変形性膝関節症グレード3の手術を避ける選択肢。再生医療という手 | SBC整形外科クリニック

変形性膝関節症グレード3の手術を避ける選択肢。再生医療という手

この記事の要約

  • 保険診療のヒアルロン酸注射が効かないグレード3以上の膝の痛みには、手術以外の選択肢があります。
  • 長期の入院や仕事を休めない方にとって、ご自身の治癒力を活用する「再生医療(PRP療法等)」は有力な治療法です。
  • 「膝の水を抜くと癖になる」は誤解であり、根本原因である強い関節内の炎症を抑え込むことが重要です。
  • SBC整形外科クリニックでは、専門の医師が患者様のライフスタイルに合わせた治療計画をご提案します。

変形性膝関節症の進行により、痛みで日常生活に支障をきたし、医師から「そろそろ手術も視野に入れましょう」と言われている方も多いのではないでしょうか。
特に仕事や家庭の事情で長期間の入院やリハビリの時間を確保できない場合、手術という選択には強い心理的ハードルが伴います。

また、「ヒアルロン酸注射を繰り返しているがすぐに痛みが戻る」「膝の水を抜くと癖になるのではないかと不安だ」と、現在の保存療法に限界を感じている方も少なくありません。
この記事では、変形性膝関節症(KL分類グレード3以上)の病態を専門的な視点から紐解き、ヒアルロン酸注射が効かなくなる理由や、手術を避けたい場合の新たな選択肢である「再生医療(PRP療法など)」について詳しく解説します。

変形性膝関節症で手術を避けたい場合の結論

ヒアルロン酸注射などの保存療法で効果が薄く、かつ手術による長期休職を避けたいグレード3以上の方には、患者様ご自身の治癒力を活用する「再生医療」が有力な選択肢となります。

変形性膝関節症が進行し、軟骨の摩耗が進んだ状態(グレード3以上)では、従来のヒアルロン酸注射や鎮痛剤(NSAIDs等)を用いた対症療法だけでは痛みのコントロールが難しくなります。一般的には人工膝関節全置換術(TKA)や高位脛骨骨切り術(HTO)などの手術療法が適応となりますが、入院・リハビリ期間を含めると仕事への復帰には数週間から数ヶ月を要します。

近年、このような「保存療法の限界」と「手術への高いハードル」の間を埋める治療法として、PRP(多血小板血漿)療法などの再生医療が注目されています。ご自身の血液を採取し、修復を促す成分を濃縮して関節内に注入する治療であり、日帰りで施術が可能です。手術のように完全に元の状態に戻すものではありませんが、炎症を抑え、痛みを長期的に緩和し、手術の時期を遅らせる効果が期待できます。

医師と患者の診察風景

変形性膝関節症(グレード3〜4)の病態と進行

変形性膝関節症は、関節軟骨がすり減り、それに伴って関節内に炎症が起こる進行性の疾患です。医学的にはKL分類(Kellgren-Lawrence分類)を用いて進行度を0〜4の5段階で評価します。

進行度(グレード) 関節の状態
グレード1
(疑い)
わずかな骨棘(骨のトゲ)の形成が見られる。
グレード2
(初期)
明確な骨棘があるが、関節裂隙(骨と骨の隙間)の狭小化は軽度。
グレード3
(進行期)
関節裂隙の明確な狭小化、軟骨下骨の硬化、多数の骨棘が見られる。
グレード4
(末期)
関節裂隙がほぼ消失し、骨同士が直接ぶつかり合う状態。著しい骨変形を伴う。

変形性膝関節症の進行と軟骨のすり減り

グレード3以上になると、軟骨のクッション機能が著しく低下し、立ち上がりや階段の昇降だけでなく、安静時にも痛み(Resting pain)を感じるようになります。また、軟骨の削りカスが関節を包む滑膜を刺激し、過剰な関節液が分泌される「関節水腫(膝に水がたまる状態)」を頻発します。この段階は単なる老化ではなく、関節内の環境が「破壊と炎症の悪循環」に陥っているため、適切な医学的介入が不可避です。

ヒアルロン酸注射が効かなくなる理由

ヒアルロン酸注射は、初期から中期の変形性膝関節症において、関節の滑りを良くし痛みを和らげる標準的な保険診療です。しかし、グレード3以上に進行すると、「注射をしても数日で痛みが戻ってしまう」という声が多く聞かれます。これには明確な医学的理由があります。

【ヒアルロン酸が早期分解されるメカニズム】

進行した関節内では、マクロファージなどの炎症細胞が活性化し、炎症性サイトカインが大量に放出されています。この強い炎症環境下では、外部から注入されたヒアルロン酸は「ヒアルロニダーゼ」という酵素によって急速に分解されてしまいます。つまり、潤滑油を足しても関節内部で火事が起きていればすぐに蒸発してしまう状態であり、根本的な炎症を抑え込むアプローチが必要になります。

ヒアルロン酸が早期分解されるメカニズム

「膝の水を抜くと癖になる」は本当か?

