「身体を右へ倒すと右の腰だけ痛い」「左へ倒したときだけ片側の腰がズキッとする」「前後には動かせるのに、横へ曲げたときだけ痛む」――このような腰痛に悩んでいませんか。
腰を横へ倒す動作を側屈(そっくつ)といいます。側屈で片側だけ腰が痛むことは症状を整理する手掛かりになりますが、「右が痛いから右の筋肉」「反対側が痛いから筋肉が硬い」などと、痛む方向だけで原因を判断することはできません。
先に結論
腰を横へ倒したときに片側だけ痛む場合は、「側屈という特定の動作で誘発される腰痛」として考えます。
筋肉・関節周囲・椎間板など複数の組織が症状に関係する可能性がありますが、側屈時痛だけから痛みの発生源を特定することはできません。
反る・ひねる・前かがみでも痛むか、お尻・脚へ症状が広がるか、時間とともに改善しているか まで確認することが重要です。
診察時に伝えたい4つのポイント
① 右・左のどちらへ倒すと痛むか
② 右腰・左腰のどちらが痛むか
③ 前かがみ・反る・ひねる動作でも痛むか
④ お尻・脚の痛み、しびれ、力の入りにくさがないか
この記事でわかること
身体を横へ倒す側屈では、腰椎だけが動いているわけではありません。骨盤や股関節も含めて身体全体が動きます。
腰周辺に痛みがある場合、その動作に伴って右側・左側の一方へ症状が出ることがあります。
しかし、どちらへ倒したときに、どちら側が痛むかだけでは、筋肉・関節・椎間板など痛みの発生源を特定できません。
側屈を「自己診断テスト」にしない
痛みが出る方向は診察で役立つ情報ですが、「右へ倒して右が痛いから椎間関節」「反対側が痛いから筋肉」といった診断はできません。痛みを確認するために何度も同じ動作を繰り返す必要もありません。
「右には倒せるのに左には倒しにくい」「痛む側だけ身体が硬い」と感じることもあります。
しかし、動かせる範囲の左右差だけで、現在の腰痛の原因を判断することはできません。
左右差をなくそうとして、痛みが出る方向へ強く身体を倒したり、無理なストレッチを繰り返したりする必要はありません。
片側だけ痛むと、「腰方形筋が硬い?」「椎間関節?」「椎間板?」と原因を知りたくなる方もいるでしょう。
これらの組織が腰痛に関係する場合はありますが、側屈したときの痛みだけでは区別できません。
腰や背中、骨盤周囲の筋肉は、身体を動かしたり姿勢を保ったりするときに働きます。
慣れない運動やスポーツ、重い荷物を扱う作業のあとに片側へ局所的な痛みを感じることはありますが、「運動後だから筋肉痛」「押して痛いから腰方形筋」とは断定できません。
腰椎の後方には椎間関節などがあり、身体を側屈・伸展・回旋すると周囲へかかる力が変化します。
そのため腰椎後方の組織が症状に関係している方では、特定の動作で片側性の腰痛が出ることがあります。
「片側痛+側屈痛=椎間関節痛」ではありません
椎間関節由来の腰痛は、病歴や通常の身体診察だけで正確に特定することには限界があります。「反ると痛い」「ひねると痛い」といった情報も診察の手掛かりにはなりますが、それだけで確定診断にはなりません。
腰を後ろへ反らしたときにも同じ側が痛む方は、腰を反らすと片側だけ痛む場合の原因と受診目安をご覧ください。
椎間板が腰痛に関係する場合もありますが、「横へ倒すと片側だけ痛む」という症状だけで椎間板が原因とは判断できません。
一方、腰痛とともに、
などがある場合は、腰椎から出る神経への影響も含めて評価します。
脚症状について詳しく知りたい方は、腰椎椎間板ヘルニアの主な症状・検査・治療も参考になります。
結論として、「どちらへ倒したときに、どちらが痛むか」だけでは原因を判断できません。
痛む側は重要な情報ですが、「圧迫された側」「伸ばされた側」という説明を、そのまま病名や痛みの発生源へ結びつけることはできません。
診察では左右だけでなく、
などを合わせて確認します。
