シャクティマットの効果は?肩こり・腰痛・睡眠・自律神経に本当に効く?整形外科医が解説 | SBC整形外科クリニック

シャクティマットの効果は?肩こり・腰痛・睡眠・自律神経に本当に効く?整形外科医が解説

「トゲトゲのマットに寝ると肩こりが楽になる」「腰が軽くなる」「使った日はよく眠れる」「自律神経が整うらしい」――SNSを中心に、シャクティマットなどの指圧マットが注目されています。

実際に「身体が温かく感じる」「数分すると気持ちよくなる」と感じる方もいますが、使用したときの体感と、医学的に確認された治療効果は分けて考える必要があります。

整形外科医から先に結論

シャクティマットを使用中に心拍・血圧・心拍変動や背中の循環に変化が起こることを示した研究はあります。

ただし、これは「肩こり・腰痛・不眠・自律神経の乱れを治療できる」と証明したものではありません。

また、健康な若年者が3週間使用した研究では、ストレスや睡眠などについて、マットを使わず同じ時間リラックスした群を上回る効果は確認されませんでした。

一方、シャクティマットとは別の類似する突起刺激パッドでは、慢性的な首痛・腰痛の痛みが軽減した小規模研究もあります。

多数の突起が付いたシャクティマット
シャクティマットは、多数の突起によって皮膚へ広い範囲の機械的刺激を加える指圧マットです。
肩こり・腰痛
→ 類似マットで痛み軽減を示した小規模研究はありますが、シャクティマットの治療効果が確立したとは言えません
睡眠・ストレス
→ 3週間研究では通常のリラクゼーションを上回る効果は確認されていません
血行
→ 使用中の背部循環変化を示唆する所見はありますが、長期的な改善を示したものではありません
自律神経
→ 関連指標は変化していますが、「自律神経が整う」とは結論づけられません

整形外科を受診した方がいい?

「シャクティマットに効果があるか知りたい」だけ
→ それだけを理由に整形外科を受診する必要はありません。

首・肩・腰の痛みを繰り返す/手足がしびれる/力が入りにくい
→ セルフケアとは別に、運動器に症状の原因がないか確認できます。

シャクティマットとは?多数の突起が付いた指圧マット

シャクティマットは、表面に多数の突起が配置されたアキュプレッシャーマット(指圧マット)の一種です。

背中などを乗せることで、多数の突起が皮膚へ同時に機械的な圧刺激を加えます。

使用直後には「痛い」「チクチクする」と感じ、その後「温かい」「気持ちいい」と感じる方もいます。

「身体が温かい」「楽になった」と「病気が治った」は別です

使用時の体感そのものを否定する必要はありません。ただし、体感だけから血流障害が改善した、頚椎や腰椎の病気が治った、自律神経が正常化したとは判断できません。

シャクティマットの研究で実際に分かったこと

2011年|使用中の急性反応を32人で調査

2011年には、32人の健康な成人が実際のShakti-matに横になり、自律神経・循環・呼吸・唾液中コルチゾールなどの変化を調べた研究が報告されています。

使用時には、次のような反応が観察されました。

使用直後に痛みが増え、約30秒でピーク
その後、主観的な痛みは徐々に低下
血圧の上昇
心拍数の低下
心拍変動の一部指標の変化
背部循環の増加を示唆する所見
唾液中コルチゾールには差なし

