「子どもの身長を伸ばすために亜鉛サプリを飲ませた方がよいのでは」「普段の食事だけで亜鉛が足りているか心配」と感じている保護者の方もいるでしょう。
亜鉛は、子どもの正常な成長や発育に必要な栄養素です。しかし、亜鉛が不足していない子どもにサプリメントを追加しても、最終的な身長が高くなることを保証するものではありません。
基本的には毎日の食事から摂取し、強い偏食や小食、持病などによって不足が疑われる場合に、医師や管理栄養士へ相談することが大切です。
この記事の結論
子ども用として販売されている亜鉛サプリメントであっても、すべての子どもに必要とは限りません。
普段から肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを含む食事がとれている場合は、自己判断で積極的に亜鉛サプリを追加する必要性は一般的に高くありません。
一方、強い偏食や食事制限がある、食事量が少ない、慢性的な下痢がある、消化器疾患があるなど、亜鉛不足のリスクが考えられる場合は、医療機関で相談したうえで補充を検討することがあります。
サプリメントは「食品」です
健康食品やサプリメントは、病気の診断や治療を目的とした医薬品とは異なります。「子ども用」「成長を応援」などと表示されていても、身長を伸ばす効果が医学的に保証されているわけではありません。
亜鉛は体内でつくることができない必須ミネラルの一つです。DNAやタンパク質の合成、細胞分裂、免疫機能、傷の修復、味覚の維持など、さまざまな体の働きに関係しています。
小児期や思春期は体の組織が活発につくられるため、成長に必要な量の亜鉛を摂取することが重要です。
亜鉛が不足すると、次のような症状が現れることがあります。
ただし、これらは亜鉛不足だけにみられる症状ではありません。症状だけを見て亜鉛不足と判断し、自己判断でサプリメントを増やすのは避けてください。
亜鉛は正常な成長に必要ですが、亜鉛サプリを飲めば、それだけで身長が高くなるわけではありません。
亜鉛が不足している子どもでは、不足を改善することによって正常な成長を支えられる可能性があります。しかし、すでに必要量を摂取できている子どもが、さらに亜鉛を追加した場合に最終身長が高くなるとは限りません。
日本小児内分泌学会も、「身長を伸ばす」と宣伝されているサプリメントについて、成長促進効果が科学的に明確になっていない製品があることへの注意を示しています。
身長には遺伝的要因のほか、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、思春期の進み方、骨の成熟度、栄養状態、睡眠、慢性疾患など、さまざまな要因が関係します。亜鉛だけに原因を求めないことが重要です。
子どもの身長や成長の仕組みについては、小児低身長プランのご案内もご覧ください。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で定められている、子どもの亜鉛推奨量は次のとおりです。
| 年齢 | 男子の推奨量 | 女子の推奨量 |
|---|---|---|
| 1~2歳 | 3.5mg/日 | 3.0mg/日 |
| 3~5歳 | 4.0mg/日 | 3.5mg/日 |
| 6~7歳 | 5.0mg/日 | 4.5mg/日 |
| 8~9歳 | 5.5mg/日 | 5.5mg/日 |
| 10~11歳 | 8.0mg/日 | 7.5mg/日 |
| 12~14歳 | 8.5mg/日 | 8.5mg/日 |
| 15~17歳 | 10.0mg/日 | 8.0mg/日 |
「推奨量=サプリで追加する量」ではありません
表の推奨量は、食事や飲料、サプリメントなどを含む1日全体の摂取量の目安です。例えば、10歳の男子に亜鉛サプリを毎日8mg追加するという意味ではありません。
日本人の食事摂取基準では、18歳未満の亜鉛の耐容上限量は設定されていません。ただし、これは「上限を気にせず摂取してよい」という意味ではなく、安全性を判断するための十分な根拠がないことによるものです。
乳児に亜鉛サプリメントを与える場合は、自己判断で使用せず、必ず小児科医などへ相談してください。
亜鉛は、肉類や魚介類を中心に、卵、乳製品、大豆製品、ナッツ類などにも含まれています。特定の食品だけに偏らず、複数の食品を組み合わせて摂取しましょう。
| 食品の種類 | 食品例 | 取り入れ方の例 |
|---|---|---|
| 肉類 | 牛肉、豚肉、鶏肉、レバー | 炒め物、カレー、そぼろ、肉団子 |
| 魚介類 | 牡蠣、ホタテ、カニ、魚 | 焼き魚、スープ、炊き込みご飯 |
| 卵・乳製品 | 卵、チーズ、牛乳、ヨーグルト | 卵焼き、オムレツ、間食 |
| 大豆製品 | 納豆、豆腐、高野豆腐、豆乳 | みそ汁、煮物、副菜 |
| 種実類 | アーモンド、カシューナッツ、ごま | 料理へのトッピングや間食 |
ナッツ類は、子どもの年齢や発達段階によって窒息や誤嚥の危険があります。小さな子どもには粒のまま与えず、ペーストや粉末など安全な形で取り入れてください。
