「普通に歩く分にはそれほど痛くないのに、深くしゃがむと足首の前が詰まる」「スクワットで膝を前へ出すと、足首の前や奥が痛い」。
このような症状では、足首を深く曲げる「背屈」という動きで、足関節前方の骨や軟部組織が刺激されていないかを確認します。
先に結論
深くしゃがんだときに毎回同じ足首の前へ「詰まる」「挟まる」ような痛みが出る場合は、前方足関節インピンジメントなどを確認します。
ただし、原因は骨の出っ張りだけではありません。捻挫後の滑膜・瘢痕組織、足関節の不安定性、距骨の骨軟骨損傷などでも似た症状が出ることがあります。
「足首が硬いだけ」と決めつけないことが重要です
ふくらはぎなどの柔軟性によって、しゃがみやすさは変わります。一方、深く曲げるたびに足首前方の限られた場所へ痛みが再現される場合は、痛い方向へ無理にストレッチを続ける前に原因を確認しましょう。
深くしゃがんだ最後の角度で、足首の前だけが詰まる
→ 前方足関節インピンジメントなどを確認
昔の捻挫後から、前方痛やグラつきが続いている
→ 捻挫後の軟部組織や足関節不安定性も確認
足首の奥が痛み、腫れ・引っかかりもある
→ 距骨骨軟骨損傷など関節内部の病変も確認
症状を繰り返している方は、 整形外科を受診する目安を先に確認する →
かかとを床につけたまま深くしゃがむには、膝を前へ出しながら、すねと足の甲が近づく方向へ足首を曲げる必要があります。
この動きを、足関節の背屈といいます。
背屈が深くなると、足関節前方にある骨・関節包・滑膜・靱帯などの位置関係も変化します。その際に前方の組織が刺激されると、「詰まる」「挟まる」と表現されるような痛みが出ることがあります。
「足首が曲がらない」と「曲げると前が痛い」は分けて考えます
ふくらはぎの筋肉などの柔軟性が低いだけでも、足首の背屈は制限されます。一方、深く背屈した最後の角度で足首前方へ局所的な痛みが再現される場合は、関節前方のインピンジメントなども確認します。
前方足関節インピンジメントは、足関節前方の骨や軟部組織が足首の動きに伴って異常に接触・挟み込まれ、痛みや可動域制限につながる状態です。
みられることがある症状には、
などがあります。ただし、こうした症状だけで前方足関節インピンジメントと確定することはできません。
前方足関節インピンジメントは「骨同士がぶつかる病気」と考えられがちですが、原因は骨だけではありません。
足関節前方の脛骨や距骨周辺に、骨棘と呼ばれる骨の突出が形成されることがあります。
スポーツなどによる反復する負荷、過去の外傷、足関節の変形性変化などと関連する場合があります。
画像で骨棘が見つかっただけでは、現在の痛みの原因とは断定できません。
痛む場所、症状が出る動作、可動域などの診察所見と画像所見が一致しているかを合わせて判断します。
足関節捻挫のあとに、関節前方の滑膜が厚くなったり、瘢痕組織などが残ったりして、足首を動かした際に刺激されることがあります。
「捻挫はかなり前に治ったと思っていたのに、その後から深くしゃがむと前だけ痛い」という場合は、過去の捻挫歴も重要な情報です。
足首をひねったあとから症状が続いている方は、 足首をひねったけれど歩ける|骨折の可能性と受診目安 も参考にしてください。
捻挫を繰り返したあとに足関節の不安定性が残り、前方のインピンジメント症状を伴うことがあります。
「何度も同じ足首をひねる」「平らな場所でも足首が抜ける・グラつく感じがある」といった場合は、前方の痛みだけでなく靱帯や足関節の安定性も確認します。
足関節の変形性関節症や、スポーツなどによる反復する微小外傷に伴って、前方の痛みや可動域制限が生じる場合があります。
骨・軟骨・滑膜・靱帯など複数の組織が症状に関係することもあるため、「骨棘があるか」だけで判断しないことが重要です。
深い背屈で足首前方が痛む場合でも、前方足関節インピンジメントだけが原因とは限りません。
距骨骨軟骨損傷は、距骨の関節軟骨とその下にある骨に生じる損傷です。足関節捻挫をきっかけに起こることがありますが、明らかな外傷歴がない場合もあります。
足首の奥に痛みがある、運動後に腫れる、引っかかるように感じるといった場合は、関節内部の骨軟骨病変についても確認します。
外くるぶし周辺の痛みや不安定感が強い、足首を繰り返しひねる場合は、靱帯損傷や慢性足関節不安定症が症状に関係している可能性があります。
前方インピンジメントと足関節不安定性が併存することもあるため、以前の捻挫歴も確認します。
転倒・着地・スポーツ外傷などの直後から急に痛くなった場合は、慢性的なインピンジメントよりも、まず骨折や捻挫などの急性外傷を確認します。
また、以前の足関節骨折後に関節の硬さが残り、深く曲げた際の痛みが続く場合もあります。
骨折後から足首が硬い方は、 足首骨折の固定が外れたあと歩きにくい|リハビリはいつから始める? をご覧ください。
ふくらはぎの筋肉などの柔軟性が低下すると、足関節の背屈可動域が狭くなることがあります。
ただし、「足首が硬くて深くしゃがめない」ことと、「深く曲げるたびに足首前方へ限局した痛みが出る」ことは分けて考える必要があります。
足首の前が詰まると、「可動域が足りないから、もっと曲げれば柔らかくなる」と考えることがあります。
しかし、痛みが出る最大背屈へ繰り返し押し込むことは避けてください。