腰骨の少し上を押したときにも同じ場所がピンポイントで痛む方は、腰骨の少し上を押すと痛む場合の原因と受診目安も参考になります。
側屈以外でも痛む場合は、「横へ倒したときだけの腰痛」ではありません。どの動作で症状が出るのかをまとめて確認します。
前かがみでも痛む方は、前かがみになると腰が痛い場合の原因と受診目安をご覧ください。
中学生・高校生など成長期でスポーツをしており、側屈だけでなく腰を反る・ひねる動作でも繰り返し腰痛が出る場合は、腰椎分離症などについて確認することがあります。
腰椎分離症は成長期のスポーツ選手にみられることがある腰椎の疲労骨折で、特に伸展・回旋を繰り返す競技では注意が必要です。
側屈で痛いだけでは腰椎分離症とは判断できません
成長期でスポーツをしており、運動のたびに腰痛を繰り返す、反る・ひねる動作でも痛む場合に、年齢・競技歴・診察所見などを合わせて評価します。
詳しくは、腰椎分離症の主な症状・検査・治療をご覧ください。
あります。腰や脇腹周辺の痛みが、すべて腰椎・筋肉・関節によるものとは限りません。
泌尿器や消化器など、腰以外の病気によって腰・脇腹付近へ痛みを感じることもあります。
「動かしたときの腰痛」だけと決めつけないサイン
このような場合は「側屈すると痛いから腰の筋肉や関節の問題」と自己判断せず、医療機関へ相談してください。症状によっては整形外科以外の診療科での評価が適切な場合もあります。
痛みが比較的軽く、時間とともに明らかに改善しており、脚のしびれ・筋力低下などがない場合は、症状を強く誘発しない範囲で通常の日常生活を続けます。
「まだ痛いか」を確かめるため、何度も同じ方向へ身体を倒して痛みを再現する必要はありません。繰り返すほど痛みが増える場合は中止してください。
左右差や身体の硬さを感じても、それが現在の腰痛の原因とは限りません。
痛みが明らかに増える方向へ反動をつけて伸ばしたり、強いストレッチを繰り返したりすることは避けます。
強い痛みを無理に我慢する必要はありませんが、重大な原因が疑われない一般的な腰痛では、長期間の安静より、状態に応じて可能な日常活動を続けることが推奨されています。
スポーツや仕事の特定動作で繰り返す場合は、「どの動作・どの程度の負荷で痛むか」を記録しておくと診察時の参考になります。
「3日続いたら受診」「1週間なら病院」という一律の基準はありません。
改善しているか、繰り返しているか、悪化しているか、動かしにくさや生活への影響があるかで考えます。
「横へ倒したときだけだから」と受診できないわけではありません。病名が分からない段階でも、改善しない・繰り返す・生活へ影響する片側腰痛を一般整形外科で相談できます。
受診時期に迷う方は、その痛み、何日続いたら整形外科?受診の目安も参考になります。
通常の外来予約を待たず、速やかな医療評価を考えたい症状
特に強い腰痛や脚症状と、新しい排尿・排便機能の異常や会陰部の感覚低下を伴う場合は、通常の外来予約を待たず速やかに医療機関へ相談してください。
片側の腰痛を同じ動作で繰り返している方へ
痛みが改善しない、以前より悪化している、動きにくくなった、仕事・家事・スポーツへ影響している、お尻や脚にも症状がある場合は、整形外科で現在の状態を確認できます。
「筋肉なのか、関節なのか分からない」という段階から受診して構いません。
お近くのSBC整形外科クリニックを確認する整形外科では「右へ倒すと右腰が痛む」という一つの情報だけで病名を決めず、症状の経過、ほかの動作、外傷歴、神経症状などを合わせて評価します。
症状に応じて腰や股関節の動き、痛む場所などを確認します。
お尻・脚への痛みやしびれ、感覚低下、筋力低下がある場合は、脚・足の筋力、感覚、反射など、腰椎から出る神経への影響についても評価します。
「横へ倒すと片側が痛い」という理由だけで、すべての方へX線・MRIなどの画像検査を行うわけではありません。