亜鉛が多い食品だけを集中的に食べる必要はありません。主食・主菜・副菜を組み合わせ、成長期に必要なエネルギーと栄養素を不足させないことが重要です。
特に成長期には、亜鉛のほかにタンパク質、カルシウム、ビタミンD、鉄なども必要です。どれか一つの栄養素だけを増やすのではなく、食事全体を整えましょう。
次のような状況では、食事だけで必要量を摂取できていない可能性があります。
このような場合でも、まずは小児科、かかりつけ医、管理栄養士などへ相談してください。必要に応じて食事内容や血液検査などを確認し、医薬品やサプリメントによる補充が必要かを判断します。
亜鉛は、摂取量が多いほど体によい栄養素ではありません。短期間に多量に摂取すると、次のような症状が現れることがあります。
また、長期間にわたって過剰摂取すると、銅の吸収が妨げられ、銅不足や貧血、免疫機能への影響などが生じる可能性があります。
サプリメントを飲んだ後に吐き気や腹痛などが現れた場合は、使用を中止し、医療機関へ相談してください。
亜鉛は、単体の亜鉛サプリだけでなく、マルチビタミン・ミネラル、成長期向けサプリ、プロテイン、栄養補助食品などにも含まれていることがあります。
複数の商品を併用する場合は、それぞれの栄養成分表示を確認し、1日当たりの亜鉛量を合計してください。
成人向けの亜鉛サプリには、子どもの推奨量を上回る亜鉛が含まれていることがあります。錠剤を半分に割れば安全になるとも限りません。
使用する場合は、対象年齢、1回量、1日の回数、亜鉛の含有量を確認し、製品の表示に従ってください。
亜鉛サプリメントは、一部の抗菌薬や治療薬の吸収に影響することがあります。また、薬の種類によっては体内の亜鉛量に影響する場合もあります。
定期的に服用している薬がある場合は、亜鉛サプリを始める前に医師や薬剤師へ相談してください。受診時には、使用しているサプリメントの商品名や成分が分かるものを持参すると確認しやすくなります。
サプリメントを継続しているから安全とは限りません。数カ月以上使用する場合や、食事の代わりとして使用している場合は、医師や管理栄養士へ相談しましょう。
バランスのよい食事をとり、亜鉛を含む栄養素が不足していなくても、身長が伸びにくいことがあります。
子どもの身長を確認するときは、現在の身長だけでなく、これまでの身長と体重の推移を成長曲線に記録することが重要です。
医療機関への相談を検討したいサイン
低身長の原因には、体質や遺伝だけでなく、成長ホルモン分泌不全、甲状腺機能の異常、SGA性低身長症、慢性疾患、栄養状態などが関係している場合があります。
当院の子どもの低身長チェックでは、年齢・性別・現在の身長から、標準身長との位置関係を確認できます。ただし、チェック結果だけで病気や治療の必要性を診断するものではありません。
診察や検査の内容については、小児低身長プランをご確認ください。
すべての亜鉛サプリに共通する開始年齢はありません。商品によって対象年齢や含有量が異なります。
特に乳幼児や小学生に使用する場合は、自己判断で成人用製品を与えず、小児科医や薬剤師へ相談してください。
医師から必要性を説明されている場合を除き、漫然と長期間使用することはおすすめできません。
食事や他のサプリメントにも亜鉛が含まれているため、1日全体の摂取量を確認する必要があります。
亜鉛とタンパク質は正常な成長に必要ですが、両方をサプリメントで追加すれば身長が高くなるわけではありません。
食事で必要量を摂取できている場合、追加摂取によって身長がさらに伸びるとは限りません。運動量、食事量、体重、年齢などに合わせて食生活全体を考えることが重要です。
飲むだけで骨を長くし、最終身長を高くすることが医学的に保証された一般向けサプリメントはありません。
身長の伸びが気になる場合は、サプリメントを探す前に、成長曲線や1年間の成長速度、思春期の進行、骨年齢などを確認することが重要です。
数日間の食事だけで判断するのは困難です。普段食べている食品や食事量、体重の変化、偏食の程度などを確認します。
不足が疑われる場合は、医師や管理栄養士へ相談し、必要に応じて診察や検査を受けてください。
亜鉛は、子どもの正常な成長や発育に必要な栄養素です。ただし、亜鉛が不足していない子どもにサプリメントを追加しても、最終身長が高くなることを保証するものではありません。
基本的には、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを含むバランスのよい食事から摂取しましょう。
強い偏食や小食、慢性的な消化器症状などがあり、亜鉛不足が心配な場合は、自己判断で成人用サプリを与えず、医師や管理栄養士へ相談してください。
また、子どもの身長が伸びにくい場合は、亜鉛の摂取量だけでなく、過去からの成長曲線、1年間の成長速度、思春期の進み方などを確認することが大切です。
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