専門の医師の解説

「水を抜くから癖になる」のではありません。「水がたまる原因(強い関節内の炎症)を放置しているから、何度でも水がたまる」のが医学的な事実です。

関節液(膝の水)は、正常な状態でも少量存在し、潤滑油の役割を果たしています。しかし、軟骨の摩耗が進み滑膜が炎症を起こすと、防御反応として関節液が過剰に分泌されます。水を抜く処置は、高まった関節の内圧を下げ、痛みを速やかに取り除くために非常に有効です。
ただし、水を抜いただけでは火元の火を消さずに煙だけを外に出しているのと同じです。水を抜いた後は、炎症そのものを鎮める治療へ速やかに移行することが重要です。

膝に水がたまる原因とメカニズム

注意すべき「レッドフラッグサイン」〜受診の目安〜

現在、定期的に整形外科に通院している方でも、以下のような症状の変化が見られた場合は、関節の破壊が進行しているサインです。治療方針の再評価が必要なタイミングと言えます。

こんな症状が出たら早めの専門的評価を

  • ヒアルロン酸注射の効果が短い: 以前は数週間持っていた効果が、数日しか持たなくなった。
  • 安静時痛・夜間痛の出現: 歩行時だけでなく、じっとしている時や夜寝ている時にもズキズキ痛む。
  • 可動域の著しい制限: 歩行時に膝が完全に伸びきらない、あるいは90度以上曲がらない。
  • 頻繁な関節水腫: 膝の水を抜いても、1〜2週間ですぐにパンパンに腫れてしまう。
  • ロッキング症状: 歩行中に関節に何かが挟まった感覚があり、急に膝が動かせなくなる。

特に夜間痛や頻繁な水腫は、関節内の炎症が非常に強い状態を示しています。これらを放置するとO脚変形などが急激に進行する恐れがあるため、MRIやレントゲンでの詳細な画像診断と治療の再考が急務です。

検査・診断・治療の選択肢(保存・手術・再生医療)

変形性膝関節症の治療は、大きく分けて以下の3つのアプローチがあり、状態とライフスタイルに応じて選択します。

1. 保存療法(保険適用の基本治療)

  • リハビリテーション: 大腿四頭筋の強化、可動域訓練。膝への負担を軽減する根幹の治療。
  • 薬物・注射療法: 鎮痛剤(NSAIDs)やヒアルロン酸注射。保険診療の範囲で行われます。
  • 装具療法: インソールやサポーターによる負担軽減。

2. 手術療法(根本的アプローチ)

グレード3〜4で保存療法が無効な場合の最終手段です。

  • 高位脛骨骨切り術(HTO): 骨を切ってO脚を矯正し負担を減らす手術。
  • 人工膝関節全置換術(TKA): 傷んだ関節を人工関節に置き換える手術。痛みの劇的改善が見込めますが、数週間の入院・リハビリが必要です。

3. 再生医療(第三の選択肢)

「手術は避けたい、休職期間を確保できない」という患者様へ提案される自費診療です。

  • PRP療法(多血小板血漿療法): ご自身の血液から修復成分を濃縮して注射し、炎症を強力に抑えます。
  • APS療法: PRPからさらに抗炎症成分を高濃度に抽出した次世代の治療法です。

治療法 保険適用 休薬・休職 特徴
ヒアルロン酸注射 適用あり 不要 進行期には効果が短い
人工関節置換術 適用あり 数週間〜数ヶ月 痛みの根本改善が可能
再生医療
(PRP療法等)
自費診療 不要(日帰り) 炎症を抑え手術を回避・延期

日帰りで完了するPRP療法の流れ

保険診療と自費診療(再生医療)の費用の考え方

ヒアルロン酸注射や手術(TKAなど)は健康保険が適用され、手術の場合は「高額療養費制度」を利用することで月ごとの自己負担上限額が定められます。一方で、再生医療(PRP療法やAPS療法)は現時点では国の健康保険が適用されない「自費診療(全額自己負担)」となります。

時間的コスト(休業損害)を含めた総合的な判断を

再生医療の費用は数万円〜数十万円と高額に感じられますが、選択の際には「休職による時間的コスト」も考慮する必要があります。手術を受けた場合、1〜2ヶ月程度の休職が必要になり、自営業の方などにとっては大きな機会損失となります。日帰りで治療でき、すぐに仕事に復帰できる再生医療は、休業損害を回避できるという点で、結果的に生活全体のコストバランスに優れていると判断されるケースも多くあります。

