「ぶら下がり健康器で身長は伸びる?」「鉄棒や懸垂を毎日すると背が高くなる?」「子どもは何分ぶら下がればいい?」
身長を伸ばす方法を調べていると、ぶら下がり健康器や鉄棒を使った運動が紹介されることがあります。
しかし、ぶら下がり運動によって骨が長く成長し、最終身長が高くなるという医学的な根拠は確立されていません。
最初に結論|ぶら下がり健康器と身長
ぶら下がって身体を伸ばしても、骨そのものが長くなるわけではありません。
運動後に背が伸びたように感じる場合は、姿勢の変化や測定条件などが関係している可能性があります。
成長期の身長を考えるときは、一時的な身長の変化と、骨端線で起こる骨の成長を区別することが重要です。
ぶら下がり健康器や鉄棒を運動として楽しむこと自体が悪いわけではありません。ただし、子どもが使用する場合には、落下や肩・肘などへの負担に注意が必要です。
この記事では、ぶら下がり健康器・懸垂・鉄棒と身長の関係、背が伸びたように感じる理由、子どもの安全な運動、成長曲線の確認方法を整形外科の視点から解説します。
ぶら下がり健康器で身長を伸ばせるという話は昔から知られていますが、最終身長を高くできるという十分な医学的根拠はありません。
ぶら下がると身体に引っ張る力が加わります。しかし、身体を引っ張ることと、骨が長さ方向に成長することは異なります。
毎日ぶら下がり運動をしても、それによって骨が長くなるとは確認されていません。
成長期の子どもは自然に身長が伸びるため、ぶら下がりを始めたあとに背が高くなったとしても、その変化が運動によるものとは判断できません。
特に小学生・中学生では思春期の成長スパートが起こることもあるため、運動の開始時期と身長の伸びが重なる場合があります。
身長を伸ばすために、1日何分ぶら下がればよいという基準はありません。
「1日30秒」「毎日3分」「1日10分」などの方法を行っても、骨の成長を促進できると示されたわけではありません。
長くぶら下がれば身長が伸びるという関係はないため、身長を目的に運動時間を増やす必要はありません。
成長期の骨にある骨端線が閉鎖すると、その骨が長さ方向に伸びる成長は原則として終了します。
骨端線が完全に閉じたあとに、ぶら下がり健康器や懸垂によって骨を長くすることはできません。
ただし、姿勢や椎間板の状態などによって、身長の見た目や測定値が一時的に変化する場合はあります。
「ぶら下がったあと、少し背が高くなった気がする」という経験をする方もいるでしょう。
こうした感覚には、骨の成長とは異なる理由が考えられます。
猫背で背中を丸めた姿勢と、自然に背筋を伸ばした姿勢では、見た目の身長や身長計の数値が変わる場合があります。
例えば、普段より背筋を伸ばして立つことで、以前より背が高く見えることがあります。
ただし、これは骨自体が長く成長したわけではありません。
また、ぶら下がり健康器を使用すれば必ず姿勢が改善するというものでもなく、姿勢には筋力や柔軟性、日常的な身体の使い方などが関係しています。
背骨は複数の椎骨が連なっており、その間には椎間板(ついかんばん)というクッションのような組織があります。
椎間板には水分が含まれており、身体にかかる荷重や時間帯によって、その高さや体積が変化します。
例えば、朝と夕方で身長を測ると、数値が異なる場合があります。
朝・起床後
睡眠中は背骨にかかる荷重が減るため、椎間板の水分状態が変化し、夕方より身長が高く測定される場合があります。
日中・夕方
立つ・座るなどの日常生活で背骨に荷重がかかり、朝より身長が低く測定される場合があります。
実際に、成人を対象とした腰椎牽引の研究では、牽引直後に測定した身長がわずかに増加し、その変化が短時間で消失したことが報告されています。
ただし、これは医療用の機械的牽引に関する成人の研究であり、子どもがぶら下がり健康器を使用した場合の効果を示すものではありません。
一時的な測定値の変化と、骨が成長して最終身長が高くなることは別です。
身長は、測定時の姿勢、頭の向き、かかとの位置、測定器具などによって数値が変化することがあります。
運動前と運動後で身長がわずかに違っても、ぶら下がり健康器によって身長が伸びたとは限りません。
運動の効果を確認するために毎日測定するよりも、同じ条件で一定期間ごとに身長を記録し、実際の成長の経過を把握することが大切です。
一時的な変化と最終身長は別
姿勢や椎間板によって身長の測定値が変わることはあっても、ぶら下がりで骨が長く成長するとはいえません。
なぜ、身体を伸ばしても骨が長くならないのでしょうか。
その理由を理解するには、子どもの身長が伸びる仕組みを知る必要があります。
