「アキレス腱断裂を保存療法で治療して、普通に歩けるようにはなった」
「でも、患側だけでつま先立ちしようとすると、かかとが上がらない」
「歩くときの蹴り出しが弱く、走る・ジャンプするのはまだ不安」
アキレス腱断裂では、保存療法後に日常歩行ができるようになっても、片脚での踵上げや強い蹴り出しなど、より大きな力を必要とする機能まで同時に回復するとは限りません。
片脚でつま先立ちできない場合は、単純な「筋力不足」だけではなく、ふくらはぎの筋機能・持久力、アキレス腱を介して力を伝える機能、足首の動き、治療経過などを合わせて考えることが重要です。
先に結論|「歩ける」と「片脚で十分に蹴り出せる」は別です
アキレス腱断裂後は、日常歩行が戻ったあとも、患側の踵上げ高さ・反復能力・ふくらはぎの機能などに左右差が残ることがあります。
現在の治療段階で許可されている運動を続けながら、歩行から片脚動作、さらに負荷の高い運動へと段階的に機能を戻していきます。
ただし、以前できていた動作が急にできなくなった、新しく「ブチッ」とした感覚があった、痛み・腫れが急に増えた、日常歩行の蹴り出しまで弱くなった場合は、単なる筋力不足と決めつけず再評価を検討してください。
この記事でわかること
アキレス腱は、ふくらはぎにある下腿三頭筋の力を踵へ伝える大きな腱です。
歩行時の蹴り出し、つま先立ち、ランニング、ジャンプなどでは、ふくらはぎからアキレス腱を介して足へ力を伝える機能が使われます。
歩行では左右の脚を交互に使いながら身体を前へ運びます。一方、片脚つま先立ちは、患側だけで体重を支えながら踵を持ち上げる必要があります。
そのため、日常生活で歩ける程度まで回復していても、片脚で十分な高さまで踵を上げる機能がまだ戻っていない場合があります。
片脚つま先立ちは「単純な筋力テスト」ではありません
アキレス腱断裂後の踵上げ評価では、できる・できないだけでなく、踵を上げる高さ、反復できる回数、動作全体で行える仕事量などが用いられることがあります。筋力だけではなく、持久力を含めた下腿三頭筋‐アキレス腱系の機能を見る評価です。
保存療法では、断裂したアキレス腱を保護しながら治癒を進める期間があります。装具の使用や活動量の低下によって、患側のふくらはぎの筋量や筋機能が低下することがあります。
そのため、歩行できるようになっても、片脚踵上げを繰り返すと早く疲れる、健側ほど高く踵を上げられないといった左右差が残る場合があります。
アキレス腱断裂後には、治癒の過程で健側と比べてアキレス腱の長さに差が生じる場合があります。
研究では、アキレス腱の延長と、片脚で踵を持ち上げる高さの低下との関連が報告されています。
「踵が上がらない=腱が伸びて治った」とは判断できません
片脚踵上げの低下には、筋機能・持久力・足首の動き・痛み・動作方法など複数の要因が関係します。症状だけからアキレス腱の長さや治癒状態を自己判断することはできません。
装具治療中や歩行再開後に患側をかばっていた場合、足首の動きや体重移動、蹴り出し方にも左右差が残ることがあります。
そのため、ふくらはぎだけを強く鍛えるのではなく、現在の治療段階に応じて歩行・足首の動き・筋機能・バランスなどを確認します。
治療途中では、片脚踵上げ自体がまだ適切でない時期もあります
保存療法後の運動開始時期は治療プロトコルによって異なります。「できるか確認したい」と自己判断で片脚つま先立ちを繰り返さず、現在どこまで運動してよいと指示されているかを優先してください。
まだアキレス腱断裂と診断されておらず、受傷直後に「ブチッ」とした方は、 ふくらはぎで「ブチッ」とした|肉離れ?アキレス腱断裂?受診目安 をご覧ください。
アキレス腱断裂そのものの症状・診断・治療については、 アキレス腱断裂|症状・原因・診断・治療 も参考にしてください。
保存療法後に片脚つま先立ちがまだ難しいという一点だけで、再断裂や治療失敗とは判断できません。
重要なのは、徐々に機能が改善しているのか、それとも停滞・悪化しているのかです。
通常のリハビリ予約を待たず、速やかな医療対応を考えたい状態
再診時には、次のような情報があると現在の状態を共有しやすくなります。
受傷・治療:いつ断裂したか/保存療法の内容/装具を使用した期間
現在:歩行、踵上げ、痛み、腫れが以前より改善しているか
リハビリ:現在行っている運動と、受けている負荷・可動域の指示
