「成長ホルモンを増やすにはアミノ酸を摂った方がいい?」
「アルギニンやグルタミンを摂れば身長が伸びる?」
「成長期にはアミノ酸サプリが必要?」
子どもの身長について調べていると、「成長ホルモンを増やすアミノ酸」としてアルギニンやグルタミン、オルニチンなどが紹介されていることがあります。
ただし、アミノ酸が身体に必要であることと、特定のアミノ酸を多く摂れば成長ホルモンが増えて最終身長が高くなることは分けて考える必要があります。
先に結論|アミノ酸を多く摂れば成長ホルモンが増えて身長が伸びる、とは言えません
アミノ酸は成長に必要?
はい。アミノ酸はたんぱく質を構成し、身体をつくるために必要な栄養成分です。
アルギニンはGHと関係がある?
医療では成長ホルモン分泌刺激試験に使われます。ただし、食品や一般的なサプリメントとして口から摂ることとは条件が異なります。
グルタミン・オルニチンなどを摂れば?
健康な子どもの成長ホルモン分泌や成人時の最終身長を高める目的で、特定のアミノ酸を追加摂取する方法は確立されていません。
では食事はどうする?
「GHを増やすアミノ酸」を探すより、年齢や活動量に合ったエネルギーとたんぱく質を含む食事全体を整えることが基本です。
アミノ酸は、たんぱく質を構成する成分です。
筋肉・骨・皮膚など身体のさまざまな組織をつくるために利用され、成長期の子どもにとっても必要です。
成長ホルモン自体もアミノ酸から構成されるたんぱく質(ペプチド)ホルモンですが、「材料となるアミノ酸を多く食べれば、その分だけ成長ホルモンが大量につくられる」という仕組みではありません。
「身体に必要な材料」と「分泌量を増やす方法」を混同しない
アミノ酸が成長に必要なことを理由に、「特定のアミノ酸を追加すればGHが増え、その分だけ背が高くなる」と考えることはできません。
アルギニンは、アミノ酸と成長ホルモンの関係で特によく名前が挙がる成分です。
その理由のひとつに、医療機関で行う成長ホルモン分泌刺激試験にアルギニンが使われることがあります。
ただし、ここで重要なのは、
医療のアルギニン負荷試験と、食事・サプリは別
医療では決められた量のアルギニンを静脈内へ投与し、その後の成長ホルモンの反応を確認します。食品や一般的なサプリメントを口から摂ることとは、量・投与経路・目的が異なります。
日本小児内分泌学会は、一般的なアルギニンサプリメントを服用しても、成長ホルモン分泌が促進するとは考えられないとしています。
さらに、成長ホルモンの分泌が一時的に刺激されたとしても、それだけで健康な子どもの成長速度や成人時の最終身長が高くなるとは限りません。
最新研究でも「アルギニンを飲めば背が高くなる」とは言えません
2026年に公表された系統的レビューでは、特発性低身長の思春期前の子どもに経口アルギニンを使用した研究が検討されましたが、含まれた研究の質は低く、短期的な成長速度への差も小さいものでした。12か月投与に限定すると有意な効果は示されず、成人時の最終身長を高くする効果も確認されていません。
アルギニン負荷試験とサプリメントの違いについて詳しく知りたい方は、 アルギニンで成長ホルモンは増える?負荷試験とサプリの違い をご覧ください。
アルギニン以外にも、グルタミン・オルニチンなどが「成長ホルモンを増やすアミノ酸」として紹介されることがあります。
しかし、健康な子どもがこれらを食品やサプリメントとして追加摂取することで、成長ホルモン分泌が持続的に高まり、最終身長が高くなることは確立されていません。
複数のアミノ酸を組み合わせても「相乗効果で背が伸びる」とは言えません
「アルギニン+グルタミン」「アルギニン+オルニチン」などの組み合わせを、子どもの最終身長を高くする方法として勧める根拠は十分ではありません。
必要な栄養が不足している場合、その不足を改善することは正常な成長のために重要です。
一方で、必要量を満たしている健康な子どもに、特定のアミノ酸をさらに多く追加することで、本来の成長以上に成人時の身長が高くなるとは言えません。
日本小児内分泌学会も、健康な子どもの本来の成長以上に身長を伸ばす効果が科学的に証明されたサプリメント成分は存在しないという見解を示しています。
「不足を補う」と「本来以上に伸ばす」は別です
栄養不足によって成長が妨げられている場合は、食事を整えることに意味があります。しかし、栄養状態に問題のない子どもが特定のアミノ酸を追加したからといって、さらに身長が高くなるわけではありません。
成長期の食事では、「成長ホルモンを増やすアミノ酸」を探すよりも、必要なエネルギーと栄養を不足させないことを優先します。
十分なエネルギー
成長や日常生活、運動に必要なエネルギーを確保します。
たんぱく質
肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、さまざまな食品から摂ります。
炭水化物・脂質
成長期に必要なエネルギー源です。「GHを増やすため」といって極端に減らす必要はありません。
ビタミン・ミネラル
特定の成分だけではなく、さまざまな食品を組み合わせて摂ります。
「アルギニン+ビタミンB6でGHを増やす」と考える必要はありません
旧記事ではビタミンB6を一緒に摂ることでアルギニンの効果が高まり、成長ホルモン分泌を促せるような説明をしていましたが、身長を伸ばすための組み合わせとして勧められる根拠はありません。
身長を伸ばす目的だけで、健康な子どもにアミノ酸サプリメントを自己判断で追加する必要はありません。
「アルギニンが足りない」「グルタミンを増やした方がいい」と考えてサプリメントを追加する前に、普段の食事全体を確認しましょう。
また、日本小児内分泌学会は、成長をうたうサプリメントについて安全性が十分に検証されていないものがある点にも注意を促しています。
「サプリを飲んでいるから成長対策は十分」でもありません
身長の伸びが気になる場合は、サプリメントの種類ではなく、実際にどのような成長経過をたどっているかを確認することが重要です。
「成長ホルモンが足りないのでは?」「アミノ酸を増やした方がいい?」と心配な場合は、まず実際のお子様の成長経過を確認します。
現在の身長
年齢・性別に対してどの位置にいるか確認します。
一定期間の成長速度
半年〜1年間などで、どの程度身長が伸びているか確認します。
成長曲線の推移
過去の記録をつなぎ、その子自身の成長軌道から継続して下方向へずれていないか確認します。
1年間の身長の伸びについて詳しく知りたい方は、 子どもの身長は1年で何cm伸びれば正常?小学生・中学生の成長速度と受診目安 をご覧ください。
成長ホルモン不足が心配な場合は、サプリで判断しない
成長曲線が継続して下がる、以前より身長の伸びが明らかに低下しているなどの場合は、「アミノ酸が足りない」と自己判断せず、小児科・小児内分泌科などで医学的な評価をご検討ください。
特定のアミノ酸をどのくらい摂っているかだけでは、お子様がこの先あと何cm伸びるのかを判断することはできません。
身長の伸び方がおかしい・病気が心配
小児科・小児内分泌科などで、低身長や成長ホルモン分泌不全症を含む原因について医学的な評価を受けることが適しています。
「大人になったら何cmくらい?」という目安を知りたい
これまでの成長記録や骨の成熟状態などから、将来身長の目安を予測する方法があります。
SBC整形外科クリニックでは、6歳(小学1年生)〜18歳のお子様を対象に、身長予測シミュレーションを行っています。
これまでの成長記録、現在の身長、ご両親の身長、手のレントゲンで確認する骨の成熟状態などを参考に、将来身長の目安を予測します。
対象年齢
6歳(小学1年生)〜18歳
料金
15,270円(税込)
想定所要時間
約30分
予約
完全予約制
「何を食べればGHが増える?」より、お子様自身の成長を確認したい方へ
成長記録や骨の成熟状態などから将来身長の目安を確認したい方は、身長予測シミュレーションをご検討ください。
※6歳〜18歳はSBC整形外科クリニックの身長予測シミュレーションの対象年齢です。医学的な低身長評価に共通する年齢基準ではありません。身長予測は成人時の身長を保証するものではなく、病的低身長の確定診断を目的とする検査とも異なります。
特定のアミノ酸を食品や一般的なサプリメントとして摂ることで、健康な子どもの成長ホルモン分泌が持続的に増えるとは言えません。
現時点で、アルギニンサプリメントによって健康な子どもの成人時の最終身長が高くなることを示す十分な根拠はありません。
グルタミンを追加摂取することで健康な子どもの成長ホルモン分泌や最終身長を高められる方法は確立されていません。
子どもの身長を伸ばす目的で、両者を組み合わせることで相乗効果が得られるとする十分な根拠はありません。
特定の食品だけで成長ホルモンを増やし、最終身長を高くできるとは言えません。年齢や活動量に合ったエネルギーと栄養を摂れる食事全体を整えることが基本です。
アミノ酸は身体をつくるために必要な栄養成分
必要な材料であることと、多く摂ればGHが増えることは別
アルギニン負荷試験と経口サプリメントは量・投与経路・目的が異なる
グルタミン・オルニチンなどを追加して最終身長を高くする方法も確立されていない
栄養不足があれば改善は重要だが、必要量を超えて追加すればさらに背が伸びるわけではない
身長が気になる場合はアミノ酸の種類より成長曲線・成長速度を確認する
日本小児内分泌学会「『身長を伸ばす効果がある』と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」