「昼寝をすると子どもの身長は伸びる?」「夜に寝不足だった日は、昼寝をさせた方がいい?」「小学生や中学生が毎日昼寝をするのは大丈夫?」
「寝る子は育つ」という言葉があるため、お子様の身長が気になると、夜の睡眠だけでなく昼寝の時間も増やした方がよいのではと考える方もいるでしょう。
しかし、昼寝を増やすことで、子どもの最終身長が高くなるという医学的な効果は確立されていません。
最初に結論|昼寝と子どもの身長
身長のために昼寝を無理に増やす必要はありません。
睡眠は子どもの正常な成長や健康に重要ですが、「昼寝を長くするほど成長ホルモンが増え、身長も高くなる」という関係は証明されていません。
小学生・中学生では、まず夜を中心に必要な睡眠時間を確保することが基本です。
一時的に眠気が強い日に短く休むこと自体が問題というわけではありません。一方で、夕方から長時間眠り、その影響で夜に寝つけなくなる場合は、昼寝の時間帯や長さを見直す必要があります。
この記事では、小学生・中学生の昼寝の考え方、20〜30分という目安の意味、成長ホルモンとの関係、毎日眠い場合の受診目安、身長が伸びない場合の確認方法を解説します。
昼寝をしたから身長が高くなる、昼寝をしないから背が伸びにくくなるという医学的な決まりはありません。
睡眠は心身の休養や脳の働き、身体の発達などを支える大切な生活習慣です。しかし、子どもの身長は睡眠時間だけで決まるわけではありません。
身長の伸びには、主に次のような要因が関係しています。
そのため、昼寝の時間だけを増やすことよりも、毎日の睡眠・食事・身体活動などを含めて、子どもの健康な生活環境を整えることが大切です。
十分な睡眠が子どもの健康な発達に必要という意味では、睡眠を大切にする考え方は適切です。
ただし、「1時間多く寝れば身長が何cm高くなる」「毎日昼寝をすれば最終身長が高くなる」といった具体的な効果が保証されるわけではありません。
睡眠が不足している場合は、その不足を改善することに意味があります。一方、すでに十分な睡眠が取れている子どもに、身長を伸ばす目的でさらに昼寝を追加する必要はありません。
昼寝をしていないことだけで、身長が伸びにくくなるとはいえません。
幼児期には昼寝が1日の睡眠の一部になることがありますが、年齢が上がるにつれて昼寝の習慣は減っていきます。
昼寝をしなくても、夜に必要な睡眠時間を確保し、日中元気に過ごせているなら、身長のために無理に昼寝をさせる必要はありません。
子どもの睡眠について考えるときは、まず年齢に応じた睡眠時間の目安を確認しましょう。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。
年齢別|1日の睡眠時間の目安
小学生
9〜12時間
中学生・高校生
8〜10時間
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版
必要な睡眠時間には個人差があります。推奨時間の範囲であっても、日中に強い眠気が続いている場合は、睡眠時間や睡眠の質を確認することが重要です。
小学生では、基本的に夜を中心とした睡眠で必要な時間を確保することが推奨されます。
例えば、夜の睡眠が7時間しかないから、毎日昼寝を2時間追加すれば十分という単純な考え方は適切ではありません。
昼寝で一時的な眠気が和らぐことはありますが、昼寝によって夜の寝つきが悪くなる場合もあるためです。
中学生の推奨睡眠時間は8〜10時間です。そのため、毎日7時間程度の睡眠が続いている場合は、睡眠不足の可能性があります。
例えば、朝6時30分に起きる場合、夜22時30分に眠れれば8時間の睡眠時間になります。
ただし、寝つくまでの時間や途中で目が覚める時間もあるため、布団に入っている時間がそのまま睡眠時間になるとは限りません。
朝の起床時刻から逆算し、夜の予定やスマートフォンの使用時間などを調整することが大切です。
関連記事:思春期はなぜ眠い?中高生の眠気と睡眠時間を解説 →
「昼寝は20分がいい」「30分以上寝てはいけない」といった情報を見かけることがあります。
しかし、子どもの身長を伸ばすために、昼寝を必ず20〜30分行うという医学的な基準はありません。
前日に睡眠時間が短かった場合など、一時的に眠気があるときに短く休むことは選択肢の一つです。
ただし、小学生・中学生の全員に決まった昼寝時間を勧めるものではありません。
昼寝を取り入れる場合は、夜に寝つきにくくなっていないか、朝起きづらくなっていないかを確認しましょう。
昼寝をしても夜眠れている
必要に応じて短く休むことは考えられます。身長のためにさらに昼寝を延ばす必要はありません。
昼寝をすると夜なかなか眠れない
昼寝の長さや時間帯を見直し、夜の睡眠を優先しましょう。
毎日長い昼寝をしないと過ごせない
夜の睡眠不足や、日中の眠気の原因を確認する必要があります。
学校や部活動から帰宅したあと、疲れて夕方から長時間眠ってしまう子どももいます。
ただし、夕方に長く眠ることで夜の眠気が弱まり、就寝時刻が遅くなる場合があります。
その結果、翌朝は学校のために早起きしなければならず、睡眠不足が続く悪循環につながることもあります。
夕方に長く眠る場合の確認ポイント
帰宅後の眠気は、夜の睡眠不足によるものではないか
夕方の昼寝で就寝時刻が遅くなっていないか
昼寝がない休日も、日中に強い眠気が続いていないか
乳幼児期には、昼寝が1日の睡眠の一部として必要になることがあります。
