骨端線を骨折するとどうなる?子どもの身長への影響と後遺症・受診目安
「子どもが転んで手首を痛めた」「骨端線を骨折したと言われたけれど、身長は伸びる?」「骨折が治ったあとに後遺症が出ないか心配」
成長期の子どもの骨には、大人の成熟した骨にはない骨端線(こったんせん)という成長部分があります。
この部分を骨折すると、将来の身長や手足の成長に影響が出るのではないかと不安になるかもしれません。
まず知っておきたい結論
骨端線を骨折しても、必ず身長が止まるわけではありません。
多くの骨端線骨折は適切な治療によって大きな問題なく治ります。ただし、一部では損傷した骨の成長が妨げられ、左右の長さの差や骨の変形が生じる場合があります。
重要なのは、早期の診察・適切な治療・必要な経過観察です。
子どもの骨折は、腫れや変形が目立たず、捻挫のように見えることもあります。
この記事では、骨端線骨折が身長に及ぼす影響、後遺症、骨折の種類、治療方法、受診の目安を医学的に解説します。
骨端線とは、成長期の子どもの骨の端付近に存在する軟骨性の組織です。医学的には成長板(growth plate)や成長軟骨板とも呼ばれます。
大腿骨や脛骨、橈骨などの長い骨では、この成長板で軟骨細胞が増殖・成熟し、軟骨が骨に置き換わることで、骨が長さ方向に成長していきます。
成長期の骨端線は、成熟した骨とは構造が異なり、外からの力によって損傷を受けることがあります。
例えば、次のような場面です。
骨端線を含む骨折を骨端線骨折(成長板骨折)といいます。
手首・足首・膝周辺などに発生することがあり、骨折した場所によって治療方法や将来への影響が異なります。
骨端線骨折による身長への影響は、骨折した場所や損傷の程度などによって異なります。
多くの場合、適切な治療によって骨折が治り、その後も骨の成長が続きます。
身長への影響で重要なこと
骨端線骨折によって起こり得るのは、主に損傷した骨の局所的な成長障害です。
骨端線骨折によって、身体全体の骨端線が一斉に閉じるわけではありません。
損傷した成長板の全体で骨の伸びが止まると、その骨が反対側の同じ骨より短くなる可能性があります。
例えば脚の骨で成長障害が起こると、成長とともに左右の脚の長さに差が生じることがあります。
骨端線の一部で成長が止まり、残りの部分だけ成長を続けると、骨が徐々に曲がるなどの変形が生じる場合があります。
骨の向きが変わることで、関節の動きや手足の使い方に影響する可能性もあります。
手首周辺にある橈骨や尺骨の成長板を損傷すると、骨の長さのバランスが変化し、手首の形に左右差が出ることがあります。
ただし、すべての手首の骨端線骨折で後遺症が出るわけではありません。
大腿骨や脛骨など、脚の長さに関わる骨の成長板が損傷すると、脚長差や脚の変形につながる場合があります。
特に膝周辺の骨端線骨折では、成長障害のリスクを考慮した慎重な診察と経過観察が重要です。
後遺症の有無は骨折の部位や状態で異なります
将来への影響は、損傷した骨・骨折の種類・骨のずれ・年齢・残された成長期間などを踏まえて評価します。骨端線骨折をしたからといって、必ず身長や手足の長さに影響するわけではありません。
骨端線骨折では、一般的な骨折と同様に痛みや腫れが生じることがあります。
ただし、子どもの骨折では変形が目立たなかったり、腫れが少なかったりすることもあります。
歩けることや、関節を動かせることだけで骨折を否定することはできません。
骨折の位置やずれの程度によっては、ある程度動かせる場合があります。反対に、強い捻挫でも痛くて歩けなくなることがあります。
「歩けるから大丈夫」は禁物です
子どもが痛みを訴えたり、手足を普段どおり使えなかったりする場合は、捻挫だと自己判断せず、整形外科での確認を検討してください。
骨折しているか確認するために、痛みを我慢して何度も手足を動かす必要はありません。
強く押す、無理に曲げ伸ばしする、自分で関節や骨の位置を戻そうとする行為は避けてください。
けがをした部位は痛みの少ない位置で支え、必要に応じて医療機関で診察を受けましょう。
骨端線骨折が疑われる場合は、受傷した状況や痛む場所などを確認し、必要に応じてレントゲン検査を行います。
レントゲンでは、骨折した位置や骨のずれ、関節への影響などを確認します。
