膝蓋骨骨折でギプスや装具による固定を続けたあと、「固定が外れたのに膝が曲がらない」「椅子に座るのもつらい」「もう曲げる練習を始めていい?」と不安になる方もいるでしょう。
膝を一定期間動かさないことで関節が硬くなったり、太ももの筋力が低下したりするため、固定後に以前と同じように膝を曲げられないことはあります。
ただし、「固定が外れた=好きなだけ曲げてよい」わけではありません。反対に、医師から動かしてよいと指示されているのに、怖くて全く動かさないことも膝の硬さにつながる場合があります。
先に結論
膝蓋骨骨折後のリハビリは、必ずしも「固定が外れてから」始まるわけではありません。治療中から、骨折部を保護しながら許可された運動や歩行練習を行う場合があります。一方、膝そのものを曲げ始める時期は、骨折部の安定性、膝を自力で伸ばす機能、保存療法か手術か、画像上の経過などを確認して決めます。
「曲げる」「体重をかける」「筋トレする」は別です
膝を曲げ始めてよい時期と、患側へどこまで体重をかけてよいか、スクワットなどの筋力訓練を始めてよい時期は同じとは限りません。「歩いてよい=深く曲げてよい」という意味でもありません。
この記事でわかること
膝蓋骨は、一般に「膝のお皿」と呼ばれる骨です。大腿四頭筋から膝蓋骨、膝蓋腱へとつながる仕組みの一部として、膝を自力で伸ばす動作にも重要な役割があります。
膝蓋骨骨折では、骨折の状態に応じて膝を伸ばした位置で保護・固定することがあります。その間は普段のように曲げ伸ばしできないため、固定方法を変更したり固定を外したりした直後に、膝が以前と同じようには曲がらないことがあります。
主な理由は次のとおりです。
そのため、「固定していたから硬いだけ」と決めつけて強く曲げるのではなく、骨折の経過と膝の機能を合わせて確認することが重要です。
膝関節の構造について詳しく知りたい方は、西新宿本院「膝関節の痛み・障害」も参考にしてください。
まず知っておきたいのは、「リハビリを始める時期」と「膝を大きく曲げ始める時期」は同じとは限らないことです。
固定中でも、骨折部を保護しながら、医師の指示に応じて歩行や周囲の関節・筋肉の機能を保つためのリハビリを行う場合があります。
一方、膝そのものを曲げる可動域訓練は、骨折部の安定性を確認しながら開始します。
開始時期は「固定が外れた日」だけでは決まりません
骨折部の安定性、膝を自力で伸ばす機能、画像上の経過、痛み・腫れ、保存療法か手術か、手術の場合は固定の安定性などを確認し、安全に動かせる範囲を決めます。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院ではX線撮影に対応しています。院内にMRI・CTはないため、さらに詳しい画像検査が必要と判断された場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
骨片のずれが少なく、膝を伸ばす仕組みが保たれている場合などでは、手術をせず装具やギプスで治療することがあります。
保存療法では膝を伸ばした状態で保護することがありますが、すべての方が同じ期間、膝を全く動かさないわけではありません。
骨折が安定していると判断された場合には、経過を確認しながら医療者の管理下で可動域訓練を開始することがあります。
一方で、骨折型や安定性によっては保護を優先する期間が必要です。「一般的には何週だから」と自己判断せず、現在どこまで曲げてよいと指示されているかを優先してください。
骨片のずれが大きい場合や、膝を伸ばす仕組みが損なわれている場合などでは手術が検討されます。
手術によって十分な固定性が得られていれば、拘縮を防ぐため比較的早い段階から可動域訓練を始める場合があります。
一方、骨折が細かく砕けている、固定性に注意が必要、伸展機構の修復を行っているなどの場合は、膝の曲げ方をより慎重に管理することがあります。
手術後に具体的な可動域・装具・荷重制限を受けている場合は、手術を担当した医師の指示を優先してください。手術後のリハビリテーションについて詳しく見る →
膝蓋骨骨折では、この違いが特に重要です。
膝蓋骨は、大腿四頭筋から膝蓋腱へつながる「膝を伸ばす仕組み(伸展機構)」の一部です。そのため、固定後に膝が硬くて曲がらないことと、自分の力で膝を十分に伸ばせないことは同じではありません。
診察時に伝えたい違い
「硬くて曲げられない」
「痛くて曲げられない」
「膝を自分の力で最後まで伸ばしにくい」
「以前は伸ばせていたのに、急に力が入りにくくなった」
自力で膝を伸ばしにくい場合には、大腿四頭筋の機能低下なども含めて、膝を伸ばす仕組みが十分に働いているかを確認します。
自宅で何度も「伸ばせるか」を試す必要はありません
痛みを我慢して何度も脚を持ち上げたり、膝を強く伸ばしたりして自己判断する必要はありません。「以前より自分の力で伸ばしにくい」「膝に力が入りにくい」と感じる場合は、そのまま診察時に伝えてください。
固定後の膝が曲がらず、「もっと動かすべき?」と迷っている方へ
判断に必要なのは、膝が何度まで曲がるかだけではありません。骨折の治療経過、現在許可されている可動域・荷重、自力で膝を伸ばす機能などを確認します。
西新宿本院では、まず整形外科で現在の状態を確認し、必要と判断した場合にリハビリテーションを検討します。
西新宿本院の整形外科保険診療を予約するリハビリの目的は、単に「膝を深く曲げる」ことではありません。
