変形性腰椎症で朝が辛い・歩けない原因と治療法【整形外科医解説】 | SBC整形外科クリニック

変形性腰椎症で朝がつらい・歩けない原因は?症状・治療・受診目安を解説

「朝起きると腰が痛くて、すぐに立ち上がれない」
「歩いているとお尻や脚が痛くなり、途中で休みたくなる」
「レントゲンで“腰の骨が変形している”と言われた」

このような症状から、
変形性腰椎症
を心配している方もいるでしょう。

腰痛について整形外科で相談するイメージ

変形性腰椎症は、加齢などに伴って腰椎の椎間板や関節が変性し、骨棘などの変化がみられる状態です。

ただし、
腰椎に変形があるからといって、必ず強い腰痛や歩行障害が出るわけではありません。
痛みやしびれの原因を考えるには、症状・診察所見・画像検査などを合わせて確認する必要があります。

まず知っておきたいポイント
✓ 腰椎の変形があっても無症状の人はいます
✓ 朝の腰痛だけで変形性腰椎症とは判断できません
✓ 歩くと脚が痛い・しびれる場合は脊柱管狭窄症などの合併を確認します
✓ 変形性腰椎症の診断ではレントゲンが基本です
✓ 神経症状が強い場合などはMRIが必要になることがあります
✓ 治療は薬物療法・装具・リハビリなどの保存療法が中心です
✓ 排尿障害や急な筋力低下などがある場合は速やかな受診が必要です

変形性腰椎症とは?腰椎の加齢変化の一つ

変形性腰椎症と脊柱管狭窄の仕組み

背骨は「椎骨」と、その間にあるクッションのような
椎間板
から構成されています。

年齢を重ねると椎間板や椎間関節に変性が生じ、椎間板の高さが低くなったり、
骨棘(こつきょく)
と呼ばれる骨の突出が形成されたりすることがあります。



腰椎の「変形」と症状の強さは必ずしも一致しません。


レントゲンで変形がみられても症状がない場合があり、無症状であれば治療を必要としないこともあります。

一方、変性が進んで慢性的な腰痛や可動域制限が生じたり、神経の通り道が狭くなって脊柱管狭窄症などを伴ったりすると、脚の痛み・しびれ・歩行障害が現れる場合があります。

変形性腰椎症で朝がつらい?朝の腰痛だけでは判断できません

「朝、ベッドから起き上がるときが一番痛い」という腰痛は珍しくありません。

長時間同じ姿勢で寝た後は、腰回りの関節や筋肉にこわばりを感じ、起き上がる最初の動作で痛みが出ることがあります。

ただし「朝に痛い=変形性腰椎症」ではありません。
朝の腰痛は筋肉・椎間板・関節などさまざまな原因で起こります。強い夜間痛、発熱、体調不良などを伴う場合には、別の病気も含めて確認が必要です。

現記事にあった「睡眠中に腰への血流が滞るため、朝に激痛が起こる」という単一の原因説明は避け、症状と診察所見から原因を考える方が適切です。

歩くと痛い・しびれて歩けない場合は脊柱管狭窄症にも注意

変形性腰椎症の変化によって神経の通り道である脊柱管が狭くなると、
腰部脊柱管狭窄症
を伴うことがあります。

腰部脊柱管狭窄症で特徴的なのが、
間欠跛行(かんけつはこう)
です。

状況 症状の例
立っている・歩く お尻・太もも・ふくらはぎなどに痛みやしびれが出る
歩き続ける 症状が強まり、歩き続けることが難しくなる
座る・前かがみで休む 症状が軽くなり、再び歩けるようになることがある

ただし、歩くと脚が痛くなり休むと改善する症状は、血管の病気などでも起こることがあります。

「5分しか歩けないから変形性腰椎症が重症」と時間だけで判断するのではなく、症状が出る場所・姿勢との関係・神経所見などを確認することが重要です。

腰痛と一緒にこの症状がある場合は早めに受診

腰痛には、変形性腰椎症以外の病気が隠れていることがあります。

速やかな受診を検討したい症状
✓ 尿が出にくい・尿漏れなど排尿の異常がある
✓ 脚に急に力が入りにくくなった、麻痺が進んでいる
✓ 安静にしていても強い痛みが続く
✓ 痛みが時間とともに悪化している
✓ 発熱や強い体調不良を伴う
✓ 転倒後などから強い腰痛が続いている
✓ がんの治療歴などがあり、新しい強い腰痛が出た

特に排尿障害や急速に進行する筋力低下などがある場合は、神経への重大な障害が起きている可能性があるため、通常の慢性腰痛として様子を見続けないでください。

変形性腰椎症の検査・診断|MRIは全員に必要?