ここで重要なのは「何を調べた研究か」です

この研究は、健康な人がマットへ横になったその場で起こる生理反応を調べたものです。肩こり・腰痛・睡眠障害などが改善したかを評価した治療研究ではありません。

2024年|3週間使っても「マットなしの休息」を上回らず

2024年に発表された研究では、指圧マットを使用した経験のない健康な若年者62人を無作為に2群へ分けました。

マット群32人はShaktiMatを使用し、対照群30人はマットを使わず、どちらも週3回・1回20〜30分・3週間、静かな環境で横になりました。

3週間後、主観的ストレス、ウェルビーイング、睡眠の質などには時間経過による変化がみられました。

しかし、シャクティマット群とマットなしで休んだ群との間に有意な差は確認されませんでした。

血圧、心拍、痛みの閾値・耐性についても、3週間前後で有意な改善は確認されていません。

「マットの効果」と「静かに休む時間の効果」を分ける必要があります

マットを使わなかった人にも主観的な改善がみられたため、この研究ではシャクティマット特有の上乗せ効果は確認できませんでした。

シャクティマットは肩こり・腰痛に効果がある?

肩こりや腰痛については、シャクティマットそのものの研究と、似た構造の突起刺激パッドを使った研究を分ける必要があります。

類似マットでは慢性首痛・腰痛が軽減した研究があります

2012年には、シャクティマットとは別の「mechanical needle stimulation pad」を使った2つの無作為化パイロット試験が報告されています。

対象は、慢性首痛40人と慢性腰痛42人です。

14日間使用した群では、待機群と比較して主観的な痛みが低下し、痛みが最も強い部位の圧痛閾値にも改善がみられました。

首痛群では首の機能障害に関する指標も改善しました。

一方、腰痛群ではOswestry Disability Indexによる機能障害の改善は確認されませんでした。

この研究をシャクティマットへそのまま当てはめることはできません

対象人数の少ないパイロット研究で、比較対象も「偽の突起マット」ではなく待機群でした。さらに、研究で使用された器具はシャクティマットそのものではありません。

肩こり・腰痛は「筋肉が硬いだけ」とは限りません

マットを使用すると一時的に痛みが軽く感じられる方がいたとしても、痛みの原因そのものが改善したとは限りません。

デスクワークで頭が前に出て首と肩に負担がかかっている様子
首・肩の症状には筋肉への負担だけでなく、頚椎・神経・肩関節などが関係する場合があります。

肩こりを繰り返す方は、肩こりの原因・整形外科で確認するポイントも参考になります。

首から腕・手まで痛みやしびれが広がる場合は、首が痛い原因・病院へ行く目安もご覧ください。

シャクティマットで睡眠の質・ストレスは改善する?

「寝る前に使うと眠りやすい」「頭がスッキリする」といった体験談もあります。

しかし、前述した3週間の研究では睡眠の質やストレスは時間とともに改善したものの、シャクティマットを使わず同じ時間休んだ群との差は確認されませんでした。

現時点ではこう考えるのが妥当です

本人が心地よく感じるのであれば、寝る前のリラクゼーション方法の一つとして使用する選択肢はあります。しかし、不眠症・睡眠障害の治療として有効性が確立しているわけではありません。

十分な睡眠時間を確保しても眠れない、夜中に何度も目が覚める、日中の強い眠気や休養感の乏しさが続く場合は、マットだけで対処せず、かかりつけ医や睡眠を扱う医療機関へご相談ください。

血行はよくなる?「自律神経が整う」は本当?

使用中の背部循環変化は報告されています

2011年研究では、シャクティマット使用中に背中の循環が増えていることを示唆する所見が報告されています。

多数の突起による皮膚刺激に対し、局所的な循環反応が生じた可能性があります。

「血行がよくなる=身体の不調が治る」ではありません

短時間の使用中に局所的な循環変化がみられたことと、長期的な血流改善や肩こり・疲労・病気が改善することは別です。

「自律神経が整う」という結論も出ていません

2011年研究では、血圧の上昇、心拍数の低下、心拍変動の変化などが観察されました。

研究者は、交感神経と副交感神経の双方に関連する反応が起きているとしています。

したがって、「副交感神経だけが優位になる」「自律神経がリセットされる」「乱れた自律神経が正常化する」といった説明は、現在の研究結果を超えています。

シャクティマットは「痛いほど効く」?

