「運転中は平気なのに、車から降りようとすると膝が痛い」「足を地面につけ、立ち上がる瞬間に膝の内側がズキッとする」と気になっていませんか。
車から降りるときは、曲がっていた膝で身体を持ち上げながら脚へ体重を移し、身体の向きを変えます。そのため平地歩行では気にならない膝痛が、立ち上がり・荷重・方向転換が重なる場面で目立つことがあります。
先に結論
「車から降りるときに痛い」という症状だけでは、半月板損傷など特定の病気は決まりません。
身体の向きを変える瞬間に膝の内側・外側が痛み、引っかかりもある場合は半月板など、立ち上がり・歩き始め・階段でも痛む場合は変形性膝関節症など、お皿周辺の前側が痛む場合は膝蓋大腿部などを確認します。
また、以前から乗り降りのたびに痛む場合と、ある日降りる際に膝をグキッとひねってから急に痛くなった場合では、評価が異なります。
※痛む場所や動作は原因を考える手掛かりですが、それだけで病名を自己判断することはできません。
車から降りる動作は、普通の椅子からまっすぐ立ち上がる動作と完全に同じではありません。
車種や座席の高さ、体格、降り方によって差がありますが、
といった動作が連続します。
そのため、平地を普通に歩ける場合でも、膝を曲げた状態から荷重する場面や、足をついた状態で身体の向きを変える場面でだけ症状が出ることがあります。
重要なのは「どの瞬間に痛むか」
座席から身体を持ち上げる瞬間なのか、足をついて身体の向きを変える瞬間なのか、立ったあとの最初の数歩なのかで、確認するポイントが変わります。
半月板は、大腿骨と脛骨の間にある組織で、膝に加わる力を分散し、関節の安定性に関わります。
半月板は、体重がかかった状態で膝へひねりが加わる動作などで損傷することがあります。
ただし、車から降りる際に身体の向きを変えて痛むというだけで、半月板損傷とは診断できません。
次のような症状も合わせて確認します。
「ひねると痛い=半月板損傷」ではありません
膝の内側・外側には半月板以外の組織もあります。中高年では半月板に変性があっても、それが現在の痛みの主な原因とは限らないため、診察所見と症状の経過を合わせて判断します。
車から身体を持ち上げる瞬間に痛む場合は、「ひねり」ではなく、座った状態から荷重して立ち上がる動作そのものが症状に関係している場合があります。
変形性膝関節症では、初期に立ち上がりや歩き始めなど、動作を開始するときに痛みが出ることがあります。
車の乗り降り以外にも、
といった症状がある場合は、変形性膝関節症など膝関節全体の状態を確認します。
ただし、年齢や「車から降りると痛い」という症状だけで、変形性膝関節症とは判断できません。
痛みの中心が膝のお皿周辺・奥など前側にある場合には、膝蓋大腿部など前方の組織についても確認します。
膝蓋大腿部痛では、スクワットや階段など、膝を曲げた状態で体重を支える動作で症状が出ることがあります。
特に低めの座席から身体を持ち上げる場面で前側が痛む場合には、車の乗り降りだけでなく、
でもお皿周辺に痛みが出ないかを確認します。
前側が痛むことだけで膝蓋大腿部痛とは診断できません。膝蓋腱、変形性膝関節症など、ほかの前方膝痛の原因も確認します。
以前から車の乗り降りで痛むケースと、「車から降りる際に膝をひねり、その瞬間から急に痛くなった」というケースは分けて考えます。
膝は直接ぶつけなくても、足が地面についた状態で強いねじれなどが加わることで、半月板や靱帯などを傷めることがあります。
明確にひねったあとから、
といった症状がある場合は、慢性的な動作時痛とは分けて評価します。
一度だけ軽く痛み、その後明らかに改善している場合には、痛みを強く誘発する動きを減らして経過をみる方法があります。
身体の向きを変える際に痛む場合は、安全にできる範囲で、足を地面につけたまま上半身だけを急にねじらず、身体と脚の向きをそろえてから立ち上がることで、痛みを誘発する動作を減らせる場合があります。
痛みを確認するために何度もひねらない
「どの角度なら痛むのか」を調べるために、足を固定した状態で何度も身体をひねる必要はありません。普段どの場面で、膝のどこが痛んだかを覚えておけば診察の参考になります。
また、膝が痛むからといって、全員が長期間安静にする必要があるわけではありません。
変形性膝関節症や膝蓋大腿部痛などでは運動療法を行う場合があります。一方、急な外傷やロッキングがある場合などは対応が異なるため、原因が分からないまま痛みを我慢して深いスクワットや強いひねり運動を繰り返さないでください。
一度だけ軽く痛み、その後改善し、普段どおり歩く・階段を使う・膝を曲げ伸ばしできている場合には、負荷を調整しながら経過をみられることがあります。
