「成長ホルモンは骨端線にどう働く?」「成長ホルモンが多ければ身長は高くなる?」「骨端線が残っていればGH治療で伸ばせる?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
結論|GH・IGF-1は成長板での骨の長さ方向の成長に重要ですが、それだけで身長は決まりません
成長ホルモン(GH)は下垂体から分泌され、成長板への直接作用と、肝臓や骨を含む組織で働くIGF-1(インスリン様成長因子1)を介した作用の両方を通じて、骨の長さ方向の成長に関わります。
ただし、身長はGHだけで決まるわけではなく、「GHを多く出せば最終身長が高くなる」「骨端線が開いていればGH治療を受けられる」という関係でもありません。
GHはどこから出る?
脳の下垂体からパルス状に分泌されます。
IGF-1は何をする?
血中を循環するIGF-1と、骨を含む組織内で作用するIGF-1があり、長軸方向の骨成長に関係します。
骨端線が残っていればGH治療できる?
骨端線の開存だけでは治療適応になりません。対象疾患の診断や検査結果などが必要です。
GH・IGF-1から分かること
・骨の長さ方向の成長に重要なホルモン系である
・成長板の軟骨細胞の働きに関係する
・GH不足の評価では成長曲線などと合わせて見る
GH・骨端線だけでは分からないこと
・あと何cm伸びるかという確定値
・GH治療が必要かどうか
・低身長の原因や病気の有無
成長ホルモン(GH)は、脳の底部にある下垂体から分泌されるペプチドホルモンです。
GHは子どもの身長の伸びに重要ですが、血液中へ一定量が出続けているわけではありません。分泌量は時間帯によって大きく変動するパルス状分泌です。そのため、通常の採血で偶然測ったGH値だけから「不足している・十分に出ている」と判断することはできません。
骨の長さ方向の成長では、主に腕や脚の長い骨の端付近にある成長板(骨端線)が重要です。
GHは成長板へ直接作用するとともに、IGF-1を介した作用によって、成長板の軟骨細胞の増殖・成熟などに関わります。
骨端線そのものの構造や、軟骨内骨化について詳しくは、「骨端線とは?身長が伸びる仕組み・成長ホルモン・思春期との関係」をご覧ください。
この1953では「GH・IGF-1が成長板へどう関係するか」を中心に解説します。骨端線そのものの構造は1889、GH不足の診断は4048へ分けています。
以前は、「GHが肝臓に働く→ソマトメジンC(IGF-1)が作られる→骨芽細胞が増える→身長が伸びる」と単純に説明されることがありました。
しかし、現在はそれだけでは不十分です。
古典的には「GHが肝臓でIGF-1を作らせ、そのIGF-1が骨を伸ばす」という説明が使われてきました。しかし現在は、GHには成長板への直接作用があり、IGF-1も血中を循環するものだけでなく局所で作用するという、より複雑なGH–IGF-1軸として理解されています。
成長板に対するGHの直接作用や局所IGF-1の役割は、動物モデルを含む多くの実験研究で支持されています。一方で、人の身長を「GH→IGF-1→骨」という一方向の経路だけで説明できるわけではありません。
GH
下垂体から分泌され、成長板へ直接作用するとともにIGF-1系にも関与します。
IGF-1
血中・局所の両方で作用し、成長板の軟骨細胞の増殖・成熟などに関わります。
成長板
軟骨細胞の増殖・成熟・肥大と軟骨内骨化を通じて、骨の長さが増します。
長い骨が伸びるとき、中心的な役割を担うのは成長板の軟骨細胞です。
軟骨細胞が増殖し、成熟・肥大したのち、軟骨組織が骨組織へ置き換わる軟骨内骨化が進みます。
「骨芽細胞が増えれば身長が伸びる」だけでは不正確です
骨芽細胞・破骨細胞も骨形成やリモデリングに関わりますが、身長につながる長軸方向の骨成長では、成長板の軟骨細胞と軟骨内骨化が重要です。
成長ホルモンは身長の伸びに重要ですが、GHだけで最終身長が決まるわけではありません。
長軸方向の骨成長には、GH・IGF-1以外にも、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドなどの内分泌因子、遺伝的要因、栄養状態、慢性疾患など多くの要素が関係します。
また、GHは「多いほどよい」ホルモンではありません。成長板が閉鎖する前にGHが病的に過剰になると過度な長軸成長を来すことがあり、成人では先端巨大症など健康上の問題につながります。
日本小児内分泌学会も、GHを適正に使用できる低身長は一部であり、承認された対象疾患や適正な使用法を外れるGH投与には、十分な効果が得られないことや有害事象の懸念があるとしています。
「GHが少ないかも」=すぐ注射、ではありません
低身長の原因はGH不足だけではありません。まずは成長曲線・年間成長速度・診察所見などから、GH不足を疑う状況かどうかを評価します。
成長板が成熟し、完全に骨化・閉鎖したあとでは、その成長板から長い骨をさらに長軸方向へ伸ばすことはできません。
そのため、GHが分泌され続けていても、閉鎖した成長板を再び開いて長い骨を伸ばす作用はありません。
一方、成長ホルモンは成人後も分泌され、脂肪・糖代謝、筋肉量や身体機能の維持など、身長以外の作用を持ちます。
骨端線が開いているだけではGH治療を決めません
日本小児内分泌学会が示す小児の承認対象では、骨端線が閉鎖していないことは重要な条件ですが、それだけでは治療適応になりません。
・対象疾患の診断
・成長経過、成長速度
・疾患ごとに必要な検査
などを合わせて判断します。
骨端線が閉じる年齢や順番については、「骨端線はどこから閉じる?閉じる順番・年齢と身長の伸びを解説」をご覧ください。
身長が低い、または最近の伸びが少ないからといって、すぐに成長ホルモン不足と判断することはできません。
低身長の背景には、遺伝・体質、思春期の時期、SGA、甲状腺疾患、染色体・骨の病気、慢性疾患、栄養状態などさまざまな要因があります。
また、GHはパルス状に分泌されるため、通常の1回の採血でGH濃度を測っただけでは、成長ホルモン分泌不全性低身長症を診断できません。
