成長ホルモンの平均値は?子どものGHは採血1回で分かる?検査方法を解説 | SBC整形外科クリニック

成長ホルモンの平均値は?子どものGHは採血1回で分かる?検査方法を解説

「子どもの成長ホルモンの平均値はどのくらい?」
「血液検査でGHが低かったら、成長ホルモン不足?」
「身長が−2SDなら、成長ホルモンも少ない?」

成長ホルモン(GH)は、子どもの身長の伸びに重要なホルモンです。 ただし、GHは一日の中で大きく上下しながら分泌されるため、通常の採血1回だけで「平均値より多い・少ない」と判断することはできません。

先に結論|子どもの成長ホルモンは「1回のGH値」ではなく、成長経過+IGF-1+必要時の分泌刺激試験で評価します

  • GHは脈動的に分泌されるため、ランダムな採血1回の値は診断に向きません
  • 身長が−2SD以下でも、それだけでGH不足とは判断できません
  • まず成長曲線・年間成長速度・骨年齢などから成長障害の有無を確認します
  • 血液検査では、GHそのものより日内変動が小さいIGF-1などを参考にします
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症が疑われる場合は、必要に応じてGH分泌刺激試験を行います
  • 検査結果だけでなく、身長・成長速度・病歴・骨年齢などを総合して診断します
成長期の子どもたち
成長ホルモンの評価では、採血結果だけでなく「実際にどのような速度で身長が伸びているか」が重要です。

この記事は「成長ホルモンの測り方・検査値の見方」に特化しています

低身長そのものの原因や受診目安は 「子どもの身長が伸びない原因・低身長の基準」 、治療開始時期は 「低身長の治療はいつから?」 で詳しく解説しています。

子どもの成長ホルモンに「平均値」はある?単純な正常値では判断しません

血液検査には「正常範囲」が設定されている項目が多いため、 成長ホルモンにも年齢ごとの平均値があり、その範囲に入っていれば正常と考えたくなります。

しかしGHは、甲状腺ホルモンのように比較的一定の濃度で存在するホルモンではありません。 数時間ごとに波のように分泌され、分泌の谷では健康な子どもでも非常に低い値になることがあります。

GHの値を変化させる主な要因

  • 睡眠
  • 運動
  • 食事・空腹
  • ストレス
  • 年齢・思春期の段階
  • 体格・栄養状態など

そのため、子どもの低身長を調べるときに重要なのは 「GHの平均値はいくつか」ではなく、「必要なときに十分なGHを分泌する能力があるか」という考え方です。

なぜ採血1回の成長ホルモン値では分からない?GHは脈動的に分泌されるから

GHは下垂体から一定量ずつ出続けるのではなく、分泌量が急に上がる「ピーク」と、 ほとんど検出されない「谷」を繰り返します。

分泌の谷で採血

健康でもGHが非常に低く出ることがある

分泌のピークで採血

GHが高く出ることがある

このため、小児内分泌診療ではランダムに1回測ったGH値だけで成長ホルモン分泌不全を診断しません。

「血液検査でGHが0.5ng/mLだったから不足している」「○ng/mL以上なら正常」と、 通常採血の数字だけを自己判断しないようにしてください。

身長が−2SDなら成長ホルモンも平均以下?SDスコアは「身長」の指標です

成長曲線で使われるSDスコアは、 同年齢・同性の標準身長から、お子様の身長がどの程度離れているかを表す指標です。

−2SD以下=成長ホルモンが少ない、ではありません

−2SD以下は「低身長」の一つの目安ですが、 家族性低身長、体質性の成長遅延、SGA性低身長、甲状腺疾患、栄養・慢性疾患、骨系統疾患などでも低身長になります。 SDスコアだけからGH分泌量を推測することはできません。

一方、日本の「成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き」では、 身長−2SD以下、または身長が基準範囲内でも 成長速度が2年以上にわたり−1.5SD以下などの成長障害が、診断を考える主症候として示されています。

つまり、SDスコアは「GHの値」ではなく、詳しい検査を考えるきっかけとなる成長の指標です。

IGF-1は何を見る血液検査?成長ホルモンの働きを考える参考になります

GHは肝臓などに働き、IGF-1(インスリン様成長因子1)の産生を促します。 GH自体と比べるとIGF-1は一日の中での変動が小さいため、 GH・IGF-1系の状態をみるスクリーニング検査として利用されます。

