「納豆を毎日食べさせると子どもの身長は伸びる?」「成長期には1日1パック?2パック?」「納豆が嫌いな子は背が伸びにくい?」
子どもの身長が気になると、タンパク質が豊富な納豆を積極的に食べさせた方がよいのか迷う保護者の方もいるでしょう。
結論からいうと、納豆を毎日食べることで、子どもの最終身長が高くなるという医学的な効果は確立されていません。
最初に結論|納豆と子どもの身長
納豆は成長期の栄養補給に役立ちますが、食べる量に比例して身長が伸びるわけではありません。
納豆にはタンパク質、鉄、亜鉛、カルシウムなどが含まれています。ただし、子どもの身長は食事だけで決まるものではありません。
毎日食べることや、1日何パック食べることにも、身長を伸ばすための決まった基準はありません。
納豆を食べる習慣があっても、ほかの食品が不足していれば栄養バランスが偏る場合があります。反対に、納豆を食べない子どもでも、肉・魚・卵・乳製品などから必要な栄養を摂ることができます。
この記事では、納豆1パックに含まれる栄養素、子どもに適した食べ方、牛乳との違い、食べすぎの注意点、身長が伸びない場合に確認したいことを解説します。
この記事でわかること
納豆は成長期の食事に取り入れやすい食品ですが、毎日食べることで最終身長が高くなるとは証明されていません。
タンパク質やミネラルなどの栄養を含むことと、その食品を増やすことで身長が高くなることは、別の話だからです。
納豆は大豆を発酵させた食品で、身体の組織をつくるタンパク質や、骨の健康に関係するカルシウムなどを含んでいます。
成長期に必要なエネルギーや栄養が不足している場合、その不足を改善することは正常な成長を支えるために重要です。
しかし、必要な栄養を十分に摂れている健康な子どもが、さらに納豆を追加することで、本来の成長以上に背を高くできるとはいえません。
タンパク質は、筋肉だけでなく、骨や皮膚など身体を構成する組織の材料となる栄養素です。
子どもの骨が長さ方向に伸びる仕組みには、骨端線(こったんせん)と呼ばれる成長板が関係しています。
骨端線では軟骨細胞が増殖・成熟し、骨へと置き換わることで骨が長くなります。この過程には、成長ホルモンやIGF-1、甲状腺ホルモン、性ホルモン、栄養状態などが関係します。
そのため、「納豆のタンパク質をたくさん食べると骨端線の細胞が増え、身長が伸びる」という単純な仕組みではありません。
タンパク質は不足を避けることが大切ですが、摂取量を増やすほど最終身長が高くなるわけではないのです。
子どもは成長期になると、食事内容にかかわらず自然に身長が伸びます。
特に思春期には身長の伸びが一時的に大きくなる「成長スパート」が起こります。
納豆を食べ始めた時期と成長スパートが重なれば、納豆のおかげで急に身長が伸びたように感じることもあるでしょう。
しかし、その変化が納豆だけによるものかどうかは判断できません。
「小学生は1日1パック」「中学生なら2パック食べた方がいい」といった情報を見かけることがあります。
しかし、身長を伸ばすことを目的に、納豆を1日何パック食べればよいという医学的な基準はありません。
年齢、体格、活動量、ほかの食品から摂取している栄養によって、食事の適切な内容は異なります。
納豆を日常の食事に取り入れる場合、1パックを食事の一品として利用することはできます。
ただし、市販の納豆は1パックの内容量が商品によって異なり、40g程度のものも50g程度のものもあります。
大切なのは「1パック食べたかどうか」だけではなく、1日の食事全体で必要な栄養を摂れているかです。
納豆を2パック食べれば、1パックより多くのタンパク質やミネラルを摂ることはできます。
しかし、納豆を2倍食べても身長の伸びが2倍になるわけではありません。
また、納豆を大量に食べて満腹になり、肉・魚・野菜などほかの食品を食べる量が減ってしまう場合は、食事のバランスが偏る可能性があります。
身長を伸ばすために無理に食べる量を増やす必要はありません。
毎日納豆を食べる必要はありません。
タンパク質を含む食品には、肉・魚・卵・乳製品・豆腐など、さまざまな種類があります。
納豆が苦手なお子様に無理に食べさせるのではなく、本人が食べられる食品を組み合わせ、食事全体で必要な栄養を補うことが大切です。
納豆には、タンパク質以外にもさまざまな栄養素が含まれています。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づき、糸引き納豆50g当たりの主な栄養成分を確認しましょう。
糸引き納豆50gの主な栄養成分
タンパク質
約8.3g
カルシウム:約45mg
骨の正常な形成や石灰化などに必要なミネラル。
鉄:約1.7mg
赤血球のヘモグロビンなどをつくるために必要なミネラル。
亜鉛:約1.0mg
さまざまな酵素の働きや正常な発育に関わるミネラル。
食物繊維:約4.8g
腸の健康や排便などに関係する食品成分。
※糸引き納豆100g当たりの食品成分値から50g相当に換算した概算です。商品の種類・重量・付属のタレによって異なります。
タンパク質は筋肉、内臓、皮膚など、身体を構成するさまざまな組織の材料となります。
成長期には身体の発達に必要なタンパク質を不足させないことが大切です。
ただし、必要なタンパク質を納豆だけから摂る必要はありません。肉・魚・卵・乳製品なども組み合わせて考えましょう。
納豆50gには約45mgのカルシウムが含まれています。
カルシウムは骨の健康に必要ですが、カルシウムを多く摂るほど骨が長くなり、最終身長が高くなるわけではありません。
