
突然のぎっくり腰、とても不安ですよね。特にお風呂好きな方なら、湯船で温めて腰をほぐしたいと思われるかもしれません。
ですが、痛めた初日やズキズキと鋭い痛みがあるときは、お風呂で温めると悪化してしまう危険があります。
また、お一人暮らしの方はお風呂場での転倒や、立ち上がれなくなるリスクにも十分に注意しなければなりません。
この記事では、ぎっくり腰になった時の正しい入浴のタイミングや、シャワーで済ませる際の注意点を解説します。
痛みを悪化させないためにも、ぜひ入浴を考える際に読んでみてください。
いわゆる【ぎっくり腰】とは、重いものを持ったり、急に姿勢を変えたりしたときに腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかってケガをしたような状態です。
しかし、起きた直後やくしゃみなど些細なことで起こることもあります。
下肢に痛みやしびれがあったり、力が入らないなどの症状があったりするときには椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの病気の可能性もあるので注意が必要です。
このような症状がある場合は、入浴を控えて早めに当院へご相談ください。
傷ついた部分は熱を持ち、「炎症」を起こしています。
一般的に、捻挫などの急性のケガをした直後から約48〜72時間(2〜3日)は、傷ついた組織を治そうとする「急性炎症」のピークにあたります。
また、日本整形外科学会でも、ぎっくり腰の発症直後は痛む動作を避け、安静にすることが推奨されています。
この炎症が起きている時に湯船に浸かり、体をしっかり温めてしまうと、血流が良くなりすぎて炎症がさらに広がり、ズキズキとした痛みが悪化してしまう危険があります。
そのため、発症から2~3日はお風呂などで温めるのではなく、楽な姿勢で安静を保つことが大切です。
ぎっくり腰の直後でも、「短時間のぬるめのシャワーであれば浴びても問題ない」と聞いたことがあるかもしれません。
確かに、湯船に浸からなければ体が芯まで温まらないため、血流が急激に良くなって炎症が急激に悪化するリスクは低くなります。
しかし、お一人暮らしの方の場合、痛みが強い時期のシャワーには別の大きな危険が潜んでいます。
お風呂場は床が濡れていて滑りやすいため、足元に力が入らない状態では転倒の危険性が非常に高くなります。
また、シャワー中、体を洗おうと少し前かがみになった瞬間に激痛が走り、その場から一歩も動けなくなってしまうケースなども少なくありません。
一人きりの状況で、浴室で身動きが取れなくなってしまうのは大変危険です。
少しでも「歩くのがつらい」「ふらつく」と感じる日は、無理にシャワーを浴びるのは避けましょう。

どうしてもサッパリしたい時は、「温かい蒸しタオル」を作って体を拭くのが一番安全な対処法です。
水で濡らして軽く絞ったタオルを、電子レンジ(500Wで1分ほど)で温めるだけで簡単に作れます。(※やけどには十分ご注意ください)
また、もしご家族などにお買い物を頼める環境であれば、ドラッグストア等で売っている大判の清拭シートや、
水を使わずに頭皮や髪のベタつき、汗、ニオイをリフレッシュできるドライシャンプーを買ってきてもらうのも非常におすすめです。
ぎっくり腰のように突然動けなくなってしまった時はもちろん、台風や地震などの災害時で水が使えない時にも大変役立ちます。
今回は蒸しタオルでしのいだとしても、今後の安心のために、防災グッズの一つとしてご自宅に備えておいてはいかがでしょうか。
発症から2〜3日が過ぎ、「そろそろお風呂に入っても大丈夫かしら?」と迷ったときは、ご自身の痛みがどう変化したかを感じてみてください。
横になってじっとしている時の「ズキズキ」「ジンジン」とした痛みが引いてきたら、急性期の強い炎症が治まってきたサインです。
「ズーンと重だるい感じがする」「動かしたときだけ痛む」という状態に変わってきたら、急性炎症が治まり、筋肉が緊張して固まっているサインです。いよいよ湯船で温めても大丈夫な目安になります。
痛みが落ち着いてきたこの時期からは、逆にしっかり温めて血流を良くしてあげることで、ガチガチに固まった腰の筋肉がほぐれ、痛みの原因となっている疲労物質が流されて回復が早まります。
もし「まだズキズキしているか、自分ではよく分からない…」と迷った時は、無理は禁物です。
「迷ったら今日はやめておく」という判断が、悪化を防ぐ一番の安全策になります。
もう1日入浴を控えるか、先ほどご紹介した温かい蒸しタオルでサッと拭く程度にとどめて様子を見ましょう。
お風呂や温泉が好きで普段からよく温まっている方ほど、入浴を再開した時に「ちゃんと温めて治そう!」と長風呂をしてしまいがちです。しかし、治りかけの長風呂は禁物です。
長時間温まりすぎると、体力を消耗して疲労が溜まり、せっかく良くなってきた痛みがぶり返してしまう(再発する)原因になります。
ぎっくり腰の後の入浴は、「38〜40℃の少しぬるめのお湯」に「10〜15分程度」サッと浸かるのが鉄則です。
せっかくならお風呂にしっかり浸かり楽しみたいところですが、物足りないと感じるくらいで上がるのが、腰に負担をかけないコツです。
より効果的に腰の筋肉をほぐしたい場合は、お湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収されて血管を広げてくれます。ぬるめのお湯でも効率よく血流を促進し、痛みを和らげてくれる効果が期待できます。
お湯にとろみがついて浴槽や床が滑りやすくなり、転倒の危険があるため、ぎっくり腰の期間中は使用を控えましょう。
また、浴槽から立ち上がる時は、お湯の浮力がなくなって急に腰へ体重がかかるため、一番負担がかかる危険な瞬間です。
勢いよく立ち上がらず、浴槽のフチや手すりにしっかりつかまり、腕の力も使いながらゆっくりと動くように心がけてくださいね。
医学的にも、腰痛の予防には「健康的な生活習慣と、穏やかでストレスが少ない生活」が推奨されています。
痛みが強い最初の数日は安静が必要ですが、少しずつ痛みが落ち着いてきたら、ずっと寝込んでいるよりも、無理のない範囲で日常生活の動きを取り戻していく(活動性を維持する)ほうが回復が早く、再発予防にも繋がります。
安全に配慮しながら、ぬるめのお風呂で心身をリラックスさせ、ストレスを溜めない生活を送ることが、
ぎっくり腰を繰り返さないための大切な予防法になります。

ぎっくり腰は、初期の適切な対処がその後の回復スピードを大きく左右します。
「お風呂に入れない間、どう過ごせばいいか分からない」「何日も痛みが引かず、一人暮らしで不安……」
そんな時は、決して一人で我慢せず、私たちにご相談ください。
当院では、痛みの強い急性期のケアから、日常生活を過ごしやすくしていくためのセルフケアなどのアドバイスも積極的に行い、QOL(quality of life=生活の質)を上げるお手伝いを行っております。
「どんな風に動かしていけばいいか分からない」「また再発するのが怖い」という方は、プロである私たちが安全な体づくりをサポートいたします。
今すぐ動けないほどの強い痛みや不安なことがある場合は、まずは無理をせず、現在の状況をお聞かせください。

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