「成長ホルモン注射は毎日打つ?」「週1回の注射もある?」「皮下注射と筋肉注射の違いは?」と気になる方もいるでしょう。
結論|小児の成長ホルモン注射には「短時間作用型」と「長時間作用型」があり、投与回数が異なります
小児の成長ホルモン治療では、従来から使われてきた短時間作用型に加え、現在は週1回投与の長時間作用型もあります。短時間作用型では週6〜7回の皮下注射が広く用いられ、長時間作用型では対象疾患・製剤に応じて週1回の皮下注射を行います。
ただし、投与回数・用量・適応疾患は製剤ごとに異なり、毎日型と週1回型を自己判断で選択・変更することはできません。まず低身長の原因と治療適応を確認することが前提です。
短時間作用型
週6〜7回など
長時間作用型
週1回
重要
適応・用量は製剤別
短時間作用型
ソマトロピンなど。疾患・製剤に応じて、一般に週6〜7回の皮下注射などで使用します。
長時間作用型
作用が長く続くよう設計された製剤で、対象疾患では週1回の皮下注射が可能です。
飲み薬はある?
現在、医療用の成長ホルモンそのものを経口投与して、注射と同等の身長治療効果を得る方法は確立されていません。
この記事で分かること
・毎日型と週1回型の違い
・皮下注射/筋肉内注射の使い分け
・自己注射、打ち忘れ、副作用の注意点
・誰がGH治療の対象になるのか
成長ホルモン製剤は、大きく短時間作用型と長時間作用型に分けて考えると分かりやすいでしょう。
SHORT-ACTING
短時間作用型
ソマトロピンなど。小児では対象疾患・製剤に応じて、週6〜7回の皮下注射が広く用いられています。
LONG-ACTING
長時間作用型
作用が長く続くよう設計された製剤で、対象疾患・製剤によって週1回の皮下注射が可能です。
短時間作用型では、ヒト成長ホルモンと同じアミノ酸配列をもつソマトロピン(遺伝子組換え)などが使用されています。すべての製剤・疾患が同じ投与回数ではなく、一部では筋肉内注射という用法が設定されている製剤・適応もあります。
日本小児内分泌学会では、2022年から小児の成長ホルモン分泌不全性低身長症に対して週1回の長時間作用型製剤が使用可能になったと説明しています。
2026年現在、週1回製剤は複数あります。製剤によって適応は異なり、成長ホルモン分泌不全性低身長症に用いる製剤のほか、SGA性低身長症やヌーナン症候群にも適応を持つ製剤があります。「週1回型」という同じ括りでも、成分・用量・対象疾患は同じではありません。
毎日型と週1回型は「回数だけの違い」ではありません
長時間作用型は、短時間作用型と同じ1回量を週1回まとめて打つ薬ではありません。製剤ごとに構造・用量・対象疾患が異なるため、自己判断で変更・置き換えはできません。
「週1回=毎日型より効果が高い」ではありません。違いは投与頻度だけでなく、薬剤設計・用量・適応疾患にもあります。
| 比較 | 短時間作用型 | 長時間作用型 |
|---|---|---|
| 主な投与頻度 | 週6〜7回など | 週1回 |
| 主な投与経路 | 皮下注射が中心 | 皮下注射 |
| 対象疾患 | 製剤ごとに複数 | 製剤ごとに異なる |
| 用量 | 疾患・体重・製剤に応じて設定 | 短時間作用型とは異なる |
| 特徴 | 長年の使用実績がある | 注射回数を減らせる |
| 効果の考え方 | 投与頻度だけで優劣は決まりません。対象疾患に対する承認用量で治療し、成長速度・IGF-1などを確認します。 | |
週1回型は注射回数を減らせる点が特徴ですが、「週1回だから全員に向いている」「毎日型より優れている」と一律に判断するものではありません。
診断された疾患、製剤の適応、年齢・体重、これまでの治療歴、自己注射の継続しやすさ、成長速度やIGF-1などの検査結果を踏まえて主治医が選択します。
現在の小児GH治療では、家庭で行う皮下注射が実際の在宅治療の中心です。
皮下注射は、皮膚の下にある皮下組織へ薬剤を注入する方法です。製剤によって腹部、大腿部、臀部などが注射部位として案内されます。
在宅注射で確認する3点
注射部位:製剤ごとに指定された部位へ
ローテーション:同じ場所へ繰り返し注射しない
手技:自己流ではなく、医療者から指導を受ける
「皮下注射だから簡単」と決めつけない
家庭で使用できる製剤でも、初回から自己流で注射するものではありません。薬剤の保管、用量設定、注射部位、針の扱い、打ち忘れ時の対応などを医療者から確認して使用します。
なお、短時間作用型ソマトロピンの一部製剤・適応では、添付文書上週2〜4回の筋肉内注射という用法も残っています。一方、SGA性低身長症など皮下注射のみが設定されている適応もあります。したがって、投与経路も自己判断で選ぶのではなく、処方された製剤・適応の用法に従います。
成長ホルモン治療では、医療機関で自己注射の指導を受けたうえで、本人または保護者が家庭で注射することがあります。
現在はペン型の注入器、薬剤があらかじめ充填された製剤、専用カートリッジを装着するタイプなどがあり、操作方法は製品ごとに異なります。
打ち忘れたら「2回分まとめて」はしない
毎日型・週1回型とも、対応は製剤ごとに定められています。
予定日から何日以内なら投与できるか、次回までどれだけ間隔を空けるかも製剤ごとに異なります。処方医・薬剤師から受けた指示や患者向けガイドを確認してください。
針が細い製品もありますが、痛み・怖さの感じ方には個人差があります。「ほとんど痛くない」「子どもなら誰でも簡単にできる」とは一律に言えません。
成長ホルモン治療は、適応疾患に対して承認された用量で使用し、身長の伸びだけでなく安全性も定期的に確認しながら継続する治療です。