骨折部を守りながら、膝の動き、筋力、歩行、日常生活動作を段階的に戻していきます。
SBC整形外科クリニックでは、骨折や外傷後に身体を動かしにくい方、骨折後の関節拘縮、手術後などに対するリハビリテーションに対応しています。
ただし、最初からリハビリありきで進めるわけではありません。まず医師が骨折の治療経過や現在の膝の状態を確認し、適応がある場合にリハビリを検討します。リハビリテーション科について詳しく見る →
膝を動かすことを許可されている場合、関節の動きを徐々に取り戻していくことは重要です。
しかし、「膝が硬くならないようにする」ことと「強い痛みを我慢して無理やり曲げる」ことは別です。
骨折部や手術による固定へどこまで負荷をかけてよいかは治療内容によって異なります。可動域の上限を指示されている場合は、その範囲を超えないでください。
自己判断で行わない方がよいこと
反対に、医師や理学療法士から可動域訓練を指示されている場合は、怖いからと全く動かさずにいるのではなく、指示された方法・範囲で継続してください。
固定を変更・解除した直後に十分曲がらないだけで、後遺症が決まるわけではありません。
ただし、次のような場合は「固定していたから仕方ない」と決めつけず、現在の状態を確認してください。
速やかな医療対応を検討したい症状
突然の息苦しさ、胸の痛み、意識が遠のくなどの症状がある場合は、通常の外来予約を待たず救急要請を含めた緊急対応を検討してください。
別の病院で膝蓋骨骨折の治療を続けている場合は、現在の主治医から受けている可動域・荷重・装具・松葉杖などの指示を優先してください。
特に次のような場合は、自己判断で通院や治療を中断せず、まず現在の主治医へ相談することが重要です。
経過が安定し、今後の診察やリハビリを職場・自宅の近くへ変更したい場合は、紹介状やこれまでの画像データ、手術内容、現在受けている可動域・荷重制限などの資料があると治療経過を共有しやすくなります。
西新宿で通院先の変更を検討している方は、他院で診断された骨折の経過観察を続けたい|職場近くへ転院するには →もご覧ください。
この記事は、すでに膝蓋骨骨折と診断され、固定・治療後に膝が曲がりにくい方を対象にしています。
転倒して膝のお皿をぶつけた直後で、「歩けるけれど骨折していないか心配」「膝のお皿が大きく腫れている」という方は、膝のお皿をぶつけて腫れた|歩けても骨折?受診目安を解説 →をご覧ください。
必ずしもそうではありません。治療中から、骨折部を守りながら許可された運動や歩行練習を行うことがあります。ただし、膝そのものを曲げ始める時期は骨折の安定性や治療方法によって異なるため、担当医の指示を確認してください。
固定後は膝が硬くなり、固定方法を変更・解除した直後には十分に曲げられないことがあります。何度まで曲がれば正常という一律の基準だけでは判断できません。治療内容、現在許可されている可動域、改善の経過、痛みや腫れ、生活への支障などを合わせて評価します。
医師から可動域訓練を許可されている場合は、指定された範囲から進めます。固定が外れたという事実だけで自由に深く曲げてよいとは判断できません。
長期間ほとんど動かさないことは関節の硬さにつながる場合がありますが、強い痛みを我慢して無理に曲げればよいわけではありません。現在許可されている範囲で適切に動かすことが重要です。
歩行が許可されていても、深い膝曲げや筋力トレーニングまで許可されているとは限りません。歩行、可動域訓練、筋力訓練はそれぞれ別に開始時期を確認してください。
膝蓋骨骨折後は、固定による関節の硬さ、痛みや腫れ、大腿四頭筋の機能低下などによって、膝が曲がりにくくなることがあります。
リハビリ自体は固定解除後から始まるとは限りません。骨折部を保護しながら、治療中から段階的に機能を維持・回復させる場合があります。
膝を曲げる可動域訓練については、骨折部の安定性、膝を伸ばす機能、保存療法・手術療法、画像上の経過などによって開始時期や範囲が異なります。
無理に曲げることも、動かしてよい段階なのに全く動かさないことも避け、現在許可されている可動域・荷重・運動内容を確認しながら段階的に回復を進めることが大切です。
まだ骨折と診断されていない、受傷直後の方向け
固定・手術後の通院先変更を検討している方向け
膝関節の構造や膝周囲の症状を確認したい方向け
骨折後の可動域・筋力・歩行などのリハビリについて
NCBI Bookshelf「Patella Fractures」
Patellar Fractures: A Clinical Narrative Review
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会などに所属。
沼倉 裕堅医師のプロフィールを見る →
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本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療方針を示すものではありません。膝蓋骨骨折後に膝を曲げ始める時期、許可される可動域、荷重量、装具の使用、筋力トレーニングやスポーツ復帰の時期は、骨折型、骨折部の安定性、膝を伸ばす機能、骨癒合、保存療法・手術療法、手術方法などによって異なります。現在治療中の方は担当医から受けている指示を優先してください。診療時間・休診日は変更される場合があるため、受診前に公式ページまたは予約画面で最新情報をご確認ください。