目標:日常生活、仕事、ランニング、競技復帰など何を目指しているか
「片脚つま先立ちができるか」だけでなく、歩行・踵上げ・痛み・腫れが以前より改善しているかを確認することが大切です。
保存療法後、歩けるのに機能が戻らない方へ
片脚つま先立ちが難しい場合は、単に「もっと筋トレすればよい」と考えるのではなく、保存療法の経過、現在の歩行、足首の動き、ふくらはぎの機能などを確認することが重要です。
SBC整形外科クリニックでは、西新宿本院・横浜駅前院で一般整形外科の保険診療とリハビリテーションに対応しています。他院で保存療法を受けた方も、治療資料をお持ちのうえ受診についてご相談ください。
東京|西新宿本院の整形外科保険診療を予約する 神奈川|横浜駅前院の整形外科保険診療を予約する※Web予約では「整形外科保険診療」をお選びください。現在の主治医から装具・荷重・可動域・運動について具体的な指示を受けている方は、その内容を優先してください。
アキレス腱断裂の保存療法では、腱を保護する時期から歩行・運動機能を戻す時期まで、治療段階に合わせてリハビリを進めます。
現在は早期荷重や足関節運動を取り入れた機能的リハビリテーションが用いられることがありますが、装具、足首を動かす範囲、荷重、筋力トレーニングなどの具体的な進め方は治療プロトコルによって異なります。
そのため、インターネット上の「受傷後○週ならこの運動」といった情報だけで、自分の運動内容や負荷を変更することは避けてください。
「杖なしで歩ける」だけではなく、患側を強くかばっていないか、蹴り出しが左右で大きく異ならないかなどを確認します。
日常歩行の機能がまだ十分戻っていない場合は、片脚で大きな負荷をかける運動だけを先に進めるのではなく、現在の歩行機能も確認します。
治療段階に応じて、ふくらはぎとアキレス腱へかかる負荷を段階的に高めていきます。
両脚で行う踵上げと、患側だけで全体重を支える片脚踵上げでは必要な機能が大きく異なります。
片脚で踵が上がらないからといって、反動を使ったり、強い痛みを我慢して何度も繰り返したりする必要はありません。
踵上げでは「1回できたか」以外も確認します
リハビリや機能評価では、踵をどこまで上げられるか、反復すると高さが低下しないか、健側との差はどうかなどを見ることがあります。自宅で無理に最大回数へ挑戦する必要はありません。
保存療法後は、治療段階によって足首を背屈方向へ動かす範囲に注意が必要な時期があります。
「足首が硬いから」と自己判断で強く伸ばすストレッチを追加せず、現在許可されている可動域や運動内容を確認してください。
歩行より負荷の高い活動では、ふくらはぎの機能だけでなく、片脚で身体を支える能力や下肢全体のコントロールも必要です。
日常生活への復帰が目標なのか、ランニングや競技への復帰が目標なのかによって、確認したい身体機能や運動内容も変わります。
リハビリ全体について詳しく知りたい方は、 西新宿でリハビリに通える整形外科|骨折・捻挫後や筋力低下を相談 も参考にしてください。
アキレス腱断裂後のスポーツ復帰は、「受傷から何か月たったか」だけで判断するものではありません。
また、片脚つま先立ちが1回できたという一点だけで、全力のランニング・ジャンプ・切り返しへ進めるとも限りません。
保存療法後の復帰に、一律の「合格回数」はありません
アキレス腱断裂後の復帰評価には複数の機能指標が用いられますが、保存療法を受けたすべての方に適用できる単一の踵上げ回数や左右差だけで競技復帰を決めることはできません。
スポーツ復帰全体の考え方については、 スポーツのけがはいつ復帰できる?整形外科・リハビリで確認するポイント も参考にしてください。
保存療法後の機能が戻らない場合は、「つま先立ちできるか」だけではなく、受傷から現在までの経過と身体機能を合わせて確認します。
診察ではアキレス腱周辺の状態などを確認し、急な機能低下などから再断裂が疑われる場合には徒手検査などを行います。
アキレス腱は軟部組織のため、通常のX線だけでは腱そのものを十分に評価できません。
症状や診察所見から画像で確認する必要がある場合は、超音波(エコー)検査などを検討します。西新宿本院・横浜駅前院はいずれも超音波(エコー)検査に対応しています。
整形外科のエコー検査とは?何がわかる?レントゲン・MRIとの違いを見る →
