「靴下を履こうとすると脚の付け根が痛い」「靴を履くために脚を持ち上げにくい」「以前より股関節が曲がらなくなった」と感じていませんか。
靴下や靴を履く動作では、股関節を曲げる・脚を持ち上げる・股関節を開くなど複数の動きが必要です。そのため、股関節の痛みや可動域の変化に日常生活の中で気づきやすい動作の一つです。
先に結論
以前より靴下や靴が履きにくくなり、脚の付け根の痛みや股関節の動かしにくさもある場合は、股関節の可動域が低下していないか確認します。
変形性股関節症では実際にみられる症状ですが、FAI症候群、股関節形成不全、股関節周囲の筋・腱などでも似た症状が出ることがあります。「靴下が履きにくい」という一つの症状だけでは病名は決まりません。
特に確認したい変化
「昔から身体が硬い」のではなく、以前はできていた靴下履き・爪切り・しゃがみ込み・車の乗り降りが難しくなってきた場合は、股関節の機能変化を確認する手掛かりになります。
この記事で確認すること
※「靴下が履きにくい」「身体が硬くなった」という感覚だけで特定の疾患を診断することはできません。
靴下を履きにくくなったときは、単に痛みのため動かせないのか、股関節そのものを以前ほど動かせなくなっているのかを分けて考えることが重要です。
特に、以前は問題なくできていたのに、
といった変化がある場合には、単なる柔軟性の問題だけではなく、股関節の機能が変化していないか確認します。
変形性股関節症では、股関節の痛みと機能障害が生じます。
初期には立ち上がりや歩き始めに鼠径部、つまり脚の付け根へ痛みを感じることがあり、状態が進むと股関節を動かせる範囲が狭くなる場合があります。
日常生活では、
といった支障がみられることがあります。
「靴下が履きにくい=変形性股関節症」ではありません
靴下履きの難しさは変形性股関節症でみられる日常生活上の症状ですが、診断では痛む場所、股関節の可動域、診察所見、必要な画像所見などを合わせて確認します。
普段の歩行より、股関節を深く曲げたときに鼠径部・股関節前方が痛む場合には、FAI症候群など股関節内部の状態も確認します。
FAI症候群では、股関節周囲の骨形態などを背景として、深い屈曲など特定の動作で症状が出ることがあります。
靴下を履く以外にも、
といった場面でも同じ鼠径部へ症状が出るかを確認します。
FAI症候群は「股関節を曲げると詰まる」という症状だけでは診断できません。症状、身体診察で確認される所見、画像所見を組み合わせて判断します。
若年〜中年で鼠径部痛を繰り返す場合には、股関節形成不全など、股関節の形態が症状へ関係していないか確認することがあります。
ただし、画像上の形態だけで現在の痛みの原因が決まるわけではありません。症状、身体所見、必要な画像所見を合わせて評価します。
このテーマは「靴下が履きにくい」という動作だけでは判断しにくいため、鼠径部痛の経過やほかの日常動作への影響を含めて確認します。
靴下を履くために脚を持ち上げる動作では、股関節を曲げる働きに関わる筋・腱も使います。
股関節内部だけではなく、前方の筋・腱などが症状に関係している場合もあります。
たとえば、
などが手掛かりになることがあります。
「脚を持ち上げると痛い=腸腰筋」と自己判断することはできません。股関節内部の痛みと、周囲の筋・腱による痛みは本人の感覚だけでは区別しにくい場合があります。
一度だけ軽く痛み、その後明らかに改善し、普段の歩行や股関節の動きに支障がない場合には、痛みを強く誘発する動きを避けながら経過をみられることがあります。
一方、次のような変化がある場合は整形外科で相談することをご検討ください。
「身体が硬くなっただけ?」という段階でも相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、股関節・脚の付け根の痛みや動かしにくさについて一般整形外科で相談できます。
変形性股関節症なのか、FAI症候群なのか、筋・腱による痛みなのかをご自身で判断してから受診する必要はありません。痛む場所、股関節の可動域、歩行や立ち上がりとの関係などを確認し、必要な検査・治療を検討します。
一時的には、痛みを強く誘発する姿勢を避けて構いません。
「硬いから」と無理にストレッチしない
股関節が曲げにくい原因は、筋肉の柔軟性だけとは限りません。痛みが出る方向へ強く押し込んだり、何度も深く曲げたりする前に、原因を確認することが重要です。
鼠径部の奥、股関節前方、外側など、痛みの中心を確認します。
股関節を曲げる・伸ばす・開く・回す動きについて、左右差やどの方向で痛みが出るかを症状に応じて確認します。
靴下を履く動作だけではなく、歩行、立ち上がり、階段、しゃがみ込み、車の乗り降りなどで症状が出るかも確認します。
変形性股関節症、股関節形成不全、FAI症候群に関連する骨形態などを確認する必要がある場合には、診察結果に応じてX線検査を検討します。
股関節唇や筋・腱など、さらに詳しい軟部組織の評価が必要と判断した場合には、MRIなどの追加画像検査を検討することがあります。
すべての股関節痛で最初からMRIを行うわけではありません。診察所見などから必要性を判断し、院内で対応できない検査が必要な場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
「曲がりにくいから、とにかく柔らかくする」という一律の治療ではありません。
状態に応じて、痛みを誘発する活動の調整、薬物療法、リハビリテーションなどを検討します。
リハビリテーションの適応がある場合には、股関節の可動域や筋力だけではなく、歩行・立ち上がり・着替えなど、実際に困っている日常動作も確認しながら進めます。
一方、すべての股関節痛をリハビリテーションだけで治療するわけではありません。股関節の状態によっては、より専門的な評価・治療が必要になる場合もあります。
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変形性股関節症では可動域低下によって靴下を履きにくくなることがありますが、この症状だけでは診断できません。鼠径部痛、可動域、診察所見、必要な画像所見などを合わせて評価します。
若年〜中年ではFAI症候群、股関節形成不全、股関節周囲の筋・腱なども候補になります。年齢や一つの動作だけで原因を決めることはできません。
柔軟性によって股関節の動きは変わりますが、以前はできていた動作ができなくなった、左右差が大きくなった、痛みを伴う場合などは、単なる柔軟性だけとは限りません。
原因が分からない状態で、痛みを我慢して深く曲げたり強く伸ばしたりする必要はありません。適した運動は原因や可動域の状態によって異なります。
はい。毎回同じ動作で痛む、以前より股関節を曲げにくくなった、左右差が出た、歩行や立ち上がりにも症状が広がった場合などは整形外科で相談できます。
「年齢のせい」「身体が硬いだけ」と決めつけず、以前できていた動作がしにくくなったという変化も受診判断の手掛かりにしてください。
SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会、日本小児内分泌学会、日本成長学会
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。「靴下・靴を履くと股関節が痛い」「股関節を曲げにくい」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。必要な検査・治療は年齢、痛む場所、可動域、症状の経過、診察所見などに応じて医師が判断します。