「朝起きて最初に歩くとアキレス腱が痛い」「最初の数歩だけ痛むのに、歩いているうちに少し楽になる」と気になっていませんか。
朝や長く座ったあとなど、休んだ状態から動き始めるとアキレス腱周辺が痛む・こわばる症状は、アキレス腱症でみられる症状の一つです。
先に結論
数歩歩くと楽になっても、朝になるたび同じ場所が痛む場合は「放置して大丈夫」とは判断できません。
以前より痛みやこわばりが強くなっている、ランニング・階段・つま先立ちでも痛む、アキレス腱周辺に腫れや厚みがある場合などは、整形外科で相談できます。
突然「ブチッ」と痛んだ場合は、この経過とは別に考えます
スポーツや踏み込みの瞬間に突然強く痛んだ、後ろから蹴られたような衝撃を感じた場合は、慢性的なアキレス腱症ではなくアキレス腱断裂など急性外傷を確認する必要があります。
「ブチッ」とした感覚があった方はこちら →この記事で確認すること
※「朝の歩き始めに痛い」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。
アキレス腱症では、アキレス腱周辺の痛みだけでなく、安静後のこわばりや動き始めの痛みを感じることがあります。
そのため、朝起きた直後や長時間座ったあとなどに痛みを感じ、歩いているうちに症状が軽くなる場合があります。
ただし、この症状を「血流が悪い」「冷えている」「腱が固まっている」など、一つの理由だけで説明することはできません。
何歩で楽になるかより「毎朝繰り返しているか」が重要です
診察では何歩目で軽くなるかを厳密に数えるより、毎朝症状が出るか、ランニング・階段・つま先立ちでも痛むか、以前より悪化していないかを確認します。
一般には「アキレス腱炎」と呼ばれることがありますが、長く続くアキレス腱の痛みは、単純な炎症だけで説明できるとは限りません。
そのため、本記事では持続するアキレス腱の痛み・こわばり・機能低下を扱う場合、基本的に「アキレス腱症」と表現します。
ランニング、ジャンプ、スポーツ、歩行量の増加など、アキレス腱へ繰り返し負荷がかかる活動と関連して症状が出ることがあります。
「アキレス腱が痛い」と思っていても、実際の痛みの中心によって確認する状態は異なります。
中央部と付着部では、運動療法の考え方も同じではありません
アキレス腱中央部の腱症を対象とした運動療法の研究結果を、付着部アキレス腱症へそのまま当てはめることはできません。まず痛む位置を確認することが重要です。
「朝の一歩目が痛い」という症状は、アキレス腱症だけに特有ではありません。
痛みの中心がアキレス腱の後方ではなく、かかとの底側・足裏側にある場合には、足底腱膜など別の組織が症状に関係していないか確認します。
「朝の一歩目」という共通点だけで病名を決めず、実際に指一本で示すならどこが最も痛むのかを確認してみてください。
受診が必要か判断するときは、朝だけでなく負荷が増えたときの症状も確認します。
徐々に続く朝の歩き始めの痛みと、アキレス腱断裂の典型的な発症は異なります。
スポーツ中の踏み込み・ダッシュ・ジャンプ・着地などをきっかけに、
場合には、アキレス腱断裂など急性外傷を確認します。
歩けても断裂は否定できません
アキレス腱が断裂していても、時間がたつと歩ける場合や足首を動かせる場合があります。明らかな受傷をきっかけに急激な症状が出た場合は、「歩けるから大丈夫」と自己判断しないでください。
一時的な軽い違和感で、その後は歩行・運動でも症状がなく、全体として明らかに改善している場合には、負荷を調整しながら経過をみられることがあります。
一方、次の項目に当てはまる場合は、整形外科で状態を確認することをご検討ください。
こんな方は「まだ朝だけだから」と待つ必要はありません
毎朝繰り返している/運動にも影響が出始めた/痛む場所がはっきり腫れている/以前より症状が強くなっている、という変化がある場合は相談できます。
「朝だけだし、歩けば楽になる」という段階でも相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、アキレス腱・かかと・足首周辺の痛みについて一般整形外科の保険診療で相談できます。