一方、次のような場合は整形外科で状態を確認することをご検討ください。
膝をひねった直後から強く痛む、腫れてきた、不安定感がある、曲げ伸ばししにくい場合は、通常の「乗り降りのたびに痛む」症状とは分けて考えます。
歩ける場合でも半月板・靱帯などの損傷を否定できないため、症状がある場合は整形外科での評価をご検討ください。
通常の外来予約を待たず、速やかな医療評価を考えたい症状
車の乗り降りだけで痛む段階でも、繰り返している場合は相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、膝の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「半月板なのか、変形性膝関節症なのか分からない」という段階で病名を決める必要はありません。痛む場所、立ち上がりと方向転換のどちらで痛むか、腫れ・引っかかり・可動域などを確認し、診察結果に応じて必要な検査・治療を検討します。
診察では、実際に車の乗り降りを何度も再現する必要はありません。「どの瞬間に、膝のどこが痛むのか」が重要な手掛かりになります。
膝の内側・外側・前側・後ろ側のどこが痛むのかを確認します。
車から立ち上がるだけでも痛むのか、身体の向きを変えるときに痛むのか、通常の椅子・階段・方向転換でも同じ症状が出るのかなども確認します。
膝に関節液がたまっていないか、最後まで曲げ伸ばしできるか、関節の内側・外側などに圧痛がないか、不安定性がないかなどを症状に応じて確認します。
変形性膝関節症や骨・関節の状態を確認する必要がある場合には、診察結果に応じてX線検査を検討します。
半月板や靱帯などは、通常のX線では直接詳しく確認できません。X線で大きな異常がみられなくても、痛み・腫れ・引っかかり・不安定感などを合わせて評価します。
関節液の貯留や比較的表層にある腱などを確認する必要がある場合には、超音波(エコー)検査を検討することがあります。
半月板や靱帯など関節内部についてさらに詳しい画像評価が必要と医師が判断した場合には、MRIなどが検討されます。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。必要な場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
「車から降りると痛い」という症状だけで、治療内容は決まりません。
原因や症状の程度に応じて、痛みを誘発する活動や動作の調整、薬物療法などを検討します。
リハビリテーションの適応がある場合には、膝だけではなく股関節・足関節の動き、筋力、立ち上がりや方向転換など、実際に困っている動作を確認しながら進めます。
一方、すべての膝痛にリハビリテーションが必要なわけではありません。急な外傷やロッキングなどが疑われる場合には、まず現在の膝の状態を評価します。
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半月板では荷重した状態で膝へひねりが加わると症状が出る場合がありますが、車から降りるときに痛むというだけでは診断できません。痛む場所、引っかかり、腫れ、可動域などを合わせて評価します。
内側半月板など関節内部、変形性膝関節症、膝内側にある腱・滑液包など複数の原因があります。内側という場所だけでは判断せず、立ち上がりと方向転換のどちらで痛むか、腫れや引っかかりがあるかも確認します。
あります。座席の高さによって膝の曲がり方や身体を持ち上げる動作は変わります。ただし、低い座席で痛むことだけで特定の膝疾患を診断することはできません。
歩けることだけで半月板・靱帯などの損傷を否定することはできません。腫れ、引っかかり、不安定感、可動域制限などがある場合は整形外科への相談をご検討ください。
半月板は通常のX線では直接詳しく確認できません。X線で大きな骨・関節の異常がみられなくても、症状や診察所見によっては半月板・靱帯などについて追加の画像評価を検討します。
「ひねると痛いから半月板」「年齢的に変形性膝関節症」と決めつけず、車から降りる動作のどの瞬間に、膝のどこが痛むのかを整理することが重要です。
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
院長 沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。「車から降りるときに膝が痛い」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。必要な検査・治療は症状、発症のきっかけ、診察所見などに応じて医師が判断します。