診断では、まず症状や経過を聞き、腰や脚の動き、痛む場所、感覚、筋力などを確認します。

検査 主に確認すること
診察 痛む場所、動作との関係、感覚、筋力、歩き方など
レントゲン 骨棘、椎間板の高さ、腰椎の配列、骨折など骨の状態
MRI 脊柱管、神経、椎間板など。神経症状が強い場合や脊柱管狭窄症などを疑う場合に検討
その他 症状に応じて血液検査、尿検査、CT、筋電図などを検討

レントゲンで変形があれば、それが腰痛の原因?

必ずしもそうではありません。

加齢に伴う腰椎の変化は、痛みがない人にもみられることがあります。そのため、
画像だけを見るのではなく、痛みの場所や症状と画像所見が一致しているか
を確認します。

MRIは必要な場合に連携医療機関で撮影します

腰痛やしびれの原因を詳しく確認するためのMRI検査装置

MRIは、脊柱管や神経、椎間板などレントゲンでは確認しにくい組織を評価するのに役立ちます。

SBC整形外科クリニックではMRI・CT撮影を院内では行っていません。
医師が詳細な画像検査が必要と判断した場合は、撮影可能な連携・近隣医療機関へ紹介し、取得した画像データをもとにその後の診療を行います。

変形性腰椎症の治療|まずは保存療法が中心

痛みがある変形性腰椎症では、通常は
薬物療法・装具療法・理学療法・リハビリテーションなどの保存療法
から治療を検討します。

1.薬物療法

痛みの程度や持病などを確認し、鎮痛薬や外用薬などを使用することがあります。脚の神経痛を伴う場合などでは、症状に応じて使用する薬が異なります。

2.コルセットなどの装具療法

痛みが強い時期などに、腰への負担を軽減する目的でコルセットを使用する場合があります。必要性や使用期間は症状に応じて判断します。

3.リハビリテーション・運動療法

慢性的な腰痛では、痛い場所だけを見るのではなく、腰・股関節の動き、体幹・下肢の筋力、姿勢、歩行などを確認します。

リハビリで行うことの例
・腰や股関節の可動域訓練
・体幹・下肢の筋力訓練
・姿勢や身体の使い方の確認
・歩行練習
・日常生活や仕事中の動作指導
・症状に応じた物理療法

「電気を当てて血流を良くすれば根本的に治る」というものではなく、痛みを軽減しながら身体機能や日常生活動作を改善していくことが目的です。

4.注射・ブロック治療

痛みの原因や神経症状の状態によっては、局所への注射や神経ブロックなどが検討される場合があります。どの治療が適しているかは、診断された病態によって異なります。

5.手術療法

変形性腰椎症だけで直ちに手術が必要になるわけではありません。

脊柱管狭窄症などを伴い、保存療法でも強い歩行障害が続く場合や、筋力低下などの神経症状が進行している場合には、神経の圧迫を取り除く手術などが検討されます。手術が必要と判断された場合は、対応できる専門医療機関へ紹介します。

変形性腰椎症は「根本治療」で元の腰椎に戻せる?

「根本治療」という言葉から、
すり減った椎間板や骨の変形を完全に元通りにできる治療
をイメージする方もいるかもしれません。

加齢によって生じた骨棘や椎間板の変性を、薬やリハビリで若い頃の状態へ戻すことはできません。
治療では「画像上の変形を消すこと」ではなく、痛みや神経症状を軽減し、身体機能や日常生活を改善することを目指します。

脊柱管狭窄症などで明確な神経圧迫があり、手術によって圧迫を解除する場合もありますが、それも腰椎を完全に「新品の状態へ戻す」治療ではありません。

そのため、

「どの構造が症状に関係しているのかを確認し、その病態に合った治療を選ぶこと」

が重要です。

変形性腰椎症の治療として「再生医療」を掲載していない理由

元の記事では、保存療法の次の選択肢として
「再生医療で自己修復力を高め、根本改善を目指す」
という説明がありました。

現在のSBC整形外科クリニック公式サイトで体系的に案内している再生医療は、主に膝関節領域です。
変形性腰椎症について、再生医療を保存療法と手術の間に位置する標準的な治療として紹介するのは適切ではないため、この記事からは削除しています。

朝の腰痛・変形性腰椎症で日常生活中に意識したいこと

✓ 起床直後に勢いよく身体を起こさない
✓ 痛みを我慢して無理なストレッチをしない
✓ 長時間同じ姿勢を続けすぎない
✓ 症状に合わせて適度に身体を動かす
✓ 中腰や重い物を持つ動作を見直す
✓ 医師・理学療法士から指導された運動を継続する
✓ 脚のしびれ・筋力低下など症状の変化を確認する

腰痛があるからといって、長期間まったく動かない方がよいとは限りません。

一方で、神経症状がある状態で無理な運動や自己流の強いストレッチを行うことも適切ではありません。
どこまで動いてよいか分からない場合は、診察で原因を確認したうえで運動量を調整
しましょう。

変形性腰椎症の診察・リハビリは保険診療?