痛みが強いほど効果が高いという医学的根拠はありません。

2011年研究では、マットへ横になった直後に痛みが強くなり、約30秒でピークとなったあと徐々に低下しました。

これは刺激へ慣れていく順応を示す結果ですが、「我慢するほど治療効果が高くなる」という意味ではありません。

このような状態まで我慢して使わないでください

  • 我慢できない強い痛み
  • 皮膚の傷・出血
  • 強い赤み・皮膚トラブル
  • 新たなしびれ
  • 使用後も続く異常な痛み

持病がある方はメーカーの使用上の注意も確認

Shakti Japanの公式FAQでは、抗凝固薬の使用・血液凝固異常、重い皮膚障害、感覚低下を伴うニューロパチー、心血管疾患、妊娠など複数の条件について、使用を控える、または医療専門家へ相談するよう案内しています。

メーカーの使用上の注意と医学的な絶対禁忌は同じではありません

ただし、出血しやすい方、皮膚感覚が低下している方、皮膚疾患がある方などでは、鋭い突起によるトラブルを認識しにくい・悪化させる可能性があります。治療中の病気がある場合や使用可否に迷う場合は、主治医へ確認してください。

シャクティマットで楽になっても整形外科を検討したい症状

シャクティマットやマッサージなどで一時的に首・肩・腰が楽になっても、症状の原因がなくなったとは限りません。

整形外科で相談したい状態

首・肩・腰の痛みを何度も繰り返す
セルフケアでは一時的に軽くなっても、仕事・運動などで症状が戻る。
腕・手・脚まで痛みやしびれがある
首や腰だけではなく、手足まで症状が広がっている。
以前より力が入りにくい
物を落とす、握りにくい、脚へ力が入りにくいなどの変化がある。
動かせる範囲が狭くなっている
首を振り向けない、肩が上がらない、腰を動かすと強く痛む。
セルフケアを続けても悪化している
痛みや機能低下が以前より強くなり、仕事・歩行・スポーツへ影響している。

整形外科で確認するのは「シャクティマットが効くか」ではありません

骨・関節・筋肉・腱・靱帯・神経などに、痛み・しびれ・動かしにくさを繰り返す原因がないかを確認します。病名が分からない状態から受診できます。

「何日続いたら病院へ行くの?」と迷う方は、痛みで整形外科を受診する目安も参考になります。

どの診療科を受診すればよいか分からない場合は、「これって整形外科?」受診先に迷う症状をご覧ください。

通常の外来予約を待たず、速やかな医療相談を検討したい症状

手足に急に明らかな力が入りにくくなった、歩きにくさが急に出た、強い外傷後の痛み、発熱を伴う強い首・腰痛、腰痛とともに排尿・排便の異常や会陰部の感覚低下などがある場合は、セルフケアを続けず速やかな医療対応を検討してください。

必要に応じて診察・検査を行います

整形外科では、痛む場所や症状の経過だけでなく、首・肩・腰・関節の動き、筋力、感覚、しびれなどを確認します。

症状や診察所見などから必要と判断した場合には、X線検査などを検討します。

SBC整形外科クリニック西新宿本院のX線撮影設備
すべての肩こり・腰痛でX線が必要なわけではありません。症状・診察所見などから必要性を判断します。

MRI・CTなどさらに詳しい画像評価が必要と判断された場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。

痛み・しびれ・動かしにくさを繰り返している方へ

セルフケアで一時的に楽になっても症状が戻る、手足のしびれや筋力低下がある場合は、現在の運動器の状態を整形外科で確認できます。

SBC整形外科クリニックは首都圏に8院あり、院によって診療時間・受診方法が異なります。

お近くのSBC整形外科クリニックを確認する

シャクティマットについてよくある質問

シャクティマットは本当に効果がありますか?

使用中の心拍・血圧・心拍変動・背部循環などの変化を示した研究はあります。一方、健康な若年者が3週間使用した研究では、ストレスや睡眠などについて通常のリラクゼーションを上回る効果は確認されませんでした。特定の病気を治療できると断定できる段階ではありません。

肩こりに効きますか?