症状の経過、外傷歴、身体所見、神経症状などを確認し、画像検査の結果が診療方針に影響すると考えられる場合などに検討します。
西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CT設備がないため、詳細な画像評価が必要と判断された場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
一般的な腰痛・脚のしびれなどは、一般整形外科の診療案内でも確認できます。
右へ側屈したときに右腰へ痛みが出ることは重要な情報ですが、それだけで筋肉・椎間関節・椎間板など痛みの発生源を特定することはできません。ほかの動作や脚症状などを合わせて評価します。
反対側へ痛みが出ることはありますが、その症状だけで「左側の筋肉が硬いことが原因」とは判断できません。痛む方向へ強いストレッチを繰り返す必要はありません。
椎間関節周囲が腰痛に関係する場合はありますが、片側性の腰痛や側屈・伸展時痛だけで椎間関節由来と確定することはできません。
腰方形筋は体幹の動きに関わる筋肉ですが、「横へ倒すと痛い=腰方形筋が原因」とは判断できません。ストレッチによって痛みが強くなる場合は無理に続けないでください。
側屈だけではなく伸展でも症状が出ていることを診察時に伝えてください。特に成長期でスポーツをしており、反る・ひねる動作でも腰痛を繰り返す場合は、腰椎分離症などについて確認することがあります。
腰・脇腹の痛みには泌尿器など腰以外の病気が関係する場合もあります。動作とほとんど関係なく痛む、発熱、血尿、排尿時痛、強い脇腹痛などを伴う場合は、「腰の筋肉」と自己判断せず医療機関へ相談してください。
受診できます。痛みが改善しない、同じ症状を繰り返す、悪化している、仕事・家事・スポーツへ支障がある場合などは、脚症状がなくても整形外科へ相談できます。
画像検査だけで必ず痛みの原因が分かるわけではありません。画像上の変化が現在の症状と直接関係しない場合もあります。症状や身体所見と合わせ、画像検査が診療方針に影響すると考えられる場合に必要性を判断します。
腰を横に倒すと片側だけ痛む場合は、側屈という特定の動作で腰痛が誘発されています。
「横へ倒したときだけだから大丈夫」と決めるのではなく、改善しているか、同じ症状を繰り返しているか、ほかの動作や脚へ症状が広がっていないかを見ることが大切です。
横方向だけでなく、後ろへ反ったときにも同じ側が痛む方へ
洗顔・靴下・床の物を拾うときにも痛む方へ
押したときにも同じ場所へ局所的な痛みが出る方へ
受診時期に迷っている方へ
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
院長 沼倉 裕堅 医師
主な所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会
沼倉 裕堅医師のプロフィールを見る →SBC整形外科クリニックは、東京・神奈川・千葉・埼玉に8院あります。腰痛などの一般整形外科診療について、院ごとの受診方法・診療時間・設備をご確認いただけます。
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※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。「腰を横に倒すと片側だけ痛い」という症状だけで、痛みの発生源や病名を特定することはできません。診断・必要な検査・治療方法は症状や診察所見によって異なります。安静でも軽くならない痛み、徐々に悪化する腰痛、発熱、脚の筋力低下、新しい排尿・排便機能の異常、会陰部の感覚低下、大きな外傷後の強い腰痛などがある場合は、自己判断で長く様子を見ず医療機関へご相談ください。診療時間・予約方法等は変更される場合があるため、受診前に各院の公式ページで最新情報をご確認ください。