「洗顔しようと前かがみになると腰が痛い」
「靴下を履こうと身体を丸めると腰にズキッとくる」
「床に落ちた物を拾うときに腰が痛む」
このような前かがみ・前屈動作で出る腰痛は、整形外科で相談できる症状です。
ただし、「前かがみで痛い=椎間板ヘルニア」「腰の筋肉を傷めた」などと、痛む動作だけから原因を決めることはできません。腰痛にはさまざまな原因があるため、症状の始まり方、腰以外の痛み・しびれ、外傷歴、骨粗しょう症なども合わせて判断します。
先に結論|前かがみで腰が痛むことは「原因を考える手掛かり」の一つです
身体を前へ曲げるときは、腰だけでなく股関節も動き、腰・背中・骨盤周囲の組織にかかる力も変化します。
そのため、急性腰痛や腰周囲への負担、椎間板などが関係する腰痛で前屈時に症状が出ることがあります。
一方、前屈時痛だけでは原因を特定できません。繰り返す、悪化する、日常生活に支障する、脚の痛み・しびれ・筋力低下を伴う場合などは整形外科で現在の状態を確認します。
身体を前へ倒す動作を「前屈」といいます。
前屈するときには腰椎だけを曲げているわけではありません。股関節も動き、腰・背中・骨盤周囲の筋肉なども姿勢を支えています。
そのため、腰周囲に痛みがある場合、洗顔のような浅い前かがみ、靴下を履くような深い前屈、床から物を持ち上げる動作などで症状を感じることがあります。
「前かがみで痛む場所」だけから、痛みの原因となる組織は特定できません
腰痛には筋・筋膜、靱帯、椎間板、椎間関節、神経など、さまざまな組織が関係する可能性があります。実際には、痛みの原因となる組織を明確に特定できない腰痛もあります。
長時間のデスクワーク、中腰作業、重い物を扱う仕事、スポーツなどのあとに腰痛が出て、前屈動作で症状が増えることがあります。
ただし、「腰を使ったあとだから筋肉痛」と自己判断できるわけではありません。症状が強い、繰り返す、脚の症状を伴う場合などは、ほかの原因も含めて確認します。
床の物を拾う、荷物を持ち上げる、立ち上がるなどの動作をきっかけに、突然強い腰痛が出ることがあります。
「ぎっくり腰」は特定の病名ではなく、突然起こった強い腰痛を指す一般的な呼び方です。筋肉・靱帯・関節・椎間板など、さまざまな組織が関係する可能性があります。
突然強い腰痛が出た方は、 ぎっくり腰は何科?新宿で今日受診したいときの目安 もご覧ください。
椎間板の変性や損傷などが腰痛に関係する場合があります。また、腰椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、お尻や脚に痛み・しびれなどが生じることがあります。
ただし、前屈すると腰が痛いという症状だけで腰椎椎間板ヘルニアとは診断できません。
次のような症状がある場合は、腰から出る神経への影響についても確認します。
脚の痛み・しびれもある方は、 腰椎椎間板ヘルニアの主な症状と治療方法 もご覧ください。
転倒・尻もち・事故などのあとに腰が強く痛む場合は、腰椎などの骨折についても確認します。
特に骨粗しょう症がある方、高齢の方、ステロイド薬を長期間使用している方などでは、大きな事故がなくても椎体骨折が起こることがあります。新しく強い腰痛が出た場合は自己判断せずご相談ください。
腰の周辺に痛みを感じても、泌尿器疾患、消化器疾患、婦人科疾患、血管疾患など、腰椎以外の病気が原因となる場合があります。
また、靴下を履くときに「腰」ではなく脚の付け根・鼠径部を中心に痛む場合は、股関節の状態が症状に関係していないかも確認します。
洗面台で身体を前へ倒した瞬間に痛いのか、その姿勢をしばらく保つと痛くなるのかを確認します。
「洗顔中に30秒ほど前かがみを続けると痛くなる」など、姿勢を維持する時間との関係も診察時の手掛かりになります。
靴下を履く動作では腰の前屈だけでなく股関節も大きく曲げます。腰の中央・片側が痛むのか、臀部・鼠径部・脚まで症状があるのかも確認します。
床まで深く前屈したときに痛いのか、物を持ち上げた瞬間に痛いのか、身体をひねる動作まで加わると痛むのかによって症状の出方は異なります。
診察では「前かがみで痛い」より、もう一段具体的に伝えると役立ちます
「洗顔で前かがみを続けると痛い」「靴下を履くときに右腰だけ痛い」「床の物を持ち上げた瞬間に腰から脚へ痛みが走る」など、症状が出る場面を具体的に伝えてください。
一時的な軽い腰痛で、その後明らかに改善している場合には、症状をみながら経過をみられることもあります。
一方、次のような場合は整形外科へ相談する意味があります。
次の症状がある場合は、通常の外来予約を待たず速やかな医療評価を
強い腰痛と次の背景がある場合も早めに相談してください
洗顔・靴下・物を拾うときの腰痛を繰り返す方へ
「筋肉なのか椎間板なのか分からない」「病名が分からない」という段階でも整形外科へ相談できます。
痛みが出る動作、脚の症状、外傷歴などを確認し、必要な検査・治療・リハビリを判断します。
