先に結論
食事・睡眠・運動などの生活習慣で、正常な骨端線の閉鎖を意図的に遅らせる方法は確立されていません。
骨端線が閉じていく時期には、思春期の進み方や性ホルモン、骨の成熟度などが関係します。
そのため、「どうすれば閉じるのを遅らせられるか」を考えるより、今どの程度骨が成熟していて、あとどのくらい成長する可能性が残っているのかを確認することが大切です。
この記事でわかること
骨端線を遅らせる方法:一般的な生活習慣では確立されていません
骨端線が閉じる理由:思春期・性ホルモン・骨成熟などが関係します
骨端線が開いていればまだ伸びる?:開いているだけでは残りの伸び幅は分かりません
確認したいもの:骨年齢・成長曲線・最近の成長速度・思春期の進み方です
健康な子どもの骨端線について、食事・睡眠・運動・ストレッチなどで正常な閉鎖時期を意図的に遅らせる方法は確立されていません。
骨端線とは、主に腕や脚にある長い骨の端付近に存在する、骨が長く成長するための軟骨組織です。「成長板」「成長軟骨板」と呼ばれることもあります。
成長期には、この部分で軟骨細胞が増殖・成熟し、徐々に骨へ置き換わることで骨が長くなります。
その後、身体の成熟とともに骨端線も成熟し、最終的に閉鎖します。完全に閉鎖した骨では、長さ方向への成長は原則として終了します。
骨端線が閉じること自体は異常ではありません
骨端線の閉鎖は、子どもの身体が成熟していく過程で起こる生理的な変化です。「できるだけ閉じないようにする」ことを家庭での目標にする必要はありません。
骨端線が閉じる順番や時期について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
骨の成長や成熟には、成長ホルモン、IGF-1、甲状腺ホルモン、性ホルモンなど複数の因子が関係しています。
特に思春期には性ホルモンの分泌が増え、身長が大きく伸びる「成長スパート」が起こる一方で、骨の成熟も進みます。
骨端線の最終的な成熟・閉鎖には、男女ともエストロゲンの作用が重要であることが知られています。
思春期は「身長が大きく伸びる時期」であると同時に「骨の成熟が進む時期」です
思春期前半には身長の伸びが加速しますが、思春期が進むにつれて骨の成熟も進み、その後は年間の身長の伸びが徐々に小さくなっていきます。
そのため、現在身長が急に伸びているからといって、「骨の成熟はまだ進んでいない」と判断することはできません。
また、骨端線の閉鎖時期には個人差があるため、「男子は○歳、女子は○歳になれば必ず閉じる」と実年齢だけで決めることもできません。
一般的な生活習慣によって、生理的な骨端線の閉鎖を意図的に遅らせる方法は確立されていません。
十分な睡眠は子どもの健康や正常な成長のために重要です。
成長ホルモンは睡眠に伴って大きく分泌されますが、睡眠時間を増やせば、その分だけ骨端線が長く開いた状態になるということではありません。
成長期には、必要なエネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルなどを不足させないことが重要です。
一方、カルシウム、たんぱく質、亜鉛、ビタミンDなど特定の栄養素を必要量以上に多く摂ることで、骨端線の閉鎖時期を遅らせられるわけではありません。
年齢や発達に合った身体活動は、骨や筋肉を含む身体の健康のために大切です。
しかし、「この運動をすれば骨端線が長く開く」「ストレッチをすれば閉鎖を遅らせられる」という方法は確立されていません。
また、すでに生理的に閉鎖した骨端線を、運動やストレッチによって再び開くこともできません。
生活習慣は「骨端線を閉じさせないため」ではなく、正常な成長を支えるために整えます
食事・睡眠・運動は重要ですが、その目的は骨端線の閉鎖を操作することではありません。栄養不足や睡眠不足など、正常な成長を妨げ得る要因を避けることが基本です。
思春期が通常よりかなり早く始まる場合には、骨の成熟も早く進むことがあります。
代表的な疾患の一つが思春期早発症です。
思春期早発症では、低年齢のうちに一時的に身長が急速に伸びても、骨成熟が早く進むことで、その後早い段階で身長の伸びが小さくなる場合があります。
思春期早発症では、専門医による治療が行われる場合があります
中枢性思春期早発症など、医学的に治療が必要と判断された場合には、小児内分泌の専門医が思春期の進行を抑える治療を検討します。
これは病的に早く進む思春期を治療するためのものであり、健康な子どもの身長を高くする目的で思春期や骨端線閉鎖を遅らせる治療ではありません。