「筋力が弱いだけ」と自己判断しない方がよいケースがあります
徐々に改善している回復過程なのか、新しい損傷などを疑う急な変化があるのかでは対応が異なります。現在の症状だけでなく、「以前と比べてどう変わったか」が重要です。
他院で治療を受けた方は、お持ちであれば紹介状、超音波・MRIなどの画像データや報告書、装具の内容、荷重・可動域・運動について受けた指示などをご持参ください。
現在も保存療法の治療途中で具体的な制限がある場合は、自己判断で装具を外したり運動内容を変更したりせず、現在の主治医の指示を優先してください。
治療経過が安定し、一般整形外科での機能評価やリハビリが可能な段階であれば、自宅や職場から通いやすい医療機関へ相談できる場合があります。
一方、次のような場合は現在治療している医療機関での継続診療が重要になることがあります。
転院やリハビリ先の変更を検討する場合は、これまでの治療内容や現在の制限が分かる資料を持参して相談すると、治療経過を共有しやすくなります。
歩行と片脚踵上げでは必要な機能が異なるため、日常歩行が戻ったあとも片脚踵上げが難しい場合があります。改善傾向があるか、歩行や踵上げ機能が以前より低下していないかも確認します。
症状だけでは判断できません。アキレス腱断裂後の腱延長と踵上げ高さ低下の関連は報告されていますが、筋機能・持久力・足首の動きなど複数の要因が関係します。
全員に共通する回数はありません。保存療法の治療段階や現在許可されている負荷、身体機能によって適切な運動内容は異なります。回数だけを自己判断で増やさないようにしてください。
片脚踵上げは重要な機能評価の一つですが、それだけでスポーツ復帰を判断するものではありません。歩行、可動域、踵上げ機能、バランス、ランニングやジャンプなど競技に必要な動作を総合的に確認します。
保存療法でも、装具・荷重管理や段階的な運動を含むリハビリテーションは治療の重要な要素です。ただし、通院リハビリの頻度や具体的な内容・開始時期は治療プロトコルや回復状況によって異なります。
アキレス腱断裂を保存療法で治療したあと、日常歩行が可能になっても、片脚踵上げや蹴り出し機能が十分に戻っていないことがあります。
大切なのは、「歩ける=機能も完全に戻った」と考えないことです。現在の生活・仕事・スポーツに必要な機能がどこまで回復しているかを確認します。
「歩けるのに片脚でつま先立ちできない」と感じる場合は、ふくらはぎの筋力だけではなく、アキレス腱断裂後の機能回復全体を確認することが大切です。
受傷直後で、まだアキレス腱断裂か分からない方
アキレス腱断裂そのものについて確認したい方
ランニング・ジャンプ・競技への復帰を考えている方
他院で治療後、リハビリの継続を相談したい方
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
沼倉 裕堅医師のプロフィールを見る →アキレス腱断裂の保存療法後に「歩けるが片脚でつま先立ちできない」「蹴り出す力が戻らない」「スポーツ復帰前に現在の機能を確認したい」といった場合は、一般整形外科の受診についてご相談ください。
横浜駅前院でも、一般整形外科の保険診療と理学療法士によるリハビリテーションに対応しています。他院でアキレス腱断裂の保存療法を受けたあと、片脚つま先立ち・蹴り出し・スポーツ動作に不安が残っている場合もご相談ください。
※臨時休診・受付時間変更やリハビリテーションの実施日時・予約枠などが変更になる場合があります。来院前に各院の公式ページ・予約画面で最新情報をご確認ください。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断、運動開始時期、筋力トレーニング内容、スポーツ復帰時期を示すものではありません。アキレス腱断裂の保存療法後の装具、荷重、足関節可動域運動、筋力トレーニング、ランニング・スポーツ復帰の進め方は、治療プロトコル、治療経過、身体機能などによって異なります。現在治療中の方は担当医・理学療法士から受けている具体的な指示を優先してください。新しい外傷後の急な強い痛み・腫れ・機能低下、足先の色や温度の異常、強いしびれ、片側のふくらはぎの急な腫れ・痛み、息苦しさ・胸痛などがある場合は、通常外来の予約を待たず速やかな医療対応をご検討ください。