成長期の長い骨には、骨端線(こったんせん)と呼ばれる軟骨組織があります。
骨端線は成長板とも呼ばれ、軟骨細胞が増殖・成熟し、骨に置き換わることで骨が長さ方向に成長します。
骨端線での成長には、成長ホルモン、IGF-1、甲状腺ホルモン、性ホルモン、栄養状態などの要因が関係しています。
しかし、ぶら下がり健康器によって骨や関節を引っ張ると、骨端線の軟骨細胞が増殖し、最終身長が高くなるという効果は確認されていません。
運動をすると、成長ホルモンの分泌が一時的に変化する場合があります。
ただし、運動後に成長ホルモンが増えたことと、最終身長が高くなることは同じではありません。
そのため、「懸垂をすると成長ホルモンが増えるから背が伸びる」「ぶら下がり運動を続ければ成長ホルモンが多く分泌される」と単純に結びつけることはできません。
思春期が進んで骨の成熟が進むと、骨端線は徐々に閉鎖へ向かいます。
骨端線が完全に閉鎖したあとに、ぶら下がりやストレッチで再び骨端線を開き、骨を長く成長させることはできません。
また、骨端線が閉じる時期には個人差があるため、年齢だけで成長終了を判断することも適切ではありません。
関連記事:ストレッチで骨端線は刺激できる?身長への影響・成長期の運動を解説 →
ぶら下がり健康器だけでなく、鉄棒や懸垂をすると背が高くなると聞いたことがある方もいるでしょう。
しかし、これらも最終身長を高くする方法として医学的に確立されているわけではありません。
鉄棒や懸垂は、上半身の筋力、握力、身体の操作能力などを使う運動です。
適切に行えば、筋力や運動能力を高める身体活動の一つとなります。
ただし、筋力がつくことと骨が長く伸びることは異なります。懸垂の回数が増えたからといって、最終身長が高くなるわけではありません。
反対に、「筋力トレーニングをすると身長が伸びなくなる」という噂もあります。
米国小児科学会(AAP)は、適切に計画され、安全な指導のもとで行う筋力トレーニングが、子どもの骨端線や身長の成長に悪影響を及ぼすことは確認されていないと説明しています。
ただし、これは無理な負荷をかけても安全という意味ではありません。
年齢・体力に合わない運動や、不適切なフォームによってけがにつながる可能性があるため、適切な負荷や安全管理が大切です。
家庭用のぶら下がり健康器には、大人向けに作られた製品もあります。子どもが使う場合は、次の点に注意しましょう。
筋力や握力が十分でない子どもでは、突然手が離れて落下する危険があります。
身長を伸ばすために長時間ぶら下がる必要はありません。運動として取り入れる場合でも、安全を最優先にしてください。
無理なぶら下がりは避けましょう
痛みを我慢してぶら下がる、長時間続ける、高い位置から飛び降りるなどの行為は、けがにつながる可能性があります。特に肩・肘・手首の痛みがある場合は、運動を中止し、必要に応じて整形外科へ相談しましょう。
ぶら下がり健康器を使わなくても、日常生活で姿勢や身体の柔軟性を意識することはできます。
ストレッチは筋肉の柔軟性を高めたり、関節を動かしやすくしたりする目的で取り入れられます。
ただし、ストレッチで骨を長くしたり、最終身長を高くしたりする効果は確立されていません。
日常生活では、次のような点を意識してみましょう。
以前の記事では、腹筋や背筋を鍛えるために身体を大きく反らせる運動も紹介されていました。
しかし、腰を強く反らせたり、首を無理に持ち上げたりする必要はありません。年齢や身体の状態に合わせて、無理なく取り組める運動を選びましょう。
また、姿勢が気になる場合でも、背中や腰に痛みがある、左右の肩の高さが大きく違う、背骨の曲がりが目立つなどの場合には、自己判断でストレッチを続けず、整形外科へ相談することを検討してください。
子どもの成長には、遺伝やホルモン、思春期の進行、栄養状態など、さまざまな要因が関係しています。
特定の健康器具だけに頼るよりも、日常生活で必要な食事・睡眠・身体活動を確保することが大切です。
日常的な身体活動は、筋肉や骨の健康、体力づくりなどに役立ちます。
鉄棒、球技、外遊び、水泳など、お子様が年齢や体力に応じて楽しめる活動を取り入れましょう。
ただし、特定のスポーツをすれば必ず身長が伸びるというものではありません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間を参考に、睡眠時間を確保することが推奨されています。
睡眠は成長期の健康に重要ですが、長く眠れば眠るほど最終身長が高くなるというわけではありません。
学校や部活動、塾などの生活に合わせて、無理のない睡眠習慣を整えましょう。
