知られています。
ただし、そのために穀物や豆類を避ける必要があるわけではありません。これらの食品には、食物繊維やタンパク質などの栄養上の利点もあります。
特定の成分を避けることだけに注目せず、食事全体のバランスを保つことを基本にしましょう。
子どもの成長に必要なのは亜鉛だけではありません。
タンパク質、鉄、カルシウム、ビタミンDなどの栄養素に加え、身体を動かすためのエネルギーも必要です。
特に食事量が少ない子どもや、運動量が多い子どもでは、亜鉛の摂取量だけでなく、1日の食事量そのものが足りているか確認することも大切です。
関連記事:子どもに亜鉛サプリは必要?食品とサプリの選び方 →
亜鉛は不足しないことが重要ですが、サプリメントで多量に摂ることが望ましいわけではありません。
特に子どもへの使用では、食事から摂る量も含めて考える必要があります。
亜鉛を過剰に摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲低下などの症状が現れる場合があります。
また、多量の亜鉛を長期間摂り続けると、銅の吸収が妨げられ、銅欠乏などを生じる可能性もあります。
身長のために亜鉛を増量し続けることは避けましょう。
亜鉛は単独のサプリメントだけでなく、マルチビタミン、成長期向けサプリメント、栄養補助食品、プロテインなどに含まれている場合があります。
複数の商品を使用している場合は、同じ成分を重複して摂取していないか確認しましょう。
「子ども向け」と表示されていても、成長への効果が保証されているわけではありません。
亜鉛不足が疑われる場合でも、必要な補充量は年齢や症状、食事の状態などによって異なります。
持病がある、薬を飲んでいる、食欲不振や体重減少が続いているなどの場合は、小児科の医師や薬剤師へ相談しましょう。
サプリメントを使う前の確認事項
「食事に気をつけているのに、身長があまり伸びない」と感じた場合、亜鉛だけが原因とは限りません。
まずは、これまでの身長の伸び方や身体の成長状態を確認することが重要です。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重の推移を記録するグラフです。
母子健康手帳や学校の健康診断結果などを参考に、過去の身長を確認できます。
重要なのは、現在の身長が同年代の平均より低いかどうかだけでなく、以前と比べて身長の伸び方が変化していないかを確認することです。
日本小児内分泌学会も、身長が気になる場合には、過去の記録を成長曲線に記入して確認することを勧めています。
年間成長速度とは、約1年間で身長が何cm伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前の身長:132.1cm
現在の身長:135.8cm
1年間に伸びた身長
3.7cm/年
ただし、年間3.7cmという数字だけで、正常か異常かを判断することはできません。
年齢や思春期の進み方によって成長速度は異なるため、過去2〜3年間の記録と合わせて考えます。
子どもの身長は、実際の年齢だけでなく、骨の成熟状態や思春期の進行によっても変化します。
骨年齢は、骨格がどの程度成熟しているかを示す指標です。一般的に手や手首のレントゲン画像などを参考に評価します。
同じ年齢でも、骨の成熟が比較的早い子どもと、ゆっくり進む子どもでは、今後の成長の見通しが異なる場合があります。
ただし、骨年齢だけで将来身長を確定することはできず、成長曲線や年間成長速度、思春期の状況なども合わせて考えます。
身長が気になるときに確認したいこと
1.現在の身長と成長曲線
2.過去1〜3年間の成長速度
3.思春期の進行状況
4.必要に応じた骨年齢などの評価
お子様の身長について相談する場合は、成長の遅れや病気が心配なのか、将来身長の目安を知りたいのかによって、適した相談先が異なります。
次のような場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討しましょう。
身長の伸びが少ない原因には、体質や栄養状態のほか、成長ホルモンや甲状腺ホルモンに関係する病気などが含まれる場合があります。
亜鉛サプリを追加するだけでは、こうした原因の確認や診断にはなりません。
「病気が心配というより、子どもはあと何cmくらい伸びるのか知りたい」「骨の成熟状態を確認したい」という場合は、将来身長を予測する方法があります。
当院では、現在の身長や成長記録、骨年齢などを参考に、将来身長の目安を予測する身長予測シミュレーションを行っています。
身長の相談先を整理
病気や亜鉛不足が心配
小児科・小児内分泌科などで必要な診察や検査を相談する
あと何cm伸びそうか知りたい
成長曲線や骨年齢を参考にする身長予測シミュレーションを検討する
当院の検査内容について、まず相談したい
平日限定の小児低身長無料カウンセリングを利用する