西新宿本院|整形外科保険診療をWeb予約※Web予約では「整形外科保険診療」をお選びください。病名が分からない段階でも腰痛の症状でご相談いただけます。
診察では、「前かがみになると痛い」という情報だけでなく、腰痛の経過、神経症状、外傷歴、危険な病気を疑う情報がないかを確認します。
重大な原因を疑う所見や神経症状がない一般的な腰痛では、すべての方に初診時から画像検査が必要になるわけではありません。
一方、転倒後の腰痛、骨折が疑われる場合など、骨の状態を確認する必要があると判断した場合にはX線検査を検討します。
MRIでは椎間板や神経などを詳しく確認できますが、腰痛があるすべての方へ行う検査ではありません。
神経症状や重い病気が疑われる場合、症状が続きMRIの結果によって治療方針が変わる可能性がある場合などに、必要性を判断します。
西新宿本院には院内MRI・CTはありません。MRI・CTが必要と判断した場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
重大な原因が疑われない一般的な腰痛では、強い痛みを我慢して無理に動く必要はありませんが、必要以上に長期間寝たまま過ごすことも推奨されません。
症状を大きく悪化させない範囲で、歩く、着替える、食事をするなど可能な日常活動を続けていきます。
強く痛む方向へ無理にストレッチする必要はありません
「身体が硬いから伸ばした方がよい」と考えて、強い腰痛や脚のしびれが出る前屈ストレッチを繰り返すことは避けてください。適した運動は症状や診断によって異なります。
前かがみがつらい間は、腰だけを深く曲げず、膝・股関節も使って身体を少し低くする、片手を洗面台などに添えるなど、症状が増えにくい姿勢へ一時的に変えて構いません。
立ったまま深くかがむより、椅子などへ座り、強い痛みが出にくい方法で着脱すると負担を減らせる場合があります。
腰だけを深く曲げると痛い場合は、物へ身体を近づけ、膝・股関節も使うなど、症状が出にくい方法へ変更します。これは腰痛の原因そのものを治療する方法ではなく、痛みが強い時期の日常動作の工夫です。
治療内容は「前屈すると痛い」という一つの症状だけでは決まりません。診断、症状の強さ、神経症状、生活への影響などに応じて検討します。
腰痛全般について詳しく知りたい方は、 腰痛の原因と治療・対処法 をご覧ください。
腰痛のリハビリについて知りたい方は、 西新宿でリハビリに通える整形外科 をご覧ください。
前屈時の腰痛だけで腰椎椎間板ヘルニアとは判断できません。腰痛にはさまざまな原因があります。お尻・脚への痛みやしびれ、筋力低下などがある場合は、神経への影響も含めて確認します。
受診できます。前かがみになるたびに痛む、何度も繰り返す、悪化している、仕事や家事へ支障があるなどの場合は、症状が出る動作を含めてご相談ください。
強い痛みがあるときに無理をする必要はありません。一方、重大な原因が疑われない一般的な腰痛では、長期間のベッド上安静ではなく、症状に合わせて可能な範囲で日常活動を続けることが推奨されています。
強い痛みや脚の症状を再現するストレッチを無理に繰り返す必要はありません。適した運動は症状や原因によって異なります。強い痛みが続く場合やしびれ・筋力低下がある場合は、先に状態を確認します。
前かがみで痛むという理由だけでMRIが必要になるわけではありません。神経症状、外傷歴、診察所見、症状の経過などを確認し、MRIの結果によって治療方針が変わる可能性がある場合などに必要性を判断します。
洗顔、靴下を履く、床の物を拾うなど、前かがみになると腰痛が出ることがあります。
前屈時痛は原因を考える手掛かりになりますが、前かがみで痛いという情報だけでは病名や痛みの原因となる組織を特定できません。
「前かがみになると痛い」という症状だけで自己診断せず、痛みが出る場面と、脚の症状・外傷歴・症状の変化を合わせて確認することが重要です。
腰痛全般の原因・検査・治療を確認したい方
床の物を拾うなどの動作で突然強い腰痛が出た方
腰だけでなくお尻・脚へ痛みやしびれがある方
腰痛のリハビリ・運動療法について知りたい方
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会/日本再生医療学会/日本四肢再建・創外固定学会
沼倉 裕堅医師のプロフィールを見る →「洗顔で前かがみになると痛い」「靴下を履く動作がつらい」「床の物を拾うと腰が痛い」といった症状を、一般整形外科の保険診療でご相談いただけます。
病名が分からなくても問題ありません。症状が出る動作、脚の症状、外傷歴などを確認し、必要な検査・治療・リハビリを判断します。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断を行うものではありません。前かがみで痛いという動作だけで腰痛の原因を特定することはできません。新たな排尿・排便機能の異常、会陰部の感覚異常、急速に進む脚の筋力低下などを伴う場合は、通常の外来予約を待たず速やかな医療評価をご検討ください。