「寝る前に夜食を食べると身長が伸びなくなる?」「塾や部活で帰宅が遅く、夕食が寝る直前になってしまう」「成長期の子どもがお腹を空かせているとき、何を食べさせればいい?」
成長期のお子様の食生活を考えるとき、夜食の時間や内容が身長に影響するのではないかと心配になる方もいるでしょう。
結論からいうと、寝る前に夜食を食べたことだけで、子どもの身長が伸びなくなるという医学的根拠はありません。
最初に結論|夜食と子どもの身長
夜食を食べても、それだけで身長の成長が止まるわけではありません。
ただし、就寝直前に多量の食事を摂る習慣は、睡眠・覚醒リズムや胃腸の不快感などに影響する場合があります。
一方、成長期には十分なエネルギーと栄養を確保することも重要です。身長のために空腹を我慢させる必要はありません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、就寝直前の夜食を控えることは、睡眠・覚醒リズムを整えるための生活習慣として紹介されています。
大切なのは、夜食を一律に禁止するのではなく、食べる時間・量・内容と、1日全体の栄養や睡眠を合わせて考えることです。
この記事では、夜食と成長ホルモンの関係、食事を摂る時間の考え方、夜にお腹が空いたときの食品選び、塾や部活動で帰宅が遅い場合の対応を解説します。
この記事でわかること
夜食を食べると身長が伸びなくなる、と聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、子どもの最終身長は、夜食を食べたかどうかだけで決まるものではありません。
子どもの身長には、遺伝的な要因、栄養状態、思春期が始まる時期、ホルモンの働き、骨の成熟状態、健康状態などが関係しています。
成長ホルモンは、子どもの骨や身体の成長に関わる重要なホルモンです。
成長ホルモンは1日を通して波のように分泌され、睡眠中、とくに深いノンレム睡眠と関連した分泌がみられます。
一方、血糖値や栄養状態と成長ホルモンの分泌には複雑な関係がありますが、「夜食で血糖値が上がる=成長ホルモンが出なくなる=身長が伸びなくなる」と単純に結論づけることはできません。
食後に起こる一時的なホルモンの変化と、数年にわたる骨の成長や最終身長は、分けて考える必要があります。
身長を伸ばす目的で、子どもを意図的に空腹状態にする必要はありません。
成長期には、身体の成長や日々の活動に必要なエネルギーと栄養素を十分に摂ることが大切です。
夕食が少なかったり、運動量が多かったりして空腹になっている場合、夜食を一律に禁止することで、必要な栄養を補えなくなる可能性もあります。
夜食についての考え方
避けたい考え方
「夜に食べると背が伸びないから、空腹でも我慢させる」
大切にしたい考え方
「1日全体の食事量・活動量・睡眠を確認し、必要に応じて無理なく補食を取り入れる」
成長期の子どもの骨には、骨端線(こったんせん)と呼ばれる成長部分があります。
骨端線では軟骨細胞が増殖・成熟し、骨へと置き換わることで、骨が長さ方向に成長していきます。
骨の成長には、成長ホルモンなどの働きだけでなく、十分なエネルギーやタンパク質、さまざまな栄養素も必要です。
そのため、夜食だけを制限しても身長が高くなるわけではなく、栄養不足を避け、生活全体を整えることが重要です。
関連記事:成長ホルモンは夜10時〜2時に出る?睡眠との関係 →
夜食について考える際は、何を食べるかだけでなく、就寝までの時間や食事量も重要です。
厚生労働省は、就寝直前の夜食を控えることで、睡眠・覚醒リズムを整えることを勧めています。
ただし、子どもの身長を伸ばすために「必ず就寝3時間前までに食べ終える」といった一律の時間が医学的に定められているわけではありません。
夕食を食べてすぐ横になると、食事量や体質によっては胃もたれ、胸やけなどの不快感が起こり、眠りにくくなる場合があります。
そのため、可能な範囲で夕食と就寝の間に時間的な余裕を持たせるとよいでしょう。
ただし、塾や部活動などで帰宅が遅い日もあります。そのような場合は、夕食の時間を無理に早めようとするより、食事の内容や量を調整する方が現実的です。
夕食から就寝まで余裕がある日
夕食をしっかり摂り、規則的な就寝時刻を意識します。空腹でなければ夜食を追加する必要はありません。
帰宅が遅く、就寝まで時間が短い日
活動前後に食事を分けるなどして、就寝直前に大量の食事を摂らなくてもよいように工夫します。
夕食後に強い空腹がある日
空腹の理由や1日の食事量を確認し、必要に応じて食べやすい食品を適量補います。
