「椅子では平気なのに、あぐらをかくと膝が痛い」「床に座ると膝の内側や外側、お皿の周りが痛くなる」と気になっていませんか。
あぐらでは、膝を曲げた状態で股関節を外側へ開き、普段の椅子座位とは異なる脚の位置になります。そのため、歩いているだけでは気にならない膝の症状が、床に座ったときに目立つことがあります。
先に結論
「あぐらで膝が痛い」という症状だけでは、半月板損傷など特定の病気は決まりません。
内側・外側の痛みに引っかかりや腫れを伴う場合は半月板など、立ち上がり・歩き始め・階段でも痛む場合は変形性膝関節症など、お皿周辺が痛み、階段やスクワット、膝を曲げた姿勢でも痛む場合は膝蓋大腿部などを確認します。
痛む場所から近いものを確認
※痛む場所は原因を考える手掛かりですが、位置だけで病名を自己判断することはできません。
あぐらでは、膝を曲げた状態で股関節を外側へ開きます。
ただし、膝の曲がる角度や脚の開き方は、股関節の動かしやすさ、体格、座る位置などによって人それぞれです。
そのため、「あぐらそのものが膝を傷める」「あぐらでは必ず膝への負担が大きい」とは一概にいえません。
原因を考えるうえでは、あぐらのときだけ痛むのか、それともしゃがみ込み・階段・立ち上がり・方向転換などでも同じ場所に症状が出るのかが重要です。
「あぐらで痛い=身体が硬い」とは限りません
股関節の動かしやすさによってあぐらの取りやすさは変わりますが、柔軟性不足だけで膝痛の原因を説明することはできません。膝関節内や周囲の組織も症状に応じて確認します。
あぐらで膝の内側が痛む場合でも、内側半月板だけが原因とは限りません。
膝の内側には半月板や関節軟骨のほか、関節周囲に腱や滑液包など複数の組織があります。
半月板など関節内部について確認する手掛かりには、
内側が痛むだけでは半月板損傷とは判断できません
半月板損傷では曲げ伸ばし時の痛み、引っかかり、腫れなどがみられることがありますが、「あぐらで内側が痛い」という症状だけでは診断できません。
一方、あぐらだけでなく、立ち上がり・歩き始め・階段でも痛む、膝全体が腫れる、以前より動かしにくい場合には、変形性膝関節症などを含めて膝関節全体を確認します。
また、痛む位置が関節のすき間より少し下にある場合などは、膝内側の腱・滑液包など関節外の軟部組織が関係することもあります。
あぐらで膝の外側が痛む場合も、外側半月板だけに原因を絞ることはできません。
関節内部について確認する手掛かりには、
などがあります。
一方、膝外側には腸脛靱帯などの軟部組織もあります。腸脛靱帯炎はランニングなど、膝の曲げ伸ばしを繰り返す運動で外側痛が出ることが多い病態です。
「あぐらのときだけ外側が痛む」という症状だけで、腸脛靱帯炎や外側半月板損傷とは判断できません。ランニング・長時間歩行・階段などでも同じ場所が痛むかを確認します。
痛みの中心がお皿の周囲や奥など前側にある場合には、膝蓋大腿部などを確認します。
膝蓋大腿部痛では、お皿の周囲・奥に痛みを感じ、階段、スクワット、ランニングなどの荷重動作に加えて、膝を曲げた姿勢を長く続けたときにも症状が出ることがあります。
たとえば、
といった症状が手掛かりになります。
膝の前側が痛む原因は膝蓋大腿部痛だけではありません。膝蓋腱や変形性膝関節症など、ほかの原因も含めて評価します。
内側・外側・前側の一点ではなく、膝全体がこわばる、深く膝を曲げる姿勢自体がつらい場合には、膝関節全体の状態を確認します。
変形性膝関節症では、初期には立ち上がり・歩き始めなどで痛みが出ることがあり、状態が進むと正座や階段などが難しくなり、可動域にも影響することがあります。
ただし、年齢や「あぐらがつらい」という症状だけで変形性膝関節症とは判断できません。
「あぐらで痛い」という情報だけでなく、ほかの動作でも同じ症状が出るかを確認すると、原因を考える手掛かりが増えます。
一度だけ軽く痛み、その後明らかに改善している場合には、痛みを強く誘発する姿勢を避けて経過をみる方法があります。
あぐらで膝が床から浮く場合でも、膝を手で強く押して床へ近づける必要はありません。
痛みを確認するために何度もあぐらを繰り返さない
どこまで脚を開けば痛むかを調べるために、痛みが出る姿勢を何度も繰り返す必要はありません。あぐら以外のどの動作で、膝のどこが痛むかを把握しておけば診察の参考になります。
床に座る必要がある場合には、痛みを強く誘発しない範囲で座り方を変える、座布団などで座面を高くする、椅子を利用するといった方法で症状が出る姿勢を避けることもできます。
一方、すべての膝痛で長期間動かさない方がよいわけではありません。運動療法が適する状態もあるため、繰り返す場合は原因を確認してから運動内容を検討します。
