「平地なら普通に歩けるのに、下り坂になると膝が痛い」「山道や坂道を下ると、膝のお皿周りや内側が痛くなる」と気になっていませんか。
下り坂では、身体が前方へ進みすぎないように脚でブレーキをかけながら歩きます。そのため平地歩行とは膝の曲がり方や筋肉の使い方、関節へ加わる力が異なり、平地では気にならない膝の症状が、下り坂で目立つことがあります。
先に結論
「下り坂で痛む」という症状だけでは、原因となる病気は決まりません。
お皿周辺・前側が痛む場合は膝蓋大腿部、立ち上がりや歩き始めでも痛み・腫れがある場合は変形性膝関節症、ひねったあとから痛みや腫れ・動かしにくさがある場合は半月板や靱帯などを確認します。
※痛む場所や症状の組み合わせは、原因を考える手掛かりです。これだけで病名を自己判断することはできません。
平地歩行と下り坂では、膝にかかる力や筋肉の使い方が同じではありません。
下り坂では、身体が重力によって前方・下方へ進むのをコントロールするため、大腿四頭筋などが働きながら一歩ずつ減速します。特に太ももの前側の筋肉は、伸ばされながら力を発揮する「遠心性収縮」という働きをします。
さらに、平地より膝を曲げた状態で体重を支える場面が増えます。研究では、下り坂歩行では平地歩行と比較して、膝蓋大腿関節・脛骨大腿関節に加わる力の条件が変化することが報告されています。
下り坂で痛むこと自体は病名ではありません
坂の傾斜、歩く速度、筋力、関節の状態などによって症状の出方は異なります。「下り坂で痛い」は診察の重要な情報ですが、それだけで痛みの発生部位や病名を特定することはできません。
原因を整理するときは、「坂道で痛む」ことだけではなく、どこが痛むか、ほかの動作でも痛むか、腫れ・引っかかり・動かしにくさがあるかを確認します。
膝蓋大腿部痛では、膝蓋骨の周囲や奥に痛みを感じることがあります。
スクワット、階段昇降、ランニングなど、膝を曲げた状態で体重を支える動作で症状が出ることが特徴の一つです。下り坂も膝を曲げながら荷重するため、膝前面の痛みが目立つことがあります。
ただし、「下り坂+膝前面痛」だけで膝蓋大腿部痛とは診断できません。膝蓋腱など、ほかの前方膝痛の原因も確認します。
変形性膝関節症では、初期に立ち上がりや歩き始めなどの動作開始時に痛みが出ることがあり、進行すると階段昇降や歩行などでも症状が目立つ場合があります。
膝の内側に症状が出る場合もありますが、年齢や痛む場所だけで変形性膝関節症とは判断できません。
次のような変化も合わせて確認します。
スポーツ、方向転換、段差などで膝をひねったあとから痛みが始まった場合は、徐々に現れる坂道痛とは分けて考えます。
半月板損傷では、関節の内側・外側の痛み、腫れ、曲げ伸ばしのしにくさなどが出ることがあります。クリックや引っかかりを伴うこともありますが、引っかかりだけで半月板損傷とは判断できません。
受傷状況、痛む位置、腫れ、可動域、診察所見などを組み合わせ、必要に応じて画像検査を検討します。
膝蓋骨のすぐ下に痛みが集中している場合には、膝蓋腱など膝を伸ばす働きに関係する組織も確認します。
ランニング、ジャンプ、着地、スクワットでも同じ場所が痛む場合は、その情報が原因を考える手掛かりになります。
痛む場所がはっきりしない場合
膝の前・内側・外側・後ろなど、膝痛には複数の原因があります。症状全体から確認したい方は、 膝関節の痛み・障害一覧 をご覧ください。
一度だけ軽く痛み、その後明らかに改善している場合は、まず痛みを強く誘発する坂道や運動の負荷を減らして経過をみる方法があります。
坂道を通らなければならない場合は無理に速度を上げず、安全に使える手すりなどがあれば利用してください。痛みが強くなる場合は、その動作を続けないようにします。
「痛いから一切動かさない」と決まるわけでもありません
原因や症状によっては、負荷を調整しながら活動を続けたり、運動療法を行ったりする場合があります。必要以上に長く安静を続けるかどうかも、現在の膝の状態によって判断します。
痛みを確認するために坂道を何度も往復しない
「どの傾斜なら痛むのか」を調べるために何度も坂道を下ったり、痛みを我慢して深いスクワットを繰り返したりする必要はありません。「どの動作で、膝のどこが痛んだか」を覚えておけば診察の参考になります。
長く歩いた日だけ軽く痛み、その後明らかに改善し、普段の生活にも支障がない場合には、負荷を調整しながら経過をみられることもあります。
一方、次のような場合は整形外科で状態を確認することをご検討ください。
けがのあとに膝が腫れた、強く痛む、体重をかけにくい、膝が十分に曲げ伸ばしできない場合は、単なる使いすぎとは分けて考えます。
歩けることだけで骨折やその他の外傷を否定することはできません。受傷状況と現在の症状を合わせて評価します。
