「着て寝るだけで疲労が取れる」「翌朝の身体が軽い」「血行がよくなって肩こりにもよさそう」――近年、いわゆる「リカバリーウェア」が注目されています。
中には「一般医療機器」と表示されている製品もあり、「医療機器なら効果は証明済み?」「普通のパジャマと何が違う?」「睡眠の質まで上がる?」と気になる方も多いでしょう。
整形外科医から先に結論
「リカバリーウェア」という名称だけでは、医学的にどのような効果が期待できる製品なのかは判断できません。
一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届け出られている製品では、遠赤外線による血行促進を通じた疲労の回復・改善、筋肉のこり改善、筋肉の疲れ軽減などが使用目的・効果として設定されています。
ただし、一般医療機器=国やPMDAが個々の商品について臨床効果を審査し、承認したという意味ではありません。
また、睡眠改善、腰痛治療、筋肉痛の治療、運動能力向上などまで、一般医療機器として認められているわけではありません。
整形外科を受診した方がいい?
「疲れが取れるか知りたい」だけ
→ それだけを理由に整形外科を受診する必要はありません。
肩・首・腰・関節の痛み、しびれ、筋力低下が続いている
→ ウェアとは別に、運動器の状態を整形外科で確認できます。
この記事でわかること
「リカバリーウェア」は、すべて同じ法律上のカテゴリーに分類される正式な医療用語ではありません。
休息時・睡眠時に着用する衣類が幅広く「リカバリーウェア」と呼ばれており、製品の位置づけはさまざまです。
「リカバリーウェア」という商品カテゴリー名だけでは判断できません
一般医療機器であれば、商品表示に「一般医療機器」「家庭用遠赤外線血行促進用衣」「医療機器製造販売届出番号」などが記載されているかを確認します。
ここは、リカバリーウェアについて最も誤解されやすい部分の一つです。
家庭用遠赤外線血行促進用衣は、医療機器の中では一般医療機器(クラスⅠ)に分類されます。
一般医療機器は、製造販売にあたってPMDAへ製造販売届を提出する仕組みです。
PMDAは、提出された一般医療機器の届書について個別の審査は行わないと説明しています。
そういう意味でもありません。
厚生労働省の「家庭用遠赤外線血行促進用衣」に関するQ&Aでは、製造販売届を提出する前に自主基準に沿った評価を行うことが求められています。
定められた方法による血流量の評価試験などを行い、そのデータを踏まえて、疲労や筋肉のこりへの効果について専門家による評価を行うことが示されています。
一言で整理すると
「国が個別製品の臨床効果を審査して承認した」ではない。
一方で、「医学的な評価基準が何もない普通の衣類と同じ」でもない。
一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」は、遠赤外線による血行促進作用を利用し、疲労や筋肉のこりなどの改善を目的とする衣類です。
厚生労働省のQ&Aで例示されている使用目的・効果には、次のようなものがあります。
「疲労回復」という言葉だけを見ると、睡眠不足、仕事疲れ、スポーツ後の筋肉痛、慢性的な倦怠感など、幅広い不調すべてに効果があるように感じるかもしれません。
しかし、家庭用遠赤外線血行促進用衣として表示できる効果の範囲は限定されています。
家庭用遠赤外線血行促進用衣として標ぼうできないもの
したがって、「一般医療機器だから腰痛にも効く」「着ればスポーツのパフォーマンスが上がる」と解釈することは適切ではありません。
リカバリーウェアは睡眠時に使用する商品も多いため、「よく眠れた」「翌朝すっきりした」という体験談を見かけることがあります。
ただし、睡眠改善は、家庭用遠赤外線血行促進用衣として認められている使用目的・効果とは別です。
2023年には、睡眠の質が低い成人40人を対象として、遠赤外線を放射するパジャマと偽装パジャマを比較した無作為化試験が報告されています。
6週間の評価では両群で睡眠の質が改善しましたが、主要評価項目について、遠赤外線パジャマが偽装パジャマより睡眠の質を有意に改善したとは確認されませんでした。
身体的疲労についても遠赤外線群でよい傾向がみられましたが、群間差は統計学的に有意ではなく、研究者もさらなる検証が必要としています。
「着て寝るとよく眠れる」と感じること自体は否定できません
着心地、保温性、室温、寝具との相性、期待、その日の疲労状態などによって睡眠の感じ方は変わります。ただし、その体験だけから「リカバリーウェアに睡眠治療効果がある」と判断することはできません。
寝つけない、夜中に何度も目が覚める、十分な睡眠時間を確保しても強い眠気・疲労感が続く場合は、衣類だけで対処を続けず、かかりつけ医や睡眠を扱う医療機関へご相談ください。
家庭用遠赤外線血行促進用衣では、「疲労の回復・改善」「筋肉の疲れ軽減」などが使用目的・効果として設定される場合があります。
一方、それは、
という意味ではありません。
リカバリーウェアを使うことと、睡眠・栄養・適切なトレーニング量・治療やリハビリテーションを置き換えることは分けて考えましょう。