アキレス腱中央部の腱症なのか、付着部の問題なのか、足裏など別の部位が原因なのかをご自身で判断してから受診する必要はありません。
痛みの程度を確認するために、つま先立ちやジャンプを何度も繰り返す必要はありません。
アキレス腱症だから「ずっと完全安静」とは限りません
慢性的なアキレス腱症では、状態を確認したうえで活動量を調整し、段階的に腱へ負荷を戻す運動療法を行うことがあります。ただし、急性外傷やアキレス腱断裂が疑われる場合は対応が異なります。
アキレス腱中央部なのか、かかとの骨に付着する部分なのか、それとも足裏・かかとの底側なのかを確認します。
アキレス腱周囲の腫れ・厚み・押したときの痛みなども、症状に応じて確認します。
朝の歩き始めだけではなく、通常歩行、階段、ランニングなど、どの程度の負荷で症状が出るかを確認します。
アキレス腱症では、症状の経過や診察所見などから判断できる場合もあり、すべての方に画像検査が必要とは限りません。
診断がはっきりしない場合、ほかの疾患との区別が必要な場合、腱の状態をさらに確認する必要がある場合には、超音波(エコー)検査やMRIなどを検討することがあります。
エコー検査について詳しく知りたい方
整形外科のエコー検査とは? →X線検査でアキレス腱そのものを詳しく見ることはできません。
付着部周辺の骨の状態や、骨性の異常などを確認する必要がある場合に、診察所見に応じてX線検査を検討します。
院内で対応できない画像検査などが必要と判断した場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
アキレス腱症の治療は、「痛いからずっと休む」「硬いから強く伸ばす」と一律には決まりません。
症状や活動量を確認しながら負荷を調整し、リハビリテーションの適応がある場合には、ふくらはぎ・アキレス腱へ段階的に負荷をかける運動療法などを検討します。
中央部と付着部では運動方法を同じにしません
2024年の臨床ガイドラインで腱への負荷運動が推奨されているのは、主にアキレス腱中央部の腱症です。付着部に痛みがある場合は、足首を深く反らすことで付着部へ圧迫が加わることなども考慮し、運動方法を調整します。
そのため、インターネットで見つけた「段差からかかとを深く下げる運動」を、痛む場所を確認せず自己流で始めることはおすすめしません。
また、アキレス腱断裂など急性外傷が疑われる場合は、慢性的なアキレス腱症とは治療方針が異なります。
SBC整形外科クリニックのリハビリテーションについて見る →
アキレス腱症では朝や安静後の痛み・こわばりがみられることがありますが、この症状だけでは診断できません。長く続く症状は単純な炎症だけでは説明できないこともあるため、本記事では主に「アキレス腱症」と表現しています。
数歩で楽になることだけでは、原因や重症度を判断できません。毎朝繰り返す、悪化している、ランニング・階段などでも痛む場合は整形外科で相談してください。
アキレス腱はかかとの後方に付着します。痛みの中心がかかとの底側・足裏側にある場合は、足底腱膜など別の部位が症状に関係していないか確認します。
慢性的なアキレス腱症では、必ずしも完全安静だけが治療になるわけではありません。症状や痛む位置に応じて活動量を調整し、段階的な運動療法を行うことがあります。ただし、急な強い痛みや断裂が疑われる場合は対応が異なります。
はい。毎朝症状を繰り返す、以前より悪化している、ランニング・階段・つま先立ちなどにも影響が出ている場合は整形外科で相談できます。
「歩けば楽になるから大丈夫」と決めつけず、どこが痛むのか、朝以外の活動にも症状が広がっていないかを確認することが重要です。
SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会、日本小児内分泌学会、日本成長学会
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。「朝の歩き始めにアキレス腱が痛い」「数歩で楽になる」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。必要な検査・治療や活動量の調整は、痛む位置、発症の経過、診察所見、生活・スポーツで必要な負荷などに応じて医師が判断します。