「手の甲の親指側だけがピリピリする」
「親指と人差し指の間あたりだけ感覚が鈍い」
「親指の手のひら側は何ともないのに、手の甲側だけしびれる」
このような手の甲の親指側に限局したしびれでは、前腕から手首の親指側を走る橈骨神経浅枝(とうこつしんけいせんし)が刺激・圧迫されている可能性があります。
橈骨神経浅枝は主に皮膚の感覚を担当する神経です。
そのため、この神経だけが障害された場合には、しびれ・ピリピリ感・感覚の鈍さがある一方、神経障害そのものによる手首や指の筋力低下は通常みられません。
ただし、しびれる場所だけで原因を確定することはできません。
頚椎から出る神経の障害や、より上流での橈骨神経障害などでも親指側に感覚異常が出ることがあります。
特に、親指と人差し指の間の手の甲側にしびれ・感覚低下があり、親指・人差し指などの手のひら側には症状がない場合には、橈骨神経浅枝の障害を確認します。
腕時計・リストバンドなどによる局所的な圧迫、前腕を繰り返しひねる動作、外傷などが症状のきっかけになることがあります。
① 手の甲の親指側だけしびれる・力は入る
→ 橈骨神経浅枝などを確認
② 手首や指を反らしにくい
→ より近位の橈骨神経障害などを確認
③ 首・肩から腕、親指側まで症状が続く
→ 頚椎から出る神経の障害なども確認
④ 顔や片側の手足に突然しびれが出た
→ 通常の整形外科外来ではなく救急対応を優先
手根管症候群でも、手のひら中央〜親指の付け根付近の感覚は比較的保たれることがあります。
そのため、単に「手のひら中央はしびれない」というだけでは、手根管症候群を否定できません。
今回の記事で重要なのは、親指・人差し指・中指などの手のひら側まで正常で、手の甲の親指側に限局してしびれているかという違いです。
「このしびれは受診した方がいい?」整形外科の受診目安を先に確認する →
「手の甲だけのしびれでも受診できる?」診療案内を確認する →
手の感覚は、主に正中神経・尺骨神経・橈骨神経など複数の神経が分担しています。
そのため、同じ「手のしびれ」でも、
によって確認する神経や場所が変わります。
手・腕のしびれ全般について確認したい方は、 首から腕・手がしびれるときは何科? をご覧ください。
橈骨神経は、首から腕・前腕へ向かって走る大きな末梢神経の一つです。
そのうち、前腕から手の甲の親指側へ向かい、皮膚の感覚に関係する枝が橈骨神経浅枝です。
この神経が刺激・圧迫されて起こる感覚障害は、cheiralgia parestheticaやWartenberg syndromeと呼ばれることがあります。
橈骨神経浅枝の感覚領域には、
などが含まれます。
特に親指と人差し指の間にある第1指間腔の手背側は、橈骨神経浅枝の感覚を確認する際の重要な場所です。
ただし、実際の皮膚感覚の支配範囲には個人差や、ほかの神経との重なりがあります。
「この場所がしびれるから橈骨神経浅枝で確定」と判断することはできません。
橈骨神経浅枝が刺激されると、
ことがあります。
橈骨神経浅枝は主に感覚を担当する神経です。
そのため、この枝だけが障害された場合には、神経障害そのものによって手首や指を動かせなくなることは通常ありません。
一方、痛みや不快感のために「力を入れにくい」と感じることはあります。
実際に手首や指を反らせない、明らかな左右差がある場合には、より近位の橈骨神経障害など別の原因を確認します。
手首や指を伸ばしにくい方は、 橈骨神経麻痺 をご覧ください。
橈骨神経浅枝は前腕の途中から皮膚に近い位置へ出て、手首の親指側へ向かいます。
このため、外部からの圧迫や反復する前腕の動きの影響を受けることがあります。
代表的なきっかけの一つが、前腕〜手首親指側への外部からの圧迫です。
などが症状に関係する場合があります。
ただし、骨折治療などで医療者から装具・固定を指示されている場合には、ご自身の判断で外さず、締めつけやしびれについて医療機関へ相談してください。
前腕を繰り返し回す動作などによって、神経周囲への牽引や摩擦が加わり、症状が悪化する場合があります。
などが症状と関係していないか確認します。
前腕〜手首親指側への直接的な外傷や骨折などのあとに、末梢神経の症状が出ることもあります。
手術などの処置後や瘢痕周囲で神経が刺激される場合もあります。
外傷や処置のあとからしびれ始めた場合には、その経過を診察時に伝えてください。