GHとIGF-1の関係

脳下垂体
成長ホルモン(GH)を分泌

肝臓など
IGF-1の産生を促す

骨端線など
成長に関与

ただし、IGF-1が低い=必ず成長ホルモン分泌不全でもありません。 IGF-1は年齢・思春期の段階に加え、低栄養、甲状腺機能低下症、慢性疾患、肝機能などの影響も受けます。

したがって、IGF-1は非常に有用な参考項目ですが、 それだけで成長ホルモン分泌不全性低身長症を確定する検査ではありません。

成長ホルモン分泌刺激試験とは?「刺激したときにGHを出せるか」を調べます

成長曲線や年間成長速度、IGF-1などから成長ホルモン分泌不全が疑われる場合、 必要に応じてGH分泌刺激試験(成長ホルモン負荷試験)を行います。

GH分泌を刺激する薬剤を使用し、その後に一定間隔で複数回血液を採取して、 GHがどの程度まで上昇するかを確認する検査です。

アルギニン負荷試験

アルギニンを使用し、GHの分泌反応を時間を追って測定します。

クロニジン・L-DOPA・グルカゴンなど

施設やお子様の状態に応じて、診断基準に含まれる刺激試験を選択します。

複数回採血

負荷前と負荷後に一定間隔で採血し、最も高くなったGH値(頂値)を確認します。

アルギニン負荷試験と市販のアルギニンサプリは目的・量・投与方法が異なります。

アルギニンと成長ホルモンの関係・負荷試験との違い →

成長ホルモン分泌刺激試験の基準値は?「平均値」ではなく頂値で判定します

日本の「成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断と治療の手引き」では、 主なGH分泌刺激試験について、負荷後のGH頂値を用いた診断基準が示されています。

刺激試験 診断手引きに示されるGH頂値
インスリン・アルギニン・L-DOPA・クロニジン・グルカゴン負荷 6ng/mL以下
GHRP-2負荷 16ng/mL以下

この数字を通常の採血結果へ当てはめないでください

6ng/mL・16ng/mLは、決められた方法で行う分泌刺激試験の頂値についての診断基準です。 何も負荷していない通常採血のGH値と比較する数字ではありません。

また、診断は刺激試験の数値一つだけで決まりません。 日本の診断手引きでは、一般的には成長障害の所見と複数の分泌刺激試験などを組み合わせて判断します。

検査には限界やばらつきもあるため、結果は小児内分泌の診断基準に沿って医師が解釈します。

低身長ではGH以外に何を調べる?原因は成長ホルモン不足だけではありません

子どもの身長の伸びが悪い場合に、「まずGHだけ測ればよい」というものではありません。 低身長の原因は多岐にわたるため、成長経過と症状に応じて必要な項目を選びます。

成長曲線・年間成長速度

母子手帳、学校健診などの記録から、身長がどのようなカーブで伸びてきたかを確認します。

骨年齢

手のレントゲンなどから骨の成熟度を確認します。GH分泌不全では骨年齢が遅れることがありますが、他の原因でも遅れる場合があります。

IGF-1

GH・IGF-1系をみる参考項目として使用します。

甲状腺機能

甲状腺ホルモン不足でも身長の伸びが低下することがあります。

血算・肝腎機能・栄養関連項目など

貧血、慢性疾患、栄養状態など別の原因が隠れていないかを必要に応じて確認します。

成長期の子どもの手の骨端線
骨年齢・骨端線は、実年齢だけでは分からない骨の成熟度を評価する材料になります。

頭蓋内の器質的疾患や他の下垂体ホルモン異常が疑われる場合には、 MRIなどの画像検査が必要になることもあります。 すべての低身長児にMRIや遺伝子検査を行うわけではありません。

成長ホルモンの詳しい検査を考える目安

「平均より少し小さい」というだけで、すぐにGH分泌刺激試験を行うわけではありません。 まず成長曲線を確認し、詳しい評価が必要かを判断します。

医療機関への相談を考えたい成長パターン

  • 身長が同年齢・同性の−2SD以下
  • 以前の成長曲線から下向きに外れてきた
  • 年間成長速度が以前より明らかに低下した
  • 同年代との差が年々広がっている
  • 頭部疾患・頭部放射線治療歴などがある
  • 出生後から低血糖など下垂体機能異常を疑う症状がある
  • ほかの下垂体ホルモン異常が疑われている