受診までの間は、
全員が「足首を柔らかくするリハビリ」をすればよいわけではありません。
筋肉の柔軟性低下なのか、前方インピンジメントなのか、捻挫後の不安定性なのかによって、適した運動は異なります。
一度だけ軽い違和感があり、その後は痛みなく歩行や運動ができている場合には、必ずしもすぐに受診が必要とは限りません。
一方、次のような場合は整形外科への相談を検討してください。
通常の外来予約を待たず、速やかな医療対応を考えたい状態
骨折・脱臼、血流障害、感染など緊急性のある状態を除外する必要があります。
受診時には「しゃがむと痛い」だけでなく、
を伝えると、症状の原因を整理する手がかりになります。
深くしゃがむたびに、同じ足首の前が詰まって痛む方へ
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、足首の痛みを一般整形外科の保険診療でご相談いただけます。
「インピンジメントか分からない」という段階でも、痛む場所、足首の可動域、過去の捻挫、不安定感などを確認し、症状に応じた検査を検討します。
西新宿本院|整形外科保険診療を予約する 横浜駅前院|整形外科保険診療を予約する※Web予約では「整形外科保険診療」をお選びください。必要な検査・治療は診察後に医師が判断します。
「しゃがむと足首の前が痛い」という症状だけで、前方足関節インピンジメントと診断することはできません。
症状が出る動き、痛む場所、過去の外傷歴などを確認し、身体診察と必要な画像検査を組み合わせて原因を考えます。
診察では、
足首を背屈できる範囲や左右差、症状が再現される角度などを確認します。
捻挫を繰り返している場合は、靱帯の状態や足関節の不安定性についても評価します。一つの誘発テストだけで診断を確定するものではありません。
慢性的な足首痛では、症状に応じてレントゲンで骨・関節の状態を確認します。
前方足関節インピンジメントでは、足関節前方の骨棘が確認できる場合があります。また、変形性関節症や過去の骨折など、別の骨性病変を確認する手がかりにもなります。
レントゲンが正常でも、症状の原因がないとは限りません。
滑膜・靱帯・軟骨などの軟部組織や、一部の骨軟骨病変は単純レントゲンだけでは十分に評価できない場合があります。
レントゲンだけでは原因が十分に分からず、前方インピンジメントや距骨骨軟骨損傷などが疑われる場合には、MRIによる追加評価が検討されます。
MRIでは、骨だけでなく軟骨・靱帯・滑膜などの軟部組織を詳しく評価できます。
骨棘など骨性インピンジメントの形態をより詳しく確認する必要がある場合には、CTが検討されることがあります。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。より詳しい画像検査が必要と判断された場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
治療は、骨性のインピンジメントなのか、軟部組織が関係しているのか、足関節不安定症や関節症などを伴っているのかによって異なります。
状態に応じて、
といった保存的治療を検討します。
「もっと曲げれば治る」とは限りません
筋肉の柔軟性低下が原因であれば可動域訓練が役立つ場合があります。一方、前方に骨性・軟部組織性のインピンジメントがある場合は、痛みを我慢して最大背屈を繰り返すことが適切とは限りません。原因に応じて運動内容を調整します。
保存的治療を行っても痛みや可動域制限が続き、日常生活やスポーツへの支障が大きい場合には、病態に応じて足関節鏡などによる専門的な治療が検討されることがあります。
前方足関節インピンジメントは考える原因の一つですが、症状だけでは診断できません。捻挫後の軟部組織、不安定性、距骨骨軟骨損傷などでも似た症状が出るため、診察と必要な画像検査を合わせて判断します。
ふくらはぎなどの柔軟性低下によって背屈しにくくなることはあります。ただし、深く曲げるたびに同じ足首前方へ痛み・詰まり感が再現される場合は、柔軟性だけの問題と決めつけないことが重要です。
痛みが出る深さまで繰り返すことは避け、痛みのない範囲へ深さ・負荷を調整してください。症状を繰り返す、可動域が低下する、運動に支障がある場合は整形外科への相談をご検討ください。
あります。捻挫後の滑膜・瘢痕などの軟部組織や、慢性的な足関節不安定性が前方インピンジメントに関係する場合があります。過去の捻挫歴は診察時に伝えてください。
骨棘・関節症・過去の骨折などを確認できる場合があります。一方、滑膜・靱帯・軟骨などはレントゲンだけでは十分に評価できないため、症状や診察結果によってMRI・CTなどを検討します。
深くしゃがむたびに同じ足首前方へ詰まり感・痛みが出る場合は、「身体が硬いだけ」とは限りません。症状を繰り返す、以前より足首が曲がりにくい、階段やスポーツにも支障が出ている場合は、原因を確認するため整形外科へご相談ください。
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参考情報
深くしゃがむと足首の前が痛む、以前より足首が曲がりにくいといった症状は、SBC整形外科クリニックの一般整形外科へご相談ください。