頚椎から出る神経根が圧迫・刺激されると、腕や手に痛み・しびれが現れる場合があります。
親指側に感覚異常が出ることもありますが、しびれる皮膚の場所だけで、どの神経根が原因かを確定することはできません。
診察では、
などを合わせて確認します。
また、首の痛みが目立たない場合もあるため、「首が痛くないから首は原因ではない」とも判断できません。
上腕など、より上流で橈骨神経が障害されると、手の甲の感覚異常に加えて運動麻痺を伴う場合があります。
といった症状です。
手根管症候群は、手首にある手根管内で正中神経が圧迫される病気です。
典型的には、親指・人差し指・中指・薬指の親指側の手のひら側にしびれが出ます。
夜間・明け方に症状が強くなることも特徴の一つです。
ただし、手のひら中央〜母指球付近の感覚を担当する神経枝は手根管の外を通るため、この部分の皮膚感覚は比較的保たれる場合があります。
したがって、
「手のひら中央は正常」=手根管症候群ではない
とは判断できません。
今回のように、親指・人差し指・中指の手掌側まで正常で、手背の親指側だけに症状が限局する場合には、橈骨神経浅枝などを考える手掛かりになります。
ドケルバン病は、手首の親指側にある腱・腱鞘の障害です。
物をつかむ、親指を動かす、手首を使うなどで親指側の手首に痛みが出ます。
橈骨神経浅枝はドケルバン病が起こる場所の近くを走るため、症状が紛らわしい場合や両者が併存する場合もあります。
ただし、ドケルバン病そのものは感覚神経障害によるしびれを主症状とする病気ではありません。
手首の親指側の痛みが中心の方は、 ドケルバン病 をご覧ください。
両手に広く症状がある、足にもしびれがある、手先が不器用になった、歩きにくいなどの場合には、橈骨神経浅枝だけの局所的な障害では説明しにくくなります。
頚椎の脊髄障害や全身性の末梢神経障害など、別の原因についても確認が必要です。
腕時計などによる一時的な圧迫で、圧迫をなくしたあと短時間で完全に症状が消える場合には経過をみられることもあります。
一方、原因がはっきりしないしびれが続いている場合や、触った感覚に左右差が残っている場合には整形外科への相談をご検討ください。
顔や半身の突然のしびれ、言語障害などがある場合には脳卒中なども考える必要があります。通常の整形外科外来を予約して待たず、119番への連絡を検討してください。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、手・腕のしびれを一般整形外科の保険診療で診察しています。
しびれでは、神経の名前を患者様側で特定してから受診する必要はありません。
どこからどこまで感覚が変わっているか、筋力低下があるか、首・腕・前腕にも症状がないかを確認し、末梢神経なのか、より上流の神経なのか、頚椎なのかを原因別に評価します。
必要な検査も症状と診察所見から医師が判断します。
西新宿本院の一般整形外科を予約する 横浜駅前院の一般整形外科を予約する局所的なしびれでは、最初から画像検査だけで原因を探すのではなく、感覚の分布・筋力・症状が変化する動作を確認して、神経が影響を受けている場所を絞ることが重要です。
診察では、
などを確認します。
「手の甲がしびれる」だけでなく、どこからどこまで感覚が違うのかを伝えることが、障害部位を考える重要な手掛かりです。
橈骨神経浅枝だけの障害なのか、頚椎やより近位の橈骨神経などが関係しているのかを区別するため、
などを確認します。
痛みや不快感による「動かしにくさ」と、神経障害による真の筋力低下を分けて評価することも重要です。
超音波(エコー)は、皮膚に近い末梢神経や周囲の軟部組織を評価する際に用いられることがあります。
症状・診察所見に応じて、神経周囲の状態や、局所的な圧迫の原因となる腫瘤などを確認する補助として検討される場合があります。
一方、手の甲がしびれる方全員にエコーが必要なわけではなく、エコーだけでしびれの原因を確定するものでもありません。
エコーについて詳しく知りたい方は、 整形外科のエコー検査とは?何がわかる?レントゲン・MRIとの違い をご覧ください。
通常のレントゲンでは、橈骨神経浅枝そのものを直接確認することはできません。
一方、
場合には、症状に応じてレントゲン検査を検討します。
