「子どもの成長ホルモンの平均値はどのくらい?」
「血液検査でGHが低かったら、成長ホルモン不足?」
「身長が−2SDなら、成長ホルモンも少ない?」
成長ホルモン(GH)は、子どもの身長の伸びに重要なホルモンです。 ただし、GHは一日の中で大きく上下しながら分泌されるため、通常の採血1回だけで「平均値より多い・少ない」と判断することはできません。
先に結論|子どもの成長ホルモンは「1回のGH値」ではなく、成長経過+IGF-1+必要時の分泌刺激試験で評価します
この記事は「成長ホルモンの測り方・検査値の見方」に特化しています
低身長そのものの原因や受診目安は 「子どもの身長が伸びない原因・低身長の基準」 、治療開始時期は 「低身長の治療はいつから?」 で詳しく解説しています。
血液検査には「正常範囲」が設定されている項目が多いため、 成長ホルモンにも年齢ごとの平均値があり、その範囲に入っていれば正常と考えたくなります。
しかしGHは、甲状腺ホルモンのように比較的一定の濃度で存在するホルモンではありません。 数時間ごとに波のように分泌され、分泌の谷では健康な子どもでも非常に低い値になることがあります。
GHの値を変化させる主な要因
そのため、子どもの低身長を調べるときに重要なのは 「GHの平均値はいくつか」ではなく、「必要なときに十分なGHを分泌する能力があるか」という考え方です。
GHは下垂体から一定量ずつ出続けるのではなく、分泌量が急に上がる「ピーク」と、 ほとんど検出されない「谷」を繰り返します。
このため、小児内分泌診療ではランダムに1回測ったGH値だけで成長ホルモン分泌不全を診断しません。
「血液検査でGHが0.5ng/mLだったから不足している」「○ng/mL以上なら正常」と、 通常採血の数字だけを自己判断しないようにしてください。
成長曲線で使われるSDスコアは、 同年齢・同性の標準身長から、お子様の身長がどの程度離れているかを表す指標です。
−2SD以下=成長ホルモンが少ない、ではありません
−2SD以下は「低身長」の一つの目安ですが、 家族性低身長、体質性の成長遅延、SGA性低身長、甲状腺疾患、栄養・慢性疾患、骨系統疾患などでも低身長になります。 SDスコアだけからGH分泌量を推測することはできません。
一方、日本の「成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き」では、 身長−2SD以下、または身長が基準範囲内でも 成長速度が2年以上にわたり−1.5SD以下などの成長障害が、診断を考える主症候として示されています。
つまり、SDスコアは「GHの値」ではなく、詳しい検査を考えるきっかけとなる成長の指標です。
GHは肝臓などに働き、IGF-1(インスリン様成長因子1)の産生を促します。 GH自体と比べるとIGF-1は一日の中での変動が小さいため、 GH・IGF-1系の状態をみるスクリーニング検査として利用されます。
GHとIGF-1の関係
脳下垂体
成長ホルモン(GH)を分泌
↓
肝臓など
IGF-1の産生を促す
↓
骨端線など
成長に関与
ただし、IGF-1が低い=必ず成長ホルモン分泌不全でもありません。 IGF-1は年齢・思春期の段階に加え、低栄養、甲状腺機能低下症、慢性疾患、肝機能などの影響も受けます。
したがって、IGF-1は非常に有用な参考項目ですが、 それだけで成長ホルモン分泌不全性低身長症を確定する検査ではありません。
成長曲線や年間成長速度、IGF-1などから成長ホルモン分泌不全が疑われる場合、 必要に応じてGH分泌刺激試験(成長ホルモン負荷試験)を行います。
GH分泌を刺激する薬剤を使用し、その後に一定間隔で複数回血液を採取して、 GHがどの程度まで上昇するかを確認する検査です。
アルギニン負荷試験
アルギニンを使用し、GHの分泌反応を時間を追って測定します。
クロニジン・L-DOPA・グルカゴンなど
施設やお子様の状態に応じて、診断基準に含まれる刺激試験を選択します。
複数回採血
負荷前と負荷後に一定間隔で採血し、最も高くなったGH値(頂値)を確認します。