定期的に確認
身長・成長速度・IGF-1・甲状腺機能・糖代謝など
症状があれば相談
強い頭痛、吐き気・嘔吐、見え方の異常など
副作用の内容や頻度は製剤・疾患によって異なりますが、注射部位の反応、頭痛、関節痛などがみられることがあります。また、GH製剤では糖代謝や甲状腺機能への影響などにも注意します。
治療中に確認される主な項目
・身長、年間成長速度
・体重、思春期の進行
・IGF-1
・甲状腺機能
・血糖など糖代謝
・骨年齢や原疾患に応じた検査
強い頭痛・吐き気・嘔吐・見え方の異常がある場合は医療機関へ連絡
GH製剤では、良性頭蓋内圧亢進などに注意が必要とされています。症状が強い場合や続く場合は、自己判断で治療を続けたり用量を変更したりせず、処方医へ相談してください。
また、認められた範囲を超えてGHを多く投与すれば効果が高くなるわけではありません。日本小児内分泌学会は、不適切な高用量では浮腫、耐糖能障害などの有害事象が起こる可能性があるとして、承認された用法・用量での適正使用を求めています。
身長が低いという理由だけで、成長ホルモン注射の医学的な適応が決まるわけではありません。
日本小児内分泌学会では、小児でGH治療の保険適用となる疾患として、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、慢性腎不全に伴う低身長、軟骨異栄養症、プラダー・ウィリー症候群、SGA性低身長症、ヌーナン症候群、SHOX異常症などを挙げています。いずれも診断・開始基準があり、単に「小柄だから」という理由だけでは治療対象になりません。
特に成長ホルモン分泌不全性低身長症では、通常の1回の採血でGH値を測るだけでは診断できません。日本小児内分泌学会では、主症候などを確認したうえで、原則として2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験でGH不足を確認することを求めています。
「治療適応」と「将来身長予測」は別です
治療適応を知りたい:小児科・小児内分泌科で診断・検査
骨年齢・将来身長の目安を知りたい:身長予測という別の目的
GH治療の適応を判断するときに確認する情報
・現在の身長とSD
・年間成長速度、成長曲線
・出生時の情報、既往歴、家族歴
・骨年齢、骨端線の状態
・必要に応じた血液検査、GH分泌刺激試験など
成長ホルモン不足の診断については、「成長ホルモン不足と子どもの身長」をご覧ください。
現在、医療用GH注射と同等の身長治療効果が確立した経口GH製剤やサプリメントはありません。
成長ホルモンはペプチドホルモンで、口から摂取すると消化管で分解されます。日本小児内分泌学会も、現時点では注射以外の投与方法で有効性が認められていないと説明しています。
また、「成長ホルモンを増やす」「身長を伸ばす」と宣伝されるアミノ酸・食品・サプリメントについても、成長促進効果が科学的に確立しているわけではありません。医療用GH治療の代替にはなりません。
「毎日型と週1回型のどちらがよい?」と考える前に、最初に確認すべきなのは医学的にGH治療の対象となる疾患・状態かどうかです。製剤選択は、診断後に小児科・小児内分泌科などの主治医と検討します。
一方、病気やGH治療適応の診断ではなく、「骨がどの程度成熟しているか」「この先の身長の目安を知りたい」という目的であれば、骨年齢を用いた身長予測という別の選択肢があります。
骨端線が閉鎖した後は、成長ホルモンを投与しても長い骨をさらに長軸方向へ伸ばすことはできません。ただし、骨端線が開いているだけでGH治療の適応になるわけでもありません。
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GH不足・治療適応・製剤選択を調べたい
→ 小児科・小児内分泌科などで医学的評価を優先してください。
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短時間作用型では週6〜7回の皮下注射などが一般的ですが、現在は対象疾患・製剤によって週1回の長時間作用型もあります。投与回数は処方された製剤の指示に従います。
「週1回だから効果が高い」とは言えません。短時間作用型と長時間作用型では薬剤設計・用量・適応疾患が異なります。承認された用量で治療し、成長速度・IGF-1・安全性などを確認しながら主治医が選択します。
一般的な小児の短時間作用型GH治療を「1日2〜3回」と説明するのは正確ではありません。現在は疾患・製剤に応じて週6〜7回の皮下注射や、週1回の長時間作用型などが使われます。
年齢・理解度・製剤によっては本人が自己注射する場合があります。保護者が行う場合もあります。いずれも医療者から使用方法の指導を受けたうえで行います。
現在、医療用GH注射と同等の身長治療効果が確立した経口GH製剤やサプリメントはありません。成長ホルモンはペプチドホルモンで、経口摂取すると消化管で分解されます。
この記事の要点
1. 小児GH治療には短時間作用型と週1回の長時間作用型がある
2. 投与回数・用量・適応疾患は製剤ごとに異なる
3. 在宅治療では皮下注射が中心だが、一部製剤・適応では筋肉内注射の用法もある
4. 打ち忘れ・保管・注射方法は製品ごとの指示に従う
5. 治療中は成長速度だけでなくIGF-1、甲状腺機能、糖代謝なども確認する
6. 飲み薬・サプリで医療用GH注射を代用する方法は確立されていない
7. GH製剤を選ぶ前に、低身長の原因と治療適応を医学的に診断する
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