転んだりぶつけたりしていないのに、膝のお皿の前だけがぽこっと腫れている。歩くときはそれほど気にならないのに、床へ膝をつくと痛い。
このような症状では、膝関節そのものではなく、膝蓋骨と皮膚の間にある「膝蓋前滑液包」という組織が腫れている場合があります。
先に結論
「ぶつけていない」「お皿の表面だけが腫れる」「膝を床につくと痛い」という場合は、膝蓋前滑液包炎を確認します。
仕事・家事・スポーツなどで膝をつく動作を繰り返していると、一度の強い外傷がなくても滑液包へ小さな刺激が積み重なり、腫れることがあります。
赤い・熱い・急に悪化している場合は別です
膝蓋前滑液包は皮膚のすぐ下にあるため、感染を起こすことがあります。赤み・熱感・強い痛み・急速な腫れ・発熱などがある場合は、単なる「膝のつきすぎ」と考えず早めに医療機関へご相談ください。
お皿の表面だけがぽこっと腫れる
→ 膝蓋前滑液包の腫れを確認
お皿の周囲や上まで膝全体が張る
→ 関節内の関節水腫なども確認
赤い・熱い・強く痛む
→ 感染性滑液包炎などを除外する必要があります
「膝に水がたまった状態との違いを知りたい」という方は、 違いを先に確認する →
膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨は、膝関節の前方にあります。
その膝蓋骨と皮下組織の間には、膝蓋前滑液包という薄い袋状の組織があります。
滑液包は、骨と皮膚などの間で摩擦を減らす役割をしています。通常は目立ちませんが、繰り返し圧迫されたり炎症を起こしたりすると、内部に液体が増えてお皿の前がふくらんで見えることがあります。
膝蓋前滑液包炎の見た目の特徴
膝全体が均等に腫れるというより、膝蓋骨の真上・表面側が局所的にふくらむことがあります。直接膝を床についた際に、圧迫されて痛みが出やすいのも特徴の一つです。
膝蓋前滑液包炎は、一度強く膝をぶつけた場合だけに起こるものではありません。
代表的なのは、膝をつく動作による慢性的な小さな刺激です。
床での作業が多い
掃除、庭仕事、建築・設備作業などで硬い床へ繰り返し膝をつくと、膝蓋前滑液包へ圧が加わります。
膝をつくスポーツをしている
レスリングなど、膝の前面を床へつく機会が多いスポーツでも、反復する刺激が原因になることがあります。
正座・膝立ちを頻繁に行う
日常生活でも、膝蓋骨の前へ繰り返し圧がかかる習慣が症状に関係する場合があります。
膝をつく習慣がないのに急に腫れた
感染、痛風などの結晶性疾患、関節リウマチなど、反復する圧迫以外の原因も確認します。
同じではありません。
一般に「膝に水がたまった」といわれる状態は、膝関節の内部に関節液が増えた関節水腫を指します。
一方、膝蓋前滑液包炎では、膝関節の外にある膝蓋前滑液包に液体が増えています。
膝蓋前滑液包が腫れている場合
膝蓋骨の真上・表面側が局所的にふくらみます。床へ直接膝をついた際に痛みが出やすい場合があります。
膝関節内に水がたまっている場合
膝蓋骨の周囲や上側を含めて膝全体が張る、曲げ伸ばししにくいなどの症状がみられることがあります。
見た目だけで確実に区別できるとは限りません。
腫れの位置・触診・膝の動きなどを確認し、必要に応じて超音波(エコー)検査などを組み合わせて評価します。
膝関節内に水がたまる原因を詳しく知りたい方は、 膝に水がたまるとは?考えられる原因と対処法 をご覧ください。
「お皿の前が腫れている」という見た目だけで、膝蓋前滑液包炎と断定することはできません。
膝蓋前滑液包は皮膚のすぐ下にあるため、擦り傷・切り傷などをきっかけに細菌が入り、感染する場合があります。
感染を疑う手がかりには、
などがあります。ただし、発熱がないという理由だけで感染を否定することはできません。
腫れの中心が膝蓋骨の真上ではなく、お皿より少し下にある場合は、膝蓋下の滑液包が腫れていることもあります。
膝をつく動作などの反復刺激が関係する場合があり、腫れの中心がどこにあるかが鑑別の手がかりになります。
痛風などの結晶性疾患でも滑液包に炎症が起こることがあります。同じ場所が急に腫れることを繰り返す場合や、痛風の既往がある場合は診察時に医師へ伝えてください。
関節リウマチなどに伴って滑液包炎を起こす場合があります。ほかの関節にも腫れ・痛みがある場合は、膝への圧迫だけに原因を限定しません。
変形性膝関節症、半月板損傷、関節炎などでも、膝関節内に炎症や関節水腫が起こる場合があります。
膝全体が腫れる、歩行や階段でも痛む、膝の曲げ伸ばし自体が強く痛む場合は、滑液包だけでなく膝関節内部も評価します。
赤み・熱感・強い痛みなど感染を疑う症状がなく、膝への反復圧迫が原因として考えられる場合は、まず滑液包への刺激を減らします。
自分で針を刺して「水を抜く」のは避けてください
自宅で針を刺すと、細菌を滑液包内へ持ち込んで感染を起こす危険があります。また、医療機関でも、明らかな慢性・非感染性の反復圧迫による滑液包炎では、穿刺による感染リスクを考慮してroutineに液体を抜かない場合があります。
膝をつく作業のあとに軽く腫れ、圧迫を避けることで明らかに改善しており、歩行・曲げ伸ばしにも支障がない場合は経過をみられることもあります。