変形性腰椎症など、医学的に必要な一般整形外科の診察・検査・処方・リハビリテーションは、内容に応じて健康保険の対象となります。

内容 一般的な扱い
整形外科診察 保険診療
必要なレントゲン検査 保険診療
薬の処方 保険診療
運動器リハビリテーション 適応に応じて保険診療
MRI 医学的に必要な場合は保険診療。SBCでは連携医療機関で撮影

変形性腰椎症についてよくある質問

▼ Q. 変形性腰椎症は治りますか?
加齢による骨棘や椎間板の変性そのものを完全に元の状態へ戻すことはできません。一方、薬物療法やリハビリなどによって痛みや身体機能を改善し、日常生活への影響を減らせる場合があります。

▼ Q. 朝だけ腰が痛いのは変形性腰椎症ですか?
朝の腰痛だけで変形性腰椎症とは判断できません。筋肉、椎間板、関節などさまざまな原因で朝に痛みを感じることがあります。症状が続く場合は整形外科で確認してください。

▼ Q. 変形性腰椎症で歩けなくなることはありますか?
変形に伴って腰部脊柱管狭窄症などを生じると、歩行時に脚の痛みやしびれが現れ、長く歩けなくなる場合があります。歩くと症状が出て休憩すると軽くなる場合は、一度整形外科へご相談ください。

▼ Q. レントゲンで変形があると言われました。必ず治療が必要ですか?
必ずしも必要とは限りません。変形性脊椎症は無症状の場合もあり、症状がなければ治療を必要としないことがあります。

▼ Q. MRIは必ず撮影しますか?
全員に必要な検査ではありません。レントゲンで骨の状態を確認し、強い神経症状や脊柱管狭窄症などが疑われる場合にMRIを検討します。SBC整形外科クリニックでは院内でMRI・CT撮影は行っておらず、必要に応じて連携医療機関をご案内します。

▼ Q. 変形性腰椎症は手術しないと治らないですか?
多くの場合、まず薬物療法・装具・リハビリなどの保存療法を行います。脊柱管狭窄症などによる強い歩行障害や神経症状がある場合には、手術が検討されることがあります。

▼ Q. 腰痛があるときは動かない方がいいですか?
症状によって異なります。慢性腰痛では適度な運動が役立つ場合がありますが、強い神経症状や急性の激痛がある状態で無理に運動することは避けます。原因を確認したうえで医師・理学療法士と活動量を調整してください。

▼ Q. 排尿しにくい症状があります。様子を見てもいいですか?
腰痛や脚の症状と同時に新たな排尿障害が生じた場合は、神経への重大な圧迫が起きている可能性があります。自己判断で長く様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。

まとめ|画像の「変形」だけでなく、症状の原因を確認することが大切

✓ 変形性腰椎症は加齢に伴う腰椎の退行性変化
✓ 画像上の変形があっても無症状のことがある
✓ 朝の腰痛だけでは変形性腰椎症とは診断できない
✓ 歩行時の脚の痛み・しびれは脊柱管狭窄症などの合併を確認
✓ レントゲンが基本で、必要に応じてMRIなどを追加
✓ 治療は薬物療法・装具・リハビリなど保存療法が中心
✓ 神経障害が強い場合は手術を検討することがある
✓ 排尿障害・急な筋力低下などがある場合は早めの受診が必要

「年齢だから仕方ない」と決めつける必要はありません。一方で、レントゲンに変形があるだけで、その変形がすべての腰痛の原因だと決めることもできません。症状の原因を確認したうえで、ご自身の状態に合った治療を選ぶことが重要です。

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監修医情報

SBC整形外科クリニック
西新宿本院院長

沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
SBC整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック SBC整形外科クリニック 西新宿本院
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師
医師紹介
SBC整形外科クリニック 西新宿本院
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura
【所属学会】
  • 日本整形外科学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本四肢再建・創外固定学会
【経歴】
  • 2017年
    Mahidol University Faculty of Medicine Ramathibodi Hospital 整形外科 留学
  • 2018年
    東北大学医学部医学科 卒業
  • -
    湘南藤沢徳洲会病院 救急科・内科・整形外科
  • -
    スカイ整形外科クリニック
  • 2020年
    いわき市医療センター 整形外科
  • 2021年
    竹田綜合病院 整形外科
  • 2022年
    山形市立病院済生館 整形外科
    いしがみ整形外科クリニック
    西新宿整形外科クリニック
  • 2025年
    SBC整形外科クリニック 西新宿本院