成長期には、十分なエネルギーと、たんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンDなどの栄養素が必要です。
特にスポーツをしているお子様では、運動量に見合う食事が摂れているか確認することが大切です。
特定の栄養素を大量に摂ったり、サプリメントを追加したりするだけで、最終身長が高くなるとはいえません。
成長期の栄養や生活習慣を考える際は、身長だけでなく、体重の変化や健康状態も確認しましょう。
「毎日運動しているのに身長が伸びない」「周りの子と比べて小さい気がする」という場合、まず確認したいのは成長曲線と年間成長速度です。
現在の身長だけでなく、過去からどのように伸びてきたかを確認することが大切です。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重の変化を記録したグラフです。
母子健康手帳や学校の健康診断結果などを参考に、これまでの身長を記録してみましょう。
日本小児内分泌学会では、身長が気になる場合に成長曲線を作成し、成長のパターンを確認することを勧めています。
例えば、もともと小柄でも同じ成長曲線に沿って伸びている場合と、途中から成長曲線上の位置が継続して下がっている場合では、確認すべきことが異なります。
年間成長速度は、おおむね1年間で何cm身長が伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前の身長:140.0cm
現在の身長:145.5cm
1年間に伸びた身長
5.5cm/年
ただし、年間5.5cm伸びたという数字だけで、正常か異常かを判断できるわけではありません。
身長の伸び方は年齢や思春期の進行によって変化するため、以前の成長速度と比較することが大切です。
同じ年齢でも、思春期が始まる時期や骨の成熟速度には個人差があります。
骨年齢は、骨格がどの程度成熟しているかを示す指標で、一般的に手や手首のレントゲン画像などを参考に評価します。
骨年齢だけで最終身長を確定することはできませんが、成長曲線や年間成長速度などと合わせて、今後の成長を考える参考になります。
関連記事:成長スパートはいつ?年齢別の身長の伸び方と男子・女子の違い →
ぶら下がり健康器を使っても身長が伸びないこと自体は、病気を意味するものではありません。
しかし、成長曲線や年間成長速度に気になる変化がある場合は、成長障害などの可能性も含めて確認する必要があります。
こうした場合は、運動やサプリメントで様子を見るだけでなく、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を検討しましょう。
「病気の心配というより、あと何cm伸びる可能性があるのか知りたい」という方もいるでしょう。
その場合は、成長曲線や骨年齢、ご両親の身長などを参考にする身長予測という方法があります。
成長障害や病気が心配
小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討します。
将来身長の目安を知りたい
成長曲線や骨年齢などを参考にする身長予測を検討します。
ぶら下がり健康器を使うだけでは、将来身長や残りの成長余地を予測することはできません。
SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、将来身長の目安を確認する身長予測シミュレーションをご案内しています。
お子様の現在の身長、過去の成長記録、ご両親の身長、骨の成熟状態などを参考に、将来身長の目安を予測します。
公式ページでは、成長曲線の確認、レントゲンによる骨年齢の評価、予測身長の結果説明などが案内されています。
また、採血や栄養指導についても案内されています。検査内容や実施時期の詳細はご予約時にご確認ください。
身長予測シミュレーション
15,270円(税込)
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
所要時間の目安
約30分
予約方法
完全予約制
実施院
西新宿本院・横浜駅前院
身長予測シミュレーションは自由診療です。予測結果は将来身長の目安であり、最終身長を確定・保証するものではありません。
また、病的な低身長や成長ホルモン分泌不全症などを確定診断するための専門検査とは目的が異なります。
将来身長が気になる方へ
健康器具では分からない、お子様自身の成長曲線と骨年齢を確認してみませんか。
6〜18歳対象/15,270円(税込)/完全予約制
検査を受けるか迷っている方には、平日限定の小児低身長無料カウンセリングもご案内しています。無料カウンセリングではレントゲン・採血などの検査は行いません。
