「成長ホルモンは夜の何時に出る?」「22時〜2時がゴールデンタイム?」「寝始め3時間が重要?」と気になる方も多いでしょう。
結論|成長ホルモンに「22時〜2時」という固定の分泌時間はありません
成長ホルモンは24時間を通してパルス状に分泌されます。睡眠に伴う大きな分泌は、一般に睡眠開始後早期の最初の深いノンレム睡眠(徐波睡眠)と時間的に関連します。
したがって、すべての子どもに共通する「○時が最大」「入眠90分後が必ず最大」「最初の3時間だけ眠ればよい」という固定ルールはありません。
「22時〜2時」に寝ないとダメ?
いいえ。成長ホルモンの分泌は、時計の時刻だけで決まるわけではありません。
「寝始め3時間」だけ眠ればいい?
いいえ。最初の深いノンレム睡眠は重要ですが、年齢に必要な睡眠時間全体を確保します。
身長が伸びているか不安なら?
就寝時刻より、成長曲線と年間成長速度を確認します。受診を考える目安へ
このページでは「22時〜2時」「寝始め3時間」といった睡眠時間帯に関する疑問を中心に解説します。成長ホルモンの24時間の分泌リズムそのものは、「成長ホルモンの分泌ピークはいつ?1日の分泌リズムと睡眠の関係」で詳しく解説しています。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されるホルモンで、子どもの骨や体の成長だけでなく、成人後も代謝や筋肉などの維持に関わっています。
分泌量は一日中一定ではなく、増えたり減ったりを繰り返すパルス状分泌です。
睡眠と成長ホルモンには密接な関係があります。小児を含む睡眠と成長ホルモンに関するレビューでは、睡眠開始後早期の最初の徐波睡眠と、大きな成長ホルモン分泌が時間的に関連することがまとめられています。
ポイント
・成長ホルモンは睡眠中だけに分泌されるわけではありません
・睡眠に伴う大きな分泌は、入眠後早期の深いノンレム睡眠と関連します
・分泌のタイミングには個人差があります
・「何時何分に最大になる」と家庭で予測できるものではありません
成長ホルモンの分泌量は年齢や思春期によっても変化します。年齢による違いは、「成長ホルモンは何歳がピーク?思春期・年齢による分泌量の変化」をご覧ください。
22時〜2時という時計上の時間帯だけに、成長ホルモンが集中して分泌されるわけではありません。
成長ホルモンの睡眠に伴う大きな分泌は、固定した時刻よりも睡眠開始と睡眠段階に関連します。
だからといって、「何時に寝ても睡眠時間さえ同じならよい」という意味でもありません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、子どもについて、朝は光を浴びて朝食をとり、日中に体を動かし、夜更かしの習慣化を避けることを勧めています。
「眠り始めの3時間に成長ホルモンが集中する」「入眠90分後が必ず最大」という説明も、子ども全員に当てはまる固定ルールとして扱うのは適切ではありません。
睡眠周期や睡眠段階の長さは一定ではなく、年齢・個人・その日の睡眠状態によって変動します。そのため、「入眠から90分」という数字を全員共通の分泌ピークとして扱うことはできません。
重要なのは、最初の深いノンレム睡眠と成長ホルモンの大きな分泌が関連するという点です。
「最初の3時間だけ眠れればよい」ということではありません。
睡眠には、成長ホルモンとの関係だけでなく、心身の休養、認知機能、感情調節、健康維持など多くの役割があります。年齢に必要な睡眠時間全体を確保することが重要です。
家庭用スマートウォッチなどで表示される「深い睡眠」の数字だけを見て、成長ホルモンの分泌量や身長の伸びを判断することもできません。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、子どもの睡眠時間について次の目安が示されています。
年齢別|睡眠時間の目安
※1〜2歳、3〜5歳の値は、同ガイドが米国睡眠医学会の推奨として紹介している目安です。厚生労働省は小学生9〜12時間、中学・高校生8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することを推奨しています。適切な睡眠時間には個人差があります。
大切なのは、22時という時刻だけに合わせることではなく、起床時刻から逆算して、年齢に応じた睡眠時間を確保できる就寝時刻を考えることです。
※これらは心身の健康のための睡眠時間の目安です。「この時間以上眠れば身長が高くなる」「下回ると身長が伸びない」という身長専用の基準ではありません。
「成長ホルモンをたくさん出すための睡眠法」を探すより、子どもが規則正しく十分に眠れる生活環境を整えることが現実的です。
家庭で確認する5項目
□ 朝はカーテンを開けて光を浴びる
□ 朝食をとり、生活リズムを整える
□ 日中は体を動かす
□ 夜更かしを習慣化させない
□ 就寝前は強い照明や画面を見続けない
厚生労働省の睡眠ガイドでは、夜間の明るい光やスマートフォンなどの光環境が睡眠・覚醒リズムへ影響しうるため、夜は強い光を避けることが勧められています。
「必ず寝る2時間前にスマホを禁止する」といった一律のルールにする必要はありません。まずは寝床へのスマートフォンの持ち込みを避ける、夜は画面を見続けないなど、家庭で継続できる工夫から始めましょう。
食事・睡眠・運動と身体発育全体については、「子どもの発育・成長に必要なことは?食事・睡眠・運動と身長の関係」をご覧ください。