1日だけ夕食が遅くなったり、就寝直前に夜食を食べたりしても、それだけで身長の伸びが止まるわけではありません。
1回の食事を過度に心配するより、就寝直前の多量の食事や慢性的な睡眠不足が習慣化していないかを確認しましょう。
身長のために夜食の時刻を厳しく管理するよりも、十分な栄養と睡眠を無理なく両立できる生活が重要です。
夜に子どもがお腹を空かせている場合、何も食べさせてはいけないわけではありません。
まずは夕食の量や内容、日中の活動量を確認し、必要な場合には、消化の負担や食べやすさを考えた食品を選びましょう。
空腹の程度に合わせて選ぶ夜食
おにぎり
夕食が少なかった日や運動後など、エネルギー補給が必要なときの選択肢です。
具材や大きさを調整し、子どもの空腹の程度に合わせます。
プレーンヨーグルト
タンパク質やカルシウムなどを摂取できます。
乳製品にアレルギーがある場合などは避けてください。
バナナなどの果物
手軽に食べやすい補食の一つです。
糖質を含むこと自体を、身長への悪影響と考える必要はありません。
卵・豆腐など
タンパク質を補いたいときの選択肢になります。
食事の内容に合わせて、ゆで卵や温かい豆腐料理などを取り入れます。
具だくさんのスープなど
夕食の一部を補いたい場合や、温かく食べやすいものを選びたい場合に向いています。
熱すぎるものや塩分の多いものには注意しましょう。
これらはあくまで食品の例です。特定の食品を食べることで成長ホルモンの分泌が増え、身長が伸びるという意味ではありません。
実際の量はお子様の年齢、体格、夕食の内容、活動量、空腹の程度などに合わせて考えましょう。
糖質を含む食品を食べたからといって、そのために身長が伸びなくなるわけではありません。
一方で、菓子や甘い飲み物を毎晩大量に摂る習慣があると、食事全体の栄養バランスやむし歯、エネルギー摂取量などへの影響を考える必要があります。
「血糖値を上げないために糖質は一切食べさせない」という制限は必要ありません。
タンパク質は、成長期の身体づくりに必要な栄養素です。
ただし、タンパク質だけを摂ればよいわけではありません。特に活動量の多い子どもでは、炭水化物などから摂るエネルギーも重要です。
そのため、夜食を「ゆで卵やチーズだけ」と決めつけるのではなく、その日の食事と活動量から足りないものを考えましょう。
夜食を食べた場合は、食べっぱなしで眠らず、歯磨きなどの口腔ケアも行いましょう。
夜食の選び方は、身長だけでなく、睡眠・栄養・歯の健康を含めて考えることが大切です。
中学生や高校生になると、塾や部活動、習い事などによって夕食の時間が遅くなることがあります。
帰宅後にお腹が空いていても、「寝る前だから食べてはいけない」と考える必要はありません。
このような場合には、夕食を分けて食べる分食という方法も選択肢になります。
分食とは、1回の夕食を活動前後などの複数回に分けて摂る方法です。
塾や部活動の前後に食事を分けることで、就寝直前の食事量を減らしながら、必要な栄養を確保しやすくなる場合があります。
分食の具体例|部活動がある日
部活動の前後など、食べられる時間
前半の食事
おにぎりやパンなど、活動時間に合わせて食べやすい食品を取り入れる。
帰宅後
後半の食事
魚・肉・卵・大豆製品などの主菜と、野菜の副菜や汁物など、前半で不足したものを組み合わせる。
あくまで一例であり、部活動の終了時刻、運動量、食欲、就寝時刻などによって適した方法は異なります。
運動直前に大量の食事を摂ると胃腸の不快感につながる場合があるため、活動時間も考慮して調整してください。
塾の終了時刻が遅い場合も、帰宅後に毎回大きな夕食を摂る以外の方法を検討できます。
例えば、塾へ行く前に夕食の一部を摂り、帰宅後は残りを食べるなど、食事を分ける方法があります。
空腹を我慢させることよりも、必要な栄養を補いながら睡眠時間を確保できる生活リズムを考えることが重要です。
運動量が多い子どもでは、食事だけで必要なエネルギーを補うことが難しい場合もあります。
夜に空腹が続く場合には、日中の食事量や間食、夕食の内容を見直してみましょう。
体重が減っている、疲労が抜けにくい、月経が不規則になったなど、エネルギー不足が疑われる変化がある場合には、夜食の制限を優先するのではなく、小児科などへの相談を検討してください。
部活動をする子どもは、食事制限に注意
成長期の運動量が多い子どもでは、活動量に見合ったエネルギーと栄養を摂ることが大切です。身長のために夜食を禁止し、必要な栄養まで不足させないようにしましょう。