症状が続く場合や、より近位の末梢神経障害などとの区別が必要な場合には、神経伝導検査や筋電図などが検討されることがあります。
ただし、症状があっても電気生理学的検査で明確な異常が確認できない場合があります。
また、橈骨神経浅枝単独の障害では運動筋が障害されないため、筋電図だけで直接診断するものではありません。
検査結果だけではなく、しびれの分布・経過・身体診察との一致が重要です。
SBC整形外科クリニックで対応していない詳細検査が必要な場合には、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
首・肩・腕まで症状が広がる、筋力や反射にも異常が疑われるなど、頚椎から出る神経を詳しく評価する必要がある場合にはMRIなどを検討します。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。
詳細な画像検査が必要と医師が判断した場合には、撮影可能な医療機関への紹介を検討します。
橈骨神経浅枝への外部圧迫が原因として考えられる場合には、神経へ加わる刺激を減らすことが基本になります。
状態に応じて、
などを検討します。
原因が頚椎やより近位の神経障害であれば、必要な対応は異なります。
症状が始まった時期と、
といった変化が一致していないか確認しましょう。
「神経が詰まっているからほぐそう」と、しびれる前腕・手首を強く揉むことは適切とは限りません。
皮膚に近い神経へさらに刺激を加え、症状を悪化させる可能性があります。
前腕をひねると症状が出ることが分かっている場合、確認する目的で何度も同じ動作を繰り返す必要はありません。
症状が続く場合には、自己流の誘発テストを繰り返すより整形外科で感覚・筋力を確認しましょう。
橈骨神経浅枝の障害でみられる代表的な分布の一つです。特に親指と人差し指の間の手背側の感覚異常は重要な手掛かりになります。ただし、神経支配には個人差や重なりがあり、頚椎の神経障害でも親指側に症状が出るため、しびれる場所だけでは確定できません。
「手のひら中央〜親指の付け根がしびれない」というだけでは手根管症候群を否定できません。この部分の感覚を担当する神経枝は手根管の外を通るためです。一方、親指・人差し指・中指の手掌側も正常で、手背の親指側だけがしびれる場合には、橈骨神経浅枝などを考える手掛かりになります。
あります。橈骨神経浅枝は前腕〜手首の比較的浅い位置を走るため、きつい腕時計・リストバンドなどの外部圧迫が症状に関係することがあります。圧迫を避けても感覚異常が続く場合には整形外科へご相談ください。
あります。橈骨神経浅枝は主に感覚を担当するため、この枝だけの障害では真の筋力低下を伴わないことが一般的です。「力が入るから神経ではない」とは判断できません。
あります。頚椎の神経根障害では首・肩・腕の痛みを伴うことがありますが、症状の現れ方には個人差があります。しびれの分布、筋力、反射、首の動きなどを合わせて頚椎由来の可能性を評価します。
「手の甲の親指側だけ」という限られたしびれ方は、どの神経が関係しているかを考える重要な情報です。
一方、皮膚の神経支配には個人差や重なりがあり、末梢神経と頚椎由来の感覚異常が似る場合もあります。
同じ場所のしびれが続く、範囲が広がる、触った感覚に左右差がある場合には、自分で神経名を決めるのではなく整形外科で原因を確認しましょう。
首・肩から腕、手まで広くしびれる方は、 首から腕・手がしびれるときは何科? をご覧ください。
手の甲のしびれに加えて手首・指を伸ばしにくい方は、 橈骨神経麻痺 をご覧ください。
親指〜中指の手掌側が夜間・明け方にしびれる方は、 手根管症候群 をご覧ください。
首から片側の腕・親指側へ症状が広がる方は、 頚椎症性神経根症 をご覧ください。
親指側の手首にしびれより「痛み」がある方は、 ドケルバン病 をご覧ください。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、手・腕のしびれを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「手の甲の一部分だけしびれる」「痛みはないけれど触った感覚が左右で違う」という段階でもご相談いただけます。
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