首から肩、腕、手にかけてしびれがあるとき、「整形外科でよいのか」「脳神経外科へ行くべきなのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
首や肩の痛みを伴うしびれ、首の動きによって変化するしびれ、特定の指に続くしびれは、まず整形外科が受診先の候補です。
整形外科では、頚椎だけでなく、肩、肘、手首など、神経が圧迫されている可能性がある場所を確認します。
ただし、顔や片側の手足が突然しびれた場合、言葉が出にくい場合などは、脳卒中の可能性があります。この場合は通常の外来を予約して待たず、速やかに119番へ連絡してください。
この記事のポイント
受診する診療科は、しびれの現れ方や一緒に起きている症状によって異なります。以下の目安を参考にしてください。
| 症状 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 首や肩の痛みとともに腕・手がしびれる | 整形外科 |
| 首を反らす、横を向くとしびれが強くなる | 整形外科 |
| 親指側、小指側など特定の指がしびれる | 整形外科 |
| 肘を曲げていると小指側がしびれる | 整形外科 |
| 明け方や夜間に親指から中指がしびれる | 整形外科 |
| 物を落とす、指や腕に力が入りにくい | 早めに整形外科へ |
| 両手がしびれ、歩きにくさもある | 早めに整形外科へ |
| 交通事故や転倒後からしびれている | 早めに整形外科へ |
| 顔や片側の手足が突然しびれた | 119番 |
| ろれつが回らない、言葉が出にくい | 119番 |
| 救急車を呼ぶべきか判断できない | 東京都では #7119 |
首や腕に痛みがなく、手だけがしびれている場合でも、 手根管症候群や 肘部管症候群など、整形外科で診療する病気が原因となっている可能性があります。
「手のしびれだけだから整形外科ではない」と自己判断せず、しびれが続く場合は整形外科へご相談ください。
次のような症状が突然現れた場合は、脳卒中など緊急性の高い病気が疑われます。ためらわずに救急車を要請してください。
🚨 要注意:脳卒中を疑うべき症状
国立循環器病研究センターの脳卒中に関する解説では、突然起こる片側の手足や顔半分の麻痺・しびれ、言葉の障害、視覚の異常などが脳卒中の症状として挙げられています。これらの症状がある場合は、通常の整形外科外来を予約して待たず、119番へ連絡してください。
一度症状が軽くなった場合でも、脳への血流が一時的に滞る一過性脳虚血発作などの可能性があります。「治ったから大丈夫」と判断せず、速やかに医療機関へ相談することが重要です。
救急車を呼ぶべきか迷ったら「#7119」
東京都内で「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院へ行くべきか」と判断に迷った場合は、東京消防庁救急相談センターの 「#7119」に相談できます。
#7119では、医師、看護師、救急隊経験者などで構成される相談医療チームが24時間・365日対応しています。ただし、明らかに緊急性が高い症状がある場合は、#7119ではなく119番へ連絡してください。
次のような症状がある場合は、単なる肩こりや一時的なしびれと決めつけず、早めに整形外科を受診してください。
しびれだけでなく、筋力低下を伴っている場合は、神経への影響が強くなっている可能性があります。以下の症状に当てはまらないか確認しましょう。
頚椎症性神経根症では、腕や手指のしびれ・痛みに加えて、上肢の筋力低下や感覚障害が現れることがあります。
筋力の低下がある場合は、しびれだけの場合よりも早い受診が必要です。
両手のしびれに加えて、次のような症状がある場合は、頚椎の中を通る脊髄が圧迫される「頚椎症性脊髄症」などが疑われます。
日本整形外科学会の頚椎症性脊髄症に関する解説では、手指の細かな動作のしにくさ、手足のしびれ、歩行時の脚のもつれなどが症状として挙げられています。
両手のしびれと歩行の変化を「加齢」や「疲れ」と決めつけず、早めに診察を受けてください。
次のような場合も整形外科の受診をおすすめします。
しびれの改善にかかる期間は、原因や神経への負担の程度によって異なります。症状が繰り返している場合は、悪化する前に原因を確認することが大切です。
交通事故によるむちうち、転倒、スポーツ中の接触などの後に、首から腕・手のしびれが現れることがあります。
受傷直後は症状が軽くても、数時間後や翌日以降に首の痛み、腕のしびれ、頭痛などが出る場合があります。事故や転倒後にしびれが出た場合は、症状が軽くても早めに整形外科を受診してください。
腕や手のしびれは、首(頚椎)の神経圧迫だけで起こるわけではありません。首から手までの間には複数の神経が通っており、首、肩周辺、肘、手首など、さまざまな場所で神経が圧迫・刺激される可能性があります。
| 原因の候補 | 主な症状の特徴 |
|---|---|
| 頚椎症性神経根症 | 首から片側の肩・腕・指に痛みやしびれが広がり、首を反らすと強くなることがある |
| 頚椎椎間板ヘルニア | 首・肩・腕の痛みやしびれ、筋力低下などが現れることがある |
| 頚椎症性脊髄症 | 両手のしびれ、手先の不器用さ、歩きにくさなどが現れることがある |
| 手根管症候群 | 親指から薬指の親指側がしびれ、夜間や明け方に強くなりやすい |
