「亜鉛を摂ると成長ホルモンが増える?」
「亜鉛不足だと、子どもの身長は伸びにくくなる?」
「成長ホルモンとIGF-1、亜鉛はどう関係している?」
亜鉛は、子どもの正常な成長に必要な必須ミネラルです。 ただし、「亜鉛を多く摂れば成長ホルモンが増え、その分だけ身長が伸びる」と単純に考えるのは正確ではありません。
先に結論|亜鉛は成長に必要ですが、「成長ホルモンを増やすサプリ」と考えないことが重要です
この記事では「亜鉛とGH・IGF-1の関係」を中心に解説します
子どもの亜鉛サプリの必要性、年齢別の摂取量、食べ物、過剰摂取について知りたい方は 「子どもに亜鉛サプリは必要?身長への効果・1日の摂取量・注意点」 をご覧ください。
亜鉛は体内で十分につくることができない必須ミネラルです。 多くの酵素やたんぱく質の働きに関係し、DNA合成、RNA合成、たんぱく質合成、細胞分裂などに関与しています。
成長期の子どもでは新しい細胞や組織が活発につくられるため、 亜鉛が不足すると正常な成長・発育へ影響する可能性があります。
亜鉛が関係する主な身体機能
つまり、亜鉛は「身長だけの栄養素」ではなく、 成長期の身体をつくるさまざまな反応に必要な栄養素の一つとして考えるのが適切です。
成長ホルモン(GH)は脳下垂体から分泌され、 肝臓や骨端線などに作用します。 GHの作用によって肝臓などでIGF-1(インスリン様成長因子1)の産生が促され、 GHとIGF-1が協調して骨端線の成長に関わります。
成長の流れを簡単に整理すると
脳下垂体から成長ホルモン(GH)が分泌
↓
肝臓などでIGF-1産生を促す
↓
GH・IGF-1が骨端線の軟骨細胞へ作用
↓
骨が長軸方向へ成長
亜鉛はこのGH・IGF-1系と無関係ではありません。 亜鉛欠乏ではGH産生やIGF-1などに影響する可能性が報告されており、 一方でGHも亜鉛代謝へ影響するなど、両者の関係は複雑です。
IGF-1は「成長ホルモンの正体」ではありません
GHとIGF-1は別の物質です。 GHがIGF-1の産生を促し、両者が成長に関与します。 「GHが肝臓に運ばれるとIGF-1へ変わる」という仕組みではありません。
亜鉛とGH・IGF-1に関連があるため、 「亜鉛を摂取すれば成長ホルモンの分泌が促進される」と説明されることがあります。
しかし、医学的には 「亜鉛不足によって正常な成長機構がうまく働かない可能性がある」ことと、 「亜鉛が足りている子に追加すればGHがさらに増え、身長が高くなる」ことは分けて考える必要があります。
| 状態 | 亜鉛補充の考え方 |
|---|---|
| 亜鉛欠乏がある | 不足を改善し、正常な成長・身体機能を支えることが重要 |
| 必要量を摂れている | 追加量に比例してGHや最終身長が増えるとは言えない |
| 低身長だが亜鉛不足か不明 | 「低身長=亜鉛不足」と決めず、成長曲線や他の原因も確認 |
したがって、亜鉛は「成長ホルモンを増やすために多く摂る成分」ではなく、 不足を起こさないことが重要な必須ミネラルとして理解するとよいでしょう。
日本臨床栄養学会の「亜鉛欠乏症の診療指針2024」では、 小児の体重増加不良・低身長などの発育障害が、亜鉛欠乏症でみられる臨床症状の一つとして挙げられています。
亜鉛不足でみられる可能性がある症状は、身長だけではありません。
低身長だけで「亜鉛不足」と診断することはできません
低身長には家族性・体質性のほか、成長ホルモン、甲状腺、SGA、慢性疾患、栄養不足などさまざまな原因があります。 身長が低いという理由だけで亜鉛サプリを増量しないようにしましょう。
亜鉛欠乏症は「低身長だから」「偏食だから」という印象だけでは診断しません。 日本臨床栄養学会の診療指針では、 亜鉛欠乏を疑う症状、他の原因の除外、血清亜鉛値などを組み合わせて判断します。
| 血清亜鉛値 | 診療指針上の分類 |
|---|---|
| 60μg/dL未満 | 亜鉛欠乏 |
| 60〜80μg/dL未満 | 潜在性亜鉛欠乏 |
