「膝の裏だけがぷくっと膨らんでいる」「膝全体は腫れていないのに、裏側だけ張っている」「膝を曲げると裏が窮屈に感じる」。
このような膝裏の局所的なふくらみでは、ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)などを確認します。
先に結論
膝の裏に限局したふくらみ・張りがある場合は、ベーカー嚢腫を考える手がかりになります。
成人では、変形性膝関節症や半月板の病変などによって膝関節内の関節液が増え、その影響で膝裏の滑液包が膨らんでいることがあります。
ふくらはぎまで急に腫れた場合は別です
ベーカー嚢腫が破裂すると、膝裏からふくらはぎへ急な痛み・腫れが広がることがあります。しかし、深部静脈血栓症(DVT)でも似た症状が出ます。急な片脚の腫れ・痛み・熱感がある場合は、自己判断せず速やかな医療評価が必要です。
膝の裏だけがぷくっと膨らんでいる
→ ベーカー嚢腫などを確認します
お皿の周囲や上側まで膝全体が張っている
→ 膝関節内の関節水腫などを確認します
膝裏からふくらはぎまで急に痛く腫れた
→ ベーカー嚢腫の破裂だけでなく、DVTなどの除外が必要です
「膝に水がたまった状態とは何が違う?」という方は、 膝全体が腫れる場合との違いを先に確認する →
この記事で分かること
ベーカー嚢腫は、膝の後ろにある滑液包が関節液によって拡張し、膝裏のふくらみとして現れる状態です。「膝窩嚢腫」とも呼ばれます。
典型的には、膝の後ろの内側寄りにある半膜様筋と腓腹筋内側頭の間に形成されます。
成人では膝関節と交通していることが多く、関節内で増えた関節液が膝裏側へ流れ込み、滑液包が大きくなることがあります。
大切なのは「膝裏の袋」だけを見ないこと
成人では、変形性膝関節症や半月板病変など、膝関節内の問題が背景にあることがあります。ベーカー嚢腫そのものだけではなく、なぜ関節液が増えているのかも確認します。
ベーカー嚢腫があっても、痛みがほとんどなく、膝裏のふくらみに偶然気付くだけの場合もあります。
症状がある場合には、
などがみられることがあります。
膝を伸ばすと張って硬く感じ、曲げると目立ちにくくなる場合もあります。ただし、触った感触や見た目だけでベーカー嚢腫と確定することはできません。
ベーカー嚢腫と膝関節水腫では、目立つ腫れの場所が異なります。
膝裏だけに局所的なふくらみがある
膝の後ろに限局したふくらみがある場合は、ベーカー嚢腫などを確認します。前から見ただけでは膝の腫れが目立たないこともあります。
お皿の周囲・上側を含めて膝全体が張る
膝関節内に関節液が増えた関節水腫では、膝蓋骨の周囲や上側まで腫れ、膝全体が張ったように感じることがあります。
ただし、ベーカー嚢腫と関節水腫は同時に起こることがあります。
膝関節内の炎症で関節液が増え、その一部が膝裏側へ流れてベーカー嚢腫を形成することがあるためです。
膝全体が腫れて「水がたまっている」と感じる方は、 膝関節水腫とは?水が溜まる原因や治療法 をご覧ください。
成人のベーカー嚢腫では、膝関節内で炎症や損傷が起こり、関節液が増えていることがあります。
変形性膝関節症では、関節内の炎症に伴って関節液が増え、ベーカー嚢腫を形成することがあります。
立ち上がり・歩き始め・階段での膝痛、膝全体の腫れ、曲げ伸ばしのしにくさなどがある場合は、膝裏だけでなく関節全体を確認します。
半月板の損傷や加齢に伴う変性など、膝関節内部の病変にベーカー嚢腫を伴う場合があります。
膝をひねると痛い、曲げ伸ばしで引っかかる、ロッキングするなどの症状がある場合は、半月板も含めて評価します。
膝関節内に炎症を起こす病気に伴って、関節液が増え、ベーカー嚢腫を形成することがあります。膝以外の関節にも腫れ・痛みがある場合は診察時に医師へお伝えください。
子どものベーカー嚢腫は、成人とは背景が異なる場合があります。
成人で多い変形性膝関節症などとの関連を、そのまま小児へ当てはめることはできません。年齢・症状に応じて評価します。
膝裏には血管・神経・筋肉・腱などが集まっています。膝裏のしこり・ふくらみを見た目だけでベーカー嚢腫と判断することはできません。
ベーカー嚢腫が破裂すると、内部の液体がふくらはぎ側へ広がり、急な膝裏〜ふくらはぎの痛みや腫れが起こることがあります。
ただし、この症状はDVTと似ているため、症状だけで「嚢腫が破裂した」と判断することはできません。
脚の深い静脈に血栓ができるDVTでも、片脚の腫れ・痛み・熱感などが生じます。
ベーカー嚢腫の破裂と症状が似る場合があり、必要に応じて静脈を評価する超音波検査などで確認します。
「ベーカー嚢腫が見つかった=血栓ではない」ではありません
膝裏にベーカー嚢腫が確認できても、DVTを自動的に除外できるわけではありません。急な片脚の腫れやふくらはぎ痛がある場合は、血栓症について適切に評価する必要があります。
膝裏には膝窩動脈が通っており、まれに血管の病気が膝裏のふくらみとして感じられることがあります。
脈打つように感じる、足先が冷たい・色がおかしいなどの症状がある場合は、強く押したり揉んだりせず医療機関へご相談ください。
ガングリオンなどの嚢胞性病変や、そのほかの軟部組織の腫瘤が膝裏にできることもあります。
硬い、徐々に大きくなる、短期間で目立って増大したなどの場合は、ベーカー嚢腫と決めつけず画像検査などで確認します。
小さなベーカー嚢腫では、痛みがほとんどなく経過観察になる場合もあります。