SBC整形外科クリニックで相談できること

SBC整形外科クリニックでは、患者様のライフスタイルやご希望に寄り添い、医学的根拠に基づいた適切な適応を判断します。

  • 再生医療の提供: 保険診療で効果を感じられなくなった方へ、次のステップとしてPRP療法等をご提供。無理に手術を勧めることはしません。
  • 土日祝日も全日診療: 平日は仕事で休めない方のために、お休みの日にしっかりと診察・治療を受けていただける体制を整えています。
  • アクセス抜群: 西新宿駅から徒歩2分、新宿駅・都庁前駅からも徒歩7分の好立地です。
  • 幅広い診療領域: 保険診療から専門的な自費診療まで、変形性膝関節症に対する多様なアプローチを備え、患者様の状態に応じた治療体制を整えています。

再生医療に関する専門的な見解

変形性膝関節症と再生医療に関して、患者様からよく寄せられる疑問について、専門的な見地から解説します。

再生医療(PRP療法等)の効果持続期間について

個人差や関節の変形度合い(KL分類)にもよりますが、一般的には半年から1年、長い方では数年にわたり痛みの軽減効果が持続すると報告されています。ヒアルロン酸注射が数日から数週間で効果が切れてしまうのに対し、PRP療法は関節内の炎症そのものを鎮め、自己修復プロセスを促すため持続期間が長いのが特徴です。
ただし、効果を長持ちさせるためには、治療後に痛みが和らいだタイミングで適切なリハビリを併用することが極めて重要です。

治療に必要な休養期間(ダウンタイム)

再生医療の最大のメリットは、ダウンタイムの短さにあります。採血から投与まで当日に完了し、特別な入院や長期の休養は不要です。施術当日は激しい運動を控えていただきますが、翌日からは通常通りのデスクワーク等への復帰が可能です。立ち仕事や肉体労働の場合は、数日程度は膝への過度な負荷を避けることを推奨しています。

初診当日の治療実施について

安全かつ効果的な治療を行うため、初診時にはレントゲン等の検査と医師による詳細な診察・適応判断を必ず行います。感染症の有無や他の疾患の除外診断を行うため、実際の投与は別日になることが一般的です。初診日に治療のメリット・デメリット、費用についてご納得いただいた上でスケジュールを調整します。

まとめ

変形性膝関節症グレード3以上でヒアルロン酸注射が効かない場合でも、すぐに手術しかないと諦める必要はありません。

  • グレード3以上では関節内の強い炎症によりヒアルロン酸が早期分解される。
  • 膝の水を抜く処置は「癖になる」わけではなく、根本の炎症を抑える治療が必要。
  • 手術(人工関節など)は根本治療だが、長期の休職やリハビリが伴う。
  • 再生医療(自費診療)は日帰り可能で、手術を避けたい方・休めない方の有効な選択肢となる。

膝の痛みが長引き、現在の治療に限界を感じている方、手術を迷われている方は、決して自己判断で我慢せず、一度ご相談ください。
SBC整形外科クリニックでは、院長をはじめとする専門の医師が画像所見をもとに丁寧に評価し、フラットな視点で最適な治療計画をご提案いたします。膝の痛みから解放され、活動的な日々を取り戻すための第一歩をサポートいたします。

治療を終えて痛みなく歩くシニア

診療のご案内

SBC整形外科クリニック
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東京都新宿区西新宿7丁目-21-3 西新宿大京ビル7階
【電話番号】 0120-962-992
(電話受付時間 9:15~18:00)
【最寄り駅】 西新宿駅より徒歩2分
新宿駅より徒歩7分
都庁前駅より徒歩7分
【診療日】 土日祝日も全日診療

監修医師

沼倉 裕堅 院長

■ 経歴

2017年 Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
2018年 東北大学医学部医学科 卒業
湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
スカイ整形外科クリニック
2020年 いわき市医療センター整形外科
2021年 竹田綜合病院 整形外科
2022年 山形市立病院済生館 整形外科
いしがみ整形外科クリニック
整形外科クリニック西新宿本院
2025年 SBC整形外科クリニック 西新宿本院

■ 備考(所属学会)

日本整形外科学会
日本再生医療学会
日本四肢再建・創外固定学会
日本小児内分泌学会
日本成長学会

監修医情報

SBC整形外科クリニック
西新宿本院院長

沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
SBC整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック SBC整形外科クリニック 西新宿本院
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師
医師紹介
SBC整形外科クリニック 新宿本院
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura
【所属学会】
  • 日本整形外科学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本四肢再建・創外固定学会
【経歴】
  • 2017年
    Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
  • 2018年
    東北大学医学部医学科 卒業
  • -
    湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
  • -
    スカイ整形外科クリニック
  • 2020年
    いわき市医療センター 整形外科
  • 2021年
    竹田綜合病院 整形外科
  • 2022年
    山形市立病院済生館 整形外科
    いしがみ整形外科クリニック
    西新宿整形外科クリニック
  • 2025年
    SBC整形外科クリニック 西新宿本院