成長期に必要なカルシウムの量は年齢・性別によって異なり、牛乳や乳製品、小魚、野菜などからも摂取できます。
納豆にはビタミンKが豊富に含まれています。
ビタミンKは正常な血液凝固や骨の健康に関係する栄養素です。
しかし、納豆のビタミンKを多く摂ることで、健康な子どもの最終身長が高くなるという効果は確立されていません。
また、血液を固まりにくくする薬の一つであるワルファリンを服用している場合は、納豆の摂取に特別な注意が必要です。詳しくは後半で解説します。
納豆はタンパク質を含む食品ですが、納豆だけを増やしても、成長期に必要な栄養がすべて満たされるわけではありません。
身体の発達や日々の活動に必要なエネルギーを確保し、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。
納豆ごはんは、主食とタンパク質を含む食品を組み合わせやすい食事です。
ただし、納豆ごはんだけで1日に必要な栄養がすべて摂れるわけではありません。
例えば、卵料理や野菜を使ったみそ汁、果物などを組み合わせることで、食事に幅を持たせることができます。
納豆と牛乳には、含まれている栄養素の種類や量に違いがあります。
納豆は植物性タンパク質や食物繊維などを含み、牛乳はカルシウムやタンパク質を摂りやすい食品です。
しかし、どちらか一方を食べれば背が高くなるというものではありません。
関連記事:牛乳を飲むと身長は伸びる?カルシウムと子どもの成長 →
成長期には、タンパク質だけでなく、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンDなどさまざまな栄養素が必要です。
納豆は栄養価のある食品ですが、ビタミンDを十分に補う食品ではありません。魚や卵など、別の食品も必要に応じて組み合わせましょう。
特にスポーツをしているお子様は、消費するエネルギーに対して食事量が不足していないか確認することも重要です。
主食
ごはん・パン・麺類など。身体を動かすためのエネルギー源となります。
主菜
納豆・肉・魚・卵・大豆製品など。タンパク質などを補います。
副菜・その他
野菜・果物・乳製品など。ビタミンやミネラルなどを組み合わせて摂取します。
納豆を食べるかどうかだけでなく、食事全体の量や組み合わせが適切かという視点で考えることが大切です。
納豆は日常の食事に取り入れられる食品ですが、どの子どもにも大量に食べさせてよいというわけではありません。
食事のバランスだけでなく、アレルギーの有無や服用中の薬などにも注意しましょう。
納豆を大量に食べることで満腹になり、ほかのおかずや主食の量が減る場合があります。
その結果、必要なエネルギーや栄養素が十分に摂れなくなる可能性もあります。
納豆を何パック食べたかだけでなく、普段の食事量や体重の変化なども確認しましょう。
納豆は大豆から作られているため、大豆アレルギーがある場合には注意が必要です。
納豆が発酵食品だからといって、大豆アレルギーの方が必ず安全に食べられるわけではありません。
大豆アレルギーが疑われる場合や、医師から大豆の除去を指示されている場合は、自己判断で食べさせず、小児科などへ相談してください。
ワルファリンは、血液が固まる働きを抑える薬です。
納豆にはビタミンKや納豆菌が含まれており、ワルファリンの作用を弱めることがあります。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、ワルファリン服用中の納豆の摂取を避ける必要があると説明しています。
服用中の薬がある場合は確認を
ワルファリンを服用している方は、納豆の摂取を控える必要があります。「食べる日をずらす」などの自己判断も避け、薬を処方した医師または薬剤師にご相談ください。
通常の食生活でも、薬や病気に応じた食事制限がある場合は、個別の指示を優先しましょう。
「納豆も食べているし、栄養バランスにも気をつけている。それでも身長の伸びが少ない」
このような場合、納豆の量を増やすよりも、お子様自身の成長の経過を確認することが重要です。
子どもの身長には、栄養状態のほか、遺伝的な要因、ホルモン、思春期の進行、骨の成熟状態など、さまざまな要因が関係しています。
成長曲線は、年齢ごとの身長や体重を記録するグラフです。
母子健康手帳や学校の健康診断結果などから、過去の身長を並べてみましょう。
現在の身長が同じ年齢の平均より低いかどうかだけでなく、本人の成長曲線に沿って身長が伸びているかを確認します。
日本小児内分泌学会では、同性・同年齢の基準で−2SD以下を低身長の目安の一つとしています。
ただし、−2SD以下であっても必ず病気という意味ではありません。また、−2SDより高くても、成長曲線が継続して下向きに変化している場合には、確認が必要です。
年間成長速度とは、おおむね1年間で何cm身長が伸びたかを示す指標です。
年間成長速度の計算例
1年前の身長:132.5cm
現在の身長:137.3cm
1年間に伸びた身長
4.8cm/年
ただし、年間4.8cm伸びたという数字だけで、正常か異常かを判断することはできません。
身長の伸び方は年齢や思春期の進行状況によって異なります。過去数年間の記録と比較して考えることが大切です。
関連記事:子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常?年間成長速度と受診目安 →
身長が伸びにくい場合は、食事の内容だけでなく、食事量や体重の変化も重要な情報です。
例えば、スポーツなどで活動量が多い一方、必要なエネルギーを十分に摂れていない場合には、栄養状態が成長に影響する可能性があります。