アルギニン負荷試験と市販のアルギニンサプリは目的・量・投与方法が異なります。
日本の「成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断と治療の手引き」では、 主なGH分泌刺激試験について、負荷後のGH頂値を用いた診断基準が示されています。
| 刺激試験 | 診断手引きに示されるGH頂値 |
|---|---|
| インスリン・アルギニン・L-DOPA・クロニジン・グルカゴン負荷 | 6ng/mL以下 |
| GHRP-2負荷 | 16ng/mL以下 |
この数字を通常の採血結果へ当てはめないでください
6ng/mL・16ng/mLは、決められた方法で行う分泌刺激試験の頂値についての診断基準です。 何も負荷していない通常採血のGH値と比較する数字ではありません。
また、診断は刺激試験の数値一つだけで決まりません。 日本の診断手引きでは、一般的には成長障害の所見と複数の分泌刺激試験などを組み合わせて判断します。
検査には限界やばらつきもあるため、結果は小児内分泌の診断基準に沿って医師が解釈します。
子どもの身長の伸びが悪い場合に、「まずGHだけ測ればよい」というものではありません。 低身長の原因は多岐にわたるため、成長経過と症状に応じて必要な項目を選びます。
成長曲線・年間成長速度
母子手帳、学校健診などの記録から、身長がどのようなカーブで伸びてきたかを確認します。
骨年齢
手のレントゲンなどから骨の成熟度を確認します。GH分泌不全では骨年齢が遅れることがありますが、他の原因でも遅れる場合があります。
IGF-1
GH・IGF-1系をみる参考項目として使用します。
甲状腺機能
甲状腺ホルモン不足でも身長の伸びが低下することがあります。
血算・肝腎機能・栄養関連項目など
貧血、慢性疾患、栄養状態など別の原因が隠れていないかを必要に応じて確認します。
頭蓋内の器質的疾患や他の下垂体ホルモン異常が疑われる場合には、 MRIなどの画像検査が必要になることもあります。 すべての低身長児にMRIや遺伝子検査を行うわけではありません。
「平均より少し小さい」というだけで、すぐにGH分泌刺激試験を行うわけではありません。 まず成長曲線を確認し、詳しい評価が必要かを判断します。
医療機関への相談を考えたい成長パターン
成長速度について詳しくは、 子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常? をご覧ください。
成長ホルモン検査を行う理由については、 低身長の検査で成長ホルモンの分泌を調べるのはなぜ? でも解説しています。
まず相談したい方|小児低身長 無料カウンセリング
「GHを調べるべきかわからない」「まず成長曲線だけ見てほしい」という段階からご相談いただけます。
成長曲線・骨年齢・血液検査まで確認|身長予測シミュレーション
成長記録から成長曲線を作成し、手のレントゲンで骨年齢・骨端線を確認します。 採血ではIGF-1や甲状腺関連項目など、現在の成長状態を考えるための検査を行います。 スクリーニング結果から必要と判断された場合には、さらに詳しい検査が検討されます。
※予測結果は将来の最終身長を保証するものではありません。
血液検査の一つの数字だけを見て「成長ホルモンが足りない」と心配する必要はありません。 お子様の成長を評価するときは、現在の身長よりも、これまでどのような速度で伸びてきたのかを含めて確認しましょう。
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参考情報
西新宿本院・横浜駅前院では、小児低身長無料カウンセリング、身長予測シミュレーション、成長ホルモンプランに対応しています。 身長予測シミュレーションでは、成長曲線・骨年齢・骨端線・血液検査などから現在の成長状態を確認します。 未成年の患者様は親権者の方の同伴が必要です。
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