西新宿本院
変形性膝関節症の主な症状と治療方法について
変形性膝関節症とは
軟骨がすり減ると関節のクッションがなくなり、骨同士で摩擦が生じてしまいます。その結果、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のトゲが生まれたり、骨が変形したりしてしまうのです。
膝関節症には「一次性変形性膝関節症」と「二次性変形性膝関節症」の2種類があります。一次性は、加齢にともなう関節の負担が原因の場合をいいます。二次性は、先天的な異常や骨折や靭帯・半月板の損傷などによる外傷が原因で生じる場合です。多くのケースは加齢にともなう関節の負担による「一次性」であることが多いといわれています。
■ 関節リウマチとの違いとは
変形性膝関節症は、高齢になるほど罹患率が高くなりますが、関節リウマチは年齢に関わらず発症するリスクがあることも大きな違いです。
■ 変形性膝関節症のセルフチェック
1. 膝が完全に伸び切らない
2. 正座がしづらい、またはできない
3. 直立の姿勢をとると、両膝の間にこぶし程度の隙間がある
4. 屈んだり、立ち上がるときに膝が痛む
5. 階段の上り下りが辛い
6. 膝が腫れている感じがする
7. 膝のおさらが浮いている感じがする
8. 左右の膝の形が異なる
変形性膝関節症の症状
(初期症状から末期症状まで)
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正常な膝関節 -
初期から中期 -
進行期
■ 初期
初期段階では、安静を保つことで症状はおさまるケースが多いですが、そのまま放置すると症状は進行していきます。
■ 中期
炎症が進行するため、膝が熱を帯びたり、腫れが生じたりすることも特徴です。クッションの役割を果たす軟骨がすり減ることで、歩くときや関節を曲げるときは、軋むような音がする場合もあります。
■ 末期
普段どおりの歩行やしゃがむ動作が困難になり、重症化して軟骨がほぼない状態になると、骨と骨が直接当たってすり減り、激しい痛みをともないます。
変形性膝関節症の原因

軟骨がすり減る主な原因は「加齢」です。年齢を重ねると、軟骨の水分が減少して弾力が低下し、関節のクッション性が損なわれてしまうのです。
筋肉の衰えも変形性膝関節症の原因になります。筋肉が衰えると、膝関節を筋肉で支えることができず、関節への負担が大きくなり、軟膏がすり減りやすくなります。また、過度な運動や労働、肥満などによる骨への過度な負担も軟骨を減少させます。そのほか、O脚やX脚などの脚の変形がある方は、膝への荷重バランスが偏ることで変形性膝関節症を発症しやすいといわれています。比較的若い年代でも、激しいスポーツや転倒による膝の損傷がきっかけで、変形性膝関節症を発症することもあります。
変形膝関節症を放置すると
一度すり減ってしまった軟骨・関節は、自己治療で治ることはありません。初期や中期の症状が見られる場合、速やかに専門の医院に相談しましょう。
変形性膝関節症の検査と診断方法
その後、レントゲンやMRI検査をおこない、関節の形状や関節軟骨の摩耗程度をチェックします。また、必要に応じて血液・尿検査にて、変形性膝関節症にともなう炎症や痛みの特徴を調べることもあります。
変形性膝関節症の治療方法
最近では、保存療法と手術療法の間に位置する新しい治療法として、「再生医療」という選択肢も登場しています。治療にあたっては、各治療法にリハビリテーションやマッサージなどを併用することで、運動機能回復の相乗効果が期待できます。
膝関節の再生医療(PRP療法)について、詳しくはこちらをご覧ください。
■ 運動療法や薬物療法
運動療法とは、運動訓練によって症状の改善を図る方法です。具体的には、自重などで無理なく膝を支える筋肉を鍛えたり、膝の動きをよく伸ばしたり、ウォーキングなど適度な全身運動などがあります。運動療法をおこなうことで、痛みや緊張で硬くなった筋肉や関節の動きを良くしたり、血行を促進したりといった効果が期待できます。
薬物療法は、外用薬・内服薬・注射薬などによって炎症をとったり、痛みをコントロールする治療法です。膝関節を保護して動きを滑らかにするために、膝関節内に潤滑剤となるヒアルロン酸を直接注射する治療法もあります。
■ 再生医療
なお当院は、第二種再生医療等提供計画取得済みの医療機関として、再生医療とリハビリテーションを組み合わせることで、再生医療の効果を最大限に引き出すことを目指します。
■ 手術
人工膝関節全置換術は、名前のとおり、傷んだ膝関節を丸ごと人工膝関節に置き換える手術で、術後は膝の痛みがなくなり、日常生活が送れるようになります。ただし、人工膝関節には20~25年の耐用年数があり、これを過ぎると人工関節の入れ替えが必要になる場合があります。また、手術の場合は入院や術後のリハビリが必要ですので、患者さまの年齢や症状の程度を考慮して手術に踏み切るかどうか、医師と話し合って決めることが大切です。
■ リハビリ
■ マッサージの効果について
■ 痛みを軽減するための膝サポーターについて
変形性膝関節症の予防方法
1. 膝への過度な負担を減らす
2. 適度な運動で筋肉を鍛える
3. 膝を冷やさずに温めて血行をよくする
4. 日常的にストレッチをおこなう
それぞれ詳しくご紹介します。
■ 膝への過度な負担を減らす
また普段の立ったり歩いたりする動作でも、意識的に正しい姿勢を保つことで膝にかかる負担を分散させられます。特にO脚やX脚の方は、インソールを使って膝関節の角度を補正することも有効です。
■ 適度な運動で筋肉を鍛える
■ 膝を冷やさずに温めて血行を良くする
ただし膝に腫れ感や熱感がある場合は、患部を温めると逆効果となります。すでに膝関節症の症状が出始めている場合は、安静にして専門医に相談しましょう。
■ 日常的にストレッチをおこなう
変形性膝関節症に関するよくある質問
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変形性膝関節症でしてはいけない運動はありますか? -
膝関節にとって、急に動く、急に止まるなどの動作は大きな負担になります。サッカーやバスケットボール、テニスなどの球技やスキー、スノーボードなどのウインタースポーツ、激しいジョギングなどの運動は、膝への負荷が大きいため、避けましょう。
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変形性膝関節症でしてはいけない仕事はありますか? -
膝関節に大きな負担が繰り返しかかる動作をともなう仕事は、できれば避けたほうがよいでしょう。たとえば、頻繁に立ったり座ったりを繰り返したり、重い荷物の上げ下げがある仕事、長時間立ちっぱなしや長距離の移動が必要な仕事、しゃがむ動作が多い仕事などはどうしても膝への負担が大きくなるため、おすすめできません。
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