また、体重減少や慢性的な体調不良がある場合は、食事以外の原因が隠れていることもあります。
単に納豆やタンパク質を増やすのではなく、必要に応じて医療機関で確認しましょう。
身長の伸びが気になるときの確認ポイント
過去2〜3年間の身長と体重
1年間で何cm身長が伸びたか
成長曲線の推移
食事量・体調・思春期の進行状況
納豆を食べても身長が伸びないからといって、必ず病気があるわけではありません。
ただし、成長曲線や年間成長速度に気になる変化がある場合は、食事だけの問題と考えず、医学的な評価が必要になることがあります。
これらの変化には、栄養状態のほか、成長ホルモンや甲状腺ホルモンに関係する病気、慢性疾患などが関係している場合があります。
病的な低身長や成長障害が心配な場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を受けることを検討しましょう。
「身長の伸びが病気によるものか心配」という相談とは別に、「将来どのくらいの身長になりそうか知りたい」という方もいるでしょう。
将来身長の目安を考えるには、成長曲線やご両親の身長、骨の成熟状態などを参考にする方法があります。
目的別|身長の相談先
成長障害や病気が心配
小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討します。
将来身長の目安を知りたい
成長記録や骨年齢などから予測する身長予測シミュレーションという選択肢があります。
まず当院で相談できることを確認したい
平日限定の小児低身長無料カウンセリングをご案内しています。
「納豆を毎日食べさせた方がいいのか」だけでなく、「うちの子はあと何cm伸びる可能性があるのか」を知りたい方もいるでしょう。
特定の食品の摂取量から、将来身長を予測することはできません。
当院では、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、身長予測シミュレーションをご案内しています。
お子様の現在の身長、過去の成長記録、ご両親の身長、骨の成熟状態などを参考に、将来身長の目安を予測します。
公式ページでは、成長曲線の確認、レントゲン撮影による骨年齢の評価、予測結果の説明が案内されています。
また、採血や栄養指導についても案内されています。実施内容やタイミングの詳細はご予約時にご確認ください。
身長予測シミュレーション
15,270円(税込)
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
所要時間の目安
約30分
予約方法
完全予約制
実施院
西新宿本院・横浜駅前院
身長予測シミュレーションは自由診療です。予測結果は将来身長の目安であり、成人時の最終身長を確定・保証するものではありません。
また、病的な低身長や成長ホルモン分泌不全症などを確定診断するための専門検査とは目的が異なります。
お子様の将来身長が気になる方へ
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身長を伸ばすために、毎日1パック食べるという医学的な基準はありません。納豆は成長期の食事に取り入れられる食品ですが、ほかの食品も組み合わせて栄養バランスを整えることが大切です。
納豆を多く食べた分だけ最終身長が高くなるという根拠はありません。ほかの食事が十分に摂れなくなる場合もあるため、納豆だけを無理に増やす必要はありません。
どちらかを食べれば最終身長が高くなるという根拠はありません。食品の種類や製造方法によって栄養成分に違いはありますが、身長のために特定の種類を選ばなければならないわけではありません。
納豆を食べないことだけで身長が伸びにくくなるとはいえません。肉・魚・卵・乳製品・ほかの大豆製品など、さまざまな食品からタンパク質を摂取できます。
特定の食品を追加する前に、過去の身長記録から成長曲線と年間成長速度を確認しましょう。成長曲線上の位置が継続して下がる、身長の伸びが明らかに少ないなどの場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討してください。
納豆は、タンパク質やカルシウム、鉄、亜鉛などを含む食品です。
しかし、毎日食べることや食べる量を増やすことで、子どもの最終身長が高くなるという医学的な効果は確立されていません。
この記事の結論
「納豆を何パック食べさせるか」よりも、お子様が必要な栄養を摂り、どのように成長しているかを確認することが大切です。
成長速度の低下や思春期の進行に心配がある場合は、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価を検討しましょう。
一方、将来身長の目安を知りたい場合は、成長曲線や骨年齢などを参考にする身長予測シミュレーションも選択肢となります。
納豆以外の食品と身長の関係を知りたい方へ
骨の成長と栄養の関係を詳しく知りたい方へ
年間成長速度や受診目安を知りたい方へ
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SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
東北大学医学部医学科卒業。内科・救急科・整形外科などでの診療経験を経て、現在はSBC整形外科クリニック西新宿本院の院長として、一般整形外科や小児低身長に関する診療に携わっています。
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