同年代よりかなり早い時期に乳房発育、精巣の発育、陰毛、初経、声変わりなどがみられる場合や、低年齢で急に身長が伸びている場合には、小児科・小児内分泌科への相談を検討してください。
「骨端線がまだ開いていたら、あと何cm伸びる?」と気になる方も多いでしょう。
しかし、骨端線が見えているという情報だけで、残っている身長の伸び幅を判断することはできません。
骨端線が残っていても骨成熟がかなり進んでいれば、その後の身長の伸びが小さい場合があります。
反対に、実年齢だけを見て「もう成長は終わった」と判断することもできません。
残りの成長を考えるときに確認したい情報
骨年齢
実年齢とは別に、骨格がどの程度成熟しているかを確認します。
成長曲線
これまでどのような軌道で身長が伸びてきたかを確認します。
最近の成長速度
半年〜1年間などで実際にどのくらい身長が伸びているかを確認します。
思春期の進み方
現在どの成長段階にいるのかを確認します。
ご両親の身長
遺伝的な身長の目安を考えるための情報の一つです。
骨年齢とは、実年齢とは別に、骨格がどの程度成熟しているかを評価する指標です。
小児では、手・手首にある複数の骨の成熟状態をレントゲン画像で確認し、骨年齢を評価する方法が一般的です。
ただし、骨年齢だけで最終身長を正確に確定できるわけではありません。
成長曲線、最近の成長速度、思春期の進み方、ご両親の身長など複数の情報を組み合わせて考えます。
子どもの身長は1年で何cm伸びればいい?年間成長速度を見る →
目的によって相談先を分けましょう
思春期がかなり早い・成長曲線が下がっている・病気が心配
小児科・小児内分泌科などで、原因となる疾患がないか医学的な評価を受けます。
病気の診断ではなく「この先どのくらい伸びそうか」を知りたい
成長曲線や骨年齢などから、現在の成長状態と将来身長の目安を確認する方法があります。
骨端線を「遅らせる」のではなく、今どのくらい成長余地があるか確認したい方へ
SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に身長予測シミュレーションを行っています。
年齢ごとの身長記録から成長曲線を確認し、左手のレントゲンによる骨年齢などを参考に、今後の身長の目安を予測します。
対象:6歳(小学1年生)〜18歳
料金:15,270円(税込)
想定所要時間:約30分
主な内容:問診・成長曲線・レントゲンによる骨年齢確認・予測結果の説明
予約:完全予約制
予約ページで「身長予測シミュレーション」をお選びください。
※身長予測は将来の成人身長を保証するものではありません。
※病的な低身長や思春期早発症などの確定診断を目的とする検査ではありません。疾患が疑われる場合は、小児科・小児内分泌科など専門医療機関での医学的評価を優先してください。
十分な睡眠は健康な成長に重要ですが、睡眠時間を増やすことで正常な骨端線の閉鎖時期を意図的に遅らせられるとはいえません。
そのような効果が確立された食品や一般向けサプリメントはありません。必要な栄養を不足させないことは重要ですが、特定の栄養素を多く摂ることで生理的な骨端線閉鎖を遅らせられるわけではありません。
骨端線が開いていることは成長余地を考える情報の一つですが、それだけでは残りの伸び幅を判断できません。骨年齢、最近の成長速度、成長曲線、思春期の進み方などを合わせて考えます。
身体の成熟に伴って生理的に完全閉鎖した骨端線を、食事・睡眠・運動・ストレッチなどによって再び開く方法は確立されていません。
健康な子どもの思春期を、身長を高くする目的で意図的に遅らせるものではありません。一方、思春期早発症など医学的に治療が必要な場合には、小児内分泌の専門医が診断したうえで思春期の進行を抑える治療を検討することがあります。
食事・睡眠・運動などによって、正常な骨端線の閉鎖時期を意図的に遅らせる方法は確立されていません。
骨端線の成熟には、思春期の進み方や性ホルモン、骨年齢などが関係しています。
また、骨端線が開いているかどうかだけでは「あと何cm伸びるか」を判断できません。
将来の身長が気になる場合には、閉鎖を遅らせる方法を探すのではなく、成長曲線、最近の身長の伸び、骨年齢、思春期の進み方などから、現在どの程度の成長余地が残っているのかを確認することが大切です。
Clinical Pediatric Endocrinology「Bone age: assessment methods and clinical applications」
※18歳未満の患者様は、受診時に親権者の同伴が必要です。