1日30秒ぶら下がることで骨が長く成長し、最終身長が高くなるという医学的根拠はありません。運動時間を増やしても身長の伸びが保証されるものではありません。
運動によって成長ホルモンの分泌が一時的に変化することはあります。ただし、それによって最終身長が高くなるとは確認されていません。特定の運動だけで成長ホルモンの分泌や最終身長を調整することはできません。
測定時の姿勢や条件などによる変化が考えられます。また、椎間板の状態には日内変動があります。ただし、ぶら下がりによって骨が長く成長したとは判断できません。
使用する器具の仕様や子どもの体格、運動能力などによって異なります。家庭用のぶら下がり健康器には大人向け製品もあるため、対象年齢や耐荷重を確認し、落下や関節への負担に注意してください。痛みがある場合は使用を中止しましょう。
身長の伸び方には個人差があります。ただし、成長曲線上の位置が継続して下がる、年間成長速度が明らかに低下している、思春期の進行が著しく早い・遅いなどの場合は、小児科・小児内分泌科などへの相談を検討してください。
ぶら下がり健康器や鉄棒、懸垂は、身体を動かす運動の一つとして取り入れられる場合があります。
しかし、これらの運動によって骨が長く成長し、最終身長が高くなるという十分な医学的根拠はありません。
この記事の結論
「何分ぶら下がれば身長が伸びる?」と考えるよりも、お子様自身がどのように成長しているかを確認することが大切です。
成長速度の低下や思春期の進行に心配がある場合は、小児科・小児内分泌科などへの相談を検討しましょう。
一方、将来身長の目安を知りたい場合には、成長曲線や骨年齢を参考にする身長予測シミュレーションも選択肢の一つです。
医療用の牽引機と身長の関係が気になる方へ
柔軟運動と骨の成長の違いを知りたい方へ
男子・女子の成長ピークが気になる方へ
残りの成長余地が気になる方へ
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。救急科・内科・整形外科などでの診療経験を経て、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として、一般整形外科や小児低身長に関する診療に携わっています。
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会所属。
医師紹介を見る →SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、お子様の将来身長の目安を知りたい方に、身長予測シミュレーションをご案内しています。
平日限定の小児低身長無料カウンセリングもあります。
ただし、成長障害などの病気が疑われる場合は、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を優先してください。
東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」から徒歩2分、JR「新宿駅」から徒歩7分の整形外科クリニックです。
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 西新宿大京ビル7階 |
|---|---|
| アクセス | 西新宿駅 徒歩2分 新宿駅 徒歩7分 都庁前駅 徒歩7分 |
| 診療時間 | 全日 9:15〜18:00 |
| 最終受付 | 平日・土曜 17:00 日曜・祝日 16:00 |
| 予約制度 | 平日 予約優先制 土日祝 完全予約制 |
| 電話番号 | 0120-962-992 |
横浜駅から徒歩3分、横浜天理ビル11階にあります。横浜駅西口ジョイナス地下街からアクセスできます。
| 所在地 | 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-4-1 横浜天理ビル11階 |
|---|---|
| アクセス | 横浜駅 徒歩3分 横浜駅西口ジョイナス地下街直結 |
| 診療時間 | 全日 9:15〜18:00 |
| 最終受付 | 17:00 |
| 予約制度 | 平日 予約優先制 土日祝 完全予約制 |
| 電話番号 | 0120-003-943 |
※お子様の受診時には親権者の同伴条件について事前にご確認ください。身長予測シミュレーションは自由診療です。無料カウンセリングは平日限定で、レントゲン・採血などの検査は行いません。診療内容・料金・診療時間・予約条件などは変更される場合があります。