一度だけ軽く痛み、その後改善し、普段の歩行・階段・膝の曲げ伸ばしに支障がない場合には、痛みを誘発する姿勢を避けながら経過をみられることがあります。
一方、次のような場合は整形外科で現在の膝の状態を確認することをご検討ください。
姿勢を変えた瞬間に強い痛みが出て、その後膝が大きく腫れた、ある位置で引っかかって動かないといった場合には、通常の慢性的な膝痛とは分けて考えます。
速やかな医療評価を考えたい症状
あぐらのときだけでも、繰り返す膝痛は相談できます
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、膝の痛みを一般整形外科の保険診療で診察しています。
「半月板なのか、変形性膝関節症なのか分からない」という段階で病名を決める必要はありません。痛む場所、あぐら以外で症状が出る動作、腫れ・引っかかり・可動域などを確認し、診察結果に応じて必要な検査・治療を検討します。
診察では、痛みを確認するために何度も無理なあぐらをとる必要はありません。
膝の内側・外側・お皿周辺など、痛みの中心を確認します。
関節のすき間に沿って痛むのか、その少し上下にある腱などの周囲が痛むのかといった位置も原因を考える手掛かりになります。
膝を最後まで曲げ伸ばしできるか、関節液がたまっていないか、特定の場所に圧痛がないか、引っかかりがないかなどを症状に応じて確認します。
あぐらでは股関節の位置も変わるため、必要に応じて股関節の動きなどを確認する場合があります。
変形性膝関節症など、骨や関節の状態を確認する必要がある場合には、診察結果に応じてX線検査を検討します。
半月板などの軟部組織は、通常のX線では直接詳しく確認できません。X線で大きな異常がみられなくても、症状や診察所見に応じて追加の検査が必要かを判断します。
関節液の貯留や比較的表層にある腱・滑液包などを確認する必要がある場合には、超音波(エコー)検査を検討することがあります。
半月板など膝関節内部についてさらに詳しい画像評価が必要と医師が判断した場合には、MRIなどを検討します。
院内で対応できない検査が必要な場合には、診察結果に応じて対応可能な医療機関への紹介を検討します。
「あぐらで痛いから股関節を柔らかくする」「膝を強くストレッチする」と一律に治療するわけではありません。
原因や症状の程度に応じて、痛みを誘発する姿勢・活動量の調整、薬物療法などを検討します。
リハビリテーションの適応がある場合には、膝の可動域や筋力だけでなく、股関節・足関節の動き、立ち上がりや歩行などを症状に応じて確認しながら進めます。
一方、すべての膝痛にリハビリテーションが必要なわけではありません。診察結果に応じて必要な治療を検討します。
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内側半月板が症状に関係する場合はありますが、内側痛だけでは診断できません。変形性膝関節症や膝内側の腱・滑液包などでも痛みが出ることがあります。引っかかり、腫れ、可動域、ほかの動作での症状を合わせて評価します。
外側半月板など関節内部のほか、膝外側の軟部組織など複数の原因があります。ランニングでも外側が痛むのか、曲げ伸ばしで引っかかるのかなどを合わせて確認します。
膝蓋大腿部痛では、お皿周辺・奥の痛みがあり、階段、スクワット、ランニング、膝を曲げた姿勢を続けた場合などに症状が出ることがあります。ただし、前側の膝痛を起こす原因はほかにもあるため、症状だけでは診断できません。
股関節の動かしやすさによってあぐらの取りやすさは変わりますが、「身体が硬い」ということだけで膝痛の原因を説明することはできません。繰り返す場合は膝そのものの状態も確認します。
痛みがある状態で膝を手で強く床へ押し込む必要はありません。可動域訓練が適している状態はありますが、痛みの原因に応じて方法を選ぶ必要があります。
歩けることだけでは原因や受診の必要性は判断できません。あぐらのたびに痛む、悪化している、階段や立ち上がりにも症状が広がった、腫れ・引っかかり・可動域制限がある場合などは整形外科への相談をご検討ください。
「内側だから半月板」「身体が硬いから痛い」と決めつけず、あぐら以外のどの動作でも同じ症状が出るのかを整理することが重要です。
SBCメディカルグループ 整形外科エリア統括
SBC整形外科クリニック 西新宿本院 院長
沼倉 裕堅 医師
所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本四肢再建・創外固定学会
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。「あぐらをかくと膝が痛い」という症状だけで特定の疾患を診断することはできません。必要な検査・治療は症状、経過、診察所見などに応じて医師が判断します。