一方、次のような場合は整形外科への相談を検討してください。
通常の整形外科予約ではなく、速やかな医療評価を優先したい症状
DVT、肺血栓塞栓症、血管障害などを除外する必要があります。特に突然の息苦しさや胸痛がある場合は救急対応を優先してください。
「膝全体ではなく、裏だけが膨らんでいる」という方へ
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院では、膝裏のふくらみ・膝の腫れ・痛みを一般整形外科の保険診療でご相談いただけます。
ふくらみの場所・性状、膝関節全体の腫れ、曲げ伸ばし、痛みなどを確認し、必要に応じてレントゲンやエコーなどの検査を医師が判断します。
西新宿本院|整形外科保険診療を予約する 横浜駅前院|整形外科保険診療を予約する※「ベーカー嚢腫か分からない」という段階からご相談いただけます。急な片脚の腫れ・強いふくらはぎ痛・胸痛・呼吸困難などがある場合は、通常の外来予約を待たず適切な医療機関へご相談ください。
診察では、膝裏のふくらみそのものだけでなく、背景にある膝関節の状態を合わせて確認します。
すべての方に最初からMRIや穿刺を行うわけではありません。
ふくらみの位置、大きさ、硬さ、圧痛などを確認します。
膝を伸ばした場合と曲げた場合で、張り方や触れ方が変化するかも診断の参考になることがあります。
ベーカー嚢腫の背景に変形性膝関節症や半月板病変などがある場合があります。
そのため、膝の曲げ伸ばし、関節水腫、関節裂隙の圧痛、引っかかりなども必要に応じて確認します。
超音波(エコー)検査は、膝裏のふくらみが液体を含む嚢胞性病変か、固形の病変かを考える際に役立ちます。
ベーカー嚢腫の位置や大きさ、周囲の軟部組織などを確認する目的で使用することがあります。
エコーについて詳しく知りたい方は、 整形外科のエコー検査とは?何がわかる?レントゲン・MRIとの違い をご覧ください。
DVTを疑う場合のエコーは目的が異なります
膝裏の嚢腫を確認する筋骨格系のエコーと、DVTを除外するために脚の静脈を評価する超音波検査は目的が異なります。急な片脚腫脹などDVTが疑われる場合は、静脈血栓を適切に評価できる医療機関での検査が必要です。
通常のレントゲンで、ベーカー嚢腫そのものを詳しく確認することはできません。
変形性膝関節症など、背景となる骨・関節の変化を確認する必要がある場合にレントゲン検査を行います。
半月板など膝関節内部を詳しく評価する必要がある場合や、診察・エコーだけではふくらみの性質を十分に判断できない場合には、MRIなどの追加検査を検討します。
短期間で大きくなる、硬いなど、一般的なベーカー嚢腫とは異なる所見がある場合にも追加検査が必要になることがあります。
SBC整形外科クリニック西新宿本院・横浜駅前院には院内MRI・CTはありません。より詳しい画像検査や専門的な血管評価などが必要と判断された場合は、対応可能な医療機関への紹介を検討します。
治療の必要性は、ふくらみの大きさだけではなく、痛み・張り・可動域制限などの症状や、背景にある膝関節疾患によって判断します。
ベーカー嚢腫と診断されても、症状がほとんどない場合には、嚢腫そのものへ積極的な治療を行わず経過観察することがあります。
状態に応じて、
などを検討します。
症状や嚢腫の状態によっては、穿刺・吸引などが検討される場合があります。
ただし、一度小さくなっても、膝関節内で関節液が増える原因が残っていれば再びたまることがあります。
成人では「なぜベーカー嚢腫ができたか」が重要
変形性膝関節症や半月板病変などがある場合は、膝裏の嚢腫だけを繰り返し処置するのではなく、背景にある膝関節の状態まで含めて治療方針を考えます。
保存的治療でも強い症状が続く場合や、神経・血管への圧迫など特別な状況では、専門的な治療が検討されます。ただし、ベーカー嚢腫があるという理由だけで最初から手術を行うわけではありません。
痛みのないベーカー嚢腫では経過観察になる場合もあります。ただし、膝裏のふくらみがすべてベーカー嚢腫とは限りません。初めて気付いたしこりや、徐々に大きくなっている場合は一度原因を確認してください。
同じ場所に液体がたまっているわけではありません。膝関節水腫では関節内に関節液が増えます。一方、ベーカー嚢腫では膝裏の滑液包が拡張します。ただし、関節内で増えた関節液と関連してベーカー嚢腫が形成されることがあります。
ベーカー嚢腫は関節液を含む嚢胞性病変で、癌そのものではありません。ただし、膝裏にはほかの腫瘤ができることもあるため、見た目だけでベーカー嚢腫と判断することはできません。
穿刺・吸引によって一時的に小さくなる場合はありますが、膝関節内の原因が残っていれば再びたまることがあります。また、すべてのベーカー嚢腫で穿刺が必要なわけではありません。
ベーカー嚢腫の破裂でも起こりますが、DVTなどでも似た症状が出ます。症状だけでは区別できない場合があるため、急な片脚の腫れ・ふくらはぎ痛・熱感がある場合は速やかに医療機関へご相談ください。
「膝の裏だけがぷくっと膨らんでいる」という場所の情報は、原因を考える重要な手がかりです。ただし、ふくらみだけを見て判断するのではなく、膝関節内部に炎症や損傷がないかまで確認することが重要です。
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参考情報
膝裏のふくらみや膝の腫れが気になる方は、SBC整形外科クリニックの一般整形外科へご相談ください。