通常の外来予約を待たず、速やかな医療評価を考えたい症状
繰り返す下り坂の膝痛は、原因が分からない段階でも相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、膝の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「お皿周辺なのか、関節なのか、半月板なのか分からない」という段階で病名を決める必要はありません。痛む場所、下り坂・階段・平地での症状の違い、腫れ、可動域、外傷歴などを確認し、診察結果に応じて必要な検査・治療を検討します。
西新宿本院の整形外科保険診療を予約する 横浜駅前院の整形外科保険診療を予約する診察では、急な坂道を何度も歩いて痛みを再現する必要はありません。
膝蓋骨周辺、内側、外側、膝蓋骨の下など、痛みの中心を確認します。
下り坂だけか、階段・スクワット・立ち上がり・歩き始めなどでも痛むか、スポーツや転倒など明確なきっかけがあったかも重要です。
膝に腫れや関節液の貯留がないか、最後まで曲げ伸ばしできるか、関節の特定部位に圧痛がないか、不安定感がないかなどを症状に応じて確認します。
変形性膝関節症や骨折など、骨・関節の状態を確認する必要がある場合には、診察結果に応じてX線検査を検討します。
X線画像に変化があっても、画像所見だけで現在感じている痛みの強さや原因を決めるわけではありません。症状・診察所見と合わせて評価します。
関節液の貯留や、腱・滑液包など比較的体表に近い組織を確認する必要がある場合には、超音波(エコー)検査を検討することがあります。
整形外科のエコー検査で何が分かる?X線・MRIとの違いを見る →
半月板や靱帯などについてさらに詳しい画像評価が必要と医師が判断した場合には、MRIなどが検討されることがあります。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。必要な場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
「下り坂で膝が痛い」という症状だけで治療内容は決まりません。
原因や症状の程度に応じて、痛みを誘発する活動量の調整、薬物療法などを検討します。
リハビリテーションも全員に必要なわけではありません。適応がある場合には、膝の可動域や筋力だけでなく、股関節・足関節の動き、歩行、階段など実際に困っている動作を確認しながら進めます。
平地で痛くないことだけで、膝に問題がないとは判断できません。下り坂・階段・スクワットなど、平地とは負荷条件が異なる動作でだけ症状が出ることがあります。
変形性膝関節症でも坂道や階段で痛むことがありますが、下り坂で痛むという症状だけでは診断できません。痛む位置、腫れ、可動域、ほかの動作での症状などを合わせて評価します。
膝蓋大腿部に症状がある場合には、下り坂や階段などで膝前面の痛みが出ることがあります。ただし、膝蓋腱などほかの前方膝痛の原因もあるため、痛む場所だけでは病名は決まりません。
あります。登りと下りでは筋肉の働き方や膝の曲がり方、関節に加わる力の条件が異なるため、同じ坂道でも下りで症状が目立つことがあります。
筋力トレーニングが役立つ場合はありますが、原因や現在の膝の状態によって適切な内容は異なります。痛みを我慢して深いスクワットや高負荷運動を行うのではなく、症状が繰り返す場合は状態を確認してください。
X線検査は骨や関節を評価する重要な検査ですが、膝痛の原因がすべてX線で分かるわけではありません。症状や診察所見に応じて、ほかの検査が必要かを判断します。
「平地では歩けるから大丈夫」とも、「下り坂で痛いから変形性膝関節症」とも一概にはいえません。 どの場所が、どの動作で痛むのかを整理することが、原因を考える重要な手掛かりになります。
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
院長 沼倉 裕堅 医師
日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会に所属。
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| 所在地 | 東京都新宿区西新宿7-21-3 西新宿大京ビル7階 |
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。「下り坂で痛む」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。必要な検査・治療は症状、受傷状況、診察所見などに応じて医師が判断します。