GH不足を疑うときに見る情報
・成長曲線
・年間成長速度
・診察所見
・IGF-1などを含む血液検査
・骨年齢
・必要に応じてGH分泌刺激試験など
IGF-1低値だけでもGH不足とは診断できません
IGF-1はGH–IGF-1軸の評価に役立ちますが、次の影響も受けます。
・年齢、思春期段階
・栄養状態
・肝機能、甲状腺機能など
そのため、IGF-1の単独値だけで成長ホルモン分泌不全性低身長症を確定することはできません。
日本小児内分泌学会では、成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断してGH治療を開始するには、主症候などを評価したうえで、原則として2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験でGH不足を確認することが必要としています。
成長ホルモン不足の評価について詳しくは、「成長ホルモン不足と子どもの身長」をご覧ください。
「成長ホルモンが足りないのでは?」と考える前に、まず確認したいのは、お子様がこれまでどのようなペースで伸びてきたかです。
GH不足を考える前に見る3つ
現在の身長:今どの位置にいるか
年間成長速度:最近どれくらい伸びたか
成長曲線:過去から同じ軌道を保っているか
−2SD以下は低身長の一つの目安ですが、GH不足の診断ではありません。また、−2SDより上でも成長曲線が継続して下がる場合には、成長状態を確認する意味があります。
年間の成長速度については、「子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常?小学生・中学生の成長速度と受診目安」をご覧ください。
GH不足や病気の有無を調べたい場合
小児科・小児内分泌科などで医学的評価をご相談ください。骨端線の開存や身長の低さだけからGH治療の適応を判断することはできません。
診断・治療適応を知りたい
GH不足やGH治療の対象かが心配
→ 小児科・小児内分泌科などで医学的評価を優先します。身長予測シミュレーションはGH治療適応を判定する検査ではありません。
病気やGH治療適応の診断ではなく、「今の骨の成熟度を知りたい」「この先の身長の目安を確認したい」という場合には、成長記録と骨年齢などを使った身長予測という選択肢があります。
※GH不足が疑われる場合の刺激試験や、GH治療の適応判定を代替するものではありません。
「GH不足?」ではなく、この先の身長の目安を確認したい方へ
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SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳を対象に、これまでの成長記録、現在の身長、ご両親の身長、手のレントゲンによる骨年齢・骨端線などを参考に、今後の身長の目安を算出する身長予測シミュレーションを行っています。
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※公式ページには想定所要時間「約30分」と記載されていますが、予測結果説明後に採血・栄養指導を行う流れも掲載されています。実際の滞在時間は予約時にご確認ください。
※身長予測シミュレーションはGH不足や病的低身長の確定診断を目的とする検査ではありません。骨端線が開いていることだけからGH治療の適応を判断するものでもありません。骨年齢を用いた将来身長予測には誤差があり、予測結果は最終身長を保証するものではありません。
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GHには成長板への直接作用があると考えられており、さらに血中・局所のIGF-1を介した作用もあります。現在は「GH→肝臓→IGF-1」という一方向だけではなく、GH–IGF-1軸の複合的な作用として理解されています。
IGF-1低値だけでは診断できません。IGF-1は年齢・思春期・栄養状態などでも変化します。成長曲線や診察所見などを確認し、成長ホルモン分泌不全が疑われる場合は必要に応じてGH分泌刺激試験を行います。
そのような単純な関係ではありません。身長には遺伝、骨成熟、甲状腺・性ホルモン、栄養、慢性疾患など複数の要因が関係します。GHが病的に過剰な場合には健康上の問題も起こりえます。
骨端線が開いていることだけではGH治療の適応になりません。対象疾患の診断や成長経過、必要な検査結果などを含めて医師が判断します。
通常の単回採血だけでは診断できません。GHはパルス状に分泌されるため、成長曲線やIGF-1、骨年齢などを確認し、必要に応じてGH分泌刺激試験を行います。
この記事の要点
1. GHは下垂体から分泌され、成長板への直接作用とIGF-1を介した作用がある
2. IGF-1は肝臓だけでなく成長板などの局所でも作用する
3. 長軸方向の骨成長では成長板の軟骨細胞と軟骨内骨化が重要
4. GHを一時的に多く出すことと最終身長を高くすることは同じではない
5. 骨端線が開いていることだけではGH治療の適応にならない
6. IGF-1単独やGHの単回採血だけでGH不足を診断できない
7. GH治療適応を知りたい場合は小児科・小児内分泌科での評価を優先する
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骨端線そのものはどうやって骨を伸ばす?
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※SBC整形外科クリニックの小児低身長に関する診療・検査・治療は自由診療です。身長予測シミュレーションはGH不足や病的低身長の確定診断を目的とするものではありません。18歳未満の患者様は親権者の同伴が必要です。診療内容・対象年齢・料金・診療時間・予約枠などは変更となる場合があります。受診前に公式ページ・予約画面で最新情報をご確認ください。