成長期の骨では、軟骨性の成長板に相当する部分が、レントゲン上ですき間のように見えることがあります。
骨端線は軟骨を含むため、骨折の種類によっては初回のレントゲンで明らかな骨折線が確認できないことがあります。
特に骨のずれが少ない骨端線損傷では、画像だけでは判断しにくい場合があります。
初回のレントゲンで骨折が見つからなくても、骨端線損傷を完全には否定できません。
医師は痛みの場所や受傷状況などを合わせて評価し、必要に応じて固定・再診・追加検査を検討します。
骨折の状態を詳しく調べる場合にはCT、骨端線や周囲の軟部組織などを詳しく評価する場合にはMRIが検討されることがあります。
ただし、すべての子どもにCTやMRIが必要なわけではありません。検査の必要性は診察結果に基づいて判断します。
当院には院内CT・MRI設備はありません。さらに詳しい検査や専門的な治療が必要な場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
骨端線骨折を分類する代表的な方法に、Salter-Harris(ソルター・ハリス)分類があります。
骨折線が骨端線、骨幹端、骨端などのどこを通っているかによって、主に5つのタイプに分けます。
Ⅰ型|骨端線に沿った骨折
主に骨端線を通るタイプです。
Ⅱ型|骨幹端にも及ぶ骨折
骨端線から骨幹端側へ骨折線が及ぶタイプで、比較的よくみられます。
Ⅲ型|骨端・関節面に及ぶ骨折
骨端線から骨端側へ骨折線が及び、関節面に達するタイプです。
Ⅳ型|骨端線を横切る骨折
骨幹端から骨端線を越え、骨端・関節面まで骨折線が及ぶタイプです。
Ⅴ型|骨端線の圧迫損傷
強い圧迫によって骨端線が損傷する、まれなタイプです。
一般的に、骨折の種類や損傷の程度により成長障害のリスクは異なります。
ただし、「Ⅰ型・Ⅱ型なら絶対に後遺症は出ない」「Ⅳ型・Ⅴ型なら必ず成長が止まる」というものではありません。
分類で分かること・分からないこと
分類は治療方針を考える材料の一つですが、後遺症の有無を分類名だけで確定することはできません。 骨折した部位やずれ、残された成長期間なども踏まえて判断します。
骨端線骨折の治療方法は、損傷した場所や骨折の種類、骨のずれなどによって異なります。
骨折部が比較的安定している場合は、ギプスやシーネなどで固定し、骨の治癒を待つ保存療法が検討されます。
固定中も骨の位置が変わっていないか確認するため、定期的な診察が必要になる場合があります。
骨がずれている場合は、適切な位置へ戻す「整復」が必要になることがあります。
不安定な骨折や、関節面への影響が大きい骨折などでは手術を検討する場合もあります。
症状が強い場合や骨折が疑われる場合は、応急処置だけで様子を見続けず、医療機関での診察を受けましょう。
骨端線骨折では、骨折部が治って痛みがなくなっても、その後の成長に問題が起きていないか確認する必要がある場合があります。
成長障害が起こると、子どもが成長するにつれて、骨の左右差や変形が徐々に目立つことがあります。
これらの変化が必ず骨端線損傷によるものとは限りませんが、気になる場合は骨折を治療した医療機関へ相談しましょう。
骨端線骨折では、骨折の治癒と、その後の骨の成長が正常に続いていることは別々に確認する必要がある場合があります。
成長障害のリスクがある場合には、骨折が治ったあとも定期的な経過観察が勧められます。必要な期間は骨折の部位や程度によって異なり、1年以上、あるいは骨格が成熟するまで経過を確認する場合もあります。
痛みがなくなっても、再診の指示があれば受診を
担当医から経過観察を案内されている場合は、痛みがなくなったからといって自己判断で通院を中断しないようにしましょう。
子どもの骨端線損傷は、家庭で正確に見分けることができません。
転倒やスポーツで手足を痛めたあと、腫れや痛み、手足の使いにくさなどがある場合は、整形外科での診察を検討してください。
次の症状では通常の外来予約を待たないでください
速やかに救急対応可能な医療機関へ相談してください。重症で移動が困難な場合などは119番を検討してください。
骨折・捻挫・打撲など、骨や関節のけがは整形外科が受診先となります。
骨端線を含む骨折では、成長期の骨の特徴を踏まえた診察が必要です。手術や専門的な治療、長期的な成長障害の評価が必要な場合には、小児整形外科などへの紹介が検討されます。