| 肘部管症候群 | 小指と薬指の小指側がしびれ、進行すると手の筋肉がやせることがある |
| 胸郭出口症候群 | 腕を上げる動作で、腕や小指側のしびれ、だるさが出やすい |
| 外傷による神経障害 | 交通事故、転倒、スポーツ外傷などをきっかけに症状が出る |
しびれる場所だけで病名を確定することはできません。頚椎の神経障害と手首・肘の末梢神経障害では、しびれの範囲が似ることもあります。医師が首、肩、肘、手首の動き、筋力、感覚、反射などを確認し、症状の原因を絞り込みます。
頚椎の椎間板の膨らみや骨棘などにより、腕へ向かう神経根が圧迫・刺激される病気です。
片側の首から肩、腕、手指にかけて痛みやしびれが広がり、首を後ろへ反らすと症状が強くなる傾向があります。上肢の筋力低下や感覚障害を伴うこともあります。
手首にある「手根管」の中で正中神経が圧迫される病気です。
親指、人差し指、中指、薬指の親指側にしびれが出やすく、明け方や夜間に強くなることがあります。進行すると、親指の付け根の筋肉がやせたり、細かな物をつまみにくくなったりします。
手根管症候群の詳しい症状・検査・治療はこちら
肘の内側を通る尺骨神経が圧迫・牽引されることで生じる神経障害です。
初期には、小指と薬指の一部にしびれが現れます。進行すると手の筋肉がやせたり、小指や薬指を動かしにくくなったりする場合があります。
肘部管症候群の詳しい症状・検査・治療はこちら
首から腕へ向かう神経や血管が、首の筋肉、鎖骨、第1肋骨周辺で圧迫される病気です。
つり革につかまる、洗濯物を干す、ドライヤーを使うなど、腕を上げた姿勢でしびれや痛みが出やすいのが特徴です。
胸郭出口症候群の詳しい症状・検査・治療はこちら
しびれる指は、原因となっている神経や場所を推測する手がかりになります。ただし、しびれる場所だけで病名を自己判断することはできません。
手根管症候群や頚椎の神経障害などが考えられます。
明け方や夜間に手のひら側を中心としてしびれ、手を振ると一時的に楽になる場合は、手根管症候群が疑われます。
首の動きによって肩から腕、指先までしびれが広がる場合は、頚椎が関係している可能性があります。
肘部管症候群、頚椎の神経障害、胸郭出口症候群などが考えられます。
肘を曲げているとしびれが強くなる場合や、肘の内側から小指まで響くような感覚がある場合は、肘周辺で尺骨神経が刺激されている可能性があります。
首から肩、腕、手まで連続してしびれる場合は、頚椎症性神経根症や頚椎椎間板ヘルニアなど、首から出る神経が関係している可能性があります。
腕を上げたときに強くなる場合は、胸郭出口症候群なども鑑別します。
整形外科では、しびれている手だけを見るのではありません。首、肩、肘、手首のどこで神経が影響を受けている可能性があるかを、問診、身体診察、必要な検査から総合的に判断します。
1.問診
診察では、主に次の内容を確認します。
※「手がしびれる」だけでなく、始まる場所、広がる方向、悪化する姿勢を伝えると原因を絞り込みやすくなります。
2.筋力・感覚・反射などの診察
※これらの診察から、神経根、脊髄、末梢神経のどこに問題があるかを判断します。
3.レントゲン検査
主に骨の状態(頚椎の並び、変形や骨棘、椎間板部分の狭まり、骨折や脱臼など)を確認します。レントゲンでは神経を直接見ることはできないため、診察結果と組み合わせて判断します。
4.MRI検査
レントゲンでは確認しにくい椎間板、神経根、脊髄などの状態を調べます。ヘルニアや脊髄圧迫などが疑われる場合に検討されます。画像所見だけでなく、症状や診察所見との一致を確認することが重要です。
5.超音波検査・神経伝導検査など
手根管症候群など末梢神経の障害が疑われる場合、必要に応じて神経の伝わる速度の測定や、超音波検査が補助として用いられます。受診時にすべての検査を行うわけではありません。
診察を受ける前に、次の内容を簡単にメモしておくと、症状をスムーズに伝えやすくなります。
※症状が一時的で受診時に消えている場合は、症状が出たときの状況や継続時間も伝えてください。
原因が分かるまでは、しびれが強くなる動作を無理に繰り返さないようにしましょう。
筋力低下や歩行の変化がある場合は、セルフケアだけで様子を見ずに診察を受けてください。
SBC整形外科クリニック西新宿本院では、 保険診療による一般整形外科診療と 運動器リハビリテーションを行っています。
首から腕・手にかけてのしびれがある場合は、次のような流れで原因を確認します。
「手だけのしびれでも受診できるのか分からない」
「首を動かすと腕までしびれる」
「仕事中にしびれが強くなってきた」
という方も、まずは整形外科へご相談ください。
※突然の片側のしびれ、顔の麻痺、言葉の障害などがある方は、119番へ連絡してください。
首から腕・手にかけてのしびれは、頚椎、脊髄、神経根、肘、手首など、さまざまな場所で神経が影響を受けることによって起こります。
次のような場合は、整形外科を受診してください。
※顔や片側の手足が突然しびれた場合、ろれつが回らない場合、急に歩けなくなった場合は、脳卒中などの可能性があります。通常の外来予約を待たず、速やかに119番へ連絡してください。
救急症状に該当せず、首や腕・手のしびれが続いている方は、我慢したり自己流のマッサージを続けたりせず、まずは整形外科の診察をご予約ください。
【参考文献・参考サイト】