一方、厚生労働省の睡眠ガイドでは、4〜5歳以降は昼寝の必要性が低下し、昼寝によって夜の寝つきや朝の目覚めに影響する可能性があると説明されています。
そのため、幼児期に昼寝していたからといって、小学生になっても必ず昼寝を続けなければいけないというわけではありません。
子どもの睡眠と身長が結びつけて語られる理由の一つに、成長ホルモンがあります。
成長ホルモンは脳の下垂体から分泌され、骨の成長や代謝などに関係しています。
成長ホルモンは、夜間だけに分泌されるわけではありません。
24時間を通して、分泌量が増えたり減ったりする「パルス状分泌」が特徴です。
睡眠中、特に深いノンレム睡眠と成長ホルモンの大きな分泌には時間的な関連がみられますが、分泌が起こる時刻や量は一定ではありません。
成長ホルモンは日中も分泌されます。また、睡眠と成長ホルモンの分泌には関係があります。
しかし、昼寝を追加したときにどの程度分泌が変化するか、またその変化が最終身長に影響するかは、簡単には判断できません。
一時的に成長ホルモンの分泌量が変化したとしても、そのことだけで成人時の身長が高くなるとはいえません。
「深く眠るほど成長ホルモンが増える」「睡眠を長くすれば比例して分泌量が増える」という単純な関係ではありません。
2022年に発表された思春期の子ども14人を対象とする研究では、睡眠中の深いノンレム睡眠を一時的に減らしても、成長ホルモン分泌の全体的な指標に明らかな低下は確認されませんでした。
この研究だけで慢性的な睡眠不足の影響まで否定することはできませんが、睡眠段階と成長ホルモンの関係が単純ではないことを示しています。
成長ホルモンについて知っておきたいこと
「昼寝を増やす → 成長ホルモンが増える → 身長が高くなる」とは断定できません。
関連記事:成長ホルモンは夜10時〜2時に出る?睡眠との関係 →
子どもの睡眠不足が気になる場合は、昼寝を増やす前に、夜の睡眠時間を確保できる生活になっているか確認しましょう。
毎日の起床時刻を大きく変えすぎないことは、生活リズムを整えるために役立ちます。
休日に昼まで寝てしまう生活が続く場合は、平日の睡眠時間が不足していないか確認することも重要です。
朝の光は、体内時計を整えるために重要な刺激です。
起床後にカーテンを開け、朝食を摂り、学校へ通うなど、日中の活動へ自然に切り替えられる生活を意識しましょう。
外遊びやスポーツなど、日中の身体活動は子どもの健康な発達を支えます。
身体を動かすことは睡眠習慣にも関係しますが、激しく運動するほど成長ホルモンが増え、身長が高くなるというものではありません。
お子様の体力や体調に合わせて、無理のない活動を取り入れましょう。
夜遅くまで動画を見たり、SNSやゲームを続けたりすると、就寝時刻が遅くなりやすくなります。
画面からの光や、動画・ゲームなどによる刺激が寝つきに影響することもあります。
就寝前の使用時間を決める、寝室にスマートフォンを持ち込まないなど、家族で続けられる工夫を考えましょう。
中学生・高校生では、部活動や塾、受験勉強などによって夜の睡眠時間が短くなることがあります。
帰宅後に毎日長い昼寝をしなければ疲れが取れない場合は、昼寝の時間だけでなく、活動量と夜の睡眠時間のバランスも見直しましょう。
無理な睡眠制限や過度な運動ではなく、健康を維持できる生活を優先することが大切です。
小学生以降で毎日のように帰宅後すぐ眠ってしまう場合や、学校で強い眠気が続く場合は、睡眠不足だけで説明できるか確認する必要があります。
思春期には体内時計が夜型にずれやすくなることがありますが、強い眠気をすべて「成長期だから」と考えることは適切ではありません。
日中の強い眠気には、睡眠不足のほか、睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒相後退障害、過眠症などが関係する場合があります。
また、貧血などの身体疾患や服用している薬、気分の変化などが影響することもあります。
症状だけで病名を判断せず、気になる状態が続く場合は、まずかかりつけの小児科などにご相談ください。
毎日の強い眠気を昼寝だけで対処しない
夜に十分寝ているのに強い眠気が続く場合や、学校生活に支障がある場合は、小児科などで原因を確認しましょう。睡眠障害の診断と、将来身長の予測は別の目的です。
「夜もよく眠っているし、昼寝もしている。それでも身長があまり伸びていない」
このような場合は、昼寝をさらに増やすより、実際の身長の伸び方を確認することが重要です。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重の推移を確認するためのグラフです。
学校の健康診断結果や母子健康手帳などに記録された身長を使い、お子様自身の成長の経過を確認しましょう。
大切なのは、現在の身長が平均より低いかどうかだけでなく、これまでの成長曲線に沿って身長が伸びているかを確認することです。
成長曲線で確認したい3つのこと
現在の身長
年齢・性別に対してどの位置にいるかを確認します。
過去の身長の伸び
1年前だけでなく、可能なら2〜3年前の記録も確認します。
成長曲線の変化
年齢が上がるにつれて、曲線上の位置が継続して下がっていないか確認します。
日本小児内分泌学会では、同性・同年齢の基準で−2SD以下を低身長の目安の一つとして説明しています。
ただし、−2SD以下だから必ず病気というわけではありません。また、−2SDより上でも成長曲線上の位置が継続して下がっている場合は、成長速度などの確認が必要です。