「亜鉛を多く摂らせたほうがいい?」「今の身長から、将来どのくらい伸びる可能性がある?」
こうした疑問がある場合は、栄養素だけではなく、お子様自身の成長記録や骨の成熟状態を確認することが一つの方法です。
当院では、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、身長予測シミュレーションをご案内しています。
成長曲線の確認
これまでの身長の記録から、お子様の成長の経過を確認します。
骨年齢・骨端線の状態
手のレントゲンなどを参考に、骨の成熟状態を評価します。
将来身長の予測
現在の身長や成長記録、骨の成熟状態などを踏まえ、将来身長の目安を説明します。
身長予測シミュレーション
15,270円 (税込)
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
想定所要時間
約30分
予約方法
完全予約制
実施院
西新宿本院・横浜駅前院
身長予測シミュレーションは自由診療です。結果は将来身長の目安であり、最終身長を確定・保証するものではありません。
病的な低身長の原因を調べる専門的な診断や、亜鉛欠乏症の確定診断を目的とした検査とは異なります。
お子様の将来身長を知りたい方へ
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6〜18歳対象/15,270円(税込)/完全予約制
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小児低身長 無料カウンセリング
料金:無料
実施日:平日限定
身長に関するお悩みや、当院の身長予測シミュレーションなどについてご相談いただけます。
小児低身長の無料カウンセリングをWEB予約する →※無料カウンセリングではレントゲン・採血などの検査は行いません。亜鉛欠乏症や低身長の原因疾患の確定診断を目的としたものではありません。
亜鉛を摂取することで何cm身長が伸びるかを予測することはできません。亜鉛不足がある場合は適切に補うことが重要ですが、不足していない子どもに亜鉛を追加しても、最終身長が高くなる効果は確立されていません。
あります。過剰摂取によって吐き気や腹痛などが現れる場合があり、多量摂取を続けると銅の吸収が妨げられることもあります。身長のために自己判断で大量摂取させないようにしましょう。
亜鉛の推奨量は学年ではなく年齢・性別によって異なります。2025年版の食事摂取基準では、10〜11歳は男子8.0mg/日、女子7.5mg/日です。これは食事などを含めた1日全体の摂取量の目安であり、サプリで追加する量ではありません。
必要に応じて血清亜鉛などの検査が検討されることがあります。ただし、検査値だけで判断するのではなく、症状、食事内容、基礎疾患などを合わせて医師が評価します。亜鉛不足が疑われる場合は小児科などでご相談ください。
牡蠣、牛肉、レバーなどは亜鉛を多く含む食品として知られています。日常の食事では肉や魚、卵、大豆製品などを組み合わせ、亜鉛だけでなくタンパク質やエネルギーなども十分に摂ることを意識しましょう。
成長曲線や年間成長速度を確認しましょう。以前と比べて身長の伸びが明らかに少なくなった場合や、成長曲線が継続して下向きに変化している場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討してください。
亜鉛は、タンパク質やDNAの合成、細胞分裂などに関わるミネラルで、子どもの正常な成長に欠かせません。
しかし、亜鉛を多く摂れば、それだけ身長が高くなるというわけではありません。
この記事の結論
亜鉛を増やすことだけに注目せず、お子様自身の栄養状態と身長の伸び方を確認することが重要です。
食事量や体調、成長の遅れなどが心配な場合は、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を検討しましょう。
一方、現在の骨年齢や将来身長の目安について知りたい場合は、当院の身長予測シミュレーションも選択肢の一つです。
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SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。救急科・整形外科などでの診療経験を積み、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として、一般整形外科や小児低身長に関する診療に携わっています。
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会などに所属しています。
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