先に結論
学校・受験・友人関係などの日常的なストレスがあるだけで、「成長ホルモンが減って身長が伸びなくなる」と判断することはできません。
ストレスを受けると、コルチゾールを含むホルモンや自律神経の働きが変化します。ただし、一時的なストレス反応と、長期間続く強いストレスでは身体への影響が異なります。
身長の伸びが気になる場合は、ストレスだけを原因と考えず、成長曲線・年間の身長の伸び・体重・思春期の進み方を確認することが大切です。
この記事でわかること
・一時的なストレスだけで低身長になるとは判断できない
・コルチゾールは「悪いホルモン」ではない
・非常に強い慢性的ストレスが成長へ影響する場合はある
・身長が気になるときは成長曲線と年間成長速度を見る
・「原因を調べたい場合」と「この先の身長を知りたい場合」では相談先が異なる
「ストレスを感じる=成長ホルモンが不足する」という単純な関係ではありません。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されるホルモンで、1日中一定量が出ているのではなく、分泌量が大きく変化する「パルス状」の分泌をしています。
年齢、思春期、睡眠、運動、栄養状態などさまざまな要因の影響を受けるため、「最近ストレスが多い」という情報だけから、成長ホルモンが不足しているかを判断することはできません。
一時的なストレスと慢性的な強いストレスは分けて考えます
テスト前の緊張、学校生活、友人関係などで一時的にストレスを感じることは、身体が環境へ適応するための通常の反応でもあります。
それだけを理由に「将来の身長が低くなる」と考える必要はありません。
また、成長ホルモンは時間によって大きく変動するため、通常の採血で1回測定した値だけから「成長ホルモンが少ない」と診断することもできません。
成長ホルモンが少ない場合のサイン・検査について詳しく見る →
ストレスについて調べると、「コルチゾール=ストレスホルモン」という言葉を目にすることがあります。
コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖や血圧の維持、代謝、免疫・炎症反応、ストレスへの適応などに関わっています。
身体に必要なホルモンであり、分泌されること自体が成長に悪いわけではありません。
日常のストレスと「病的なコルチゾール過剰」は別です
クッシング症候群などの病的な高コルチゾール状態や、長期間・高用量の全身性グルココルチコイド治療などでは、子どもの成長が抑制されることがあります。
学校や受験でストレスを感じていることと、このような病的な状態を同じものとして考えることはできません。
グルココルチコイドが長期間過剰に作用すると、GH–IGF-1系だけではなく、骨端線の軟骨細胞など複数の経路を介して骨の成長へ影響することがあります。
そのため、
「ストレス → コルチゾール増加 → 成長ホルモン停止 → 身長が伸びない」
という一本の経路だけで説明するのは不正確です。
非常に強いストレスが長期間続く場合や、幼少期の深刻な心理社会的逆境では、成長へ影響することが医学的に報告されています。
ただし、その影響は「成長ホルモンが減る」だけでは説明できません。
成長へ影響する可能性がある要素
・食欲や食事量の変化
・睡眠の乱れ
・心身の健康状態
・内分泌系の調節変化
・生活環境や養育環境
医学文献には「psychosocial short stature(心理社会的低身長・心理社会的成長障害)」と呼ばれる状態があります。
これは、重い心理社会的剥奪や不適切な養育環境など、深刻な環境と関連して成長障害がみられる特殊なケースです。
受験、部活動、習い事、友人関係などで感じる一般的なストレスを、そのまま「心理社会的低身長」と呼ぶものではありません。
身長の伸びが少ない理由を「ストレスのせい」と決めつけないでください
身長の伸びが低下する背景には、遺伝や体質、栄養状態、思春期の時期、ホルモンに関係する病気、慢性疾患などさまざまな要因があります。
当院でも、お子様の身長についてご相談いただく際には、「最近ストレスがあったか」だけではなく、これまでの身長・体重の経過を確認します。
まず確認したいポイント
現在の身長
年齢・性別に対してどの位置にいるかを確認します。
成長曲線
以前から同じ軌道で伸びているか、徐々に下方向へ外れていないかを確認します。
年間成長速度
1年前と比べて何cm伸びているか、以前より伸びが低下していないかを確認します。
体重の経過
体重が増えにくい、減少しているといった変化がないか確認します。
思春期の進み方
年齢に対してかなり早い・遅い変化がないかを確認します。
一般に、同性・同年齢の平均から−2SD以下は低身長の一つの目安です。
ただし、−2SD以下だから病気という意味ではありません。
反対に、−2SDより上であっても、これまでの成長曲線の軌道から継続して下がっている場合には、成長状態の確認が重要です。