年間成長速度とは、約1年間で身長が何cm伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前:137cm
現在:141cm
1年間に伸びた身長
4cm/年
ただし、年間4cm伸びたという数字だけでは、正常か異常かは判断できません。
年齢や思春期の段階によって成長速度は変化するため、成長曲線と合わせて確認することが重要です。
関連記事:去年7cm伸びたのに今年3cmしか伸びていない|急に成長速度が落ちたら? →
子どもの身長の伸び方には、骨の成熟状態や思春期が始まる時期なども関係しています。
骨年齢は、骨格がどの程度成熟しているかを示す指標で、一般的には手や手首のレントゲン画像などを参考に評価します。
同じ年齢でも骨の成熟が進む速さには個人差があるため、身長の伸び方や今後の成長の見通しが異なることがあります。
ただし、骨年齢だけで最終身長を確定することはできません。成長曲線、年間成長速度、思春期の進行などを合わせて考える必要があります。
身長が−2SD以下、成長曲線が継続して下向きに変化している、以前より身長の伸びが明らかに少なくなった場合などは、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を検討しましょう。
睡眠だけでなく、栄養状態やホルモン、慢性的な病気などが関係している可能性もあります。昼寝を増やすだけで原因を確認することはできません。
「昼寝をもっとさせた方がいい?」「生活習慣には気をつけているけれど、あと何cmくらい伸びる可能性がある?」
こうした疑問がある場合は、睡眠時間だけでなく、お子様自身の成長記録や骨の成熟状態を確認することが将来身長を考える材料になります。
SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、身長予測シミュレーションをご案内しています。
お子様の現在の身長、これまでの成長記録、ご両親の身長、骨の成熟状態などを参考に、将来身長の目安を予測します。
成長曲線の確認
過去の身長記録から、これまでの成長の経過を確認します。
骨年齢の評価
手のレントゲン撮影などにより、骨の成熟状態を確認します。
将来身長の予測
成長記録や骨の成熟状態などを踏まえて、将来身長の目安を説明します。
身長予測シミュレーション
15,270円(税込)
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
所要時間の目安
約30分
予約方法
完全予約制
実施院
西新宿本院・横浜駅前院
身長予測シミュレーションは自由診療です。予測結果は将来身長の目安であり、最終身長を確定・保証するものではありません。
また、睡眠障害や病的な低身長の原因疾患を確定診断するための検査とは異なります。
「うちの子はあと何cm伸びそう?」と気になる方へ
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昼寝によって成長スパートを早められるという医学的な根拠はありません。成長スパートが起こる時期には個人差があり、思春期の進行やホルモン、骨の成熟状態などが関係します。
身長のために毎日20分昼寝するという医学的な基準はありません。夜に十分眠れていて日中元気に過ごしている場合は、無理に昼寝を習慣化する必要はありません。
1回の昼寝だけで問題があるとはいえません。ただし、長い昼寝によって夜の就寝時刻が遅くなる場合は、生活習慣の見直しが必要です。毎日強い眠気が続く場合は夜の睡眠時間や体調も確認しましょう。
睡眠時間を増やした分だけ最終身長が高くなるという根拠はありません。中高生の睡眠時間は8〜10時間が参考になりますが、個人差があります。昼寝の追加よりも、十分な夜の睡眠と生活全体を整えることが大切です。
成長曲線上の位置が継続して下がっている、年間の伸びが明らかに少ない、体重や体調にも変化がある場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討しましょう。
昼寝を増やすことで子どもの最終身長が高くなるという明確な医学的根拠はありません。
成長期には睡眠が重要ですが、昼寝の長さだけに注目するのではなく、1日全体の睡眠習慣を確認することが大切です。
この記事の結論
身長のために昼寝を増やす必要はありません。まずは夜の十分な睡眠と、お子様自身の成長経過を確認しましょう。
十分に睡眠を取っていても身長の伸びが明らかに少ない場合は、睡眠以外の原因も考え、小児科・小児内分泌科などでの評価をご検討ください。
将来身長の目安を具体的に知りたい場合は、成長記録や骨年齢などを参考にする身長予測シミュレーションも選択肢となります。
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SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。救急科・整形外科などでの診療経験を経て、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として一般整形外科診療や小児低身長に関する診療に携わっています。
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