成長速度について詳しくは、 子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常? をご覧ください。

成長ホルモン検査を行う理由については、 低身長の検査で成長ホルモンの分泌を調べるのはなぜ? でも解説しています。

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子どもの成長ホルモンの平均値・検査についてよくある質問

Q. 子どもの成長ホルモンの正常値は何ng/mLですか?
A. ランダムな通常採血で「○ng/mLなら正常」と判断することはできません。 GHは脈動的に分泌されるため、分泌の谷では健康な子どもでも低値になります。 成長経過、IGF-1、必要時のGH分泌刺激試験などを合わせて評価します。
Q. 成長ホルモンが0だったら異常ですか?
A. 通常採血で非常に低値・測定感度以下だったとしても、それだけでは異常と診断できません。 GHの分泌の谷で採血した可能性があるためです。 検査の種類と採血条件を確認してください。
Q. −2SDなら成長ホルモン分泌不全ですか?
A. いいえ。−2SDは身長の低さを表す基準の一つで、GH値そのものではありません。 低身長には遺伝・体質、SGA、甲状腺疾患、栄養・慢性疾患など複数の原因があります。
Q. IGF-1が正常なら成長ホルモン不足ではありませんか?
A. IGF-1はGH・IGF-1系をみる重要な参考項目ですが、単独で完全に診断・除外できる検査ではありません。 年齢・思春期・栄養状態・甲状腺機能などの影響も受けるため、成長経過と合わせて判断します。
Q. GH分泌刺激試験で6ng/mL以下なら必ず成長ホルモン分泌不全ですか?
A. 6ng/mLという基準は特定のGH分泌刺激試験の頂値に用いられる基準です。 一般的な診断では成長障害の所見や複数の刺激試験などを合わせて判断します。 一つの検査値だけを自己判断しないでください。
Q. 成長ホルモン検査は全員に必要ですか?
A. いいえ。低身長の原因は多いため、まず成長曲線・成長速度・診察・一般的な血液検査などから必要性を判断します。 GH分泌刺激試験は、成長ホルモン分泌不全が疑われる場合に行います。
Q. 成長ホルモンが少なければ、すぐ注射治療になりますか?
A. 通常採血のGH低値だけで治療を開始することはありません。 成長ホルモン分泌不全性低身長症など、治療対象となる状態を適切に診断したうえで治療を検討します。
Q. 身長が平均より低いだけでも相談できますか?
A. はい。現在の身長だけでなく、過去の成長曲線や年間の伸びを確認することで、詳しい検査が必要かを考える材料になります。 SBC整形外科クリニックでは、無料カウンセリングや身長予測シミュレーションをご用意しています。

まとめ|成長ホルモンは「平均値」ではなく、成長経過と分泌能力を評価します

  • GHは一日の中で大きく変動するため、ランダムな採血1回では評価しにくい
  • −2SDは身長の指標であり、GHが平均以下という意味ではない
  • IGF-1はGH・IGF-1系をみる参考になるが、単独で診断できない
  • GH分泌不全が疑われる場合は、必要に応じてGH分泌刺激試験を行う
  • 刺激試験では負荷後のGH頂値を評価し、通常採血のGH値と同じ基準では見ない
  • 低身長の原因はGH不足だけではない
  • 成長曲線・年間成長速度・骨年齢・血液検査などを総合して評価する

血液検査の一つの数字だけを見て「成長ホルモンが足りない」と心配する必要はありません。 お子様の成長を評価するときは、現在の身長よりも、これまでどのような速度で伸びてきたのかを含めて確認しましょう。

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西新宿本院・横浜駅前院では、小児低身長無料カウンセリング、身長予測シミュレーション、成長ホルモンプランに対応しています。 身長予測シミュレーションでは、成長曲線・骨年齢・骨端線・血液検査などから現在の成長状態を確認します。 未成年の患者様は親権者の方の同伴が必要です。

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※診療日・受付時間・予約枠などは変更される場合があります。来院前に公式ページ・予約画面で最新情報をご確認ください。

監修医情報

SBC整形外科クリニック
西新宿本院院長

沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
SBC整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック SBC整形外科クリニック 西新宿本院
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師
医師紹介
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura
【所属学会】
  • 日本整形外科学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本四肢再建・創外固定学会
【経歴】
  • 2017年
    Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
  • 2018年
    東北大学医学部医学科 卒業
  • -
    湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
  • -
    スカイ整形外科クリニック
  • 2020年
    いわき市医療センター 整形外科
  • 2021年
    竹田綜合病院 整形外科
  • 2022年
    山形市立病院済生館 整形外科
    いしがみ整形外科クリニック
    西新宿整形外科クリニック
  • 2025年
    SBC整形外科クリニック 西新宿本院