子どもの身長は1年で何cm伸びればいい?年間成長速度を見る →
成長曲線が継続して下がっている、年間の身長の伸びが明らかに低下している、体重減少やほかの身体症状がある場合などは、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価をご検討ください。
ストレスの有無や、成長ホルモン・コルチゾールの単回の採血値だけで原因を診断することはできません。
お子様が強いストレスを感じている場合、家庭でできることは「成長ホルモンを増やす」ことではありません。
まず、お子様がどのようなことで負担を感じているのかを確認し、食事・睡眠・生活リズムなどが大きく乱れていないか見ていきましょう。
身長を気にしすぎることが負担になる場合もあります
・兄弟や同級生と何度も比較する
・毎日のように身長を測る
・「もっと食べれば伸びる」「早く寝ないと伸びない」と繰り返し言う
・身長だけを本人の問題として扱う
身長について確認する場合も、日々の数字だけではなく、数か月〜数年単位の成長経過を見ることが大切です。
ストレスの有無だけから、今後どのくらい身長が伸びるのかを予測することはできません。
病気の診断とは別に、「今どの程度成長の余地があるのか」「この先どのくらい伸びそうか」を知りたい場合には、成長曲線や骨年齢などから確認する方法があります。
ご相談の目的に合わせてお選びください
成長障害の原因や病気の有無を調べたい
→ 小児科・小児内分泌科などでの医学的評価をご検討ください。
まだ検査までは決めていない。まず成長記録について相談したい
→ 当院では、平日限定で小児低身長の無料カウンセリングを行っています。
「この先あとどのくらい伸びそうか」を具体的に知りたい
→ 当院の身長予測シミュレーションで、成長曲線や骨年齢などを確認できます。
当院の身長予測シミュレーション
6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、これまでの身長記録から成長曲線を確認し、手のレントゲンによる骨年齢などを参考に将来身長の目安を予測します。
対象:6歳(小学1年生)〜18歳
料金:15,270円(税込)
想定所要時間:約30分
主な内容:問診・成長曲線・手のレントゲン・結果説明
予約:完全予約制
ご予約時は「身長予測シミュレーション」をお選びください。
※身長予測シミュレーションは、病的な低身長や成長ホルモン分泌不全症などの確定診断を目的とする検査ではありません。
※予測結果は将来の最終身長を保証するものではありません。
まず話を聞きたい方へ
当院では、西新宿本院・横浜駅前院で平日限定の小児低身長無料カウンセリングを行っています。
「最近身長の伸びが少ない」「成長曲線をどう見ればよいか分からない」「有料検査を受けるかまだ決めていない」という段階でもご相談いただけます。
※無料カウンセリングは平日限定です。無料カウンセリング内ではレントゲン・採血などの検査は行いません。
一般的な日常ストレスがあることだけで、身長が伸びなくなるとは判断できません。身長の伸びが気になる場合は、ストレスの有無だけでなく、成長曲線・年間成長速度・体重などを確認します。
そのように単純にはいえません。コルチゾールは身体に必要なホルモンです。一方、病的な高コルチゾール状態などでは、複数の経路を介して成長が抑えられることがあります。
ストレスを減らすことで必ず身長が伸びるとはいえません。身長の伸びには遺伝、体質、栄養、ホルモン、思春期など複数の要因が関係します。
通常、単回のコルチゾール値だけから「心理的ストレスが身長に影響している」と判断することはできません。病的なコルチゾール過剰などが疑われる場合は、目的に応じた医学的評価が必要です。
身長について繰り返し指摘されたり、兄弟や同級生と比較されたりすることが心理的負担になる場合はあります。数字だけを問題視せず、お子様本人の気持ちにも配慮しましょう。
日常的な一時的ストレスがあるだけで、成長ホルモンが不足し、身長が伸びなくなると判断することはできません。
慢性的で非常に強いストレスや深刻な心理社会的逆境が成長へ影響するケースはありますが、子どもの身長には多くの要因が関係します。
身長の伸びが気になる場合は、「ストレスがあるか」だけではなく、過去の身長記録から成長曲線と年間成長速度を確認してください。
病気の原因を調べたい場合には小児科・小児内分泌科などでの評価を、病気の診断とは別に「この先どのくらい伸びそうか」を知りたい場合には、成長曲線や骨年齢を確認する方法があります。
Stress and Growth in Children and Adolescents
※当院の小児低身長に関する診療・検査・治療は自由診療です。身長予測シミュレーションは病的低身長の確定診断を目的とするものではありません。