子どもの身長を考えるとき、夜食を食べたかどうかだけを気にする必要はありません。
栄養、睡眠、日中の身体活動など、毎日の生活習慣を整えることが健やかな成長を支える基本になります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、子どもの睡眠時間について、次のような目安が紹介されています。
小学生
9〜12時間
中学生・高校生
8〜10時間
必要な睡眠時間には個人差がありますが、朝起きる時刻から逆算して、十分な睡眠時間を確保できる生活リズムを考えましょう。
また、睡眠時間を長くすれば長くするほど、最終身長が高くなるというわけではありません。
「夜10時から深夜2時が、成長ホルモンのゴールデンタイム」という情報を目にすることがあります。
しかし、成長ホルモンがその4時間だけに分泌されるという医学的な決まりはありません。
成長ホルモンは睡眠中の状態とも関係していますが、時計の時刻だけで分泌が決まるものではありません。
そのため、22時を過ぎてから寝た日があっても、それだけでその日の身長の成長が止まるわけではありません。
関連記事:身長が伸びる寝方はある?仰向け・横向きと睡眠の関係 →
就寝直前の食事を減らすことだけでなく、朝食・昼食・夕食で必要な栄養を摂れているかを確認しましょう。
子どもの成長には、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が必要です。
特に食事量が少ない場合、特定の栄養素を摂ることだけでなく、1日のエネルギー摂取量が足りているかが重要です。
「夜食をなくす」ことを目標にするのではなく、朝から夜までの食事全体を見直してみましょう。
成長期の生活習慣チェック
1.朝食・昼食・夕食を十分に摂れている
2.日中の活動量に見合った栄養が摂れている
3.年齢に合った睡眠時間をおおむね確保できている
4.就寝直前の多量の食事が習慣になっていない
5.体重や身長の増え方に大きな変化がない
「夜食は控えている」「睡眠時間も確保している」「食事の栄養バランスにも気をつけている」
それでも子どもの身長があまり伸びないと感じる場合は、夜食以外の原因も考える必要があります。
子どもの身長が気になる場合、最初に確認したいのは成長曲線と年間成長速度です。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重の推移を記録するグラフです。
母子健康手帳や学校の健康診断結果などに記録された身長から、お子様自身の成長の経過を確認できます。
日本小児内分泌学会では、身長が気になる場合、これまでの身長を成長曲線に記録して確認することを勧めています。
周囲の子どもとの身長差だけでなく、以前と比べて成長曲線上の位置が継続して下がっていないかが重要です。
年間成長速度とは、約1年間で身長が何cm伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前の身長:140cm
現在の身長:145cm
1年間に伸びた身長
5cm/年
ただし、年間5cm伸びていれば必ず正常、2cmなら必ず病気というわけではありません。
成長速度は年齢や思春期の進行状況によって異なるため、過去の成長曲線と合わせた評価が必要です。
子どもの身長の伸び方は、実際の年齢だけでなく、骨の成熟状態や思春期の進み方にも関係しています。
骨年齢は、骨格がどの程度成熟しているかを示す指標で、一般的に手や手首のレントゲン画像などを参考に評価します。
同じ年齢でも骨の成熟の進み方には個人差があり、今後の身長の伸び方が異なる場合があります。
夜食や睡眠の習慣だけで将来身長を判断することはできません。
身長が気になったときの確認ポイント
現在の身長と年齢
過去1〜3年間の身長の伸び
体重の変化と栄養状態
思春期の進行状況
必要に応じた骨年齢などの評価
夜食の時間を見直しても、身長の伸びが気になる場合は、お子様の成長状態そのものを確認することが重要です。
相談先は、病気による成長の遅れが心配なのか、将来身長の目安を知りたいのかによって異なります。
次のような場合は、小児科・小児内分泌科などでの医学的な評価を検討しましょう。
こうした変化がある場合は、夜食や睡眠習慣だけが原因とは限りません。
ホルモンの病気、慢性的な疾患、栄養状態などが関係する場合もあるため、必要に応じて専門的な評価を受けることが大切です。
「夜食や睡眠にも気をつけているけれど、あと何cmくらい伸びる可能性があるのか知りたい」という場合は、身長予測という選択肢もあります。