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家庭用遠赤外線血行促進用衣では、「筋肉のこり改善」が使用目的・効果として設定される場合があります。
そのため、首や肩の張りが楽になったと感じる方がいること自体は不自然ではありません。
ただし、肩こり・首痛・腰痛のように感じる症状が、すべて筋肉のこりだけで起きているわけではありません。
肩こりが何度も繰り返す方は、肩こりの原因・整形外科で確認するポイントもご覧ください。
整形外科が確認するのは「リカバリーウェアが効くか」ではありません
骨・関節・筋肉・腱・靱帯・神経などに症状の原因がないかを確認します。「肩こりなのか、首の病気なのか分からない」という段階から相談できます。
首から腕・手まで痛みやしびれがある方は、首が痛い原因・病院へ行く目安も参考になります。
どの診療科へ相談するか迷っている場合は、一般整形外科で相談できる症状をご確認ください。
診察では、症状が出た時期、痛む場所、首・肩・腰・関節の動き、筋力、感覚、神経症状などを確認します。
症状や診察所見に応じて、X線検査などを検討します。すべての肩こり・腰痛・疲労感で画像検査が必要というわけではありません。
MRI・CTなどさらに詳しい画像評価が必要と判断された場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
痛み・しびれ・動かしにくさを繰り返している方へ
リカバリーウェアを使用するかどうかとは別に、首・肩・腰・関節の痛み、手足のしびれ、明らかな筋力低下などが続く場合は、整形外科で運動器の状態を確認できます。
SBC整形外科クリニックでは、西新宿本院・横浜駅前院で一般整形外科の保険診療を行っています。
受診できるクリニックを確認する「リカバリーウェア」という名称だけでは判断できません。一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届け出られている製品では、遠赤外線による血行促進、疲労の回復・改善、筋肉のこり改善、筋肉の疲れ軽減などが使用目的・効果として設定されています。
一般医療機器はPMDAへの届出制度で、PMDAが個々の商品について有効性を審査し承認する制度ではありません。一方、家庭用遠赤外線血行促進用衣では、自主基準に沿った評価試験や専門家による評価が求められています。
睡眠改善は、家庭用遠赤外線血行促進用衣として認められている使用目的・効果とは別です。小規模な無作為化試験では、遠赤外線パジャマが偽装パジャマより主要評価項目の睡眠の質を有意に改善したとは確認されませんでした。
一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」の効果として、腰痛改善を標ぼうすることは認められていません。腰痛が続く、脚のしびれや筋力低下などを伴う場合は、ウェアだけで対処せず医療機関へご相談ください。
一般医療機器では「疲労の回復・改善」「筋肉の疲れ軽減」などが使用目的・効果として設定される場合があります。ただし、けがの治癒促進、筋肉痛治療、運動効率や競技力の向上を意味するものではありません。
使用方法・注意事項は製品によって異なります。一般医療機器かどうかにかかわらず、各製品の表示・添付文書を確認してください。皮膚に異常が生じた場合などは使用を中止し、必要に応じて医療機関へご相談ください。
リカバリーウェアの中には、一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届け出られている製品があります。
その場合、遠赤外線による血行促進を通じた疲労の回復・改善、筋肉のこり改善、筋肉の疲れ軽減などを目的としています。
「着ると楽だから大丈夫」と症状を放置せず、首・肩・腰・関節の痛みや神経症状が続く場合は、運動器の状態を確認することが重要です。
首・肩・腰・関節の痛み、しびれ、けががある方へ
肩こりを何度も繰り返す、腕・手のしびれがある方へ
首痛や腕・手のしびれを伴う方へ
けが・病気による身体機能低下のリハビリについて
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
院長 沼倉 裕堅 医師
首・肩・腰・関節の痛み、手足のしびれ、スポーツによるけがなどを一般整形外科でご相談いただけます。
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※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定のリカバリーウェア・衣類製品の有効性を個別に評価・推奨するものではありません。一般医療機器であっても製品ごとに原材料、加工方法、使用方法、届出内容等が異なります。実際に使用する場合は各製品の表示・添付文書をご確認ください。痛み・しびれ・筋力低下などが続く場合は衣類だけで対処せず、医療機関へご相談ください。診療時間・受付時間には臨時変更が生じる場合があるため、受診前に公式ページまたは予約画面で最新情報をご確認ください。