新宿・横浜|子どもの骨折・けがの相談
骨折か分からない段階でも、受診先へご相談ください。
SBC整形外科クリニックでは一般整形外科の保険診療を行っています。小児の骨折については、症状や年齢、対応可能な診療内容を事前に確認し、必要に応じて専門医療機関への紹介を検討します。
18歳未満の患者様は、事前に電話でご相談のうえ、親権者同伴でご来院ください。
西新宿本院へ電話する|0120-962-992 → 横浜駅前院へ電話する|0120-003-943 →※症状によっては院内で対応できない場合があります。緊急性の高い外傷は救急医療機関を優先してください。
「骨端線を骨折したから、子どもの身長そのものが伸びなくなるのでは?」と心配になる方もいるでしょう。
ただし、骨端線骨折による局所的な成長障害と、全身の身長の伸びが少ない低身長は、分けて考える必要があります。
骨折を治療した医療機関や小児整形外科などで、患部の成長状態を確認しましょう。
将来身長の予測だけで、骨端線骨折後の成長障害の有無を評価することはできません。
以前から身長の伸びが少ない場合は、成長曲線や年間成長速度を確認することが重要です。
成長曲線が継続して下がっている、身長が著しく低いなどの場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討しましょう。
一方で、骨折とは別に将来身長の目安を知りたい方には、当院の身長予測シミュレーションという選択肢があります。
将来身長の目安を知りたい方|身長予測シミュレーションのご案内 →
※身長予測シミュレーションは自由診療です。骨端線骨折の診断・治療・骨折後の経過観察の代わりにはなりません。
いいえ。多くの骨端線骨折は適切な治療によって大きな問題なく治ります。ただし、一部では損傷した骨の成長が妨げられ、左右差や変形が生じる場合があります。
骨折が治ったあとも、通常どおり成長する場合は多くあります。ただし、成長障害が起こることもあるため、骨折部位や状態に応じて経過観察が必要です。
骨のずれが少ない場合などは、初回のレントゲンで明らかな骨折線が確認できないことがあります。医師は痛みの場所や受傷状況も合わせて判断し、必要に応じて再評価を行います。
Ⅱ型でも、必ず後遺症がないとはいえません。骨折の部位やずれ、年齢、残された成長期間などによって経過は異なります。
骨端線骨折では、痛みがなくなってから成長障害が分かることもあります。担当医から経過観察を指示されている場合は、自己判断で通院を中断しないようにしましょう。
骨端線は、成長期の子どもの骨が長さ方向に伸びるために重要な組織です。
骨端線を骨折しても、必ず身長が伸びなくなるわけではありません。ただし、一部では骨の成長障害や左右差、変形が起こる可能性があります。
この記事の結論
骨端線骨折は、早く診断して適切に治療し、その後の骨の成長を確認することが重要です。
お子さまのけがが心配な場合は整形外科へ、骨折治療後の左右差や変形が心配な場合は担当医や小児整形外科へ相談しましょう。
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SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。救急科・整形外科などで診療経験を積み、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として一般整形外科診療や小児低身長に関する診療に携わっています。
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会などに所属しています。
医師紹介を見る →SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、骨折・捻挫・打撲などの一般整形外科診療を行っています。
お子さまの骨端線骨折が心配な場合は、受傷状況や症状に応じて診察・検査を検討し、専門的な治療が必要な場合は対応可能な医療機関への紹介を検討します。
18歳未満の患者様は事前に各院へお電話でご相談のうえ、親権者同伴でご来院ください。
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