血清亜鉛は早朝空腹時に測定することが望ましいとされています。 また、60〜80μg/dL未満であっても症状がない方は多く、 数値だけで全員に亜鉛補充が必要になるわけではありません。
身長が気になる場合には、亜鉛だけを単独で評価するのではなく、 身長・体重の成長曲線、年間成長速度、食事内容、思春期の進み方なども合わせて確認します。
亜鉛補充と子どもの身長については複数の研究がありますが、 結果は対象となった子どもの年齢、栄養状態、亜鉛不足の程度、地域などによって異なります。
亜鉛不足や低栄養のリスクが高い集団では、亜鉛補充によって成長指標が改善した研究があります。 一方、健康な子どもを対象とした研究では、身長への効果が明確ではない報告もあります。
研究結果を読むときのポイント
2023年の健康な2歳以上の子どもを対象としたメタ解析では、 亜鉛補充に伴う身長増加が報告されています。 ただし、これをそのまま日本のすべての健康な子どもへ当てはめ、 「亜鉛サプリを飲ませれば最終身長が高くなる」と結論づけることはできません。
「不足を治す」と「本来の成長以上に伸ばす」は別です
亜鉛不足がある場合に不足を改善することは重要です。 しかし、必要な亜鉛を摂れている子どもへさらに上乗せすれば、その分だけ身長が高くなるとは言えません。
亜鉛は魚介類・肉類・卵・乳製品・大豆製品など、日常的な食品に含まれています。 健康な子どもでは、まずバランスのよい食事から必要量を確保することが基本です。
亜鉛を含む食品の例
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、 子どもの亜鉛推奨量が年齢・性別ごとに設定されています。
年齢別の具体的な推奨量やサプリの注意点については、 子どもに亜鉛サプリは必要?身長への効果・1日の摂取量・注意点 →
亜鉛は成長に必要ですが、子どもの低身長を説明する原因の一つにすぎません。 「亜鉛不足だから伸びない」と決める前に、次の情報を確認します。
1|成長曲線
現在の身長だけでなく、過去数年間にどのようなカーブで伸びてきたかを確認します。
2|年間成長速度
1年間に何cm伸びたか、前年・前々年より伸び方が低下していないかを確認します。
3|体重・食事量
体重増加不良、小食、偏食、慢性的な下痢などがないかを確認します。
4|思春期の進み方
男子の声変わり、女子の乳房発育・初経など、思春期の進行によって成長速度は変化します。
5|骨年齢・必要な血液検査
骨の成熟度や、栄養・ホルモンなどを必要に応じて確認します。
身長について詳しく確認したい目安
成長速度について: 子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常?
低身長の原因について: 身長が伸びない理由・低身長の基準と受診目安
まず相談したい方|小児低身長 無料カウンセリング
「亜鉛不足なのか知りたい」「サプリを増やす前に成長状態を確認したい」という段階からご相談いただけます。
成長曲線・骨年齢・栄養状態まで詳しく確認|身長予測シミュレーション
これまでの成長記録から成長曲線を確認し、手のレントゲンによる骨年齢・骨端線の評価、 採血と結果を踏まえた栄養指導を行います。
※予測結果は将来の最終身長を保証するものではありません。
亜鉛は成長期に欠かせない栄養素ですが、身長の伸びを一つの栄養素だけで説明することはできません。 「何を追加するか」だけでなく、お子様がこれまでどのように成長しているのかを確認することが重要です。
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参考情報
西新宿本院・横浜駅前院では、小児低身長無料カウンセリング、身長予測シミュレーション、成長ホルモンプランに対応しています。 身長予測シミュレーションでは、成長曲線、骨年齢・骨端線、採血結果などから現在の成長状態を確認します。 未成年の患者様は親権者の方の同伴が必要です。
対応
小児低身長無料カウンセリング/身長予測シミュレーション/成長ホルモンプラン
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