一方、次のような場合は整形外科への相談を検討してください。
通常の外来予約を待たず相談したい症状
感染性滑液包炎や、膝関節内部の感染など別の病態について確認が必要になる場合があります。
転倒・衝突など膝のお皿を直接ぶつけたあとから腫れている場合は、今回とは確認する原因が異なります。
「ぶつけていないのに、お皿の前だけ腫れている」という方へ
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、膝の腫れ・痛みを一般整形外科の保険診療でご相談いただけます。
腫れがお皿の表面にあるのか、膝関節内にあるのか、皮膚の赤み・熱感、膝の動きなどを確認し、必要な検査や治療を医師が判断します。
西新宿本院|整形外科保険診療を予約する 横浜駅前院|整形外科保険診療を予約する※Web予約では「整形外科保険診療」をお選びください。赤み・熱感・発熱・急速な悪化など感染が疑われる症状が強い場合は、通常予約を待たず医療機関へご相談ください。
膝蓋前滑液包炎は、腫れの位置や症状、膝をつく習慣、皮膚の状態などから臨床的に判断できる場合があります。
すべての方にレントゲン・MRI・穿刺を行うわけではありません。
膝蓋骨の真上が腫れているのか、お皿より下なのか、膝全体が腫れているのかを確認します。
同時に赤み・熱感・圧痛・傷などを確認し、感染性滑液包炎を疑う所見がないか評価します。
膝蓋前滑液包は膝関節の外にあるため、単純な滑液包炎では膝関節の動きが比較的保たれる場合があります。
一方、膝の曲げ伸ばし自体が非常に痛い、可動域が大きく低下している場合は、滑液包以外の病態についても確認します。
必要に応じて超音波(エコー)検査を行い、膝蓋骨の表面側にある滑液包や周囲の軟部組織を確認することがあります。
滑液包に液体がたまっているか、周囲にどのような変化があるかを診察所見と合わせて評価します。
エコーについて詳しく知りたい方は、 整形外科のエコー検査とは?何がわかる?レントゲン・MRIとの違い をご覧ください。
通常のレントゲンは、膝蓋前滑液包炎そのものを診断する中心的な検査ではありません。
転倒などの外傷歴がある、骨の一部分に強い痛みがある、骨・関節側の別の原因を確認する必要がある場合などに検討します。
感染性滑液包炎が疑われる場合には、滑液包から液体を採取し、細胞数、グラム染色、培養などを調べることがあります。
痛風などの結晶性疾患との区別が必要な場合には、結晶の有無を確認することもあります。
「腫れている=水を抜く」ではありません。
感染が疑われる場合は穿刺が診断に重要になることがあります。一方、明らかな慢性・非感染性の反復圧迫による滑液包炎では、穿刺による感染リスクを考慮して行わない場合があります。
治療は、反復圧迫などによる非感染性か、感染性かによって異なります。
基本は、滑液包に加わっている刺激を減らすことです。
などの保存的治療を検討します。
慢性的な反復圧迫による明らかな非感染性滑液包炎では、穿刺による感染リスクがあるため、routineに液体を抜くことは一般に勧められません。
腫れの原因や症状、感染の可能性などを踏まえて、必要な処置を医師が判断します。
感染性滑液包炎では抗菌薬による治療などが必要になります。
感染が強い場合、治療に反応しない場合、再発を繰り返す場合などには、排膿や手術を含む専門的な治療が検討されることがあります。
あります。膝蓋前滑液包炎は、一度の強い外傷だけでなく、膝を床につくなどの小さな刺激を繰り返すことで起こる場合があります。
膝蓋前滑液包炎で液体が増える場所は、一般に「膝に水がたまる」と呼ばれる膝関節内とは異なります。膝蓋前滑液包は膝蓋骨と皮下組織の間にあります。
歩けることだけでは判断できません。腫れが続く、繰り返す、膝をつくと痛む、徐々に大きくなる場合などは整形外科への相談をご検討ください。
必ずしもそうではありません。慢性的な反復圧迫による明らかな非感染性滑液包炎では、穿刺によって感染を起こすリスクがあるため、routineに液体を抜くことは一般に勧められません。感染が疑われる場合は、診断目的の穿刺が重要になることがあります。
赤み・熱感・強い圧痛・発熱などは感染を疑う手がかりですが、すべての症状が必ずそろうとは限りません。発熱がないという一点だけでも感染を否定できません。
「ぶつけていないから問題ない」とも、「膝が腫れたから関節に水がたまった」とも一概にはいえません。腫れている場所、赤み・熱感、膝の動き、膝をつく習慣などを確認することが原因を考える手がかりになります。
症状の中心が今回の記事と違う方はこちら
膝のお皿を直接ぶつけたあとに腫れた方
→ 膝のお皿をぶつけて腫れた|歩けても骨折?
膝全体が張って「水がたまった」と感じる方
→ 膝に水がたまる原因と対処法
膝をひねったあとから腫れた方
→ 膝をひねって痛い・腫れたときは?
膝の病気を広く確認したい方
→ 膝関節の痛みの原因・考えられる疾患
膝のお皿の前だけが腫れている、膝をつくと痛むといった症状は、SBC整形外科クリニックの一般整形外科へご相談ください。