十分な睡眠は、子どもの心身の健康に重要です。しかし、「1日○時間未満なら身長が伸びない」「睡眠時間を増やせば最終身長が高くなる」という単純な関係ではありません。
身長には、遺伝・体質、栄養状態、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど、思春期の時期、骨の成熟、慢性疾患など多くの要因が関係します。
また、日本小児内分泌学会は、成長ホルモンの分泌を一時的に促進しても、それだけで成長率が上がるとは限らないことを示しています。「成長ホルモンを一時的に多く出すこと」と「最終身長を高くすること」は同じではありません。
「よく眠れば成長ホルモンが増えるから、必ず身長が高くなる」とは考えないでください。
睡眠は健康な発育を支える重要な要素ですが、身長が伸びにくい原因を睡眠不足だけに求めるのは適切ではありません。
「最近寝るのが遅いから背が伸びていないのでは」と心配な場合も、まず確認したいのは過去からの身長の推移です。
−2SD以下は低身長の一つの目安ですが、−2SD以下=成長ホルモン不足ではありません。また、成長ホルモンはパルス状に分泌されるため、通常の単回採血だけで成長ホルモン分泌不全性低身長症を診断することはできません。
日本小児内分泌学会では、成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断して治療を開始するには、原則として2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験で成長ホルモン不足を確認することが必要としています。
年間の身長の伸びについては、「子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常?小学生・中学生の成長速度と受診目安」をご覧ください。
受診前にあると役立つもの
母子手帳、園・学校の健康記録など、過去の身長・体重が分かる資料をまとめておくと、成長曲線を確認しやすくなります。
病気の有無や成長障害の原因を調べたい場合
小児科・小児内分泌科などで医学的評価をご相談ください。「よく眠れていないから成長ホルモンが不足している」と家庭で判断することはできません。
就寝時刻や睡眠時間だけでは、残りの成長量や最終身長を予測することはできません。
原因を調べたい
身長が伸びにくい・病気が心配
→ 小児科・小児内分泌科などで医学的評価を優先します。
将来身長を知りたい
6歳以上で「あと何cm伸びそう?」を確認したい
→ 成長記録や骨年齢などから将来身長を予測する方法があります。
6歳以上で、今後の身長の目安を確認したい方へ
SBC整形外科クリニックの身長予測シミュレーション
SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳を対象に、これまでの成長記録、現在の身長、ご両親の身長、手のレントゲンによる骨年齢・骨端線などを参考に今後の身長を予測しています。
対象 6歳(小学1年生)〜18歳
料金 15,270円(税込)
予約 完全予約制
年齢ごとの身長が分かる母子手帳や園・学校の健康記録などを持参し、成長曲線と手のレントゲンをもとに医師が予測結果を説明します。
※身長予測シミュレーションは病的低身長の確定診断を目的とする検査ではありません。予測結果は将来の最終身長を保証するものではありません。
予約フォームで「身長予測シミュレーション」をお選びください
すべての子どもに共通する固定時刻はありません。睡眠に伴う大きな分泌は、一般に入眠後早期の最初の深いノンレム睡眠と時間的に関連します。
そのような固定ルールはありません。22時〜2時だけが成長ホルモンの分泌時間というわけではありません。ただし、夜更かしによって必要な睡眠時間が不足しないよう、起床時刻から逆算して就寝時刻を考えることが大切です。
いいえ。睡眠開始後早期の深いノンレム睡眠と成長ホルモン分泌には関連がありますが、最初の3時間だけ眠ればよいという意味ではありません。年齢に合った睡眠時間全体を確保してください。
必要な睡眠を確保することは健康な発育に重要ですが、睡眠時間を増やした分だけ最終身長が高くなるという関係ではありません。身長には遺伝・栄養・ホルモン・思春期・骨成熟・病気など多くの要因が関係します。
夜更かしだけを理由に成長ホルモン分泌不全症を疑うものではありません。身長が−2SD以下、成長曲線が継続して下がる、年間成長速度が以前より低下するなど、実際の成長に気になる変化がある場合は小児科・小児内分泌科などへご相談ください。
この記事の要点
1. 成長ホルモンに22時〜2時という固定の分泌時間はない
2. 睡眠開始後早期の深いノンレム睡眠と大きなGH分泌には関連がある
3. 「寝始め3時間」「90分後が必ず最大」という固定ルールではない
4. 小学生9〜12時間、中高生8〜10時間を参考に必要な睡眠を確保する
5. 身長が気になる場合は、睡眠時間より成長曲線・年間成長速度を確認する
十分な睡眠は子どもの心身の健康に大切です。ただし、「22時までに寝られなかったから身長が伸びない」と過度に心配する必要はありません。時計の時刻だけにこだわらず、年齢に必要な睡眠時間と規則的な生活リズムを整えましょう。
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