類似する突起刺激パッドで慢性首痛が軽減した小規模研究はありますが、シャクティマットによる肩こり治療の有効性が確立しているわけではありません。肩こりを繰り返す場合は、頚椎・神経・肩関節なども確認します。

腰痛にも効果がありますか?

類似する突起刺激パッドで慢性腰痛の痛みが低下した小規模研究はあります。ただし、腰痛の機能障害指標は改善せず、比較対象も偽マットではなく待機群でした。腰痛治療として有効性が確立しているとは言えません。

自律神経が整いますか?

心拍や心拍変動など自律神経系に関連する指標の変化はありますが、交感神経・副交感神経の双方に関連する反応が観察されています。「自律神経の乱れが正常化する」と証明されたわけではありません。

睡眠の質はよくなりますか?

健康な若年者を対象とした3週間の研究では睡眠の質に変化がみられましたが、マットなしで同じように休んだ群との差は確認されませんでした。不眠症の治療として効果が確立しているわけではありません。

血行はよくなりますか?

使用中に背中の循環増加を示唆する所見はあります。ただし、短時間の局所的な生理反応であり、長期的な血行改善や病気の治療効果を示した研究ではありません。

痛いほど効果がありますか?

「痛みが強いほど効果が高い」という医学的根拠はありません。使用直後の痛みが時間とともに低下することは研究で確認されていますが、強い痛みや皮膚トラブルを我慢する必要はありません。

まとめ|研究はあるものの「万能な治療」ではありません

シャクティマットは、多数の突起によって皮膚へ機械的刺激を加える指圧マットです。

実際にシャクティマットを使用した研究はありますが、現時点では研究数・対象人数とも限られています。

  • 使用中に心拍・血圧・心拍変動・背部循環などの急性変化を示した研究がある
  • これらは肩こり・腰痛などの治療効果を証明した研究ではない
  • 3週間研究では通常のリラクゼーションを上回る睡眠・ストレス改善は確認されていない
  • 類似する突起刺激パッドで慢性首痛・腰痛の痛み軽減を示した小規模研究はある
  • 「自律神経が整う」「不眠が治る」と断定する根拠は十分ではない
  • 痛いほど効果が高いわけではない
  • 反復する痛み・しびれ・筋力低下はセルフケアとは別に原因確認が必要

「使うと気持ちいい・一時的に楽になる」という体感と、病気を治療する医学的な効果は分けて考えることが重要です。

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監修医師

SBC整形外科クリニック 西新宿本院
院長 沼倉 裕堅 医師

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※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、シャクティマットまたは特定の指圧マットの購入・使用を推奨するものではありません。研究で使用された器具、対象者、刺激方法、使用期間、比較条件は研究ごとに異なります。研究結果を現在販売されているすべての指圧マットやすべての症状へそのまま当てはめることはできません。首・肩・腰の痛み、しびれ、筋力低下、動かしにくさなどが続く場合はセルフケアだけで対処せず、医療機関へご相談ください。診療時間・受付時間等には臨時変更が生じる場合があるため、受診前に公式ページまたは予約画面で最新情報をご確認ください。

監修医情報

SBC整形外科クリニック
西新宿本院院長

沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
SBC整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック SBC整形外科クリニック 西新宿本院
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お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師
医師紹介
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
整形外科部門統括医師
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura
【所属学会】
  • 日本整形外科学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本成長学会
【経歴】
  • 2017年
    Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
  • 2018年
    東北大学医学部医学科 卒業
  • -
    湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
  • -
    スカイ整形外科クリニック
  • 2020年
    いわき市医療センター 整形外科
  • 2021年
    竹田綜合病院 整形外科
  • 2022年
    山形市立病院済生館 整形外科
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  • 2025年
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