身長予測では、現在の身長、過去の成長記録、骨の成熟状態などから、将来の身長の目安を考えます。
目的別|身長の相談先
身長の伸びが明らかに遅い・病気が心配
小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討します。
今後の将来身長の目安を知りたい
成長記録や骨年齢を参考にした身長予測を検討します。
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「夜食を食べさせても大丈夫?」「この生活リズムで、将来の身長はどのくらい伸びるのだろう?」
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骨年齢の評価
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将来身長の予測
成長記録や骨の成熟状態などを踏まえて、将来身長の目安をご説明します。
身長予測シミュレーション
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対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
想定所要時間
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予約
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身長予測シミュレーションは自由診療です。予測結果は将来身長の目安であり、最終身長を確定・保証するものではありません。
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おにぎりを食べたことだけで、身長が伸びなくなるという根拠はありません。空腹の程度や1日の食事量に応じて考えましょう。ただし、就寝直前に大量に食べる習慣は、胃腸の不快感や睡眠への影響を考慮する必要があります。
夜食を食べたら成長ホルモンが完全に分泌されなくなる、というわけではありません。成長ホルモンの分泌は複雑に調節されており、食後の一時的な変化だけから最終身長への影響を判断することはできません。
その時刻に食べたことだけで、身長の成長が止まるわけではありません。ただし、就寝直前の大量の食事や慢性的な睡眠不足が続いていないか確認しましょう。必要に応じて部活の前後に食事を分ける方法もあります。
ヨーグルトや卵には成長期に必要な栄養素が含まれていますが、これらを夜食として食べることで最終身長が高くなる効果が確立されているわけではありません。食事全体の不足を補うための食品として考えましょう。
夜食だけが身長を決める要因ではありません。過去の身長を成長曲線に記録し、年間成長速度を確認しましょう。成長曲線が下向きに変化する、身長の伸びが明らかに鈍いなどの場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討してください。
寝る前に夜食を食べたことだけで、子どもの身長が伸びなくなるという医学的根拠はありません。
一方、就寝直前の多量の食事や、夜更かしを伴う生活習慣については、睡眠や健康の観点から見直すことが大切です。
この記事の結論
夜食を食べる・食べないだけにこだわらず、成長に必要な栄養と十分な睡眠を両立することが大切です。
食事や睡眠を整えていても身長の伸びが明らかに少ない場合は、小児科・小児内分泌科などへの相談を検討してください。
将来身長の目安を知りたい場合は、成長記録や骨年齢などを参考にする身長予測シミュレーションも選択肢の一つです。
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SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。救急科・内科・整形外科などで診療経験を積み、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として一般整形外科診療や小児低身長に関する診療に携わっています。
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会、日本小児内分泌学会、日本成長学会などに所属しています。
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